hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

堀井憲一郎『かって誰も調べなかった100の謎』を読む

2013年12月31日 | 読書2

堀井憲一郎著『ホリイのずんずん調査 かって誰も調べなかった100の謎』(2013年8月文藝春秋発行)を読んだ。

どうでもいいこと、役に立たないことを、大真面目に調べて笑いをとるという奇書だ。
「週刊文春」に1995年4月から2011年6月まで連載の「ホリイのずんずん調査」792回から100本を抜粋。
当時の調査、そしてそれに対する今日のホリイさんのコメントが書かれている。

どんな調査かというと、
いきなり銀座の高級寿司店に行って寿司を食べるといくらかかるか。

吉野家の「つゆだく」が許せなくて154店食べ歩いた結果のまとめ。

「冷やし中華始めました」の告知はいつ貼りだされるか。(237軒電話調査で、4月中が1/3、GWには5割)

エスカレーターで右に立つのは大阪だけ。京都は右には立ちませぬ。

12月29日に投函しても年賀状が元旦に着くエリア着かないエリア(年末年始、毎日毎日年賀状を日本の複数箇所に送って、配達状況を調査)。

新書だけを書いて印税生活が可能なのか試算してみる。(赤字にならない限界の1.2万部、756円の一割で90万円で、年2冊で180万円ではキツイ。3万部で220万円、10万部で756万円。いずれにしても暮らしは厳しい。)

「柿ピー(ピーナツ入り柿の種)の黄金比率は柿6にピー4だった」

週間天気予報はまったく当たってない気がするんですけど。(7日後の雨を当てる可能性は3%)

小学4年生にもなってサンタを信じている5%の人々

“子”の付く名前の女子が半数を切ったのは1979年生まれから。

Vサインをテレビで初めて見せた日本人は「星一徹」。(1967年)

バブルの最中は誰も「バブル」と呼んでいなかった事実。(初めてそう呼ばれたのは1990年)

「OK牧場」がガッツ石松のものではないことを知っている世代。(境目は1970年生まれ)

こんな調子だが、苦労した調査は、
「郵便ポストの回収は表示時間通り来るか」で、九日間、台風の日もポストの横に立って、回収車が来るのを待っていた。結論としてはね・・・「だいたい時間通りに回収に来る」ですかねえ(笑)

「チョコボールを1021箱買ったら金のエンゼル1枚銀のエンゼルが64枚」(300箱買うと12kgになる。高田馬場周辺ではチョコボール空白地帯になった。

「4桁の暗証番号をどうやって決めたかを194人に教えてもらう」など、どうやって聞き出すのだろうか?



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

大真面目に大変な労力をかけて調査し、結果はたいして意味ない、そんなことを面白がる人にはお勧め。
全部読むと、時代の変遷を感じることもができる。

こんなコラムを17年も続けるなんてすごい。ご本人は、「体を張って『大変だった、大変だった』と見せるのが芸になったというかね。基本的に、邪道ですよねえ」
というのだが。



堀井憲一郎(ほりい・けんいちろう)
1958年生まれ。京都府出身。早大漫研出身。コラムニスト。キャッチフレーズは「何でも調べるフリーライター」。
1993年から2006年まで日本テレビ「TVおじゃマンボウ」に番組開始から終了まで出演。TBSラジオの出演歴も多い。
主な著書に『ねじれの国、日本』『いつだって大変な時代』『若者殺しの時代』『落語の国からのぞいてみれば』

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池田信夫『「空気」の構造』を読む

2013年12月28日 | 読書2

池田信夫『「空気」の構造 日本人はなぜ決められないのか』(2013年5月白水社発行)を読んだ。

池田信夫氏は、NHKで報道番組「クローズアップ現代」などを手掛け、退職後に主として経済問題の人気ブログを始め、言論サイトを主催している。
本書は、丸山眞男、山本七平、網野善彦の日本人論を元に、池田さんの日本人論を展開している。その多くはすでに池田さんのブログで読んだ内容ではあるが、まとめ読むと、日本人の意思決定はその「空気」で決まるとの主張は明快だ。「空気」は場の雰囲気だけではなく、まわりの人々の暗黙の同調圧力をさす。

誰もが分かるほど無駄な戦艦大和出撃決定の経緯など、数々の日本軍の失敗はじめ、多くの昔の失敗例が分析され、合理的でない「空気」による決定だったことが述べられる。

役所や企業のタコツボ的な自律性が強く、人々がまわりの「空気」を読んで行動するため、責任の所在が曖昧で中枢機能が弱い。・・・長期的な戦略が立てられない・・・目的を設定して必要のない部分を切る全体戦略がない・・・「平時」に淡々と業務を運営するときは強いが、「有事」の危機管理に弱い。

