hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

4月(2)の散歩

2023年04月30日 | 散歩

濃い紫も良いが、白もなかなかなクリスマスローズ。いつもつつましく、うつむいているのも好みかな?

 

オオチョウジガマズミ(大丁子がまずみ)?(文責 Google Lens 以下同文)

 

ネメシア?

 

カスミソウ?

 

ラゴディア・ハスタータ? とても覚えられない、覚える気もないけど。

 

マウンテンウィッチオルダー?

 

アオダモ?

 

ベニバナ・エゴノキ?

 

これは間違いなくモッコウバラ。

 

早やツツジの季節だ。(4月8日)

 

これからあちこちのお宅で見かけるだろう、ドウダンツツジ(灯台躑躅、満天星)(4月8日)

 

道に覆いかぶさるサクラ(4月2日)

 

赤松

 

もう夏が押しかけてくる足音がする。快適な季節である春、秋がどんどん短くなってきた。

 

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4月(2)の花

2023年04月29日 | リタイヤ生活

 

4月17日に届いた花

 

 

ピンクのバラが3本

 

ランの一種の紫色のデンファレが2本

 

花瓶に隠れてしまう下の方の花は摘まんで小さなカップへ。

 

2本のブルーパフューム。

検索したら、バラの名前に同じ名前があって、こちらはユリ科ネギ属。確かにネギ坊主に似ている。バニラエッセンスのような甘い香りするのでパヒュームとの名が付いたとあったが、確かに何かの香りはするが、どうかな?

 

1本で大きく広がるデルフィニューム

 

かそけき花びらは、薄く透き通るようで、細かいしわがよっていて、いたわりたくなる。

 

レースフラワーは大きく広がって今回は裏方を拒否。

 

そして、デンファレが左下に小さくなってしまった5日後。

 

 

まったく関係ないが、先ほどパソコンの背景画像に現れた懐かしの写真。

カナダのバンクーバー港の水上にあるガソリンスタンド。水上飛行機用だ。(2006年5月撮影)。

水上飛行機でバンクーバー島へ通勤する人もいると聞いた。後ろの林はスタンレーパーク。

 

 

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久しぶりの富士山

2023年04月27日 | 日記

4月27日 8時半。

春は霞んで見えないことが多い富士山が、ベランダから久しぶりに顔を出した。

これだけでハッピーです。

 

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新川帆立『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』を読む

2023年04月27日 | 読書2

 

新川帆立著『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』(2023年1月30日集英社発行)を読んだ。

 

集英社の紹介

通称:令和反逆六法——
六つのパラレル・レイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック!

「命権擁護」の時代を揺さぶる被告・ボノボの性行動、「自家醸造」の強要が助長する家父長制と女たちの秘密、「労働コンプライアンス」の眩しい正義に潜む闇……。
痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガル短編集。

 

6つの「レイワ」(礼和・麗和・冷和・隷和・零和・例和)の世界に於ける、独立なSF短編集。

元プロ雀士で、高校時代は囲碁の全国大会にも出場した著者が、「小説すばる」のゲーム特集に誘われて書いたのが、第六話の「接待麻雀士」。さらに「架空法律」が面白いからと、追加して短編集が出来た。(本書の刊行記念インタビューより)

 

 

「第一話 動物裁判 礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」

人間の「人権」だけでなく、全ての動物には命としての権利「命権」がある「礼和四年」。動画配信サイトで人気の猫が、出場したボノボ(コンゴに住むピグミーチンパンジー)が卑猥な行為をしたと訴え、人間が裁判する物語。

 

「第二話 自家醸造の女 麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」

女性が酒造りするのが当然の世界で、「私、市販のお酒しか飲まないの」と涼しい顔で言っていた万里子が、次第に、自ら”酒造りの呪い”にはまっていく。

 

「第三話 シレーナの大冒険 冷和二十五年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」

他とは毛色が違い、バーチャル世界が登場するSFらしい、ファンタジーぽい作品。住む世界で同じ人の名前が異なるのでややこしい。

 

「第四話 健康なまま死んでくれ 隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」

うって変わって、現実に近い、弱者切り捨ての、身につまされる悲惨な話。一人で母親を介護する37歳の成瀬は大手通販サイト「ヤマボン」の倉庫に勤める非正規労働者。過労死を防ぐための法律が逆に労働者を縛る。

 

「第五話 最後のYUKICHI 零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」

新型感染症へのほぼ無意味な不安感と、外国の動向に流され、現金が廃止された日本の話。現金を持っているだけで排斥される現金警察の世の中になっている。

 

