hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

パリへ出発

2009年06月30日 | 海外
今年は、インフルエンザのおかげで、オーストラリアやカナダへの旅行を中止してしまった。モンサンミシェルとパリへ行ってみたいという天の声に従い、フランスなら心配ないだろうと、ルーアン、モンサンミッシェル、ロワール、パリをめぐる8日間のツアーに参加した。

いつもなら年寄りにはきついツアーは避け、フライトとホテルだけインターネットで予約して、日程は天気、体調を見て現地で決める個人旅行にする。しかし、フランス語は地名も読めず、パリからロワール地方、ノルマンディー地方まで足を延ばすとなると、交通や宿泊がやっかいだ。そして何より、ツアーの圧倒的安さに負けた。

何回かに分けて、ご報告。



朝10時半のフライトなので6時半には家をでないといけない。最初からあわただしいのはいやなので、成田のホテルに前泊した。といっても、朝7時には起きないといけないのであまり変わらないと言えば言えるのだが。

このホテルは、成田空港のゲートのすぐ近く。





部屋は泊まるだけなので良いのだが、ビジネスホテル程度。しかし、ドアのチェーン?がこれでは、心もとない。





例によって、飛行中は、日本語吹き替えのある映画を求めて、一睡もせずに見っぱなし。World何とかという分類に日本映画を発見。シメシメと、クリックすると、画面が鏡になった。と思ってよく見るとどこかわずかに違う。福山雅治だった??

「天才物理学者・湯川教授の目の前に立ちはだかるのは、湯川が生涯で唯一天才と認めた男、天才数学者の石神哲哉(堤真一)。そして、美しくも憂いのある隣人・花岡靖子(松雪泰子)。ある日、花岡靖子の元旦那が、死体となって発見される。」という、映画叛の「容疑者Xの献身」だ。

コメディ・ロマンスの分類などいくつかを見そこなって、シャルル・ド・ゴール空港へ着いた。



空港Terminal2の建物はカマゴボのような斬新なデザインだ。







ここでいきなり、帰りになるが、帰りもシャルル・ド・ゴール空港から発った。
赤ちゃんや犬もチェックインを待っていて、おもわず微笑んでいたら、



自動小銃を持った兵隊が見回りに来た。





平和ボケと言われようと、やはり日本が良いと思いつつ、映画を楽しんでいるうちにボーイング777-300ERで、9719kmを11時間5分、日本へ一つ飛び。



場面コントロールが肘掛でなく、座席前面にあって扱いやすい。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タミフルとリレンザ

2009年06月20日 | 健康


明日からフランスに行くので、しばらくこのブログはお休みします。30日ごろ、再開するつもりです。



そこで、今回は、ようやくマスコミや舛添さんのはしゃぎすぎがおさまってきたインフルエンザの話。

この騒ぎで、5月のオーストラリア旅行をキャンセルしたが、5月にはたいしたことなかったオーストラリアでは、今、冬に向かい感染者が増加している。また、日本でもあちこちでパラパラと感染者が出て、話題にもならなくなって来た。結果からみれば、あの時、行ってしまった方が良かったようだ。

そこで、一週間ちょっとだけ、フランスに行くことにした。かかりつけの医者のところに行ったついでに相談したところ、「今のところ豚インフルエンザは、タミフルとリレンザに耐性を持っていないようなので、感染してから48時間以内に飲めば、治るか、すくなくとも軽症で済む。一応、用心のためにタミフルか、リレンザを出しましょう」ということになった。

フランスはとくに心配な場所ではないし、高齢者は感染しないとの話もあるが、空港や飛行機の中にはいろいろなところから来た人がいて、万が一ということもある。帰国してから接触した方々に(奥さん以外に濃厚接触する予定もないが??)御迷惑をおかけしてもいけないので、奥さんはタミフルを、私は、ならばとリレンザをもらった。
予防のための服用は保険外なので、両方とも、治療代と薬代で10日分、8千円弱だった。
薬が違うので、一方が異常行動を起こしても、他方が止められるだろうと思ったが、医者は、異常行動の原因は薬でなくインフルエンザそのものだと思っていると言っていた。