天皇制に象徴される日本の中心なき組織は、山本七平もいうように内部は曖昧で柔らかいが、外部からの攻撃を殻によって守るサザエのような「外骨格」なので、内部から殻を破ることはむずかしい。内部の紛争を抑制して殻の中に収める閉じた社会は、小さな攻撃には強いが大きなショックに弱く、殻の大きさを超えて成長できない。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

基本となる主張、多くの分析は納得できるものだが、230頁を超え、ブログを基にしたためだろうかダブりも多く、冗長だ。また、事例の多くが戦前のもので、最近の例が少なく、興味がわかない。

どうしたら良いかについて、説得力ある論は当然なく、問題の指摘に留まっている。

一方で、多くの人は、著者の主張はすでにわかっていて、だからこそ、なにか殻を破ってくれそうな橋下さんや石原さん、あるいは猪瀬さん、安倍さんといった強そうなリーダーを選んでいるのではないだろうか。しかし、危ないことになりそうなリスクがあることをしっかり自覚しているのだろうか心配だ。また、強引な人は、まじめに働かず、ツイッターにかまけたり、仕事場にめったに顔を出さなかったり、地道な仕事をしっかりこなしたり、こなさせたりすることを馬鹿にしがちなのも、私は気に食わない。

安倍首相の祖父、岸信介はCIAから30億円以上の資金提供を受けていた外国のスパイだったことは、アメリカ政府の公式に認めているという記述は、(すでにブログにも書かれていたが)もっと問題になってよい。



池田 信夫(いけだ のぶお)
1953年生。東京大学経済学部卒業後、NHKに入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。同局退職後、慶應義塾大学で博士(学術)取得。現在、株式会社アゴラ研究所所長。著書に『電波利権』(新潮新書)、『ハイエク 知識社会の自由主義』(PHP新書)、『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤との共著、PHP研究所)他。





目次

はじめに──日本人は特殊か

序章 「空気」が原発を止めた
 首相からの突然の「お願い」/玄海原発の失敗/「空気」が法律より重い国

第一章 日本人論の系譜
 罪の文化と恥の文化/講座派と労農派/敗戦と悔恨共同体/文明の生態史観/唯物史観と「水利社会」/タテ社会とヨコ社会/人と人の間/安心社会と信頼社会/「水社会」の同調圧力/灌漑農業のボトムアップ構造

日本人の肖像──福沢諭吉

第二章 「空気」の支配
「日本教」の特殊性/自転する組織/日本軍を動かした「空気」/公害反対運動と臨在感/アニミズムから一神教へ/一揆と下克上/動機の純粋性

日本人の肖像──北一輝

第三章 日本人の「古層」
 超国家主義の構造/無責任の体系/国体という空気/フィクションとしての制度/つぎつぎになりゆくいきほひ/永遠の今と「世間」/キヨキココロの倫理/「まつりごと」の構造/天皇制というデモクラシー/全員一致とアンチコモンズ/ボトムアップの意思決定/「古層」とポストモダン/近代化なき成長の終わり

日本人の肖像──南方熊楠

第四章 武士のエートス
 日本のコモンロー/徳川の平和/自然から作為へ/尊王攘夷の起源/開国のインパクト/惑溺と自尊

日本人の肖像──岸信介

第五章 日本軍の「失敗の本質」
 目的なき組織/曖昧な戦略/短期決戦と補給の軽視/縦割りで属人的な組織/心情が戦略に先立つ/心やさしき独裁者/両論併記と非決定/大日本帝国の密教と顕教

日本人の肖像──石原莞爾

第六章 日本的経営の神話
 外国人の見た日本企業/日本的経営の黄金時代/勤勉革命の伝統/日本的労使関係の起源/日本企業は町工場の集合体/協力と長期的関係/共有知識としての「空気」/村から会社へ/日本的雇用がデフレを生んだ/年功序列の終焉/グローバル資本主義の試練

日本人の肖像──中内功

第七章 平和のテクノロジー
 殺し合う人間/集団淘汰と平等主義/偏狭な利他主義/戦争が国家を生んだ/「無縁」とノマド/飛礫の暴力性/古層と最古層/なぜ「古層」は変わらないのか

日本人の肖像──昭和天皇

第八章 日本型デモクラシーの終わり
 空虚な中心/多頭一身の怪物/霞が関のスパゲティ/「政治主導」の幻想/日本型経営者資本主義の挫折/約束を破るメカニズム/セーフティ・ネットが檻になるとき/閉じた社会から開かれた社会へ


