hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

川上未映子『深く、しっかり息をして』を読む

2023年12月31日 | 読書2

 

川上未映子『深く、しっかり息をして』(2023年7月7日マガジンハウス発行)を読んだ。

 

マガジンハウスの内容紹介

川上未映子、12年間の軌跡。
雑誌Hanakoの連載エッセイ「りぼんにお願い」が書籍化!


どれだけ時間が過ぎても言葉にできないことが
それぞれの胸にあるのだと思う
              ――川上未映子

 

2011年から2022年。小説『すべて真夜中の恋人たち』、『夏物語』、『黄色い家』を世に出し、さらには出産、育児、プロモーションやシンポジウムなど海外への渡航…。目まぐるしい変化の中で川上未映子さんは毎月、雑誌Hanakoでのエッセイ連載「りぼんにお願い」でそのときどきの喜びや悲しみ、悩み、読者へのエールを綴ってきました。「Hanako読者のことを想像しながら文章を書くことは、いつも、すごく楽しかった(中略)心と体も、移動するような気持ちになれた、暖かそうな、光がたまってる方面に」(あとがきより)。

メイクやファッションの悩みから、季節の移り変わり、社会の中での女性の変化について、ときにユーモラスに、ときに勇敢に、ときに暖かく、読者へと語りかけるように書かれたエッセイには、小説作品とはまた違った、著者自身の思いや12年間の変化が綴られています。

[コンテンツ紹介]
● 連載245回の中から厳選した、80のエッセイを収録。
● 新規書き下ろしとして、2011年から2022年まで、1年ごとの「当時の自分と社会」についての振り返りエッセイ

 

全体の話は上にある詳しい内容紹介で十分なので、私が気になった箇所を幾つかご紹介。

(文章は、私が一部簡単化しています)

 

別れのリトマス試験紙

もうよくわからなくなっている恋人や夫婦といった人間関係をどのように見直せばよいのか? 

「この人を手放すことができるかどうか。わたしと彼との関係を、彼が今後、他の人と築いても許せるかどうか。平気かどうか」そこに未練がないのなら、とるべき道はただひとつ。

 

エライんである

実際に妊娠&出産してみると、聞いてきたことはすべてそのとおりなのだけど、…もう、全然ちがうのである! これまでの理解はやっぱりどこまでいっても言葉によるそれであった、その理解からは、当然のことながら「身体」だけがごっそり抜け落ちていたのであった。

24歳ぐらいで出産、授乳しているタレントが「ああキツイ。マジでキツイ、でもこれが20歳だったらマジで余裕だったのに」とブログに書いていた。36歳で出産した未映子さんは、24歳が20歳の身体を求めるということに衝撃を受けた。……

最年長を生きている今が、裏を返せばいちばん若い今でもある。

 

みみずく、美しい生き物

梟(フクロウ)&みみずくは生肉を食べるが、血から栄養を摂るので血抜きされて販売されているものではダメで、飼い主がラット、つまりネズミなどをその都度に捌(さば)いてあげる必要があるのらしい。

 

花よ、いとしいきみ

「クリスマスローズ」が好き。地味で、特徴のないこの感じ。でも、見つめていると、こう、胸の奥から「いとしい」とか「素敵だなあ」といった気持ちがむくむくとわいてくる。日にむかって顔をあげてないところもいいのかも。

 

息のすべて

「なんか気分がのらんな」という状況のときにハッと気づいたのが「呼吸」なのだった。…わたしの場合、なんか調子があがらんなというとき、じつは呼吸が浅くなっていることに気づいたのだ。…しっかり呼吸することを意識すると、あれあれ、心身が開いていくような。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

川上さんの11年間、出産などに伴うプライベートや、夏物語の海外での高評価など作家活動の変化がリアルタイムでわかる。川上未映子の作品のファンなら、五つ星。

 

女性差別については、特に厳しい視点で、キツイ口調ではっきりと攻撃する。戦闘的、攻撃的で、周囲を気にしない性格だなと思う。一方で、大阪弁もあってやわらかく、ユーモラスな語り口調だ。さらに、本人は自分はネイティブ・ネガティヴだと言う。

 

