hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

12月(2)の花

2021年12月31日 | リタイヤ生活

 

12月20日に届いた花

 

バラ5本、デンファレ3本、センニチコウ2本、ルスカス2本。

 

はや2日後がほぼ最盛期。

 

淡いピンク、オレンジ、ピンクのバラと、

ピンクのように多重の花びらも良いが、オレンジのように花びらの先端がカールして反っているのがいかにもバラらしい。

 

濃紅と黄色のバラ。 やはりバラは花の女王様だ。

 

届けられたお手入れ法のデンファレ(ラン科デンドロビウム属)について、「冬場のデンファレは気温が低すぎると元気がなくなるので、なるべく適度に暖房のきいた暖かい場所に飾りましょう。」とあったが、デンファレだけ特別扱いするわけにもいかず、バラなどより早く、下側の花が萎れ、先端部の蕾が黄色になって落ちてしまった。

 

センニチコウも、小さな花びらが少しずつパラパラと落ちる。

 

ただの葉っぱと馬鹿にしてはいけないルスカス。

葉の表か裏に、虫かゴミのようにみえる小さな突起がやがて花芽が出てくるのだ。9か月の経過観察結果の「ルスカス最後の姿」をご覧あれ。

 

そして、これが6日後、26日の全体の姿。年は越せそうもない。

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シュトレンを食す

2021年12月29日 | 食べ物

 

シュトレン Stollen は15世紀頃から作られていたというドイツの伝統の焼き菓子で、発酵菓子なので日持ちする。バター風味豊かなしっとりとした食感の生地と長時間お酒に漬け込んだドライフルーツの味が日ごとに調和して一層、美味しくなる。(帝国ホテルショップ「ガルガンチュワ」の説明文より)

日本でもクリスマス用のお菓子として最近(?)よく見る。

 

 

天然酵母パン「こ・ん・ぱ・す」でクロワッサンなど買ったときに、上の棚に珍しいものがあり、シュトレンと書いてある。900円と高かったが、まあパンというよりはお菓子だなと買ってみた。1か月位は日持ちしますと言われてた。

薄く切って食べる。濃厚な味がするが、しつこくはなく深い味で、美味しい。パンというよりお菓子だ。

 

 

まだ食べきらないうちに、知人からの届け物を開けると、大きなシュトレンだった。しかも、帝国ホテルショップ「ガルガンチュワ」製。

 

毎日おやつに、時に朝食に、一切れずつ食べて、十分楽しんだ。

今、ネットで見ると、真ん中で2つに割って、左右にスライスして、断面と断面を合わせて空気に触れにくくして、ラップに包んで保存袋などに入れるのが良いと書いてあった。まあ、そんなことせずに、美味しくて早く食べちゃったけど。

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誕生日、今、昔

2021年12月28日 | 個人的記録

誕生日が待ち遠しく楽しかったのはいつまでだろう。子供の頃には一つ歳を取ることは何か誇らしいことで、早く大人になって、と思ったものだった。今は大人になりたくない子供もいるそうで、子供に何でも与えて甘やかすと、そういうことになるのだ。エヘン!

 

私の誕生日は、上皇陛下(皇太子、天皇陛下)、一日置いてキリストに次ぐ12月26日で、誕生日のケーキは売れ残ったクリスマスケーキだった。

普段の粗食からするとご馳走が続くこの時期に、いつも私は食べ過ぎて正月は蒲団に寝たまま過ごすことが多かった。母が私の様子を見に来て、肩口のふとんをトントンと叩くと、ぽっかりと暖かくなって、すぐ夢の中に入って行った。
いつだったか、調子に乗って、「苦しくて口で息が吸えない」と訴えると、「バカね、息は鼻で吸うものよ」と突き放されてしまった。

こんなこともあった。計った体温計が平熱を示していたので、これではならぬと、あろうことか体温計を電球に突き当てて高熱を装ったことがある。体温計はみるみる上がり、慌てて離しても上がり続け、最後まで行ってパ~ンと割れて、中味の水銀が玉ころになって布団の上にばらまかれた。パニックになって、あとのことは覚えていない。