「第六話 接待麻雀士 例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」

「女子麻雀プロといっても仕事の半分はキャパクラのようなものだ」(p224)。著者が何かのインタビューでそれが原因で辞めたと言っていた。

純粋に麻雀だけで不器用に生きている塔子(とうこ、ターツ)と、女子力を十二分に利用する由香里が接待麻雀で対決する。
相手を勝たせるための実現可能なイカサマをものすごく考えて書いたので、登場する接待麻雀のテクニックは、実際に使えるという。

 

 

初出:「小説すばる」2021年9月号、~、2022年10月号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

架空の未来の日本の厳しい話なのだが、それにしても実生活での粘着質のいやみな世界がないので、さっぱり、すっきりしている。おそらく著者自身が楽しんで書いているので、読む方もホイホイと読める。

 

合理的でない理由で物事が決まってしまうことが多い日本社会への皮肉が痛切で面白い。著者も変わった人として疎外されることが多いのではと想像するが、そんな自分を鳥瞰的に、冷静に見ているのだろう、余裕ある筆致が好ましい。

 

 

新川帆立(しんかわ・ほたて)の略歴と既読本

 

 

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鳴海章『路地裏の金魚』を読む

2023年04月25日 | 読書2

 

鳴海章『路地裏の金魚』(光文社文庫な25-15、2013年3月20日光文社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

路地裏の金魚 鳴海章(なるみ・しょう)

四十二歳の有馬仙太郎は、製薬会社の営業マン。別れた妻に払う養育費の捻出に四苦八苦していた。ある晩、浅草での接待の後、観音裏の一杯呑み屋・金魚に立ち寄った。その店で、仙太郎は不思議な体験をする。便所を出ると、カウンターには若かりし日の父親が――。過去と現在を行き来し、仙太郎は競馬で一攫千金を狙う! 疲弊したサラリーマンの鬱憤を晴らす爽快作!

 

 

久坂部羊著『MR』にあったが、昔のプロパー(製薬会社の営業、現MR)は、医者への過剰な接待、ワイロなどやりたい放題で、あまりにひどく、業界が自主規制のコンプライアンスとMR制度を作った。

本書『路地裏の金魚』の主人公・有馬仙太郎は製薬会社の営業で、昔のプロパー時代の営業の実態は悲惨で、仙太郎の同期入社12人のMRの内、1年後残ったのは2名だけ。MRの時代になると営業も、薬学系、理学系の修士や博士が中心になり、彼は時代に取り残されてしまう。

 

そんな懸命に生き、ボロボロになり、くたびれきったサラリーマンが絶体絶命の所で、人生一発逆転を狙うという物語。

タイムトラベルというSFの仕組みを何度か使っているが、新旧時代を大きな破綻なく描けている。

 

本書は文庫書下ろし

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

古くごたごたした浅草の街並みを細やかに描き、山谷堀のどぶの臭いがしてくるような気がする。製薬会社の過激な接待(具体例は、はばかるので最後に示す*)などをしっかり描き、自分独自の世界を築いている。

 

タイムトラベルによる一攫千金も、いろいろな仕掛けがあって、一つ一つクリアーしないと旨くいかないので、単純ではない。

 

昔の世界が描かれていて、年寄りには面白かった。
そういえば、「局番が3桁のまま」とあって、思いだした。一時、3桁と4桁が混在していたが、1991年から、3桁の電話番号は頭に3を付け4桁に統一することになった。例えば、03-3〇〇〇-〇〇〇〇のように。さらに、昔のことだが、電話がなかなか付けられなくて、「積滞」という言葉があった時代もあったのだった。

また、「どんぶり鉢ぁ、浮いた浮いた、捨ててこ、シャンシャン」という懐かしい歌も出てきた。「ステテコ」かと思っていたが。

タイムトラベルを書くのも大変だ。

 

 

鳴海章(なるみ・しょう)

1958年北海道帯広市生まれ。日本大学法学部卒。

PR会社勤務中の1991年『ナイト・ダンサー』で江戸川乱歩賞受賞。

シリーズものとして、『国連航空軍』シリーズ、『スナイパー』シリーズ、『原子力空母信濃』

警察小説として、『ニューナンブ』『えれじい』

映画化された作品として、『風花』『輓馬(ばんば)、映画名は「雪に願うこと」』『俺は鰯』

 

 

主な登場人物

リューホウ製薬

有馬仙太郎:主人公。元特攻隊のMR(医療情報担当者)。42歳。

富樫丈長:元特攻隊伝説のMR。

雨宮凛子:元特攻隊のMR

天現寺:本社学術部の営業

 

私立哲教大学医学部

安西教授:新薬開発を取り仕切るボス。

月埜(つきの):助手。安西のもとで長年働く50歳。

 