高校卒業後、弟を大学に入れるため、昼間は本屋でバイト、夜は北新地のクラブでホステスとして働いた。歌手デビューして地方のレコード店回りもしたが、売れなかった。その時のレコード会社の担当者が元夫。苦労人であるはずだが、あっけらかんと傍若無人な雰囲気を持つ不思議な人だ。

 

 

川上未映子の略歴と既読本リスト

 

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12月(3)の散歩

2023年12月30日 | 散歩

 

井の頭公園東端、三角広場の北。作業員の方が落葉を掃いていて、きりがない作業だなと思って近づいたら、水たまりの水を神田川に流すルートを作ろうと、枯れ葉の山をどけているのだった。ご苦労様、感謝です。

 

吉祥寺駅から丸井の西で始まる七井橋通りからの公園への入口。ここが一番賑やかで、大きな入り口だ。朝10時半、人っ子ひとりだけ。

 

入口を降りてすぐ、右(西)側への通路。この道はいつも人がほとんど通らない穴場道だ。

 

今日12月24日は日曜日なので、手作りアートやパフォーマンスが披露されるART-MRT(井の頭公園アートマーケッツ)が開かれる。今、10時18分。ぞくぞくアーティスト?が登場して準備中。

 

けっこう風があり、湖面にはさざ波が。

 

 

サザンカ3連発

玄関脇でお出迎え。

 

大盛り

 

小盛り

 

白いサザンカもこれだけ一杯咲けば、華やか。

 

 

鮮やかなのに、か弱そうな花、この細い葉、どう見てもコスモス。秋桜と書くし、開花期は6~11月のはずなのに、今日12月25日に花の盛りとは。遅咲き種、遅まき、いろいろあるのだろう。

 

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12月(2)の花

2023年12月29日 | リタイヤ生活

 

12月18日に届いた花

 

黄色、ピンク、赤のガーベラと、5種のスイトピー。

後ろに控える扇状に広がるレース、チリチリのシダのようなアスパラペラ。

 

スイトピーの色は、白、青、ピンク、白地にピンク、白地に紫。

スイトピーというと、松田聖子ちゃんの「赤いスイトピー」を思い出すが、当時はまだスイトピーの赤色は存在しなかったという。作詞家ってすごいですね。

 

2日後、左下のピンクのガーベラは花びらが垂れてしまっている。

 

最近はただ切るのではなく、なるべく水切りしているのだが、それでも花もちが悪い。

注意書きには「水が下がってしまった場合、ガーベラは湯上げが効果的です」とあるが、そこまでできない。

 

 

5日後、花瓶をさらに小さくしたら、花が豪華に見えた。

 

ピンクのガーベラは花びらが垂れたままだが、それでもまだ頑張っている。なんだか鏡を見ているようで、見捨てるには忍びない。

 

10日後、こじんまりしたが、まだまだ頑張っています。

 

 

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伊岡瞬『残像』を読む

2023年12月27日 | 読書2

 

伊岡瞬著『残像』(角川文庫い64-7、2023年9月25日KADOKAWA発行)を読んだ。

 

角川の宣伝

累計50万部突破『代償』の著者渾身。角川文庫75周年記念、文庫書き下ろし!

浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添い、自宅アパートを訪れた。
そこでは、晴子、夏樹、多恵という年代もバラバラな女性3人と小学生の冬馬が、共同生活を送っていた。
他人同士の生活を奇妙に感じた一平は冬馬から、女性3人ともに前科があると聞く。
一方、政治家の息子・吉井恭一は、執拗に送られてくる、過去を断罪する写真に苦悩していた。
身を寄せ合う晴子たちの目的、そして水面下で蠢く企ての行方は――。

暗い過去への復讐を描いた、心震わす衝撃のサスペンスミステリ!


「信頼、裏切り、後悔、敬愛、憎悪、憧れ、友情、希望。
 そんなあれこれをぎっしり詰め込みました」
 ――伊岡瞬

 

堀部一平安兵衛。浪人生だが、ホームセンター「ルソラル」でアルバイト。19歳。

 

蘖(ひこばえ):6室のボロアパートに以下5人が住む。蘖とは木の切り株や根元から生えて来た新芽。

葛城直之:ナオさん。「ルソラル」で一平より新顔だが67歳。胃痙攣の持病がある。元弁護士。

衣田晴子:ラテンぽいが純和風顔の女性、40過ぎ? 元結婚詐欺。

天野夏樹:美貌でクール。30歳?