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柚木麻子『伊藤くん A to E 』を読む

2013年12月26日 | 読書2

柚木麻子著『伊藤くん A to E 』(2013年9月幻冬舎発行)を読んだ。

見た目良し、金持ちの息子、なんでも知っている。見たいものだけ見て、ご機嫌に暮らしてゆける生活。しかし、自意識が強く、他人を平気で傷つけるが、自分は傷つき易く、自分に甘い。本気でなりたいのか、シナリオライター希望の伊藤誠二郎、27歳。
こんな男に振り回される魅力的な5人の女性の恋、苛立ち、嫉妬、執着。

A
デパート勤務の島原智美は、スタイルも良く、美人なのに、伊藤に粗末に扱われ続ける。もはや好きかどうかもわからなくなって、単にむきになっているのかも。

B
学芸員だったことが忘れられず、フリーターで貧乏生活、身なりも構わない野瀬修子。伊藤からストーカーじみたアプローチに戸惑い、ブチ切れる。

C
可愛らしさでこれまで11人の男の子と関係したが、22年間一度も恋人がいたことはないのではないかと思うデパ地下ケーキ店の副店長の相田聡子。バイトの市橋くんにちょっかいを出す。親友の神保実希は美人なのに男性に人気ないと思い込み、地味な服装で勉強ばかりだが、もう3年も伊藤を思い続けている。

D
処女を理由に重たいと伊藤にふられた実希は、実家に戻り、大学職員になる。そして、伊藤を振り向かせたいがために、好きでもない売れ始めた放送作家クズケンを初体験の相手に選ぶが、・・・。

E
すでに売れなくなった33歳の脚本家、矢崎莉桜は、勉強会を開催し、伊藤も熱心に通う。引きこもりの彼女の部屋はゴミ屋敷となっている。唯一の勉強会出身の成功者、クズケンが来て、掃除しようと促すがなんとか断る。伊藤が来て、長編を書くという。4人の女の子に振り回され、振り回し、僕の方から全員フッた経験を書くという。

初出:「GINGER L.」2011WINTER05号~2012WINTER09号の連載に加筆・訂正



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

バタバタと男女が付いたり離れたり。こうだと言っていたのに、実はこうだったと右往左往。伊藤くんみたいな男性は確かにいるだろうが、あまりに振幅が大きく、楽しく読めない。


柚木麻子の略歴と既読本リスト

 





文春図書館」の「著者は語るより。


モデルは存在するのだろうか?

「明らかにいますね。というか、最初の『伊藤くんA』という章は、ほぼノンフィクションです」
「ところが、どう書いても伊藤は傷つかない。こてんぱんにやっつけるはずが、なぜか傷つくのは女性の側。それは彼が、傷つくのを恐れて何もしない、完全な“無”だからです。人と同じ土俵に立たないのだから、何もしないというのは最強ですよね。彼は無神経で鈍感なのではなく、言わば“モンスター”なんです」
?モンスター人間と関わって傷ついたり、迷惑をかけられたりする女性たち。だが、伊藤と違ってきちんと“傷つく”彼女たちは、やがて彼から巣立っていく。
私は女の子が辛いことから逃げたり、楽に生きたりするのは大賛成です。だけど、傷ついちゃダメっていう考え方も良くないと思う。登場する女性たちは、傷つくことで人生に折り合いをつけて、イイ感じに羽ばたいていけると思いますよ



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藤野千夜『君のいた日々』を読む

2013年12月24日 | 読書2

藤野千夜著『君のいた日々』(2013年11月角川春樹事務所発行)を読んだ。

第1章は、入院して4ヶ月足らずで亡くなった妻・久里子を亡くし1年経つのに、何かというと思い出して泣いてしまう夫・加部春生が主人公。第2章は、前日の喧嘩のためにいつもの見送りより扱いを冷たくしてしまい、その日の帰宅途中に駅で倒れ亡くなった夫・春生の死を引きずったまま1年経った妻・久里子が逆に主人公。
愛妻を亡くした夫と、愛夫(あれ! この言葉はない。なぜ?)を失った妻が、かけがえのない人を失った哀しみを抱え、何かと思い出に浸りながら、日々を過ごしていく。夫と妻、それぞれ逆の立場から、交互に描く夫婦愛の物語。

反抗期で母親の久里子には冷たく当たるが、哀しみを抑えることができ、春夫に比べはるかに大人である息子の亜土夢、サバサバした春夫の姉など登場人物は少数だがすべて善人に囲まれたほんわかした愛の思い出。

本書は書下ろし



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

仲の良い夫婦について、お互いを亡くした場合が交互に描かれる。多くの年とった夫婦なら、自分が先なら、あるいは相方が先ならと、ふと考えることがあるだろう。70代になれば、いよいよ片方が欠けることが現実的になり、あと何年このままでいられるのかと、毎日がいとしくなる。しかし「50歳ではまだまだじゃのう」。