 

 

 

*)MR以前のプロパー時代のえぐい営業例(お馬鹿十番勝負)

・富樫の「人間辞めます」の気合で始まる。

アイスペール(氷を入れるバケツ)のブランデー1本分を一気に飲み干し、直後にアイスペールに吐き戻す。そして、「必殺ブローバック」と叫ぶや、中味を残らず平らげた。安西教授は「これぞ浄穢不二(じょえふに)、禅の極意」と叫び、以来、富樫を一番の贔屓とした。禅では、神羅万象、世の中の一切は「空」であり、キレイもキタナイもない=浄穢不二。

・野球拳

・同僚の頭に一物を乗せるちょんまげ

・女性プロパーが下を脱いで、下の口を動かす腹話術

こんな下品そのものの芸をして懸命に生きていた人たちがいたのだ。

 

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久坂部羊『MR』を読む

2023年04月23日 | 読書2

 

久坂部羊著『MR』(2021年4月15日幻冬舎発行)を読んだ。

 

幻冬舎の宣伝は以下。

患者が苦しめば苦しむほど、
俺たちの給料は上がるんだよ。

製薬業界の光と影を描いた医療ビジネス・エンタテインメント。著者渾身の最高傑作!      


「患者ファースト」のMR vs. 儲けしか頭にないMR

大阪に本社を置く中堅製薬会社・天保薬品。その堺営業所所長であり、MRの紀尾中正樹は、自社の画期的新薬「バスター5」が高脂血症の「診療ガイドライン」第一選択Aグレードに決定するべく奔走していた。決まれば年間売上が1000億円を超えるブロックバスター(=メガヒット商品)化が現実化する。ところが、難攻不落でMR泣かせの大御所医科大学学長からようやく内定を得た矢先、外資のライバル社タウロス・ジャパンの鮫島淳による苛烈な妨害工作によって、一転「バスター5」はコンプライアンス違反に問われる。窮地に追い込まれた紀尾中以下、堺営業所MRチームの反転攻勢はあるのか。ガイドラインの行方は? 注目集める医薬業界の表と裏を描いたビジネス小説の傑作、誕生!

 

手にしてずっしり、539ページの大部。確かに著者渾身(の最高傑)作

 

患者ファーストの善玉MRが、悪徳MRの数々の妨害をはねのけて勝利を手にする話がこれでもかとてんこ盛り。

MRとは、英語(Medical Representative)だとたいそうな名前だが、ようするに製薬会社の医師への営業で、医療情報担当者の事。昔のMR(プロパー)は、薬の誇大宣伝、医者への過剰な接待、ワイロ、などやりたい放題で、あまりにひどかったので、業界が自主規制のコンプライアンスとMR制度を作ったそうだ。

 

日本の製薬業界の市場規模は約十兆円。大手トップスリーは年間売上1兆円以上。

 

登場人物

天保薬品堺営業所

所長(紀尾中46歳)、チーフMR(池野38歳、肥後53歳、殿村)、池野チームのMR(市橋28歳、山田(女性、牧35歳、野々村))

天保薬品

社長(万代)、常務(栗林(女性))、総務部長(五十川)、大阪支店長(田野)、新宿営業所長(有馬)

タウロス・ジャパン営業課長(鮫島) 

泉州医科大学学長(乾)

北摂大学代謝内科教授(八神)

阪都大学代謝内科教授(岡部)

 

高脂血症の画期的新薬バスター5は、紀尾中のアイデアから始まった天保薬品の画期的な新開発薬品。現在の年間売上二百十億円が、来年6月の「診療ガイドライン」に収載されれば、一千二百億円になると予測される。

紀尾中傘下の堺営業所は、日々生じる諸問題を解決しつつ、バスター5がガイドラインに載ることを目指す。

 

「2.処方ミス」

市橋が担当する医師が薬の処方数を間違えたのに効かないと不満を漏らす。市橋を伴った紀尾中は医院を訪ね庭のバラを誉めて、医師の心を開かせて、処方間違いをそれとなく悟らせた。

 

「3.地獄の駐車場」「4.コンプライアンス違反」

市橋は、天保薬品のロキスターの注文が急に途絶えた山脇クリニックを訪ねた。駐車場で医師とキャッチボールをするライバル会社の世良がいた。河井田内科クリニックでもロキスターの注文が止まり、世良の悪辣なコンプライアンス違反をいかに暴くか。

 