香山多恵:おびえた様子の20歳

冬馬:とうま。小学5年生

 

吉井恭一:政界の実力者・吉井正隆の息子。大手デベロッパーの子会社勤務。

須賀圭一:探偵事務所所長。吉井正隆の仕事を受ける。元警察官。部下は石川。

 

本書は書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

伊岡作品にしては素直で、軽く楽しく読める。

 

人が良すぎる浪人生が、謎の女性犯罪者集団と付き合い、そのまま巻き込まれ、引きずられていく。徐々に明らかになる彼女たちの過去、たくらみの穴、罠。あやしげな雰囲気、少しずつの展開についつい読み進めてしまう。

 

各人物像は魅力あり、やりとりも楽しめる。あまりに残虐な過去の犯罪は詳細には語られないので読んでいて救われる。ただし、ストーリーの全体の流れは、普通に考えるとおりで物足りない。

 

 

伊岡瞬の略歴と既読本リスト 

 

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豆乳スイーツ「豆花」の専門店「台湾茶房 豆漿日和」でランチ

2023年12月26日 | 食べ物

 

「台湾茶房 豆漿日和」は12月17日にオープンしたばかり。豆漿(トウジャン)とは、台湾の国民的ドリンクである豆乳のドリンク。

 

場所は、東急吉祥寺の北側、大正通り沿いで、落合恵子さん(レモンちゃんって、知ってる?)によるオーガニックと絵本のお店「クレヨンハウス」の隣の建物。2階が「RIZAP(ライザップ)」のビルの1階。

カフェの左に製造所「CRAFT SOYMILK FACTORY」が併設されていて、ガラスの中に複雑な大きな機械が並んでいる。出来立ての豆乳スイーツ「豆花(トウファ)」などが提供されるのだろう。

 

店に入ったときは11時10分頃、客は誰も居なかったので、本当に開店しているのか、ちょっと心配に。店員さんがまだ不慣れなのか、料理に時間がかかるのか、配膳されるまでちょっと待たされた。
客は、12時前になるとかなり訪れて、店内は賑やかに。

 

 

豆乳の瓶が並んでいる他、ランチメニュー情報は、漢字のメニューはあったのだが、下の写真「豆花各種 ¥690」「鹹豆漿セット ¥1,200」のみ。我々は、何もわからぬまま、鹹豆漿(シェンドウジャン=しょっぱい豆乳)セットを注文。

 

これが「鹹豆漿セット」の実物。トッピングなどをいろいろ選択でき、私はタピオカとクラゲを選択。

左は温かく、右は冷たい。

 

 

こちらが相方の分で、小豆とナッツを選択。

 

もう一品(二人分、揚げたおもち?)が下の写真。

 

このブログを書きながら調べると、「鹹豆漿」は台湾では人気で定番の朝食らしい。

私は、豆乳はともかく、豆花はまったく知らなかったので、もちろんまずくはないのだが、特に美味しいとも思えず、ただただ、変わった食べ物を食べたというだけで終わった。

 

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日本料理「ひのや」でランチ

2023年12月25日 | 食べ物

 

知人を訪ねて、都立大学駅へ。駅から徒歩1分、日本料理「ひのや」で共にランチした。前回は2年前のひとりランチだった。

料亭風の入口。

 

玄関になぜか大砲が。「上部に薩摩十字の紋を鋳込んだ前装式滑腔砲」とある。

 

七福神の置物

 

靴を脱いで奥の「松緑の間」へ。

このところ、鯛茶漬けにこだわっている私は「鯛茶漬け御膳」

茶漬けに加える味噌が複雑な味で結構でした。写ってないけど、お茶を注ぐ鉄瓶が、思いのほか重たく焦った。

 

 

相方と知人は「彩り御膳」

私にまわって来たのはわずかだったから、「結構でした」でしょう。

 

 

東横線のプラットホームドアに貼ってあった注意書き。私の英作文と違って、生きてる。

“lean over”は「のりだす」、 ”prop anything against ”は「立てかける」、“rush into the train”は「かけこむ」 、”keep out”は立ち入る。