昔にも甘やかされて育った子供もいるようで、その結果がこの今の私なのだ。

 

大きく飛んで私の48歳の誕生日は、たまたま職場の忘年会と重なり、来年の午年の年男として前に引っ張り出されて祝福を受けた。ふと、次の年男の時は60歳で赤いチャンチャンコだと気がついた。この時はそんな自分の姿が思い浮かばず、そんなバカなと思うばかりだった。

 

今、還暦どころか古希も過ぎ、80歳を目前にして、どうもまだ自分が十分高齢者だと納得できていない節がある。昔のいかにもお年寄りというイメージが頭にあって、今の自分はあれとは違うと思ってしまうのだ。


ところが、現実には名前や言葉が出てこないし、新しい事が好きだったはずなのに初めてのことには気が進まない。パソコンのちょっと複雑な作業にも集中力がない。
昔は「君は仕事が早いけど間違いが多いね」と言われていたのに、今はちょっとした作業も、遅くて間違いが多い。歩くのが極端に遅くなり、スマホ片手の若い女性にもスイスイと追い抜かれる。疲れやすくて、食後には昼寝はもちろん朝寝が必須となるなど確実に老いている。

 

信じられないことに来年12月26日にはめでたく傘寿となる。長くなくても良いが、少しでも楽しく、そして元気なふりをして暮らしたいものだ。

 

「誕生日 冥途の旅の一里塚 めでたくもあり、めでたくもなし」 (一休宗純のパクリ)

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大人のためのクリスマス

2021年12月27日 | 個人的記録

 

この話、2006年12月にも書いているのだが、年寄のくどく繰り返す昔話とご容赦ください。

 

もう30年以上前のクリスマスの朝のことである。贈り物を見て喜ぶ顔が見たくて待ちきれず、まだ寝ている息子を起こしに行った。

 

息子はベッドの上で起き上がると周りを見渡して、「ない」と小さな声で言う。「僕、いい子じゃなかったからかな」と言うと、泣き顔になった。いつも、泣きだす前に泣き顔になり、への字の口のまま止まって、一瞬置いてから、泣き声と涙が一気に出てくる。
あせった女房と私は、あわてて、「ベッドの下も探してごらん」と言う。こんなときだけはすばやい息子は、ベッドから首を出して下をのぞき、リボンでくるんだ袋を見つけると、「あった!」と言って、飛び降りた。

 

袋をやぶり、前から欲しかったおもちゃを取り出して、「どうして、サンタさんにわかったのかな」と、ニコニコ、ニコニコ。さっきの泣き顔のあとかたもなく全身で喜んでいる。

私と女房も顔を見合わせ、二人ともニコニコ、ニコニコ。

 

トルストイの「アンナ・カレーニナ」の書き始めに、「不幸な家庭はさまざまだが、幸せな家庭はどれも同じである」と言うのがあったが、まさにこれが、平凡でどこにでもある幸せな家庭の典型だと思った。

 

息子はもうこのことを覚えていないだろうが、私は、クリスマスのたびごとに思い出しては、ニヤニヤしている。クリスマスはまさに親のためにこそあるのだ。

 

 

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「Sign吉祥寺」でランチ

2021年12月26日 | 食べ物

 

アトレ吉祥寺1Fの「Sign吉祥寺」でランチした。アトレ本館正面口から「はなびの広場」に入ると正面にある。何回となく通りすぎるだけだったので、初めて入ってみた。

テーブル席76,カウンタ6とやたら広い。駅直下なので待ち合わせ場所にしてあわただしく出入りする人もいる。

入口に入ると、期間限定のLOVOTが近寄って来た。興味ないし、面倒なので無視。

 

私にはセンスが感じられない大きな漫画のような絵が飾られている。

 

週日のランチメニュは以下。

 

私は「和風ベジタブルボウル~ブッダボウル」¥1,150

相方は「和風おろし&目玉焼きハンバーグプレートデリ2種添え(ライス付き)」¥1,250

 