「5.潔癖ドクター」「6.セクハラの罠」「7.騙し合い」

唯一の女性MRの山田は新堺医療センターへ新喘息治療薬ガルーダを売込むが、副院長の最上に拒まれていた。副部長の赤西に誘われた山田はセクハラに遭い……。

以下、医師たちからのいやがらせ、イジメ、妨害を突き崩して薬の注文を取る話が延々と続く。MR内の議論でも、患者ファーストの立場と売上をあげることが目的との立場がぶつかる。

 

「13.ブロックバスター」あたりから新薬バスター5をガイドラインに載せる話が加わり、ライバル会社の卑怯な手段への対抗の話に移っていき、「28.ガイドラインの行方」で決着を見る。

 

「29.薬害訴訟の決着」あたりから始まった紀尾中への疑惑、追い落としが、最後の「38.経営戦略」で最終決着をみる。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

簡単に読めて面白いのだが、ともかく長すぎる。積みあがって、深まっていく話でなく、同種の話が続くのであきる。

 

善玉、悪玉がはっきりしていて、いつも同じパターンになる。登場ははっきりと類型的で、深み、幅がない。それだけに気楽に読め、安心して楽しめる通俗小説だ。たまには良いかも。

 

 

久坂部羊の略歴と既読本リスト

 

 

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久坂部羊『砂の宮殿』を読む

2023年04月21日 | 読書2

 

久坂部羊著『砂の宮殿』(2023年3月17日KADOKAWA発行)を読んだ。

 

KADOKAWAの紹介文は以下。

「6,000万円ぐらい、命の値段としては高くもないだろう」

外科医の才所准一は、大阪で海外富裕層向けの自由診療クリニックを運営している。
抗がん剤・免疫療法の趙鳳在、放射線科の有本以知子、予防医学の小坂田卓という優秀な三人の理事とともに最先端のがん治療を提供し、順調に実績を重ねていたところ、久しぶりに訪ねてきた顧問が不審死を遂げる。
これは病死か事故か、それとも――。
高額な治療費への批判も止まず、クリニックに吹き荒れる逆風に、才所はどう立ち向かうのか。

 

 

カエサル・パレスクリニックの理事

才所準一(さいしょ):クリニックの設立者で理事長。44歳。がん細胞を可視化する「CCC法」(トリプルシー・メソッド)を実用化し、ロボット手術が得意の外科医。アメリカ人の妻との離婚経験者。

 

有本以知子(いちこ):BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)が専門の放射線科医。40歳。才所と同じくジョンズ・ホプキンス大学病院に留学していた。潔癖すぎる性格で周囲と軋轢を生みやすい。

 

趙鳳在(チョ・ボンジェ):才所の大学時代の同級生で、抗がん剤と免疫療法を担当。叔父は韓国財閥カエサルグループの会長で、クリニックの建設資金を提供。品が良く温厚。

 

小坂田卓(おさかた・すぐる):予防医学の専門家。遺伝情報からAIで将来の病気を予測する富裕層向けの「ゲノム未来ドック」(健診部門)を担当。シニカルでドライな性格。41歳。

 

 

元大学の学長でクリニックの顧問の福地が大学で助手だった草井をクリニック雇用するようにとやって来たが、二人で帰る途中、駅のトイレで福地は倒れ、運ばれたクリニックで死亡する。遺族は死因に疑問を持つ。

 

才所は、30代前半の上方舞の雅志乃(まさしの)と知り合う。彼女はヤクザの若頭の愛人だった過去があった。

 

すい臓がんで、米国、独で手術は無理と言われたドバイの大金持ちが、才所の手術、趙の抗がん剤治療、有本のBNCTを受けて退院した。

 

そして、独立ジャーナリストの矢倉がうろつきまわり、週刊誌がクリニックの噂をばらまく。さらに儲け第一の才所と、患者第一の有本、趙に亀裂が生じ始める。

 

 

初出:1~7は「小説 野生時代」2022年4月号、以降、73まで書下ろし

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

登場人物が類型的など、通俗的過ぎる。面白く読めるが、テーマが何だったのかが、読み終わってわからなくなった。

医師の名声、病院の利益と患者のリスクのバランス等に悩む才所に、「まだ若いなあ」と思っていたのに……。

 

手術の状況説明などは臨場感があって面白かった。

 

 

久坂部羊の略歴と既読本リスト

 

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柚月裕子『教誨』を読む

2023年04月19日 | 読書2

 

柚月裕子著『教誨(きょうかい)』(2022年11月30日小学館発行)を読んだ。

 

小学館の内容紹介

女性死刑囚の心に迫る本格的長編犯罪小説!
幼女二人を殺害した女性死刑囚が最期に遺した言葉――
「約束は守ったよ、褒めて」

 吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。

 