伴侶を亡くした心境が交互に語られ、その違いにはなるほどと思う点もあるが、同じような内容が続き、いささか飽きる。とくに夫は、やたらと泣くので、自分で笑ってばかりで客はあくびする落語家のようで、付いていけなくなってしまう。



藤野 千夜(ふじの・ちや)
1962年福岡県北九州市生まれ。麻布中学校・高等学校、千葉大学教育学部卒業。
漫画雑誌の編集者を経て、1995年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。
1996年『少年と少女のポルカ』で野間文芸新人賞候補
1998年『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞受賞
1999年「恋の休日」で芥川賞候補
2000年「夏の約束」で芥川賞受賞(同性愛者のカップルを中心に現代の若者風俗をえがいた)
2006年『ルート225』が映画化
男性であることに違和感があり、女性として生活。

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吉祥寺のパン屋さん「リンデ」でランチ

2013年12月21日 | 食べ物

サンロードの奥、西友の手前の西側、ドイツパンの店リンデ BACKEREI KAFFE Linde に入った。



一階ではパンを売っていて、2階がカフェになっている。窓からはサンロードを見下ろせる。



店内は、ドイツ風の作りになっていて、小物が並び、雰囲気はグーテン??



下で買ったパンを持ち込み、飲み物券を出して飲み物を受け取る。サンドイッチ2つとクロワッサンに、紅茶とマンゴージュース。



ここのドイツパンは本格的で美味しい。ドイツのパンは主要なもので200種類以上、それ以外の小型なパンは1200種類以上という。

リンデというのは、かって住んでいて、今も両親が住んでいる吉祥寺に帰りたがっていたが、20歳で癌でなくなった少女の名前だそうです。

店でもらった小冊子には、「ブレッツェルのお話」も書いてありました。
最初の写真の店の看板にあるブレッツエルの独特の形は、王様に命じられた3つの窓があるパンを作ろうと苦労していた旦那さんを見ていた奥さんが腕を組んだ形だそうです。

ブレッツエル(英語ではプレッツエル)は、北米ではスナック菓子として固いタイプが一般的。ブッシュ大統領が2002年1月NFLのゲームをテレビにて観戦中に喉に詰まらせ一瞬気を失ってソファーから落ち、辛くも口から飛び出したのは、固いプレッツェルだ。
「エ~イ、根性なしのプレッツェル!」と悔しかったことを思い出す。

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水道橋博士『藝人春秋』を読む

2013年12月19日 | 読書2

水道橋博士著『藝人春秋』(2012年12月文藝春秋発行)を読んだ。

芸能界に入って30年近くになる水道橋博士は、自身が芸能人とはいえ、芸能界の潜入ルポライターを自覚し、厳しい条件のもとで磨き抜かれた芸能人の言動を小説のように描く。そのまんま東(東国原英夫)、甲本ヒロト、石倉三郎、草野仁、古舘伊知郎、三又又三、堀江貴文、湯浅卓、苫米地英人、テリー伊藤、ポール牧、爆笑問題、北野武と松本人志、稲川淳二と続く。


厳しい世界でもがく「藝人」たちの言葉が並ぶ。

「楽しいことは楽(ラク)じゃないんだよ。同じ字だけど、よく勘違いしている人がいるんだぁ」(甲本ヒロト)

「ええかぁ、お前らは(中山)秀ちゃんとかバカにしてんだろうけど、あれはいい芸人やでぇえ。ああいう連投が利く、肩作ってないと、テレビという一軍では投げられんでぇえ。・・・」(そのまんま東)

「芸能界は親が死んでもトチれない世界なんだよ。だから辛抱だ、辛抱ってのは、辛さを抱きしめるってことだからな。今はひとりで抱きしめろよ!」・・・「辛抱ってなぁ我慢とは違うんだよ、わかるかい?」(石倉三郎)

ビッグマウスでアクの強さにあきれる2人も登場。
「国際弁護士」湯浅卓
「弁護の相談料は15分で5千万円、YUASAは時給2億円を稼ぐ男です」
(「報酬の方は?」)「3兆円にまけてあげました」

5年間88冊の新刊が出版された苫米地英人(とまべち・ひでと)
「(渡米していた少年時代、飛び級で)中2になるはずが高3になってたんだ」 等々。


 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

苦節何十年の苦労話はなるほどと思うが、単なる変わり者の話は一瞬面白いだけですぐ消える。それにしても、TVに出るような人は、癖が強いし、アクを精一杯ギラギラさせないと売り出せないようだ。



水道橋博士(すいどうばし・はかせ)
1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京し明治大学に入学したが4日で中退。
弟子入り後、フランス座での住み込み生活。
1987年玉袋筋太郎と漫才コンビ浅草キッド結成