まず、スープ2つと相方のサラダ。

 

これが、私の「ブッダボウル」。すべて野菜で、五穀米?がほんの一握り付く。健康志向の女性向けに見えるが、無念なことにこれで満腹になってしまう。

 

相方の「ハンバーグプレート」で、ご飯は半分と指定。

 

こってりとしたラーメン屋や、ボリュームたっぷりの牛丼屋などには行かないので、ランチはいつも幸せなことに女性に囲まれている。

 

 

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伊兼源太郎の略歴と既読本リスト

2021年12月25日 | 読書2

 

伊兼源太郎(いがね・げんたろう)
1978年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。新聞社勤務などを経て、

2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー

警視庁監査ファイルシリーズ

密告はうたう(改題:密告はうたう 警視庁監察ファイル)』、『ブラックリスト 警視庁監察ファイル』
残響 警視庁監察ファイル

その他、『地検のS』『地検のS  Sが泣いた日』『見えざる網』『事故調』『外道たちの餞別』『巨悪』『金庫番の娘』『事件持ち』

 

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伊兼源太郎『残響』を読む

2021年12月24日 | 読書2

 

伊兼(いがね)源太郎『残響 警視庁監察ファイル』(2021年8月10日実業之日本社発行)を読んだ。

 

『密告はうたう』『ブラックリスト』に続く「警視庁監察ファイルシリーズ」第三弾、集大成の一冊。

私は、WOWOWで放送された(2021年8月~- 9月、全6話)「密告はうたう 警視庁監察ファイル」を見た。主演はTOKIO松岡昌宏で、ほかに仲村トオル、泉里香らが出演した。これで、警察職員の不正を暴くための部署・警視庁警務部人事一課監察係の存在を知り、警察内部からも敵視、警戒される組織に興味をもち、原作者の伊兼さんの他の作品を読んでみた。

 

 

警視庁職員の不正を取り締まる人事一課監察係に異動して2年の佐良(さら)は、悪党たちへ私刑を加えているという庁内秘密組織「互助会」を追っていた。
互助会のメンバーは、“懲らしめ”と称し、法律では罰せられない悪党や罪と刑が釣り合っていないと判断した連中に私刑を加えていたのだ。そこで佐良は、同僚の皆口菜子(さいこ、32歳)、28歳の毛利らとともに、疑わしい警官を行確(尾行して行動確認)したり、偽情報で罠をしかけたりして組織員を割り出し、その全容を暴こうとしていた。

 

約2年前、当時、捜査一課強行班だった佐良は、部下の斎藤と皆口とともに、武蔵野精機社長殺人事件の捜査で荒川沿いの工場内で捜査中、銃撃にまきこまれ斎藤が殉死した。その結果、佐良は監察へ、斎藤の婚約者だった皆口も運転免許試験場に左遷された。銃弾の線条痕から、互助会との関係が浮かび上がっていた。
2発の銃声。残響は今も佐良の耳の奥に残っている。

 

捜査を進めても末端の組織員は逮捕できても、上の者たちの正体はつかめないままだった。その矢先、監察トップの六角警務部長が狙われた。

 

伊兼源太郎の略歴と既読本リスト

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

組織が多く、その関係も複雑で、筋を追うのが大変だ。

警察内部も一枚板どころか、各組織が激しく対立して協力は難しいことが良く分かるのだが、外部も複数組織が登場するので、話は複雑怪奇となり、理解するのが大変だ。
例えば、警察内部も、警務部、刑事部、公安部が対立し、その上、誰がメンバーか不明のリンチ集団・互助会が警察内に潜む。外部にもカルト集団・太陽鳳凰会、YK団、韓国マフィアがあって、敵味方関係が複雑すぎる。

 

シリーズ1作目『密告はうたう 警視庁監察ファイル』と、2作目『ブラックリスト 警視庁監察ファイル』を読んで過去の経緯を理解しないと、表面的理解に終わってしまう恐れがある。