「秋田児童連続殺人事件」をモデルとしている。2006年4月に小学校4年生の女子児童が中州での水死体で発見されたが、警察は事故として早々に捜査を打ち切った。しかし、翌月近所に住む男子児童の死体が川岸で発見され、再捜査し、6月に女子児童の母親を被疑者として逮捕した。母親は高校時代に激しいいじめにあっていたという(ウィキペディア)。当時メディアも過熱していて、私も「畠山彩香」という名に覚えがある。

教誨(きょうかい)は、教えさとすこと。 受刑者に対して教誨を行うのが教誨師。

 

吉沢香純33歳は遠縁の処刑された三原響子の遺骨と日記などの遺品を受け取りに東京拘置所を訪れた。三原の本家は青森県相野町の名家で、響子のセンセーショナルな事件に傷つき、今後一切響子とは係わらないとし、遺骨の三原家の墓への埋葬も許さないと、香純に伝えた。香純は幼い時に響子と一度だけ会っただけなのだが、なぜ響子が自分の8歳の娘・愛理を殺し、近所の5歳の栞ちゃんまで殺したのか、信じられない思いだった。

 

遺骨の処置に困った香純は、響子の拘置所での教誨師・曹洞宗光圓寺の住職・下間将人を訪ね、響子の最後の言葉「約束は守ったよ、褒めて」は、誰に、何の約束だったのか聞いてみるが、答えはなかった。

 

響子は本当に殺人犯なのか? なぜ事件を起こしたのか? 最後の言葉の意味はなにか? 納得できない香純は、転職先に就職までの一か月をかけて調べてみようと、相野町へ向かう。

 

 

吉沢香純:32歳。経理の仕事。小3のとき、母・静江の実家に泊り、本家へ行ったときに当時中学生の響子と会い、短い言葉を交わした。それが唯一の出会い。

三原響子:28歳で事件を起こし、38歳で処刑。子供の頃からがんばっても運動も勉強もできなかった。

三原千枝子:響子の母。三原家の小作人の家出身で、何事も我慢の人生。父親・健一は出来が悪く、暴力的。

樋口純也:津軽日報社の記者。事件について香純とともに調べる。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

二つ星なのは、話が暗く、楽しいところがないから。

ミステリーとしても、犯人探求の面白さはない。響子か、無理しても千枝子としか考えられない。

響子が誰と何を約束して、守りぬいたのかは……、結局、すっきりしない。

 

本家の分家への圧力、元小作人や元下請けから本家に入った嫁へのマウンティング、誰もが知り合いという村人からの圧迫など田舎の風習になじめないというより馬鹿にする想いしかないCity Boyの私には響いてこない話だった。

 

香純がこれほど「響子の何故」にこだわり、前のめりになるのかが納得できない。香純は「私、響ちゃんの人生が淋しいだけだったなんて思いたくないの。必死に守った約束のなかに、響ちゃんが求めたなにかがある。それはきっと、響ちゃんの唯一の救いだった。それを見つけたいの」(p244)と語っているのだが、……。

 

 

柚月裕子 経歴&既読本リスト

 

 

犯罪白書によると、殺人事件の被害者と加害者の関係は、8割以上が顔見知りで、半分が親族、見ず知らずの関係は2割以下。動機は、恨みや怨恨といった感情によるものが半分。次に、暴力団の勢力争い。そのあと介護や育児疲れによる精神や肉体の限界を感じての犯行と続く。強盗や金銭目的の犯行はとても少ない。(p123)

 

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4月(1)の散歩

2023年04月18日 | 散歩

 

淡いピンクのツツジ。とても書けないが、漢字では躑躅

 

葉っぱはヤマブキだと思ったが、花が白いので、Googleにお伺いをたてたら「シロヤマブキ」との事。

 

フリージア?? by Gogle Lens

 

カロライナ・ジャスミン by Gogle Lens

 

 

ハナズオウ(花蘇芳) by Gogle Lens

 

ハナカイドウ(花海棠) by Gogle Lens 一般には「カイドウ」

 

イロハモミジ by Gogle Lens

 

アブチロン? by Gogle Lens

 

サクラは老いてもなお美しい。

 

葉っぱも、若芽は美しい。キンマサ? by Gogle Lens

 

線路と線路の間につくし(土筆)。子供のころはどこにでも「つくしんぼう」があったが。

 

久しぶりに渋谷に行ったら、キョロキョロ。子供の頃歩いて行った渋谷は? 通勤で通っていたあの渋谷は? 東西南北を考えて、おおまかな見当はついても、やけに洒落た街になってしまった渋谷になじめない。渋谷SKY 320mを見上げる。

 

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春の空

2023年04月17日 | 日記

 