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森浩美『家族の見える場所』を読む

2013年12月16日 | 読書2

森浩美著『家族の見える場所』(2013年10月双葉社発行)を読んだ。

家族の日常に起きるドラマチックストーリー。最後に必ず一条の光が射し込んでくる、40万部を誇る家族小説短編シリーズの第7弾。

最後のお便り
入社30年、TVからラジオへと流れて来たベテランアナウンサー寺田武は、地味な番組だが「こころの焚火」を4年7ヶ月担当してきた。最後の放送の開始前、入院中の母が危篤だと電話が入る。武は子どもの頃から飽き性で、母には「お前は物事を全うしたことがない」とよく叱られた。
痩せて節くれだった指に触れる。まだ温もりがある。きっと魂はまだ近くにいるのだ。窓の外に目を向けると、何かの鉄塔の先端に光が点滅していた。まるでオンエアーの赤いランプが点いているようだ。「母さん、いいかい…」私はベッドに上体を載せると、母の耳元に口を近づけた。「それでは、最後の・・・」

閉園近し
突然、急性骨髄性白血病になった男は、一時帰宅して妻と娘とディズニーランドへ行く。

夫婦すごろく
理沙と義母は二人で香港に旅行することになった。夫の母は、自分のことをお義母さんでなく、千恵さんと呼ばせる。その理由は・・・。

かわいい娘
娘のことをいつもブスだ、ブサイクと言っているオヤジが・・・。

イキヌクキセキ
東日本大震災で父母を亡くした葵を子供のいない兄夫婦が引き取る。腫れものに触るように接してきた葵に、妹多香子も子供の頃よく歌を歌っていたと話すと、葵も歌が好きだという。そして、夢は・・・。

笑えよな
一人息子の裕平は明日から東京の大学で一人暮らしを始める。心配で東京の下宿を一緒に見に来た母は帰り道、おもわず泣いてしまう。裕平は携帯を取り出し・・・。

柱の傷は
そろそろ建て替え時期が来ている自宅。息子夫婦との同居の話が持ち上がり・・・。父は、一人で見積書を持ってやって来た嫁の美里に、この家の思い出を語る。

後出しジャンケン
母を事故で亡くした姉妹は父がカタールに滞在せざるを得ず、伯父夫婦に預けられ、苛められる。6歳違いの妹は結婚で別居する前の晩、小言は言っても肝心なことは言わない姉に、けじめをつける。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

あまりにも見事で手練れの泣かせに減点で三つ星だが、しみじみと楽しむ余裕のある方には四つ星だ。

それにしても、さすが、放送作家、作詞家だ。人生の機敏を巧みにつかみ、見事な抑揚をつけて、読む人を最後の泣かせに追い詰める。おじいさんもウルウルだ。



森浩美の略歴と既読本リスト


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九っ井でランチ

2013年12月14日 | 食べ物
二子玉川の玉川高島屋へ。



本館から、ふと、東館を見ると、どこかで見た店があった。「九っ井(ここのついど)」だ。



まだ、横横がない頃、原宿交差点と大船陸橋の間にある「九っ井」本店に車でときどき寄った。やけに広い敷地に陶芸の窯や店などが点在する蕎麦屋だ。

東館の店の玄関をくぐり、古めかしいものと、ナウい絵が混在する空間を地下へ降りる。



店内はビル内とは思えないほど無駄に広く、敷石の空間や陶器などが飾ってある棚がある。離れのお料理は1万円前後と高いので、とうぜんテーブル席へ。

相方は、ととろ¥1000円で、



私めは雑炊¥1200円、



そば団子付き



駅そばにこんな広い空間をとっていて、本当にもうかるのだろうかと心配しながら、美味しくいただきました。



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桜木紫乃『ホテルローヤル』を読む

2013年12月12日 | 読書2


桜木紫乃『ホテルローヤル』(2013年1月集英社発行)を読んだ。

釧路湿原を見下ろす北国のラブホテル「ホテルローヤル」。閉館し廃虚となった後から、40年前のホテル開業前まで順にさかのぼる連作7。男と女が裸で互いに心も身体も求めるラブホテル、そこを訪れる客、経営者の家族、従業員たちの切ない話をどこか冷静に語る。

著者の実家は、ホテルローヤルというラブホテルを経営していて、中学3年の開業時から、建物内に家族で住み、掃除など手伝いに明け暮れた。著者は、「大人って体を使って遊ぶんだあ」と思い、一方で「整理のつかない経験だった」とインタビューで語っている。