4月30日の「抗ウイルス・マスクと求めて」に書いたマスクのほかに、さらに医療者用のマスクも手に入れたが、息苦しくて1時間もかけていられないものなので、マスクだけでは防ぎきれないようだ。もともと、マスクは他人にうつさないためのものなのだろう。



インフルエンザ・ウイルスは増殖スピードが速く、たった1つのウイルスが24時間後には約100万個に増殖するという。感染したら早めの処置が必要だ。
ウイルスが気道の粘膜細胞に侵入し増殖することにより、急激な発熱(38℃から39℃以上)から始まる。

熱が出て、感染したと思ったら、一日2錠飲むが、予防のためであれば、一日1錠でよい。奥さんがもらったタミフルは、錠剤でただ飲むだけだが、



リレンザは吸入式で機器の扱いが多少ややこしい。



「glaxosmithkline」社のリレンザのビデオによる解説が分かりやすい。
glaxosmithkline.co.jp/healthcare/medicine/relenza/index.html

まず、カバーをはずし、



トレーを引き出す。



両側のグリップを押しながら、トレーを外す。



薬の入ったディスクをのせ、



トレーを差し込んで、もとに戻す。



ふたを立てると機器の爪がディスクに穴を開ける。この薬は湿気に弱いので、穴を開けると、すぐ吸入しないと効き目がなくなる。



そのまま水平にしたまま、息を吐いてから、吸入口をくわえて深く息を吸い込む。このとき、空気孔をふさがない。



吸入器を口からはずし、そのまま2、3秒息を止める。
もう一度、トレーを引き出して、戻すと、ディスクが回転し、2回目の薬がセットされる。ふたを立ててディスクに穴を開けて、吸入する。
カバーをはめて終了。予防は、一日一回、2回の吸入を行う。


では、しばしのお休みとなります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉祥寺駅前で

2009年06月19日 | リタイヤ生活

昨日18日(木)、用があって、吉祥寺駅前へ出かけた。

よく見る建物だが、あらためて見ると、ツタもここまではびこると気味悪い。



東急デパート裏手の繁華街の一角に、そこだけタイムマシーンでエアーポケットになったような古びて、倒れそうな民家があり、お年寄り夫婦が縁側に座り、ダラダラ、ゾロゾロと前を行く若者たちを眺めている。



駅前に工事中の建物の大きな看板があった。思い出した。昨日の夕刊にあった事故現場だ。

事故のニュースasai.com

17日午前8時ごろ、JR吉祥寺駅北口(東京都武蔵野市)のスーツ店「P・S・FA吉祥寺店」前の歩道で、同店の看板が倒れ、歩いていた登校途中の成蹊高校3年男子生徒(18)を直撃した。武蔵野署と東京消防庁によると、男子生徒のけがは比較的軽いとみられるが、病院で治療を受けている。





看板は鉄製で縦4メートル、横3.5メートル、重さ100キロだそうだから、軽い怪我でよかった。消防車が何台か止まっているが、サンロードの方が騒がしい。



サンロードの入口がボヤ騒ぎのようだ。



奥様と待ち合わせての帰り道、喫茶店に入り、コーヒー、紅茶とランチを注文。
紅茶は珍しいプランジャー入りで、コーヒーはシャレた受皿にのって出てくる。





なにごともない昼下がり。たわいもない話を聞きながら、これで良いのだと思う。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

島田雅彦「小説作法ABC」を読む

2009年06月18日 | 読書2
島田雅彦著「小説作法ABC」新潮新書、2009年3月、新潮社発行、を読んだ。

裏表紙にはこうある。

“ここに書かれてあることが理解でき、かつ実践できるならば、作家になる資格は十分にあるでしょう” 人は誰でもストーリーテラーになる。「物語る能力」を最大限に生かすための基本的技術とは何か?一行目を書き始める方法から、構成の技術、新しい文体を発明する秘術、職業作家としての心構えまで、奥深い「プロのコツ」をシンプルに伝授する本。