4月16日(日)12時。東京は良い天気。早や、綿菓子のようなモクモクの夏の雲。

 

15時10分、黒い雲が西から襲ってくる。

 

西の空はもう雨雲で、激しい雨音がする。

 

16時。雨雲は東へ去ろうとしていて、西の空は明るくなってきた。

 

16時40分。雨が塵も、黄砂も(?)取り払ってさわやかな空気に。

富士山は残念ながら見えないが、丹沢の山々が見えてきた。

 

17時30分。東の空は再び夏を取り戻した。

 

雲を見ているうちに思いだした。子供の頃、よく激しい夕立があった。裏道での三角ベース野球を止めて恨めしく軒下から空を見ているうちに晴れて来て、まだパラパラ降っているのに「よし、またやろうぜ!」と始めたものだった。

あれは、夏だったのだろうか、小学生の頃なのか、坊主頭の少年の姿がぼんやり浮かぶ。70年近く昔なのだから記憶がはっきりしない。夢のような、幻のような。楽しかったという想いはあるのだが、なんだか甘酸っぱくなってきた。

 

 

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南欧料理「ル・ボン・ヴィボン」でランチ

2023年04月16日 | 食べ物

 

南欧料理「ル・ボン・ヴィボン(Le Bon Vivant)」でランチした。東急吉祥寺の北側を西に、大正通りに入り、アライ屋を右に西3条通りを行くと、こんな建物が見えてくる。

 

前回、予約しないで訪れ、満席で断られた。ランチもコース料理のみなので予約した方が良い。

モッコウバラのトンネルの中に入る前に、ボタンにご挨拶。

 

右側にもやけに大きなボタンが。

 

その向こうにも白とピンクのボタンがある。

 

モッコウバラを見上げて、エントランスに入ると、

 

やけに大きな花。店の人にアマリリスだと教えていただいた。

相方に「アマリリスって何か聞いたことがあるね」と話しかけたら、「みんなで聞こう 楽しいオルゴールを…という歌にあるじゃない」と言われた。「知らん!」と答えると、呆れられた。もとはフランス民謡で文部省唱歌だった。

 

 

花いっぱいで店に入る前に興奮して写真を撮りまくってしまった。

店内には5,6個のテーブルが並ぶなかなか良い雰囲気。奥にも部屋がある。

 

テーブルの上には生花。

 

幾つかの花いっぱいの花瓶が飾られ、額はキノコの絵。

 

壁に上には花を描いた皿。

いつも店内の撮影は遠慮しているのだが、ついついパチリ、パチリ。

 

 

テーブルセットも品が良い。左はNARUMIで、右はNoritake。

 

オレンジとブドウのジュースを頼んだ後、最初に登場は、指で摘まんでくださいという品。

 

そして、いろいろ混じっているので複雑としか言いようがない品。

 

白いんげんのポタージュ。これも奥深い味。

 

魚料理はスズキのポワレ。

 

肉はイベリコ豚。

 

最後は、コーヒーと

 

カシスのシャーベットと、ブリュレ。

 

砂糖とミルクが乗っていた皿は、Wedgewoodで、“Peter Rabbit wish you a very Happy Birthday”と書いてあった。誕生日祝いの時に出して喜ばれるという。

 

コーヒーカップのソーサーの絵。

昔々、ヨーロッパでローマの風景を模した絵が流行ったという話を思いだした。

裏には「Spode MADE IN ENGLAND ITALIAN」とあった。

 

砂糖入れの裏側。

 

料理は美味しいし、年寄りには十分な量だし、花にあふれて雰囲気も良い。店員の人も愛想よい。二人で1万円足らずならたまには「いいじゃない」。

小さなことだが、どうかなと思ったのは、大きなおしぼりはあったが、ナプキンが出ないことと、パン用のオリーブオイルがでないこと。南欧風?

 

 

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4月(1)の花

2023年04月15日 | リタイヤ生活

 

4月3日に届いた花。

 

けっこう豪華に見える。

 

白2、ピンク2、オレンジ、黄色、深紅の7本のガーベラ。

 

淡いピンクのアルストロメリアと、

 

白と深紅のアルストロメリア。

 

大きく広がるカスミソウ。

 

5日後、最盛期。

 

それにしても、ガーベラって、毒々しいほど派手だ。オーストラリアの花屋の店先で山のように、あまりにも華麗に飾られていたインパクトに引っ張られているのだろうか。園芸種として発展した人工的、造花的な花と思い込んでいて、野外で咲いているイメージがない。

 

反対にアルストロメリアは薄い花びらで、弱弱しく、どこか寂しく、高級感に欠ける。一本の茎にいくつもの花を咲かせて全体で豪華さを表現しているとも言える。

 

一週間後。厳しく言えば、もはや老醜?

