脂っこいものがこれでもかとばかり大量に出てくるレストランを避けて、調理道具や、食器類は一応そろっているコンドミニアムで、ほとんどの日は自炊していた。夕16食、朝12食の食卓の写真が丹念に撮ってある。
朝はパンで、夕飯の主食はご飯だが、オーストラリア産のコシヒカリは、けっこうおいしくて、メチャクチャ安い。
夕飯のメインは、牛のステーキが七食、魚五食、鶏三食、野菜一食だった。私たちは、日本ではほとんと肉は食べないのだが、なにしろオーストラリアは牛肉が安く、びっくりしてついつい買ってしまう。しかし、スーパーの棚には、小さな肉が少なく、しかも、肩だか“すね”だかわからないが、やたらと牛肉の種類が多く、選ぶのが大変だ。薄切り肉がないし、こった料理は出来ないのでついついステーキになってしまう。
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魚は種類が少ないし、肉に比べ高く、切り身しかない。鮮度が不明で、鯛もどきの煮魚か、サーモンのムニエルになってしまう。スーパーでも生カキは売っているのでたまには夕食に並んだ。
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ときどき、日本人の店員さんのいる魚屋に行き、刺身や、アラの煮付け、それに大きな茹でロブスターを買うのが楽しみだった。
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昼飯はカフェなどで食べることが多いので、朝も、夜も、サラダや、野菜の煮物を食べるようにしていた。野菜は日本と変わらないものも多いが、安く大きい。旬をはずれた野菜はほとんど見かけないので、露地ものしかないのだろう。
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安くて美味しいマンゴーが季節はずれだったが、果物は、豊富で安い。
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トマトは日本の方が美味しいが、野菜というより果物なのだろう。日本のイチゴもはるかに甘く美味しいが、これも果物というよりお菓子になっているのだろう。オーストラリアのほとんどの野菜、果物が日本のものより桁外れに大きいのだが、リンゴだけははるかに小さい。想像するに、オーストラリアでは間引かずに手をかけないが、日本では間引いて、一つ一つを大きく育てるのだろう。
スイーツは、甘さ控えめなどという考えはなく、ただただ甘く大きく、デリカシーのかけらもない。
こまかい心遣いがなく、素材で勝負するオーストラリアと違って、日本では野菜、果物などにも手をかけて、自然のままの状態を抜け出して、食べやすく、より美味しくしている。しかし、一方では値段が高くなってしまっているし、逆に高くするため、あれこれ品を変えていらぬ工夫をしているとも思えてくる。