2007年に著者が法政大学で行った講義をベースとした、小説の企画、構成法、人称、対話など細かい点にまで触れた小説を書くため教科書だ。豊富な文例が引用されている。


著者のアドバイスをいつくか列挙する。

冒頭で読者を驚かせよ。起承転結は格好よく決めよ。サプライズを供給しつづけ、読者の期待をいい意味で裏切りつづけよ。

小説の企画書を書いてみる。例えば、100字以内のあらすじを無数につくり、どれが魅力的か深く自問したり、友人の意見を聞く。

キャラクターの、年齢、性別、性格(書き進めていくと変化する)、階級、名前を決め、主人公については過去も想定しておく。

話して聞かせる一人称が一番書きやすいが、二重人格になってみる、あるいは軽い幽体離脱でもやって、観察者と自分の間に距離を置いて、自己批判を織り交ぜることが必要だ。
三人称で語るのははるかに難しい。一般的には、出来事がすべて終わってしまった段階で、多くの場合は時系列で、読者に向かって語り手が読者に向かって語りなおしてゆく形式をとる。

昨今の小説は、登場人物たちの対話で物語が進行していくタイプが多い。方言をマスターするため友人関係を活用したり、行き交う人の会話を模倣したりする。

毎年、全部で5000もの応募作の中からいくつかの受賞作が決まる。しかし、近年の応募者には力みが感じられず、作品には良くも悪くも脱力傾向が見られる。



島田雅彦氏は、1961年東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。小説家。法政大学国際文化学部教授。1983年大学在学中に発表した「優しいサヨクのための嬉遊曲」が芥川賞候補となり、注目を集める。「彼岸先生」泉鏡花文学賞、「退廃姉妹」伊藤整文学賞。著書多数。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

小説の書き方なる本をいくつか読んだが、この本が一番よくまとまっていて、さすが教科書だ。

確かに、この本を読めば、小説らしきものは書けそうな気がする。ただし、意欲があり、書きたいことがある人に限られ、その成果も多くがあくまで、“らしき”ものに過ぎないのであろう。

それにしても、「小説は読む人より、書く人の方が多い」と言われる現在、著者は、なぜ小説の書き方を指導するのだろうか。小説らしくないものが多いからか、あるいは、もっと多くなれば数打ちゃあたると思っているからか。



目次
1 小説のジャンルとは
2 小説の構成法
3 小説でなにを書くのか
4 語り手の設定
5 対話の技法
6 描写/速度/比喩
7 小説におけるトポロジー
8 小説内を流れる時間
9 日本語で書くということ
10 創作意欲が由来するところ
11 番外篇―私の経験に即して


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピーター・キャメロン「最終目的地」を読む

2009年06月16日 | インポート

ピーター・キャメロン Peter Cameron 著、岩本正恵訳「最終目的地」新潮クレスト・ブック、2009年4月発行を読んだ。原題は、“The City of Your Final Destination” 。

表紙の裏にはこうある。
南米ウルグアイの人里離れた邸宅に暮らす、自殺した作家の妻、作家の愛人と小さな娘、作家の兄とその恋人である青年。ナチスの迫害を逃れてきた先代が、ドイツ風の屋敷をたてたこの場所で、人生を断念したかのように静かな暮らしが営まれていた。そこへ突然、作家の伝記を書こういうアメリカの大学院生がやってくる。思いがけない波紋がよびさます、封印した記憶、あきらめたはずの愛-。全編にちりばめられたユーモアと陰翳に富む人物像、それぞれの人生を肯定する作者のまなざしが、深く暖かな読後感をもたらす。英国古典小説の味わいをもつ、アメリカの傑作小説。


