hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

西加奈子『まにまに』を読む

2016年02月26日 | 読書2

 

 

嬉しくても悲しくても感動しても頭にきても泣けてくるという喜怒哀楽に満ちた日常(第1章 日々のこと)と、愛する音楽(第2章 音楽のこと)についてと、本への尽きない思い(第3章 本のこと)の6年分のエッセイをまとめた一冊。

 

「ダ・ヴィンチ」「L25」(第1章)「朝日新聞夕刊(大阪本社版)」(第2章)「芸術新潮」(第3章)「毎日新聞夕刊」(第4章)に連載。

 

タイトルについて、(あとがきより)

『まにまに』というタイトルが、私はだいすきだ。

「間に間に」と書けば、合間に、適当に、というようなニュアンスがあるし、「随に」は、なりゆきにまかせるさま、という意味があって、「随」は「随筆」の「随」でもある。「マニマニ」って、なんだかかわいらしいおまじないのようでもあるし、「まにまに」と声に出すと、「に」のところで自然と口角があがっている。

大げさではなく、かみさまにもらったタイトルだ、と思う。

 

文中のイラストや、装丁画も西さんの作。

 

「恋する般若」

 恋とは言わないまでも、なんとなくいい雰囲気の男の子と最初のデートをするときは、・・・必要以上に見栄えを気にしてしまう。・・・

 例えば夜7時頃の新宿ルミネや駅のトイレに行くと、必死で化粧を直している女の子たちを見る。あらデート前? 可愛いわねふふ、と思える子は稀、あとの子はほとんど「鬼」の形相なのだ。

 ・・・だって彼にさえ可愛く見られたらいいのだ! それではいけないと思っていても、必死なときは自分が見えない。可愛くなくても、みんな格好いい、戦っているのだ。 

 

「色気入札中」

 おしゃべりで、がっついていて、決して諦めない自分はきっと、色気から最も遠いのだろう。でも生きる。

 

「好みのタイプ」の正解

合コンで好みのタイプを聞かれたとき、「ガッキー(新垣結衣さん)ですっ!」とキラキラした目で答えられたら、大概は「ガッキー言われたら・・・おわりやん」と思うはずだ。西さんの答えは「その場にいる女性陣より年上の人(女優など)を言うべきだ」という。それならたしかにどの女性も、いつかはそうなる可能性があるかもと、納得しそうだ。

4畳一間の友人の家に行き、「お昼何食べたい?」と問われ、「フォアグラ」と言うか?・・・オムライス、やきそば、卵かけごはん、いくらでもあるだろう。
 安くて美味しい私たちを、どうか忘れないでほしい。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

半分以上を占める「第一章 日々のこと」がおもろい。大阪人らしくすべてを笑かしてくれる。西さんの人柄が浮かび上がってくる。

 

「第二章 音楽」は私にはつまらなかった。ニュー・ジャック・スウィング? ICE-T? 出てくる名前、すべて知らん! Haruo Okaはどうして出てこんのか! この章はすべて読み飛ばしました。ごめんなさい。

 

「第三章 本のこと」で紹介している12人の中で、私が読んだことあるのは、

「津村記久子」「ジュノ・ディアス」「長嶋有」「山崎ナオコーラ」の4人だけで、

「村田沙耶香」「いとうせいこう」「ジョン・アーヴィング」の3人は知っているが、

「チマンダ・ンゴスィ・アディーチェ」「ロイド・ショーンズ」「ローラン・ビネ」「小林エイカ」「トニ・モリスン」の5人は初耳だ。

やはり、私は時代に置いて行かれているようだ。

 

 

西加奈子の略歴と既読本リスト

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葉室麟『冬姫』を読む

2016年02月21日 | 読書2

 

 

葉室麟著『冬姫』(集英社文庫は-45-1、2014年11月25日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な<女いくさ>を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。

 

 

信長は、斎藤道三の娘・帰蝶(濃姫)を正室とし、妹・市を浅井長政に嫁がせ、武田信玄の娘・松姫を嫡男・信忠の室に迎えていた。さらに信長は、その才を高く買う蒲生忠三郎(氏郷・うじさと)14歳に娘・冬姫12歳を嫁がせた。

 

乳母は「武家の女は槍や刀ではなく心の刃を研いでいくさをせねばならないのです」と冬姫に言い聞かせていた。日野城へ夫・蒲生氏郷と共に向かう冬姫は「わたしのいくさはこれから始まるのだ」とつぶやく。

 