 

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浅田次郎『日輪の遺産』を読む

2023年04月13日 | 読書2

 

浅田次郎著『日輪の遺産(新装版)』(講談社文庫あ70-30、2021年10月15日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

その額、時価200兆円。敗戦後の日本を復興に導くため、マッカーサーから奪った財宝を隠す密命を日本軍は下す。それから47年。不動産業で行き詰った丹羽は、不思議な老人から財宝の在り処を記した手帳を託される。戦争には負ける。しかし日本はこれでは終わらない、今こそ日本人が読むべき、魂の物語。

 

1990年代の話と、終戦まじかの話が交互に描かれる。

 

1992年12月。破産寸前の地上げ屋の丹羽45歳は、大穴が出た有馬記念の府中競馬で奇妙な老人・真柴と初めて出会い、変な風に見込まれ、1冊の古い手帳を託された。病院から抜け出した真柴は飲めない酒を大量に飲んで丹羽の前で急死した。渡された手帳の見開きに「昭和20年8月10日、陸軍少佐・真柴司郎」と書かれ、莫大な財宝を府中競馬場から多摩川の向こうに見える山林に隠した経緯を記した日記だった。

 

真柴の遺体を収容した病院には、丹羽は同じく真柴から秘密を託された福祉活動家の海老沢と、老人の住居の大家だといういかにもうさんくさい地元の大地主、丸金総業の大御所・金原が現れる。

 

終戦前夜、森・近衛師団長は、元大蔵省の秀才で東部軍経理部・小泉中尉と近衛師団の真柴・情報参謀を呼び出した。入った部屋には、近衛師団長とともに阿南・陸軍大臣、田中・東部軍司令官、梅津・参謀総長、長老の杉山元帥が座っていた。

「昨日の御前会議でポッダム宣言受諾が決定された。昭和21年度分の臨時軍事費約900億円を国庫から払い出させる。実際は、大蔵省がため込んでいる時価2千億の金塊を祖国再興のための機密費として隠し、管理するのがお前たち2人への命令だ。マッカーサー親子がフィリピン独立のため蓄えた金塊を山下将軍が奪ったのだ」

 

長身で度の強い眼鏡をかけた小泉中尉に多摩の弾薬庫での新型対戦車弾運びの使役だとして連れていかれたのは、森脇高女の担任の野口先生、以下35名の13歳の女学生(級長の久枝、たくましいマッさん、お嬢様のスーちゃん(鈴木)、サッちゃんたち)だった。
指揮は真柴、小泉と片足が不自由な歴戦の勇士の曹長だった。

小泉は真柴に言った。「なに、物事を難しく考えるのはよしましょう。いずれ少佐殿が新しい国軍の陸相になられて、自分が大蔵大臣になれば良いのです。あとはそのとき考えましょう」

 

 

初出は1993年8月青樹社。本書は1997年7月に講談社より刊行された文庫の新装版。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

終戦直前の近衛師団の反逆など危うい状況の中で、軍トップの5人の幹部が敗戦後の日本の復興に巨大な資金を確保する算段をしていたとの話が、現実とは大違いで、それだけにこの小説にロマンを感じる。

 

現在でも詐欺事件ニュースにときどき登場するいわゆるM資金と似ているが、約200兆円とスケールが巨大だ。ちまちまと小さくまとまった現代からみると、世の中がひっくり返った戦後は舞台としてドラマチックだ。そしてこの小説もダイナミックな時代の流れの中でこそ生まれる英雄ともいうべき志の高い人たちを見事に描いている。

 

真の軍人の鑑といった剛直、節を曲げない頑固者の真柴、東大主席で大蔵省でも頭抜けた頭脳の小泉が面白い。とくに小泉がマッカーサー将軍に会って、一歩も引かずに交渉するシーンが、カッチョイイ。(p457)

 

 

浅田次郎の略歴と既読本リスト

 

 

真柴少佐:近衛師団所属のエリート軍人。阿南陸軍大臣、森近衛師団長、田中東部軍管区司令官、杉山元第一総軍司令官、梅津参謀総長の5名の軍最高幹部から小泉とともに密命を受ける。