この本の映画化“The City of Your Final Destination”が、ジェイムズ・アイヴォリー監督により完成しているようだ。真田広之が出演しているのに、配給が決まらず未公開らしい。このサイトにある映画の(小説と同じ)あらすじのいいかげんな訳が以下。 ( )は役者の名前


 

米国の若き大学院生オマー・ラザキOmar Razaghi (Metwally)が、最近亡くなったウルグアイの小説家ユルス・グントJules Gundの伝記を書くために相続人達の許可を得ようする。かれの積極的で有能なガールフレンドのディドラDeirdre(Alexandra Maria Lara)は、拒絶を取消してもらうよう積極的に行動するように彼に促す。彼は彼らの決心を変えてもらえるかもと希望を持ち、はるかウルグアイの田舎の彼らの家へ突然押しかける。・・・

グント一家は、草深く、蒸し暑いオチョ・リオスと呼ばれる広大な私有地にある2つの大きな古ぼけた家に住んでいる。

作家の未亡人キャロライン・グントCaroline Gund (いつものLaura Linneyと違いとげとげしい)はけして許可は与えないと繰り返し頑強に言う。

作家の兄アダム・グントAdam Gund (Hopkins)は逆の意見で、伝記だけが作家の名を残すことができるという。

作家の若い女主人アーデン・ラングドンArden Langdon (Gainsbourg)はキャロラインの側に立つ。そして、彼女は・・・。

オマーのさらなる二人の支持者は、グントの10歳の娘ポーシャPortiaと、アダムの事実上の伴侶ピートPete(真田広之)だ。



著者のピーター・キャメロンPeter Cameron は、1959年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。少年時代をイギリスで過ごす。ニューヨーク州ハミルトン大学卒業。1986年、短篇小説集「ママがプールを洗う日」でデビューし、高い評価を得る。長篇小説に「うるう年の恋人たち」「ウィークエンド」。2002年刊行の「最終目的地」はPEN/フォークナー賞およびロサンゼルス・タイムズ文学賞の最終候補になった。



訳者の岩本正恵は、1964年生まれ。東京外国語大学卒。翻訳家。主な訳書は、「巡礼者たち」エリザベス・ギルバート、「キス」キャスリン・ハリソン、「シェル・コレクター」アンソニー・ドーア 、「ノーホエア・マン」アレクサンダル・ヘモン、「世界の果てのビートルズ」ミカエル・ニエミ 、「石の葬式」パノス・カルネジス。
出版翻訳データベース」にインタビューコーナーがあって、岩本正恵さんが登場しているが、いかにも売れそうもない本、雑誌などの下訳、共訳から始めて、今があることが分かる。翻訳家で独り立ちするのは大変だ。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)



原文もおそらくそうなのだろうが、訳文もすらすら読め、434ページとかなり厚い本だが、一気に読み終わった(実際は2日で)。筋立てはドラマチックなものではないし、次々と事件が起こるわけでもない。読むにつれ謎が深まり、引っ張られるのでもない。登場人物の魅力と、会話の中から次第に明らかになってくる人間関係に興味を引かれる。もちろん、結末も知りたくて、スラスラと読み続けてしまった。

すべての会話が生き生きとしていて、草深い田舎の古めかしい屋敷といった舞台装置も、個性的な人物を際立たせる。

優柔不断でいつもボーとしている主人公としっかりものの彼女とのやりとりがリアルで、作家の兄、妻、愛人3人の関係、個性が見事に描かれている。

厚い本だが、登場人物は、10名たらずで、キャラがはっきりしているので、いつも翻訳本で悩まされるカタカナ人名の混乱もなかった。

私には久しぶりの面白い小説だが、派手なところのないこの小説は万人向きなのか、私にはわからない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「コンサート自由の風の歌」