 

立ち回りが多く行われるのだが、ほとんどが空手わざによる取っ組み合いで、敵味方の判定がはっきりしないこともあった、拳銃はほとんど登場せずに物足りない。

 

 

警視庁

副総監:波多野

警務部部長:六角

人事一課 課長:真崎、監察官:能面の能馬(のうま)、係長:須賀、班長:中西、佐良、皆口菜子、毛利

 刑事部

  捜査一課、佐良と同期の北澤、勇退後関連団体に天下った福留、皆口の婚約者で殉職した斎藤

  捜査二課課長:長富(互助会?)

 公安部

   富樫修(潜入捜査員名は田中、互助会?)、中上(木下名で潜入捜査中に殺害された)

 方面本部

  早稲田警察署、夏木

 

弁護士:虎島、情報屋:チャン(佐良に情報提供、アメ横近くのヴェトナム料理店)

 

 

 

公安などの手口例

特定の人物だけに特定に内容(例えば、自分は何が好きなど)を伝えておき、自分の話がどこかに漏れた場合、漏洩先を確定させるヒントとする。

脚を引きずって歩く姿を見せておき、いざという時に普通に歩いて追っ手をごまかす。

 

 

誰何(すいか):声を掛けて、誰かと名を問いただすこと。呼びとがめること。

マルタイ:捜査対象

 

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宮部みゆき『誰か』を読む

2021年12月22日 | 読書2

 

宮部みゆき『誰か』(文春文庫み17-6、2007年12月10日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める――。稀代のストーリーテラーが丁寧に紡ぎだした、心揺るがすミステリー。 解説・杉江松恋

 

「杉村三郎シリーズ」4作の第一作目。各作品紹介とシリーズ相関図

 

 

今多コンツェルン

杉浦三郎:グループ広報室。35歳。元編集者。妻は菜穂子で一人娘は桃子4歳。兄・一男は父母と同居している。姉は喜代子。映画館の痴漢が菜穂子との縁となった。

杉浦菜穂子:三郎の妻。嘉親の娘・29歳。心臓に病気を抱える。

今多嘉親:今多コンツェルン会長。長男・は社長、次男・孝之は専務。

遠山:第一秘書。氷の女王。

園田瑛子:グループ広報室長。三郎の上司。

椎名:シーナちゃん。広報室のアルバイト女子大生。

 

梶田信夫:11年間嘉親の私的運転手だった。65歳。8月15日午後2時、グレーデンハイツ(管理室長は久保、理事長は工藤)近くで自転車に衝突され死亡。28年前、八王子のトモノ玩具に勤めていた。

梶田聡美:信夫の長女。32歳。今年10月に浜田利和32歳と結婚予定。4歳のとき誘拐された。

梶田梨子(りこ):信夫の次女。22歳。積極的、エネルギッシュ。

橋本:梶田の先代の私的運転手。既に死去。妻は敏子

卯月:城東警察署の刑事

野瀬祐子:トモノ玩具を信夫と一緒に辞めた事務員

 

 

単行本:2003年11月実業之日本社刊、ノベルス版:2005年8月光文社刊

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

じれったいほど控え目で、とくに冴えたところもない杉村三郎が、梶田信夫を自転車ではねて殺した犯人を探していくうちに、梶田の昔の闇を探ることになる。途中で犯人の推測はつくが、梶田の二人の娘の意向のずれもあって、約30年前の梶田の謎が次々を展開していき、読む人を離さない。

 

 

宮部みゆき 略歴と既読本リスト

 

 

瞳を瞠った:瞳を見張った(「瞠った」とも書く)。参考:瞠目(どうもく)、瞳を瞑(つぶ)る

訝(いぶ)しそうな

矍鑠(かくしゃく)としている

 

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「日本料理 ひのや」でランチ

2021年12月20日 | 食べ物

 

所要があって都立大学駅に降りて昼飯処を探した。
今日は豪華にいきたい気分なのだ、残念ながら久しぶりの一人ランチなのに。(語順が逆?)