シャッター・チャンス
怪我で挫折したアイスホッケーの元選手でスーパーの宅配運転者の男が、同じスーパーの事務員の恋人の写真を廃墟となったラブホテルに一室で撮る。

本日開店
死ぬ間際に「本日開店」と言って死んだホテル経営者。その遺骨を預かった貧しい寺の妻は、檀家からお布施を頂くために・・・。

えっち屋
心中事件があって廃業することになったホテル経営者の29歳の娘は、出入りのアダルト玩具販売の営業担当者と、ゲンの悪い3号室に復讐しようとするが・・・。

バブルバス
墓地で住職を待つ妻は、住職が来ないので余裕ができたお布施の5千円で夫とホテルに入る。

せんせぇ
妻が高校時代の担任と20年続いているとわかった高校教師は、べたべたした声の、馬鹿な格好した女子生徒に付きまとわれる。2人は釧路へ向かう。

星を見ていた
60歳になる山田ミコはホテルの掃除婦。二男一女はもう実家には来ないので、働くことのない10歳下の夫との二人暮らしだ。

ギフト
42歳の田中大吉は看板業者だが、歳が半分ほどの愛人るり子と、すべて借金でラブホテルを開業する。

初出:「小説すばる」2010年4月号~2012年3月号、「本日開店」は書下ろし



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

ラブホテルの廃墟から逆に時間をたどって開業に向かって7つの話が続くので、結果を知ってから経過を知る構成がいろいろ思わせる。
主人公は、いずれも人生、横道のそれかけた者で、貧しく、疲れている。そんな彼らが誘われるように集まってくるラブホテル。人生が凝縮したところ、それがホテルローヤル。

えらく臭い使用後の部屋に入り、掃除するところなど、さすがリアル。



桜木紫乃(さくらぎ・しの)の略歴と既読本リスト

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坂川栄治『本の顔』を読む

2013年12月09日 | 読書2
坂川栄治+坂川事務所著『本の顔 本をつくるときに装丁家が考えること』(2013年芸術新聞社発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。
「人と人とのコミュニケーションが装丁をつくる」 それを30年間、第一線で実践してきた坂川栄治と坂川事務所による、装丁の教科書。
作品紹介にはじまり、採用案と不採用案の比較、打合せ当時についての担当編集者のコメントや対談など普段あまり語られることのない舞台裏に迫り、「装丁」を多角的にとらえた一冊です。
今までに手掛けた数千冊の中から約180冊を厳選し、1冊の装丁ができるまでを図解した内容です。

「若い頃はデザインをすることが一番の歓びでした。そこには当然のように『さあどうだ、すごいだろ』といった、思い出すと恥ずかしくなるような青い自己顕示欲もくっついていました。
しかし経験を積み時間を経て、今は売ることが一番で、デザインは二番目になりました。肩の力が抜けてようやくプロフェッショナルになった、といいうことでしょうか。




2か所だけ引用する。

「熱くフレキシブルに」

始まりはスティーブ・ジョブズ本の装幀依頼だった。・・・そこそこに売りが約束された本だったが、・・・デザイナーとしてもより“売れる仕掛け”を考える点で実に魅力的だったのだ。写真の顔を前に出しましょう、そして黒っぽい本にしましょう、表面の仕上げをツルツルにしましょう、その方が本の印象がシャープになって若い人が買いますよ、と日経BP社の編集者に提案した。・・・発売後、一ヶ月で10万部になった。

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

本の装丁に絞った珍しい本で、興味ある人も少数だろう。
なんで、そうゆう装丁にしたのかについては、十分語っていないが、ともかく坂川さんが装丁した多くの本の表紙の写真がずらずら並ぶ。それらに統一したイメージはない。自分の思いではなく、その本が売れるための装丁に注力しているからだろう。

編集者と会って、出版の思いを語ってもらいながら、メモをとり、イメージを浮かべる。このメモの写真もあるが、このメモがキーらしい。著者とは会いたくないという。売れるためには読者を意識している編集者から話を聞く方が良いという。



目次
はじめに
本ができるまで
1. 装丁の依頼
2. 文字で装う(活字、描き文字、作り文字、【装丁七転び八起き】文字
3. イラストで装う(線画、ペイント、デジタル、立体)
<番外編>装丁各国版、<番外編>装画塾
4. 色で装う(A(男性・中高年層)、B(男性・若年層)、C(女性・中高年層)、D(女性・若年層))
5. 写真で装う(モノ、人物、日本文学、海外文学)
<番外編>写真集、<番外編>作品集
6. 絵本の装丁
<番外編>教材
7. 紙と印刷(紙・加工の種類、表紙・見返し・扉のレイアウト、データの作成、色校正の赤字)
巻末対談
1. 坂川栄治の「装丁」術×早川書房 編集本部 山口 晶 氏
2. 坂川栄治の「コミュニケーション」術×講談社 幼児図書出版部 長岡香織 氏