2009年06月15日 | 趣味
「コンサート自由の風の歌」を聞きに丸の内線の東高円寺に行った。5月30日のことだ。

前回の「杉並区立蚕糸の森公園」を抜けて、高円寺陸橋の下をくぐり、「セシオン杉並」に向かう。



ホールの入口には、「コンサート自由な風の歌」と手書きの看板。



このコンサートの入場料は破格の2000円だが、卒業式などで国家斉唱のとき起立しなかったり、ピアノの伴奏をしなかったため処分された教職員の裁判を支援するために使われる。
年1回、4回目の開催だが、これで最後になりそうだという。残念だ。

コンサートの聴衆は50歳以上と思われる女性が圧倒的で、いかにも教師といった地味な服装で、眼鏡の人が多い。




オープニングは林光さんのピアノでバッハの「前奏曲とフーガ ハ短調」。
林さんが登場し、椅子に座ると何気なくそのまま静かに始まった。途中から徐々に大きな音になり、久しぶりの生ピアノはこんなに大きな音だったかとびっくり。

林光さんは作曲家で、私でも名前を聞いたことのある有名な方だ。日本のうたごえ運動の創成期の頃から活躍されている方で、うたごえ運動では、林さん作曲の歌が多く歌われていた。サントリー音楽賞受賞のオペラ「セロ弾きのゴーシュ」、モスクワ音楽祭・作曲賞受賞の映画音楽「裸の島」や、合唱組曲「原爆小景」が有名で、著書も多い。

次は、崔善愛さんのピアノと三宅進さんチェロでの、このコンサート恒例のカザルスのカタルーニャ民謡「鳥の歌」。
カザルスがファシストに音楽で抵抗するために作った「カタルーニャの鳥たちはピース、ピースと歌う」という曲で、今回は人間の声にもっとも近いチェロと、ピアノで演奏すると林さんから紹介があった。

休憩をはさんで、崔善愛(チェ ソンエ)さんのショパンの「幻想即興曲」と「ノクターン 遺作 嬰ハ短調」は、著書などのイメージからか、なんとなく理が勝っているような気がした。
次は、林さんの歌、朗読とピアノで、「ロルカの民謡と詩」。ロルカはスペイン内戦の中、38歳で殺された詩人。林さんの語りは、厳しい内容なのだが、軽妙で、ユーモアがあり楽しい。喜寿を過ぎた林さんのピアノ弾き語りは見事だった。本当に才能溢れる方の反骨精神は楽しく、冴えていた。

あとは、山田さんと小澤さんの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」。
最後が、林さんが指揮する合唱団が「鳥の歌」(林編曲)、「欠陥」(林作曲)、「タ・タララ」(ロルカ採譜・編曲)を歌い、盛り上がって終演となった。




崔善愛(チェ ソンエ)さんは、北九州出身。愛知県立芸術大学、および大学院修士課程修了。後に米国インディアナ大学大学院に3年間留学。ピアニストとしての演奏活動のかたわら、全国各地で「平和と人権」をテーマに講演をおこなっている。著書に「自分の国を問いつづけて―ある指紋押捺拒否の波紋」(岩波ブックレット)

三宅進さんは、チェリスト。桐朋学園、インディアナ大学で学ぶ。群馬交響楽団首席チェロ奏者を経て、現在はソロ、室内楽、主要オーケストラへ首席奏者などとして活躍している。

山田百子さんは、ヴァイオリニスト。桐朋学園大学卒業後、'96年ドイツ・ケルン国立音楽大学大学院副首席で卒業、芸術家称号取得。新日鐵音楽賞をクァルテット・エクセルシオのメンバーとして受賞。

小澤佳水さんは、ピアニストで、東京藝術大学卒で、同大学院修士課程を今春修了。ペトロフピアノコンクールなど第一位。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東高円寺の公園

2009年06月14日 | 行楽
「セシオン杉並」に行くので、丸の内線の東高円寺駅で降りた。5月30日のことで、記憶もまばらになったので写真を見て思い出しながら書く。

東高円寺には初めて降りた。ホームに仕切りの柵がある(写真は下り線)。設置にはけっこうなお金が必要と聞いた。事故や事件を防ぐためには良いことだが、車掌をなくし、ワンマン運転にするためなのだろう。