 

以前知人に招かれて数人で会食した料亭のような雰囲気の店があったはずと、南口を南の方角へ1,2分歩くとあった。「日本料理 ひのや」だ。

 

 

入口は高級店風でビビるが、置かれているメニューを見ると、ランチは2000円~4000円。値段だけ決めて、入っていく。もちろん2千円に。

 

個室がずらりと並んだ中で、案内されたのは広々とした4つのテーブルが置かれた部屋に一人だけ。(かぐや10~12人部屋)。

 

稲庭御膳か、ヒレカツ御膳か、迷ったのだが、うどんで2千円はないと思って、貧乏人らしくヒレカツを選択。

あとから知人に聞いたら、稲庭うどんは絶品だと言う。

 

ヒレカツはもちろんヒレで柔らかく、味よし。下に薄く敷かれたご飯も味が付いたノリご飯。

歳のせいか、いやいや少食の相方のお付き合いをしているうちに胃が小さくなったためなのか、十分な大きさのヒレカツが6個は多すぎた。ところが、戦後の食糧難育ちの私は残すことができない。

 

超満腹、満足で、知人宅へ。

次回は稲庭御膳にすることにしよう。

 

 

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山本文緒『ばにらさま』を読む

2021年12月18日 | 読書2

 

山本文緒著『ばにらさま』(2021年9月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの作品紹介

冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい

日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇

島清恋愛文学賞、本屋大賞ノミネート『自転しながら公転する』の山本文緒最新作! 
伝説の直木賞受賞さく『プラナリア』に匹敵るす吸引力! これぞ短編の醍醐味!


ばにらさま  僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい……。
わたしは大丈夫 夫と娘とともに爪に火をともすような倹約生活を送る私。
菓子苑 舞子は、浮き沈みの激しい胡桃に翻弄されるも、彼女を放って置けない。
バヨリン心中 余命短い祖母が語る、ヴァイオリンとポーランド人の青年をめぐる若き日の恋。
20×20  主婦から作家となった私。仕事場のマンションの隣人たちとの日々。
子供おばさん 中学の同級生の葬儀に出席した夕子。遺族から形見として託されたのは。

 

「ばにらさま」

デブで汗かきで冴えない中嶋広志に、信じられないほど可憐でモデルみたいな恋人・瑞希ができた。なぜかよそよそしくなったり、急に自宅に呼んだりする彼女。広志はネットでまさかと思う日記を発見し、‥‥。

 

「わたしは大丈夫」

家族3人でケチケチ生活の秋穂は、かってキャリア指向でMBAもと頑張っていた。認めてくれた達也と不倫に走ってから‥‥

 

「菓子苑」

舞子が「泊っていけば?」と言ったのに胡桃は「明日早番だし」と返し、帰りぎわに「また一緒にすまない?」と言った。……私はずっと昔から彼女の願いを断るのが下手だった。今回も断れないのだろうか。実は胡桃は…

 

「バリヨン心中」、「20×20」、「子供おばさん」  略

 

 

初出 ばにらさま:「別冊文藝春秋」2008年、‥‥、20×20:「小説トリッパ―」2015年、‥

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

私が『プラナリア』で衝撃を受けてファンとなった山本文緒さんの久しぶりの短編集で、しかも遺作なのだから、五つ星にせざるを得ないだろう。

 

どこにでもいる女性の、普通の話を語る。しかし、その女性の意外な裏の考え方を明らかにして、思いがけない展開にもってゆく。

 

文藝春秋BOOKSの著者メッセージで山本さんはこう言っている。

‥‥
ステレオタイプと呼ばれる女の子達にも、内面にはその人しか持つことのない叫びや希望があるはず。そんなことをテーマにこの小説集を作りました。

 どの作品にも「え?!」と驚いて頂けるような仕掛けを用意しましたので、きっと楽しんで頂けると自負しております。

 

感心した所

ティッシュの箱を中味ごとまっぷたつに切る。半分でも結構使えるので節約になる。取り出しにくいけど(p75)。

 