小泉主計中尉:東京帝大主席卒業した大蔵官僚。真柴とともに極秘任務に就く。

曹長:中国戦線で長く戦った。自動拳銃を愛用。真柴の運転手として活躍。本名不詳。

金原:武蔵小玉市の大地主で元市議。悪徳不動産業者。財宝についても何かを知っている気配。

丹羽明人:お人好しの地上げ屋。不良在庫を抱えて金策に奔走中、一攫千金を狙って競馬場に行き謎の老人に出会う。

海老沢:武蔵小玉市で福祉関係のNPOを切り盛りする中年男。妻の浮気に悩んでいる。謎の老人の世話をしていた縁で丹羽と知り合い、財宝の秘密に迫ることになる。

イガラシ中尉:日系2世のアメリカ軍人。マッカーサーの通訳を務める。

野口孝吉:女学校(森脇高女)の英語教員。財宝の秘匿作業に協力させられる。

久枝:女学校の生徒。工廠の近所の梨農家の娘。財宝の秘匿作業に協力させられる女学生の級長。

 

 

「本土決戦とは、一千万人が戦死するか、(敗戦となって)一千万人が餓死するかの究極の選択上に計画された作戦であったのです」(p233)
戦後の食物不足状態はひどかった。マッカーサーは「食料を、さもなければ弾薬を送れ」とワシントンに打電したと何かで読んだことがある。

 

 

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Berry cocoでランチ

2023年04月12日 | 食べ物

 

吉祥寺Berry cocoでランチした。末広通り駐車場向かいの本店ではなく、吉祥寺丸井1階のスタンドだ。

ここで注文し、

 

この共通席で食べる。

 

これが注文の品。

 

果物と生クリームたっぷりの1,500円程度のお手軽ランチでした。

 

 

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天祢涼『彼女が花を咲かすとき』を読む

2023年04月11日 | 読書2

 

天祢涼(あまね・りょう)著『彼女が花を咲かすとき』(光文社文庫あ59-1、2017年12月20日光文社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

花の街として知られる地方都市・光咲(こうさき)市。花屋「あかり」を経営する榊竜は、客たちから花に詳しい少女・美咲の噂を耳にする。三つ編みの可憐な少女は謎解き名人で、花にまつわるトラブルを必ず解決するというが…。ある科学者が植物に対する画期的な研究を進める中、花に導かれ、少女と人々が絆を結んでいく。切なさと感動が溢れるファンタジー&ミステリー。

 

間章をはさんだ5章からなる連作短編集。

 

「二月 花あるところ泥棒あり」

 公民館の臨時職員渡会純平は花を定期購入していて、受付カウンターに飾っていた。「日にちが経たった花を捨てるんだったら下さい」という小2の佐藤雅晴くんに、純平は「誰かひとりだけにあげる訳にはいかないんだ」と断る。その後、バラが1本なくなり少年はバチが当たって病気になったと悲しむ。

「なぜ、バラを盗んだ少年は自分にバチが当たったと思ったのか?」

 

「五月 花を抱いて恋せよ乙女」

空手道場で修行する猫田凛々子は、国際的ピアニストでイケメンの花坂昌と幼なじみで今も親しく「ハナさん」と呼ぶ。花坂はバイオリニストの美人の佐々木麻里亜と相思相愛で、彼女は楽団員から嫌がらせを受けている。そこで凛々子が花坂の恋人のふりをすることにした。

「なぜ、彼女はユリの花を買ったのか?」

 

「八月 花は口ほどにものを言う」

摂津は娘の梗花(きょうか)に花を贈ろうと店長の榊に相談し、トルコキキョウを贈るが、なぜか娘に嫌われている。

「なぜ、娘はトルコキキョウの花に怒るのか?」

 

「十一月 花の色は移りゆけども」  

「間章」              

「誰がために花は咲く」       

 

 

初出:「ジャーロ」2013年秋冬~2015年春

この作品は、2015年8月光文社刊行の『ハルカな花』を改題・改稿したもの。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

普通の大人が持っている人生のやりきれない重荷をまだ持っていない人たちの話で、浅く、軽すぎる。謎自体もどうでもいいじゃないと想えて、追及する気持ちにならない。

愛する人を亡くしたり、飛び出して行ってしまったりした人もいるのだが、そのやるせなさにはまったく触れない。

 

なんでこんなヤング向けの本を読もうと思ったのか、忘れてしまった。共感覚(文字や数字に色が付いて見えたり、音を聞くと色が見えたりする現象)というものがあって、『キョウカンカク』という本を書いている著者に興味を持ったのではないだろうか?

 

 

天祢涼(あまね・りょう)

1978年生まれ。

『キョウカンカク』で第43回メフィスト賞を受賞してデビュー。

『葬式組曲』が「本格ミステリ・ベスト10」2013年版で第7位、第13回本格ミステリ大賞の候補

他に、『銀髪少女は音を視る』など多数。近著に『もう教祖しかない!(『リーマン、教祖に挑む』)』『希望が死んだ夜に』

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