地上に出ると青梅街道で、向こう側に公園がある。青梅街道沿いの木立の中を進んだら、ジャングルジムがあった。



どうもボイラーかなにかを利活用したようだ。



なかなか立派な滝もある。



葉が垂れていて何か変な桑の木がある。看板には枝垂(しだれ)桑とあり、「この地は1974年(昭和54年)まで国立蚕糸試験場があって、改良品種のなかで枝が下垂するめずらしい品種を保存している」と書いてあった。



正門を出てみると、「杉並区立蚕糸の森公園」とある。



時間があったので、再び中に入り、奥の池へ行くと、「亀がいるわよ!」という奥様の声。久しぶりの亀とのご対面だ。



いたいた、もう一匹、甲羅干ししながら、こちらをにらんでいる。



さらに進むと、なんだ、ゴチャゴチャいるではないか。こうなるとありがたみが薄れる。



変なおじさんが、「亀池、亀池、亀がいっぱいだから、水鳥は来ません!」と大きな声で歌いながら歩いてくる。何気なきように、そっと避けながら、公園を出て、高円寺陸橋の下をくぐり、目的の「セシオン杉並」に向かった。

「セシオン杉並」での「コンサート自由な風の歌」の様子は次回。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「『戦争体験』の戦後史」を読む

2009年06月13日 | 読書2


福間良明著「『戦争体験』の戦後史-世代・教養・イデオロギー」2009年3月発行、中公新書1990を読んだ。
前回の「なぜこの本を読んだかについて」に続き、今回はいつものように、本の紹介、感想を書く。

「戦争体験」はあまりに幅広いので、著者は、戦没学徒の遺稿集「きけわだつみのこえ」をまとめた日本戦没学生記念会の主張と、会への批判の変遷に絞っている。それによって、時代、世代の先の戦争に対する考え方の変化を示そうとしている。

1949年発刊された「きけわだつみのこえ」はベストセラーになり、その後もカッパ・ブックスや岩波文庫となって多くの読者を獲得し、2度にわたり映画化された。

共感と賞賛をあびた本だが、戦前派の一部は、「戦没学生は、戦争への忌避感や平和への願望を抱いてはいたが、内省的教養のみで社会科学的教養に欠けたため、社会的戦いへの行動を起こすことに思い至らなかった」と批判した。

戦中派(1920年代前半に生まれた人々)は、戦時期に学徒出陣や勤労動員に駆り出されたので十分な教養が身につかなかった。そのため、戦前派と戦後派にはさまれ、自信のない世代だった。彼ら(の一部)は、戦死の無意味さや、戦争体験の語りにこだわり、安易に現実政治に直結されることに抵抗した。これは、以前の運動が、政党や政治に振り回されたことへの反省でもあった。

戦後派は、戦中派の議論を「自らの戦争責任には触れず、被害者意識のみだ」として批判した。しかし、中でも小田実などは、状況によっては自分も加害者になり得ると自らに問いかけた。

全共闘の学生は、1969年、立命館大学にあったわだつみ像を破壊した。彼らにとって「わだつみ」に代表される「戦後民主主義」は堕落と腐敗を意味し、戦後民主主義の日本は管理社会と化した先進帝国主義だった。彼らは、「20数年前、多くの学徒兵を複雑な思いで見送ったわだつみ世代は、いまや教官となって権力の手先に成り果てている」と非難した。
これに対し、野坂昭如は、「死者の悲しみをみとめた上で、ふたたびその事態の起こらぬよう行動するのと、死者をおろかときめつけて闘うのと、どちらが強いか」と怒った。

以下、略。なお、巻末に、詳細な参考文献リストと、「戦争体験」の戦後史の関連年表がある。細かい字で6ページにもわたる年表をはじめから見ていると、吾ながら、触れ幅の大きい時代を経て、いろいろなことがあったと思い、年月と歳を感じてしまう。