「無理に乗車」は ”force yourself into the train” 、「取り戻そうとしないで」は “Never attempt to retrieve it yourself” 。

 

 

必至に撮影する外人さんの隣で、渋谷のスクランブル交差点をパチリ。手前がバスの駐車場所になっていた。

1回の青信号2分で1000~3000人が行き交う「世界で最も混雑している交差点」と言われる。何事もなく行き交うが、ニューヨークだったら、この間、喧嘩になって二人は射殺されるだろう、と言ってるのは私だけ。

 

 

今年、いただいたのは、「ボーネン・シュトーレン byパレスホテル東京」10*16*6㎝

渋皮栗、柚子風味のマジパン、数種類の豆を使用し、たっぷりのきな粉で仕上げた和風シュトーレン。

さっぱりとした上品な味で結構でした。いつもありがとうございます。陰ながらお礼申し上げます。

 

 

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夕焼け富士

2023年12月24日 | 日記

 

12月23日16時40分、夕焼けのシルエット富士山。

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新川帆立『縁切り上等!』を読む

2023年12月23日 | 読書2

 

新川帆立著『縁切り上等! 離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル』(2023年6月30日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社の内容紹介

夫のモラハラと浮気に耐えられなくなり家を飛び出した聡美が北鎌倉で出会ったのは、縁切寺の娘で弁護士の松岡紬。勢い込んで離婚相談をするも、思いがけないことを言われ……。上手に縁を切る方法、教えます。温かなヒューマンドラマにして、前を向く元気をもらえる、痛快リーガル小説。

 

 

松岡(つむぎ)離婚専門の弁護士。北鎌倉にある700年以上縁切寺として有名な東慶寺(本書では東衛寺)に「松岡法律事務所」を構えている。小柄で西洋人形のような美人。30歳過ぎだが結婚する気なし。

松岡玄太郎:紬の父。65歳で引退し、長男悠太に東衛寺の住職を譲った。十数年前に時希子と離婚。

出雲啓介:事務所専属の探偵。紬の幼馴染。想いは?

小山田聡美:第一話の依頼人で後に事務員として働く。牧田亮介から離婚して小山田に。息子は幼児の翔。

 

第一話 くやしくば尋ね来て見よ松ヶ岡

聡美は専業主婦。夫・亮介は、家事はもちろん出産時にもまったく助けてくれなかった。家事や育児の手伝いを頼むと、「じゃあお前は、俺の仕事を手伝ってくれるわけ?」と言う。

浮気の影を見つけたので、聡美は亮介に追いかけられながら、北鎌倉の実家へを抱いて必死に逃げる。途中、に事務所へ招き入れられ、紆余曲折を経てなんとか亮介の浮気の証拠をつかみ、無事離婚できた。職を探す聡美は事務所の事務員となる。

 

第二話 松ヶ岡男を見ると犬がほえ

依頼人の鷹田晃彦42歳は「妻(麻衣子)が浮気した末に、子供をつれて家を出ていったのです」と訴え、子供の親権にこだわる。しかし、なぜか警察は妻の行方不明者届を受理しなかったという。夫婦の真相は?

 

第三話 星月夜あきれるほど見て縁が切れ

山岸花枝はあと1年で退職金が入る夫・宏とどうしてもすぐに離婚したいという。

 

第四話 松ヶ岡寝そびれた夜のぐち競べ

11歳の娘・樹里がいて専業主婦の田井中愛理は「不倫したうちの人と離婚したい。しかし、信託銀行勤務のうちのは、法律上の義務はないし、一円も払わない」と言っているという。うちの妻とは冴子という女性パートナーだった。

 

第五話 またいびりたくば鎌倉までおいで

弁護士の間城が来て、聡美の元夫の亮介がうつ病になり月15万円の養育費を5千円に変更させて欲しいと申し入れた。

 

 

初出:「小説新潮」2022年8月号~2023年2月号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

文章は明快、簡潔で、構成も論理的でわかりやすい。登場人物のキャラも立っていて、ユーモアもある。
半面、風景描写や情緒や潤いのある文章ではなく、ミステリーはそれで良いともいえるが、深みには欠け、読み応えがない。

 