 

山本文緒(やまもと・ふみお)
1962年神奈川県生まれ。神奈川大学経済学部卒業後、OL。

2021年10月13日膵臓がんにより軽井沢の自宅で死去。

1987年少女小説家としてデビュー。

1999年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞

2001年『プラナリア』で直木賞受賞

2003年40歳の時にうつ病を発症して約6年の闘病生活を過ごした。

2007年 うつ闘病日記であるエッセイ『再婚生活』で復帰

2020年『自転しながら公転する』が7年ぶりの小説

著書に『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『ファースト・プライオリティー』『アカペラ』『なぎさ』など

エッセイに『そして私は一人になった』『再婚生活』     など。

共著に、文藝春秋編『直木賞受賞エッセイ集成

 

 

煌(きら)びやかな

 

 

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西加奈子『夜が明ける』を読む

2021年12月16日 | 読書2

 

西加奈子著『夜が明ける』(2021年10月20日発行)を読んだ。

 

新潮社の特設サイトでの宣伝

どれだけ傷ついても、夜が深くても、はならず明日はやってくる。

勝つことが目的なんじゃなくて、そう、続けることが目的なんだから。

 

自分が「助けてもらう」側であることが悔しかった。

15歳の時、高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。 普通の家庭で育った「俺」と、母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できることなんて何一つないのに、互いにかけがえのない存在になっていった。

大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、アキは劇団に所属する。しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、少しずつ、俺たちの心と身体は壊れていった……。

思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描きながら、 人間の哀しさや弱さ、そして生きていくことの奇跡を描く、感動作!

 

フィンランドの俳優・アキ・マケライネンが主演する映画『男達の朝』の本当のタイトルは「夜が明ける」だ。

アキは日記の中で言う。

「夜が明ける。素敵な言葉だと思う。夜が明ける。みんなの夜が明けるんだよ。君にも教えてあげたい。」

 

初出:「小説新潮」2019年9月号~2021年1月号

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

アキが虐待されたり、悲惨な生活を送る記述が続き、読んでいていやになる。吃音にもあるのだが、周囲とのコミュニケーションのひどさにもうんざりする。物真似バーでの登場人物も訳が分からない。

「俺」が働くTV制作現場の過重労働、パワハラもただただ悲惨で、人が壊れていくの描く。

気持が乗っていかない二人について、最後に、付け足すように「夜が明ける」といわれても、延々大部の話を読んだ私はいやな話を読んだとしか考えられないで終った。

 

 

西加奈子の略歴と既読本リスト

 

 

アキ:深沢暁(あきら)、191㎝。吃音。映画『男達の朝』に出演するフィンランドの俳優・アキ・マケライネンに似ている。貧困の中、シングルマザーの母親に虐待された。劇団「プラウの世田谷」に入る。後、ウズがオーナーの物真似バー「FAKE」に勤める。

俺:高校生のとき、アキに出会い、「お前はアキ・マケライネンだよ!」と言った。小さなTV制作会社のADで、過重労働に悩む。

遠峰:高校で学年が一緒。俺が惹かれていた。イラストが上手。

中島:弁護士。俺の父親と親交があり、生活を助けてくれる。

東国伸子:劇団「プラウの世田谷」を主宰。。

林:チーフディレクター。人使いが荒い。

田沢:女性。〇の教育係。チーフディレクターになる。

押見:50代の女優。今はトーク番組でタレント。俺にストーカーまがいに過剰に連絡する。

森:女性。田沢の下のAD。タフで、平然と正論を吐く。

 

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12月(1)の花

2021年12月14日 | リタイヤ生活

 

12月6日に届いた花

 

                                                               

 

ガーベラの黄色3本、紫3本、オレンジ2本、白2本、ピンク2本に、レースフラワー2本、カスミソウ1本、アスパラペラ1本。

 

 

 

2日後

 

レースフラワーが大きくなった。

 

 

いつも、みそっかすのカスミソウもパチリ。

 