著者の福間良明氏は、1969年,熊本市生まれ。立命館大学産業社会学部准教授。同志社大学文学部社会学科卒、出版社勤務ののち、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了、香川大学経済学部准教授を経て、現職。著書に『「反戦」のメディア史』世界思想社・2006年など。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)



いわゆる「戦争体験」そのものにはまったく触れていないので、タイトルにだまされた感じがする。たしかに、「きけわだつみのこえ」に関する評価が、時代とともに左右に振れることで、各世代の先の戦争に対する考え方の変化がはっきりと示されているのだが。

さらに、この本にあるのは戦後と言われる昔の話ばかりで、私にはもっと興味ある「自虐史観論争」や、「靖国論争」のような比較的最近動向にほとんど触れていない点に不満がある。

しかしながら、「きけわだつみのこえ」に代表される当時のエリート、学徒兵の戦争体験、戦死への旅立ちについて、その後の共感、反感、反省など時代と共に評価が右往左往する様子と原因は良く書かれ、分析されている。戦後史の貴重な一断面になっている。

ひとつ気になったのは、「教養」に対する各世代の考え方の違いに分析のポイントを置いている点だ。教養ある戦前世代と、教養をつける環境になかった戦中世代、教養に反発する戦後世代との側面はあるのだろうが、少なくとも今どきは「教養」は死語なので、私には、「教養」が世代間の対立点の主要ポイントという視点はぴんとこなかった。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の「戦争体験」と「愛国心」

2009年06月12日 | 政治

福間良明著「『戦争体験』の戦後史-世代・教養・イデオロギー」中公新書1990、2009年3月発行、を読んだ。
今回は、なぜこの本を読んだか、について一言、と思ったがついつい長くなってしまったので、本の紹介、感想は次回。

私は、終戦時2歳であるから、直接の戦争体験はない。しかし、子供の頃、近所のおじさんから、日本軍の陰惨なイジメ話や、母から空襲のときの話などを聞いていて、戦争は身近な話題だった。そして、ただただひもじい毎日や、傷痍軍人、浮浪児、引揚げ船、尋ね人の放送、そして、派手で明るい進駐軍を通して過去の戦争は近いところにあった。

やがて、朝鮮戦争が起こり、自衛隊ができ、「本当に良いのかな?」と思っているうちに、豊かになり、そして、いつのまにか、自衛隊がカンボジヤへ派遣され、ソマリア沖に行くという。日本の船が攻撃されていると聞けば、防ぎたいと思うが、「国益」のためと言われると、「国益」とは何?と思う。自衛隊の船のそばを通る外国船が海賊に攻撃されていれば、守ってあげるのが、自然と思うが、そのままズルズルと、と不信から不安に思う。
やはり、無理やりの解釈を繰り返しているとはいえ、つっかい棒の憲法9条を変えてはだめだ、えらいことになると思う。素直でないとも思うが、施政者に対する、私の強い不信の念がそうさせるのだろう。


ここで、愛国心について一言。

自国に誇りを持つというのは自然な感情だ。しかし、強制される愛国心は施政者の意図でゆがんでいると思った方が良い。
国家というものは、必要悪だと思う私は、政治的にも、経済的にも小さな政府を理想と考える。したがって、愛国心とは、日本の国土、風土、文化を愛おしいと思うことであり、国家とは次元が異なると思う。

日本の伝統の名の下に、半強制されることも多いが、実は明治以降の富国強兵の掛け声のもとで作り出されたものである場合が意外と多い。そもそも万世一系と言われる天皇は、いにしえの時代を除けば、庶民には、どこかにいるのかもしれないが、自分にはまったく関係ないもので、施政者には利用するものでしかなかったのではないだろうか。明治以降に絶対君主として天皇が下々まで浸透したに過ぎない。日の丸も、君が代も日本の歴史の中では、時の施政者の意図により作られた新参者だ。
私は、日本の伝統とは、絵画、陶芸、工芸、文学、芝居、お茶など芸能、芸術の中にこそあると思っている。勇ましく、愛国心や日本の伝統を叫ぶ人には、これらを愛する人が少ないような気がするのだが。
そして、これらの多くが、中国や韓国から学んだものに、独自の創意工夫を加えて育んだものであることを考えると、他国の文化、伝統をも十分尊重しなければならないと思う。