スムーズに離婚成立するのは第一話のみ。相手側の主張の裏事情を探る展開が大部分。しかし、その第一話も続きがあって、第5話になって、続きが始まる。

 

離婚のためにあらかじめ何を用意する必要があるかがわかった。私(たち?)には不要な知識だが。

 

 

新川帆立(しんかわ・ほたて)の略歴と既読本

 

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中島京子『やさしい猫』を読む

2023年12月21日 | 読書2

 

中島京子著『やさしい猫』(2021年8月25日中央公論新社発行)を読んだ。

 

中央公論新社の内容紹介

シングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。出会って、好きになって、この人とずっと一緒にいたいと願う。当たり前の幸せが奪われたのは、彼がスリランカ出身の外国人だったから。大きな事件に見舞われた小さな家族を暖かく見守るように描く長編小説。

 

第56回吉川英治文学賞受賞。

2023年6月24日から土曜日(全5話)、NHKでドラマ化された。

 

シングルマザーで32歳の保育士のミユキは小3だった娘のマヤを鶴岡の祖母に託し、震災ボランティアに行っき、スリランカ人で24歳のクマさん(クマラ)と出会う。

一年後、盗難自転車だと疑われて警官に呼び止められていたクマさんをミユキが偶然に見かけ、2人は次第に惹かれあっていく。真面目で、あかるいクマさんは、マヤに「やさしい猫」などのスリランカの話を聞かせ、すぐに仲良くなった。クマさんは結婚したいと言ったが、ミユキはそんなこと今は考えられないと答えたが、やがて3人は一緒に暮らし始める。

 

婚姻届を提出した直後、クマさんは警察の職務質問を受け、オーバーステイ状態になっていたことから入管施設に収容された。在留特別許可を勝ち取って、母国への強制送還を防ぐために、2%の成功率といわれる裁判に訴え、弁護士のめぐみ(恵)・ハムスター先生を頼る。国、入管局を相手どった戦いが始まる。

 

 

初出:「読売新聞」2020年5月7日~2021年4月17日、夕刊連載

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

テーマは、日本の入国管理行政が外国人を迫害している問題だ。この点については、普通の生活では意識しないこの問題を、物語を読む中でごく自然に理解させてくれる。問題提起は小説の一つの役割だろうし、演説や、論文と違い、ごく自然に、楽しみながら理解させ、共感させる力がこの小説にはある。

 

青少年向けともとれるわかりやすい内容で、読みやすいのは良いのだけれど、冗長だ。小さな活字で400頁を越える。年寄りにはこのような大部の本はきつい。

 

余談(p291)

70年代にソ連のチェスチャンピオンのスパスキーを破って世界チャンピオンになったボビー・フィッシャーは、経済制裁中のユーゴスラヴィアでスパスキーとチェスをしたことでアメリカ政府を怒らせて国籍を剥奪された。2004年成田空港で逮捕され、牛久の入管に収容された。

スパスキーは「ブッシュ米大統領殿 もしフィッシャー氏が罪に問われるなら自分も同罪です。どうぞ私も刑務所に。そのときは彼と同房にして、チェス盤を差し入れてくださいね」と手紙を書いた。

将棋の羽生善治さんも小泉首相に嘆願のメールを出した。

結果的には、アイスランドが市民権を与えて、出国した。

 

 

 

中島京子の略歴と既読本リスト

 

入管問題に関する中島京子氏の講演が吉祥寺であり受講した。

 

講演

何故この本を書くことになったか?

新聞小説は3,4年前に連載することが決まる。新聞だから社会的問題を含むテーマが良いと思っていて、友人の弁護士からヴェトナムの人(?)が入管で死んだことを聞いて、何人かの弁護士、元入管職員などと話し合い、本も読んで、0から勉強した。ただ、それだけでは小説にならないが、ミユキとマヤとクマさんの話を作ってから小説を書き始めた。取材、インタビューし、入管訪問も3回したところで、コロナ騒動となり取材は困難になってしまった。

日本の入管は人を無期限に拘留できるし、司法判断なしに自分達だけで拘留などの判断ができるという諸外国にはない絶大な権力を持っている。

何を考えたか不明だが、オリンピック前に何かあるとまずいということで、入管施設が溢れるほどどんどん拘留した。コロナでクラスターが出て中断した。

このままでは済むはずがない。必ず変わっていく

 

話を聞いて私が考える入管問題の根っこ

日本人であることがいやになるほど入管は残忍だし、こんなことは変えなくてはならない。甘いのかもしれないが、日本人がこんな残酷なことをするというのは、どこか組織の在り方に問題があるのではないか?

