椰月(やづき)美智子著『るり姉』(2009年4月双葉社発行)を読んだ。
宣伝はこうだ。
登場人物は、るり姉(ねえ、本名るり子)を中心に、その姪であるさつき、みやこ、みのりの3姉妹とその母(るり姉の姉)のけい子。ほかにはけい子とるり子の母、るり姉の夫のカイカイ(本名開人)など。
るり姉は、3姉妹にとっては母に比べて物わかりが良く、叔母さんというより頼れる姉さんで、るり姉と呼んで甘えている。5章構成で、章ごとに語り手が変わる連作形式。
第1章のさつきは、高校1年生。高校生になって早速アルバイトを始めた。長女らしいしっかりもの。 そんな折るり姉が入院した。それもあまりよくないらしい。当初はここまでだったが、好評で第2章以下を書いたという。
第2章は看護婦をしている母のけい子。夫とは別れ一人で3人の娘を育てている。なりふり構わない猛烈お母さん。
第3章は14歳の中学生のみやこ。髪を赤く染めてヤンキーの格好をしているが、そうでもないらしい。姉と妹に挟まれた次女として、ぶっきらぼうの仮面のしたにナイーブさが。
第4章は開人で、運送屋のトラック運転手。るり子の二番目の夫で何といっても彼女に首ったけ。
第5章はみのりで、末っ子らしい甘えん坊でちゃっかりもの。まだ子供なのか、もうそうでもないのか。
とくになにもない日常が過ぎてゆき、女性たちの会話が弾む。そして、突然、るに姉の病気が・・・。
初出:「小説推理」2008年9月号~2009年1月号
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
レベルの高い小説ではないが、気楽に読め、るり姉が魅力的で、女性にはお勧めの「四つ星」だ。男性が読んで面白いとも思えないので「三つ星」にした。3姉妹も、長女タイプ、へそ曲がりの次女、まだ甘えん坊の三女と、よく描けてはいるが基本的には類型的。3姉妹とるり姉の関係が微笑ましく、この小説を豊かにしている。
まだ新婚のカイカイがるり姉と旅行に行き、つぶやく。
一つ、有益なサジェスチョンをいただいた。イチゴ狩りには、るり姉のように、チューブのコンデンスミルクを持参しよう。
椰月美智子(やづき・みちこ)
1970年神奈川県生まれ。
2002年「十二歳」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー
2007年の「しずかな日々」で野間児童文学賞、坪田譲二文学賞を受賞
「WEB本の雑誌」「作家の読書道」「第102回:椰月美智子さん」(写真あり)に「私自身に姪が3人いるので」と語っている。藤原ていの『流れる星は生きている』を感動した小説にあげていたが、その理由が、自身は幼い二人の子を連れてスーパーへ買い物に行くだけで、クタクタなのに、満州から3人も子供を連れて帰るなんて考えられないというもの。
さつき:渋沢さつき、長女、高校生~大学生
みやこ:次女、さつきの1歳下、赤く縮れた髪にしている
みのり:3女、小6~
渋沢けい子:三姉妹の母、るり姉の姉、看護師、離婚
るり姉:藤本るり子、3姉妹の叔母
カイカイ:開人、るり姉の夫