ガーベラもよく見ると花びらの形はさまざま。

 

 

 

 

 

 

こうやってじっと見ると、自然の造形は見事に繊細で不思議なほど。

 

 

1週間後、生き残った花たちは小さな住まいに移ってのんびりと老後を過ごしている。

 

小さいほうのレースフラワーも離れたところで一人住まい。

 

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12月(1)の散歩

2021年12月12日 | 散歩

 

まだまだ咲いているキダチチョウセンアサガオ(園芸名:エンジェルトランペット)

 

こちらもいつも咲いているバラ。スーブニール ドゥ アンネ フランク(ベルギー:デフォルゲ、1966年作出)。

 

黄色いキノミセンリョウ。

 

正月の飾りに使われる赤いセンリョウ。

 

ちなみに、センリョウは実が葉の上につくのに対し、マンリョウは実が葉の下につく。

 

見事なドウダンツツジ(灯台躑躅、満天星)の垣根。春に白く釣り鐘のような花が咲く

 

こちらから見た方が鮮やかな色だ。

 

まだまだ鮮やかに高く実っているピラカンサ。

 

こちらは、階段の手すりに沿って実るピラカンサ。

 

赤と白のまだらなボケ。まだらボケ??

 

以下、紅葉をいくつか。

 

 

 

 

 

 

 

以下、道端の花

 

シクラメン

 

 

 

 

 

 

 

 

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記念日には「吉祥 吉祥寺」でランチ

2021年12月10日 | 食べ物

 

49回目となる記念日。吉祥寺で一番お気に入りの「吉祥 吉祥寺 Kissho KICHIJOJI」でランチした。
広々とした部屋に、見事な花が活けてあり、ゆったりとした席配置で、食器も品が良くしゃれていて、給仕してくれる人も丁寧だ。そして、もちろん肝心な料理は工夫されていて上品で、料金もランチならそう高くない。

 

吉祥寺駅からJRの北側に沿って西荻方面に伸びる道を数分、第Ⅱ大栄ビルの2階にある。前回は2021年11月、今回で7回目。(4

 

11時半からのランチを前日に予約して、時間ちょうどに到着。予約のお客様以外は入れませんと書いてあって、まだ誰も来ていない。

1週間で取替という部屋の中央の巨大な生け花。

 

 

予約したからだろうか、4人以上は入れる個室の、互い違いの席に案内された。

 

奥に飾ってある花は何かと、下の方の葉を見ると、どうも菊ではない。しかし、上の方の葉は菊の葉で、下の方には別種の葉を追加してあるのだった。

 

私は「和牛ステーキランチ」

 

まず出てきたステーキ、食べやすい大きさで、肉の味もたっぷりなのに柔らかい。彩りも美しく、皿もしわが寄ったようで個性的。

 

ニンジンのスープ。ニンジン臭さはまったくなく、飲みやすい。カップも取っ手が華奢な感じで可愛らしい。

 

塩麴を何とかした卵と‥‥のご飯。雰囲気にのまれたせいなのか、ご飯もおいしかった。

 

デザートのチョコレートが柔らかくて甘すぎずおいしい。

 

最後は選択したコーヒーでご満足。

 

 

相方は「ランチミニ会席」

 

干し柿チーズ射込み、和牛ごぼう巻き

 

湯葉真大、短冊大根ニンジン柚子

 

秋味西京焼き

 

五目揚げ出し豆富

 

 

もずく雑炊

 

ラフランスのゼリー寄せ+コーヒー

 

ゼリーの器の下に敷いてあったのは葉脈以外透明にした葉

 

相方は至極ご満足のようで、それならと、私めもよしよし。
二人合わせて7千円足らずなら記念日ランチとしても合格、そして私めも合格のようだ。

 

 

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呉勝浩『おれたちの歌をうたえ』を読む

2021年12月08日 | 読書2

 

呉勝浩著『おれたちの歌をうたえ』(2021年2月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの内容紹介