あとがき



坂川栄治(さかがわ・えいじ )装丁家。
1952年北海道生まれ。
1983年雑誌『SWITCH』を創刊から4年間、アートディレクションをする。
1987年坂川事務所設立。
1993年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。
代表作に吉本ばなな『TUGUMI』、J・D サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』、かがくいひろし『だるまさんが』など手掛けた装丁本は4000冊以上。
著書に『写真生活』、『遠別少年』、『「光の家具」照明』、『捨てられない手紙の書き方』。






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ジャック・ロンドン『火を熾す』を読む

2013年12月07日 | 読書2

ジャック・ロンドン著、柴田元幸訳『火を熾(おこ)す』(柴田元幸翻訳叢書、2008年10月スイッチ・パブリッシング発行)を読んだ。

翻訳家・柴田元幸さんが、多数のロンドンの短篇小説のなかから、作家の多様性も伝わるよう、9本を選んだという短編集。

火を熾す
カナダ北西部からアラスカを流れるユーコン川沿いを男と犬が歩く。零下50度ほどの荒野を凍死の危険すれすれで必死に火を熾す。ようやく危機を脱した男は・・・。

メキシコ人
革命組織フンタは5千ドルの金がなければ挫折してしまう瀬戸際に来ていた。これまでも金をどこからか稼いでくる男リベラが立ち上がる。インチキなボクシングにリベラはついに17ラウンドで・・・。

水の子
マウイの神秘的な老人は、12mも潜り、3mものタコに対し・・・。

生の掟
凍ったツンドラを移動するそり。「父さまは、よいか?」と息子は訊いた。そして老人は「よい」と答えた。極北の姥捨て山で、父は若いころ見た狼に追い詰められるヘラジカを思い出す。

影と閃光
透明化技術を争う二人。

戦争
戦地の偵察員は川の向こう岸に敵を見つけるが・・・

一枚のステーキ
ステーキ一枚が買えない老いたボクサーが、若く力さに溢れたボクサーと対戦する。若者には知恵が欠けている。知恵を手に入れるには、若さを代価に払うしかない、知恵が我がものになったときには、若さはもう、それを買うために費やされてしまっているだろう。老ボクサーは、若かりし日に打ち負かし、ロッカーで泣いていた老ボクサーを今になって思い出す。

世界が若かったとき
サンフランシスコの名士が実は・・・。

生への執着
金を探し当てた男が足首をくじき、仲間の男に見捨てられる。荒野をさまよい歩き、なんとか生き延びて、海岸で倒れたまま動けない。傍らには死を待つこれも死期の近い狼が近づく。その時、・・・。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

厳しい自然と、あるいはボクシングで戦う話がほとんどなので、女性にはどうかと思うが、男性たるもの是非お読みくだされ。

凍り付くアラスカの荒野でなんとか生き延びようとし、今まさに死に至ろうとする迫真の描写には恐れ入る。著者の金鉱探しでの経験のたまものなのだろう。極限の状況が、簡潔、客観的に描写され、その中でもがきながらなんとか生きようとする絶望的生命力が鋭く光る。
敗色濃厚の中で、なんとか活路を見出そうと最後の戦いを挑む人々の姿が描かれ、思わず応援している自分に気が付く。

多くの小説でのボクシングシーンは、ボクシングファンからすると、甘く、嘘っぽいが、この本のボクシングシーンは本物で、パンチが腹にこたえる。



ジャック・ロンドン Jack London
1876年サンフランシスコの貧しい家に生まれる。1889年小学校卒業。工員、漁船の乗組員など。
1897年カナダ北西部クロンダイクでの金鉱探しで越冬
1903年「野性の呼び声」で流行作家に。その他「白い牙」など。
1916年 40歳で病気が悪化し自殺

ジャック・ロンドンの小説は、子供の頃夢中で読んだ「野性の呼び声」しか私は知らなかった。内容はほとんど覚えていないのだが、影響されて戸川幸夫の「咬ませ犬」などへと進んだことを思い出す。
ジャック・ロンドンは、各地を放浪する中で、「一日千語」のノルマを課し、20年ほどの作家生活でジャーナリストとして記事を寄稿しながら、長編小説を20冊、200本もの短編小説を残した。



柴田元幸(しばた・もとゆき)
1954年東京都生まれ。東京大学文学部教授、翻訳家。
1992年『生半可な學者』で講談社エッセイ賞
2005年『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞
2010年トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞を受賞
訳書
ポール・オースター(『ガラスの街』『幻影の書』『オラクル・ナイト』)
ミルハウザー(『ナイフ投げ師』『マーティン・ドレスラーの夢』『エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死』)、
ダイベック(『シカゴ育ち』他)、
レベッカ・ブラウン(『体の贈り物』『家庭の医学』他)。
著書
ケンブリッジ・サーカス』『バレンタイン』『翻訳教室』『アメリカン・ナルシス』『それは私です』など。
対談集
高橋源一郎と対談集『小説の読み方、書き方、訳し方』『代表質問