入管という組織は、外国から来た人の悪事防止だけを目的とする組織になっているのではないか。それならば、少しでも疑わしい人は拘留すれば良いという判断になってしまう。

そんなことをした時の損失について考える官庁組織はないのか? 外務省?
外国からの労働者は、労働不足を補い、税金も納めている。世界から有能な多くの人が集まり、彼らが気持ちよく暮らし、より貢献してくれるためにどうしたらよいかを考え、実施する組織を入管(名称変更する)に作って、自らバランスをとるようにすべきでは? 

 

 

 

 

 

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12月(1)の花

2023年12月20日 | リタイヤ生活

 

12月4日に届いた花

 

深紅のバラ3本、ピンクのバラ4本、アイリス2本、カスミソウ1本とクジャクヒバ2本。

 

ちょっと上から眺める。

 

 

一日しか経っていないのに、バラが少しほころんだ気がする。アイリスは心配。

 

バラってやはり花の女王様だな。

 

3日目。アイリスはしぼんで姿を消し、バラは多少開きすぎで、はや最盛期。

 

1週間後。バラの外側の花びらが幾つか落ちて、もはやこれまでと、花だけ切って、水に浮かべた。

じっと見ると、まだまだ美しい深紅。ビロードだ! 違った、ベルベット??

 

 

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くっきりと富士山

2023年12月19日 | 日記

 

12月17日9時半、丹沢の山々がはっきり見える。勇んでベランダに出て、パチリ。

肉眼ではくっきりと見えた富士山の、相変わらずのぼやけ写真。

 

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都心観光4-東京ミッドタウン日比谷

2023年12月18日 | 観光

 

前回の都心観光3で、スターバック和田倉噴水店、静嘉堂文庫美術館展示ギャラリーなどを巡った。

 

 

ホテル「ザ・ペニンシュラ」を口を開けて見上げて通り過ぎ、東京ミッドタウン日比谷へ入る。

下は日比谷公園から見た写真。

 

2階の道路際は通路になっていて、

 

日比谷通りとその向こうの日比谷公園が見える。

 

ランチは2Fのスペイン料理 Lubina を予約している。

 

恥ずかしいことに、「ご予約の冷水さんです~」と店員さんの大声で案内されて、窓際の席かと思ったら、その手前。ほとんどの人は予約なんてしないのかなと、気が引けた。

ビルの中の店でしかたない面はあるが、席の間隔は狭く、いまいち。なぜか窓側の棚の中にはカブトガニが一杯で不気味。あれ食べるの?

 

私も相方も、「ランチコース」

 

二人にまず配膳されたのは?

 

私のメインは鴨肉のパエリア(パエイヤと書いてあった)。

鴨南蛮ぐらいしか馴染みがない鴨肉の大きさにびっくり。美味しいのだが、ご飯が予想よりカチカチに焼かれていて、だいぶ固く、とくに鍋の端ではスプーンも歯が立たなかった。

 

相方は、海老、ムール貝、アサリなどのパエイヤ。こちらの方が良かったと思ったら、1/4くらい回って来た。

 

私はコーヒー。カップは、エリザベス女王Ⅱ世ご用達にもなった、ポルトガル最大の磁器メーカー「VISTA ALEGRE」ビスタ・アレグレ。もちろん、存じ上げなかったけど。

    

 

相方は紅茶。

 

デザート。美味しく頂きました。

 

二人で6千円ちょっとのお店にしては美味しかった。

 

 

外へ出た所に、レンタルバイク。アップダウンがないこの辺りにはいいかも、電動だし。

 

山手線のガードの手前の東京国際フォーラムを覗く。写真右手のビルは多少湾曲していて、全体で舟形になっている。

 

内部は吹き抜け。どこにホールが8つもあるのかと思ったら、北側の別の建物にあるらしい。なら、百世帯は暮らせそうなこの建物は無駄?

