コリン・ジョイスの「「ニッポン社会」入門(英国人記者の抱腹レポート)」NHK出版を読んだ。
14年間日本に暮らす英紙記者が、過剰なまでに礼儀正しく親切な人々、思ったより簡単で奥深い日本語、ガイ ドブックには載っていない名所の数々など普段着の東京を語る。外国人から見て信じられないほど変で、すばらしい日本人。そして長年の日本滞在でもはや慣れ親しんで心地よくなってしまったことに気がつく日本の慣習。
外国人からと、日本人からの両方の見方が理解できる著者のユーモアをまじえた語り口に、つい「そうそう。そうなのか」と読み進めてしまう。著者はイギリスの高級日刊紙デイリー・テレグラフの東京特派員として、本当の日本を伝えようと実情を伝える記事を送っても、ボツになるか、キワモノ記事に書き換えられてしまい、挫折を繰り返す。欧米における日本の位置を反映した状況のもとで、ほんのときどきの満足できる記事の掲載や、日本でのすばらしい人々との出会い、発見に楽しみを見出している。
以下、本の内容から幾つか取り出してみる。( )は私のコメント
日本人は細かいルールをきちん守る
プールに日本社会を見た。ルールが細かく規定されていて、皆それを守る。泳ぐところ、水遊びするところ、ウォーキングするところがはっきり区別されているt、上級者、初心者のレーンが別になっている。レーンの中を整然と距離を保ちながら列になって泳ぐ。プールから上がって休まねばならない時間があり全員がこれを守る。頭髪のない人も水泳帽を必ずかぶらねばならない。
イギリスではゴチャゴチャで泳いでいるので、何度も急に方向転換しなければならない。ぶつかったらにらまれるし、にらむ。日本で100人泳げるプールでイギリスは60人しか泳げない。80人泳いだら暴動になる。
(狭い国土に多くの人がいるので、たがいに配慮せざるを得ないのが習性になっているのでは)
日本人はマナーが良く、外国人に親切である。
(発展途上国の人に対してはどうなのか)
日本の偉大な発明
「花見」「銭湯」「文庫本、新書本」「ラッピング」「浮世絵」
(電子機器以外にも、庶民の生活の知恵から生まれたものに日本の文化がある)
イギリス人が読みたがる日本の記事
イギリスの新聞の国際面で圧倒的な分量を占めるのはアメリカとヨーロッパの記事で、中東、中国、インド、オーストラリアが続く。日本の本格的分析記事をイギリスに送っても、ボツになるか、キワモノ記事に書き換えられてしまう。東京特派員というポジションはイギリスの新聞社の中で重要なものではない。
(地理的位置や英語圏でないことなどもあるが、日本の国際的位置が圧倒的に低いことが注目されず、理解されない主な原因だろう)
その他
イギリスでは電車の時刻表はフィクションで時間間隔を知るためのものでしかない。
西洋人は相手の目の色、髪の色・性質、鼻の形で識別する。したがって、日本人は皆同じに見えてしまう。