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静嘉堂文庫美術館で松浦武四郎展を見る

2013年12月05日 | 美術
幕末の北方探検家・松浦武四郎の生涯紹介と蒐集品の展示が行われている(12月8日まで)、
静嘉堂文庫美術館へ行った。

今年の3月にも茶道具を見にいったのだが、あの時は成城学園前駅からけっこう長くタクシーに乗った。

今回は、二子玉川駅からタクシーで10分ほど、こちらの方が近い。

松浦武四郎は、北海道の名付け親でもあり、1845(弘化2)年から1858(安政5)年まで6回、東西北蝦夷、クナシリ、エトロフ、樺太までを探査した。また、全国を旅して考古遺物を蒐集した。
今回の展示は、彼の生涯と蒐集物が展示されている。絵を描くことに巧みであって、珍しい物やアイヌなどの細密な描写絵も多く展示されていた。
それにしても、貴重な物を一人でよく集めたものだ。また、68歳で奈良県の大台ケ原lを探検するなど驚異的なエネルギーだ。

市街地に囲まれた広大な敷地には樹木がいっぱい。



帰りは美術館を出て、



振り返ると、



右手には文庫があり、



円池の周りが駐車場



門までは木々に囲まれた道を歩く



上を見上げれば、イチョウがまぶしい



久しぶりにのんびりした時を過ごしました。




























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西荻でランチ

2013年12月03日 | 食べ物
西荻窪駅南の 「Re:gendo(Re:言堂)」でランチ

相方のご注文は、「一汁一穀三菜膳」 ¥1470なり。
今週は鶏モモ肉のパプリカ煮



変わったものが好きなわたくしめは、
野菜寿司膳 ¥1260



自然な味で、ボリュームも結構ある。
店はけっこう広くて10テーブルほどあっただろうか。男性は私だけだったが。

この類の女性好みのレストランは多いが、ここの特徴は、建物、インテリア。
民家を保存、改造して、テーブルも椅子も木そのもの手触りを大切に、
古いものを大切にとの、かなりのこだわりのある店つくりだ。
(詳細はHPをご覧ください)

外観は全く目立たない。西荻駅南口のアーケードを抜けて旧府道から西を見ると、



一見、普通の民家だ。



名刺の裏の地図は、






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酒井順子『そんなに、変わった?』を読む

2013年12月01日 | 読書2

酒井順子著『そんなに、変わった?』(2013年6月講談社発行)を読んだ。

「週刊現代」の連載をまとめたものということで、本全体のテーマはなく、その時々の街や、身の回りの女性達の話題を拾い集めている。

健さんはスマホを持っているか?
・・・最近、「電車の中でいちゃいちゃするカップル」も、滅多に見なくなりました。・・・「あら、最近のしては珍しい。どんどん抱き合いなさいね」とエールを送りつつチラと見ると、・・・女の子の方は、ひしと男の子に抱きついているのに対して、男の子は一応、女の子に手を回しながらも、片手でスマートフォンを操作しているではありませんか。

字ギレイ顔
字がきれいな人には、ある種の特徴がある気もします。女性ならば、色白で黒髪、顔立ちははっきりしすぎず、涼しげ。女優で言うなら檀ふみさんのような感じで、あまりお色気ムンムンではない・・・。しかし、そんな私の「美しい文字信仰」を崩したのは、あの連続殺人疑惑の木嶋香苗被告でした。

嫁力と姑力
嫁力が最高値まで鍛えられた時に、嫁という生き物は姑と化すのだと私は思います。嫁は、自分の息子が結婚した時に姑になるのではなく、嫁力を鍛えていくうちに、じわじわと姑化していくのではないか。・・・
嫁という人々は往々にして、婚家に家風や習慣を、その家に生まれた人よりもきちんと身につけているものです。

高齢者は金次第、若者は顔次第
「順子ちゃん、私達のあいだでは今、〇〇園(浴風園)に申し込むのが流行ってるのよ」・・・「何年か前に申し込んだ時は、何と十六年待ちですって言われたわ。『その時まで、お元気で!』ですって。老人ホームに入るのも、健康第一なのよ」

初出:「週刊現代」2012年5月~2013年4月の連載からの46本



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

さすが、女性で、連載エッセイスト、常にネタを探している酒井さんの観察眼は細かい。考察が “常識+α“ なのもそれなりの人気を保っている理由だろう。それにしても、もう8冊目とはご苦労様です。

アラフォー過ぎの女子が集まり姦しい。かっては、そちら関係のシモネタで盛り上がっていたお仲間も、今では「シモはシモでも、自分のシモではなく親のシモについての話になったとは・・・」と慨嘆している。



酒井順子の略歴と既読本リスト




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