1592年、会津に改修した若松城の天守閣から領地を見下ろしながら蒲生氏郷は冬姫に語る。

「わしは、この地に亡き信長様の志を継いだ国を造りたいと思う」

「天正の国を、でございますか?」

「そうだ。わしはキリシタンゆえ、領主が自ら正しき道を歩めば、国はおのずから栄えるものであることを神の教えによって学んだ。ひとを怨まず、憎まず、互を思い遣って生きていける国をこの地に築きたいのだ」

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

織田信長の台頭と突然の死、秀吉と家康。歴史の流れの中での冬姫の運命はよく描けているのだが。

 

「女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な女いくさを仕掛けあう」というほどではなく、女の嫉妬によるいさかい程度だ。

 

変な妖怪などが出てきて、ファンタジー的と言えば言えるが、史実の流れを薄めてしまう。

 

当時には珍しく側室を持たなかったという氏郷との夫婦愛が全う過ぎて面白味がない。

 

 

葉室麟(はむろ・りん)
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大卒業後、地方新聞記者。
2005年「乾山晩愁」で歴史文学賞受賞しデビュー
2007年「銀漢の賦」で松本清張賞
2009年「いのちなりけり」と「秋月記」、2010年「花や散るらん」、2011年「恋しぐれ」で直木賞候補
2012年「蜩ノ記」で直木賞受賞 

その他、『天の光』『緋の天空』など。

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浅田次郎『憑神』を読む

2016年02月18日 | 読書2

 

浅田次郎著『憑神(つきがみ)』(新潮文庫あ-47-3、2007年5月1日発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった! とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。傑作時代長篇。

 

 下級武士の次男坊・彦四郎は、直心影流免許皆伝、学問にも優れていて24歳で無事実家より大身の井上家へ婿入りした。妻・八重とも仲むつまじく暮らしていたのだが、息子・市太郎が生まれると、種馬の役目は終わったとばかり婿いびりされ、ちょっとした事件をもとに離縁され、貧しい実家の居候となった。彦四郎はやる気のない兄、口うるさい兄嫁、兄夫婦の息子、年老いた母と暮らしている。

 

 彦四郎は出世したいとも、禄が欲しいとも思わなかったが、婿入り先に残して来た妻と子を取り戻したいと思っていた。なじみの蕎麦屋の親爺から、出世のご利益があるという三囲(みめぐり)稲荷の話を聞き、ちょっと違うが近くにある三巡稲荷を見つけて手を合わせると、貧乏神、疫病神、〇〇神が、・・・

 

 以下、幕末の武士の気位も底になっていく時代の中で、禄は微小だが、いざというときには将軍を守る影武者となる御徒士として凛として生きようとする彦四郎は、貧乏神などに果然として立ち向かう姿が描かれる。

 

 2007年、降旗康男監督、妻夫木聡の彦三郎で映画化、舞台化もされた。

 

初出:2007年9月新潮社より刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 文句なしに面白く、ちょっぴり考えさせる。

 変わりゆく社会、不運な運命の中で誇りを持ち続けようとする彦四郎と、ちょっととぼけた神様たち、心砕けてしまった下級武士たち。前半のとぼけたユーモア、底流に漂う悲哀が、後半に至り、人として生きる糧は何かと考えさせる。

 

 手練れの浅田次郎に反感を思えながら、一気読みしてしまった。無念!

 

 

浅田次郎の略歴と既読本リスト

 

 

磯田道史氏の解説によれば、

徳川将軍家は、家康以来の家風として、非常に用心深いところがある。戦いに勝ったときのことばかりでなく、将軍がぼろぼろに負けて逃げるときの用意まで、よく考えていた。

 

 御徒士につねに黒羽織を着せていて、襲撃を受けた将軍も同じ黒羽織を着て逃げたという。

また、『徳川実紀』にも、家康が息子の秀忠が熱心に剣術の稽古をするのをみて、「敵を防ぐのは家来の仕事である。将軍はまず逃げることを心がけられよ」といったのだという。

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上野千鶴子、水無田気流『非婚ですがそれが何か』を読む

2016年02月08日 | 読書2

 

 

上野千鶴子、水無田気流著『非婚ですがそれが何か 結婚リスク時代を生きる』(2015年9月1日ビジネス社発行)を読んだ。

 

「はじめに」で上野さんはこう始める。

猫も杓子も結婚する「全員結婚時代」は終わった・・・ふりかえれば、あれは一過性の異常な時代だったと、後世の人はいうだろう。

若い男女が結婚しない・・・それが何か?