 

巡回警備中のロボットがピカピカ光らせながら通過。

 

この後、山手線のガードと高速道路の下をくぐり、マロニエゲート銀座2に入った。

2,3,4Fはユニクロだが、B1、B2に日頃お世話になっているディスカウントスーパーマーケット・OKストアーがあると聞きつけて、駆けつけたのだ。銀座のOKって?

品揃えがなにか高級な気がしてしまうが、有楽町で安めの食料を購入して、帰宅した。

 

最後の最後に地が出てしまい冴えなかったが、久方ぶりの都心を堪能した。

 

 

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都心観光3-静嘉堂文庫

2023年12月17日 | 観光

 

都心観光2で、皇居東苑の汐見坂、本丸跡、天守閣模型、果樹園を見て、大手門から出た。

 

 

内堀通りを日比谷方面に歩いて行くと、和田倉噴水公園に変わった建物が見える。

 

噴水が目の前にあるこの建物は、

 

スターバックス皇居外苑和田掘噴水公園店だった。入って一休み。隣の同じような建物は無料休憩所だった。

 

東京駅の方へ行幸(ぎょうこう)通りを進むと、

 

左手の和田倉濠に白鳥が。

 

日比谷通りを日比谷方面へ行くと、馬場先門手前に明治生命館がある。1945(昭和20)年から11年ほどアメリカ極東空軍司令部として接収され、私は、柱が並ぶ建物の外観がマッカーサー元帥のイメージにつながる。

世田谷にある静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリー(静嘉堂@丸の内)部分は、2022年10月、明治生命館1階に移転した。

明治生命館1Fに入り、静嘉堂@丸の内のチケットを購入して、黒光りしたフロア(ホワイエ)に入る。展示室は右に1,正面に2,左に3と自動ドアで入る。3から先に4がある。

 

 

右が「果皮緑双耳瓶」、左が「炉鈞釉三足盤」でいずれも産地は景徳鎮官窯。

 

粉青罍形象耳瓶で産地は景徳鎮官窯。

 

紅彩暗花龍文鉢

 

青花臙脂紅龍鳳文瓶

 

そして、写真不可だったが、国宝の「曜変天目(稲葉天目)」、お目見えは数回目だが、相変わらずお美しい!

 

ここで知ったかぶりの「油滴天目」「曜変天目」の素人解説。

茶碗を鉄系の釉薬(黒釉)に浸し掛けして焼く。このとき、窯の中で思わぬ、コントロールできない変化(窯変)が起こって模様ができる。
その窯変の仕方で、油滴天目と、より奇跡的な曜変天目にわかれる。

油滴天目:茶碗の内外全面に黒釉の中に小さく丸い斑点が現れたもの。

国宝や重要文化財となっているものが5点ほどある。

曜変天目:碗の内側に釉薬が破裂したことでできる斑紋があり、その周りを群青や紫などの光の角度によって色が変化する光彩がある。
曜変天目は中国で作られたものだが、世界中に3碗だけで、その全てが日本の国宝となっている。この静嘉堂文庫美術館の他には、藤田美術館と大徳寺龍光院にある。現在の技術ではどうしても再現できていない。

 

 

 

明治生命館を出て、東京會舘へ入ってみた。

正面のクリスマスツリーが美しい。

 

右手奥には、黄色と紫に変わるイルミネーション。

   

 

 

日比谷の交差点から見上げる5つ星ホテルの「ザ・ペニンシュラ」。高い! たぶん値段も。

 

明日は、都心観光4-東京ミッドタウン日比谷

 

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都心観光2-皇居東苑2

2023年12月16日 | 観光

 

皇居二の丸尚蔵館を出て、皇居東苑の同心番所、百人番所、二の丸雑木林を経て(都心観光1)、汐見坂に近づいた。

汐見坂は、本丸と二の丸とつなぐ坂で、江戸城築城の頃は、この近くまで日比谷入江が入り込み、海を眺めることができた。

 

 

見事な石垣

 

手前が江戸、向こうは令和。

 

白いサザンカが満開。

 

坂を登り切って、右手遠くに幻に終わった天守閣なしの天守台だけ。

 

マニアックですみません。ちょっとだけお邪魔します。

 

今や何もない天守跡に、撫でたくなるような、柔らかそうなものが。

 

隙間から中を覗くと、スカスカ。

 