「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」
 元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体――。あの日、本当は何があったのか? 
 友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。
『スワン』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞。圧倒的実力を誇る著者が、迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。

 

第165回直木賞候補作。書下ろし。長野を舞台に昭和、平成、令和にまたがる600頁の大河ミステリー。

 

元刑事で今はデリヘルの運転手をしている河辺のもとに、幼馴染の佐登志が死んだと連絡が入る。知らせてきたのは佐登志の世話をしていたというチンピラの茂田は、佐登志が遺した暗号のような詩を金塊の隠し場所だと信じ、それを解くヒントを河辺が持っていると考えていた。期せずして、二人はこの暗号を解くために動き出す。


河辺は、佐登志の遺体に他殺の痕跡を発見し、暗号に挑むが、それは二人が高校生だった43年前の、故郷・上田市の菅平高原を持つ真田町での未解決事件に関連するものだった。

 

高校生の頃、フーカの指示で栄光の5人組が、春子を襲った工業高校の男たちに復讐する。河辺が襲った飯沢は心理的ダメッジで入院した。訴訟となりそうな問題を解決してくれたのが岩村清隆・セイさんだった。

また、5人組は学生運動で指名手配されていた近藤征人ら二人組を発見して、逮捕に結びつけた。

 

 

呉勝浩(ご・かつひろ)

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。

2015年『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。

2018年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞。

2020年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞、第73回日本推理作家協会賞を受賞、および第162回直木三十五賞候補。

他の著書に『ライオン・ブルー』、『マトリョーシカ・ブラッド』『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』など。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

完全には解決していない昔々の田舎での悲惨な事件が背景として絡み合い、その後バラバラになった5人組がそれぞれの事情、思惑で争い、協力し、真実を求め、あるいは隠し続けようとする。その過程で、厳しい事情の中で、かっての仲間の変節を疑い、疑心暗鬼になってしまう。
複雑な過去、現在の事情の中での謎の追及は興味深々で、どんどん読み進められる。

 

少年時代からの5人組の友情、別れ、だまし合いを描く、600頁の大作。「こいつは悪くなってしまったのか、それとも?」と疑問を膨らませながら延々と最後まで読み終えてしまった。
厳しい状況をなんとか克服して、結局、5人組は良き人生を送ることができたのか? 読み終えてもまだ、答えは彼方に。

 

 

 

栄光の五人組

河辺久則:ヒ―坊。今は海老沼の下でデリヘルの運転手。妻は泰枝。

五味佐登志:サトシ。親が運送業。

外山高翔(そとやま・こうしょう):コーショー。音楽好き。

石塚欣太(きんた):キンタ。成績抜群のおぼっちゃま。。長野市の進学校へ

竹内風花(ふうか):フーカ。5人組のリーダー格。

 

竹内三起彦:キョージュ。中学の国語教師。千百合、風花の父。

竹内千百合(ちゆり):フーカの7つ上の姉。美人。上田市の会社で事務員をしている。

岩村清隆:セイさん。ヤクザ。崔一家の面倒を見ていて、崔一家は岩村姓を名乗っている。河辺のあこがれの人。

岩村(崔・チェ)英基:日本へ出稼ぎ。運転手。妻は里子。

岩村文男(ムンナム):河辺の年長の友だち。

岩村春子:岩村家の末っ子で皆に可愛がられる。

飯沢伸夫:5人組の仕返しで河辺に追い詰められ、心理的打撃で入院。

近藤征人(まさと):医大を中退し学生運動で指名手配。

 

茂田:佐登志の世話を任されていたチンピラ

坂東:ネット通販で稼ぐシャインビューの元締め。組にも顔が効く。

チャボ:坂東の手下

キリイ:坂東の手下

 

海老沼:かって河辺の後輩で、SPRエンタープライズ代表。

阿南:警視庁捜査一課強行犯係・係長。河辺を辞職に追い込もうと必死。

佐々木:警視庁捜査一課強行犯係。かって理解ある河辺の上司だった。

赤星:企業に食らいつく紅閃(こうせん)グループ代表

 

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