社会が若い男女の結婚に関心を持つのは、実のところ子どもを生産んでほしいからだ。日本では結婚と出産がつよく連動しているために、結婚すれば子どもを産んでくれる。

 

 

日本人は今なお結婚へのこだわりが強いが、一方では、「結婚離れ」も指摘される。
生涯未婚率は上昇の一途で、男性の3人に1人、女性の4人に1人が一生独身の社会となる。
介護に必要な人が増えるのに、既存の「結婚を前提とした社会」では対処が困難だ。

これらの観点から、
1、結婚をリスク視する若年男性
2、女性の今なお高い結婚への期待値というリスク
3、誰もが結婚することを前提として設計された社会の抱えるリスク
の三点を軸に、ベテラン社会学者で団塊の世代の上野千鶴子と、気鋭の社会学者・詩人、団塊ジュニアで子育て中の水無田気流が対談し、考察する。

 

結婚願望は低下していないが、婚姻率は下がっている

合理的選択・高所得者の男にとって家族はコスト。

 

日本では親のインフラを利用することが可能で(パラサイト・シングル)、同棲率は増加しなかった。

 

日本の社会保障は世帯単位であり、シングルに対応していない。

 

医学部の学生の4割が女子。司法試験でも女子の合格率が3割以上。

 

上野:・・・とくに子どもの乳幼児期は一番過酷な時期でしょう。その過酷な時期に自分に手も足も貸してくれなかった夫に、妻は一生恨みを溜めますよ。その後の女たちの行動を見ると、「あのとき、あなたは」って言い続けるわけ。一生許さないからね。・・・

どうやら彼女たちの中にあるのは、夫が負け組になることを自分のプライドが許さないということのよう。・・・

 

水無田:・・・電車の中で、わたしのすぐ近くに中高年の女性三人組がおしゃべりをしていた。・・・「あそこの旦那さん、定年退職直後に亡くなったんですって」。「まあ!」って言うから、「お気の毒に」と返ってくるのかと思ったら、「うらやましいわ」。「理想的」とか言っている女性もすごかった。

 

水無田:・・・本当に女性が輝く社会ではなくて、女性がギラギラしないといけない社会を目指しているのか、と言いたいくらいに。

 

上野千鶴子の略歴と既読本リスト

 

 


水無田気流(みなした・きりう)
1970年、神奈川県生まれ。詩人、社会学者。

早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。

詩人として『音速平和』で中原中也賞、『Z境』で晩翠賞を受賞。

著書に『シングルマザーの貧困』『無頼化した女たち』『「居場所」のない男、「時間」がない女』など。

 

 

 

 

 

本書の構成

第一章 非婚時代
非婚という烙印 / 結婚願望は低下していないが、婚姻率は下がっている / 確信犯的シングルの増加/ 一生結婚できないという女子大生の不安など

第二章 シングル社会と少子化を迎えて
保守的な家族観をもっている先進国ほど少子化は進む / 日本の男は世界一孤独 / 父親に期待せず、祖母を当てにする育児など

第三章 非婚時代の家族の肖像・親子関係の真実
結婚させたかったら、兵糧攻めにせよ / 非婚、少子化で困るのは財界だけ / 社畜と家畜の結婚生活など

第四章 オス負け犬と女子文化の爛熟
専業主婦という上流階級 / オス負け犬という悲惨な存在 / 男の病は、モテればすべて解決!? など

第五章 非婚時代のセクシュアリティ
離婚の損得勘定など

第六章 非婚時代をどう生きるか

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ボナペティでランチ

2016年02月06日 | 食べ物

吉祥寺南町2丁目の「ボナペティ Bon Appetit」 (「十分に召し上がれ!」という意味らしい)へ行った。

2011年11月に引き続き、2回目だ。

解りにくいが、ここを入って、エレベータで3Fへ登る。

以下の写真の右上はずれがお店。

20人ぐらいの席が並び、狭いので、女性客の声が多少気になる。

目を引くランチョンマット。

ランチの一番安いコース2400円はサラダで始まり、

ごく美味しいスープと、

選択したメインの豚と、

週日だけ付くカブのご飯に、

デザートは、紅茶のブリュレ。

美味しかったので、再掲。

 

相方はプティランチ1250円。

スープに、

生ハムののったサラダ

メインは魚

デザートは下の皮まで食べられるスィートポテト

 

両方とも、丸いパンが付く。

料理はすべて美味しく、値段も安い。とくにプチランチは少食ならばお勧めだ。

 

 

 

 

 

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