本丸休憩所にある「大嘗宮模型」

大嘗宮は、皇位継承があったときに挙行される大嘗祭を行うためにだけ設営される建物。平成2年の大嘗祭では大小30余りの建物が設営され、11月22日夕方から23日夜明前に儀式が行われた。

 

徳川家光が1638(寛永15)年に建てた3度目の天守閣の復元模型。

石垣と天守を合わせた高さは約60m、20階建てビルに相当し、日本にあった天守で一番の高さだった。標高を加えると約80mになり、江戸の町にそびえたった。

 

この天守閣は明暦の大火で焼失し、4度目は石垣の天守台のみ作られて、以後210年間、天守再建はされなかった。軍事上無用であったことと、町の復興を優先させたと言われる。いいじゃない!

 

江戸城の跡に江戸時代の果樹の品種を植えれば興味深いのではとの上皇陛下のお考えから作られた古い品種の果樹園。

こちらには、ワリンゴ3品種、カキ5品種が植えられている。

 

柑橘類5品種,二ホンナシ5品種、モモ・スモモ4品種が植えられている。

 

後は大番所前を通って大手門へ戻る。

 

明日は、都心観光3-静嘉堂文庫

 

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都心観光1-皇居三の丸尚蔵館 & 東苑1

2023年12月15日 | 観光

皇居三の丸尚蔵館へ行ったついでに、皇居東苑、静嘉堂文庫美術館、東京ミッドタウン日比谷などをぶらついた。これを「都心観光1~4」でご紹介。

 

「皇居三の丸尚蔵館・開館記念展 第1期:三の丸尚蔵館の国宝 ~12月24日」を見学した。この後、第4期(~2024年6月23日)まで公開される。

特別展示「令和の御代を迎えてー天皇皇后両陛下が歩まれた30年」が同時開催されている。

日時指定Web予約制で、結構人気で、数日先でないと予約できなかった。

 

大手町駅から永代通りを行き、内堀通りを横切ると、大手門が見える。

 

カバンやバッグを開けるセキュリティ・チェックを受けて、大手門を入る。

 

「皇居三の丸尚蔵館」のⅠ期棟が完成して、今回の展示が行われる。右手前の緑の塀の中ではさらに新館の工事が行われている。

 

看板をパチリ。

 

一般1,000円で、70歳以上は無料。並んでいるのはどうみても無料の方ばかり。だからどこへ行っても困ったことに混むんだと腹立たしい、自分たちはさておいて。

 

左手で、松の手入れを行っていた。松の手入れは、針のような葉を梳いていく作業で、あらゆる所に松がある皇居では気が遠くなる時間がかかるのでは? 

 

展示室1は国宝。

平安時代や鎌倉時代の書画・絵画が一部は損傷していても立派に保存されているのに驚く。

 

一部の物を除き「撮影OK」マークがあった。

 

《動植綵絵》のうち「棕櫚雄鶏図」 伊藤若冲

 

蒙古襲来絵詞(後巻) 

 

展示室は1室のみで、あっという間に終わった。予約に要した時間より短かった気がした。

 

展示室2は両陛下の写真、服など。未だに天皇陛下というより皇太子殿下という気がしてしまう。

 

 

早く終わり、そのまま皇居東苑を見学。

 

皇宮警察の馬車が通る。

騎馬も。

 

同心番所

「番所」とは警備詰所。江戸城にあった番所は、百人番所、大番所、同心番所の3つが残っている。同心番所では同心が登城者を監視した。

 

 

百人番所

甲賀組、伊賀組、根来組、二十五騎組という4組の鉄砲百人組が昼夜交代で警備していた。各組は20人の与力と100人の同心で構成。

 

 

二の丸雑木林

昭和天皇の御発意により、失われていく武蔵野の雑木林を皇居内に作ろうと、1983(昭和58)年から3年かけて造成された。武蔵野から土壌、植物の根、種子、昆虫や土壌動物も運び込まれて雑木林が復元された。

武蔵野の雑木林は、下草や落葉は毎年肥料に、木は20年ごとに伐採され燃料に利用されていた。

 

 

この後、汐見坂を登り、本丸あたりをぶらついた。その様子は、

明日、都心観光2-皇居東苑2

 

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