ここ2,3年だろうか、ネットの中では、「昔の保守反動」とも思われる言動が、若い人の間で勢いを得ている。これらは、一部の若い人の現実生活の不満がたまっているためもあろうと思うが、社会を支える多くの若い人、中年の人びとの政治へのあきらめには、またいつか来た道かと、不安になる。
そして、私自身にも、世の中は時代が移るごとに、らせん状であっても、徐々に良くなっていくとの思いがあったのに、最近では否定的な気持ちになりがちだ。

過去のアジア太平洋戦争についての評価が今後どう変化していくのか不安に思っていたので、「『戦争体験』の戦後史」を読んで見た。必ずしも、意図したところとは違っていたが、この本については次回。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

武蔵野市役所の窓から

2009年06月11日 | 日記
武蔵野市役所の8階にある「パンとスープとコーヒーと天然酵母・国産小麦の店カフェ・ル・ブレ」に行った。
まあ、名前ほど大きな店ではなく、市役所の食堂の脇にある喫茶コーナー風の店だ。福祉作業所で作ったパンが出されると聞いてやってきた。

社会福祉法人「武蔵野」が運営しており、今年4月にオープンした。ル・ブレはフランス語で小麦のことだそうだ。最近は、と私が言うのは5、6年前からということだが、フランス語の店の名前が多く、覚えられない。まあ、英語でも、このごろは日本語でも同じようなものか。

窓際のカウンター席に座ると、目の前に武蔵野市が広がる。正面の建設中のビルが武蔵野タワーズというマンションだ。肉眼では遠くかすかによみうりランドの観覧車が見えたのだが。



武蔵野タワーズは完成すれば28階と31階建てのツインタワーになる(写真は5月22日)。最上階は数億円という高級マンションらしい。広告に、三鷹駅徒歩2分とあるのに、「『武蔵野』という生活」だの「武蔵野アドレス」と書いてあるのが笑える。「三鷹」に誇りを持て! まあ、確かに、三鷹駅は、三鷹市に属するのは南西半分で、北東の半分は武蔵野市なのだが。



南西側を眺め、



南東側を見ると、手前に武蔵野市民公園があり、左手には大野田小学校や、市水道部のタンクが見える。左上遠くは井の頭公園西端のマンション群だろうか。



手前の武蔵野市民公園の木陰で、幼児とお母さんがランチを食べている。遠足だろうか。



しかし、食べ終わると、日陰にずらりと並んだママチャリで一斉にご帰還。



我々もおいしいバンやコーヒーをいただいて、市役所の北側から外を眺める。木々の向こうに千川上水が流れていて、その向こう側は練馬区だ。高い建物の多くは青梅街道沿いのマンションだろう。



北西にあるのは、立替の話が出ている武蔵野クリーンセンターだ。ありていに言えば、ゴミ焼却場なのだが。その左端の建物が、古巣の研究所の展示ホールだろう。












コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤沢周平「たそがれ清兵衛」を読む

2009年06月10日 | 読書2

藤沢周平著「たそがれ清兵衛」新潮文庫、1991年9月発行を読んだ。

極端な風体、性格を持つがゆえに普段は侮られている武士が、藩内の派閥抗争の中で若い頃に習得した秘剣の冴えをみせ、周囲を驚かす活躍をみせる。その一瞬の輝きの後、また前の生活に戻るという人生の彩を描く情味あふれる連作全8編だ。

「たそがれ清兵衛」:下城の太鼓が鳴ると、寝たきりの病弱な妻の世話のためいそいそと家路を急ぐ、「5時から男」の「たそがれ清兵衛」。領内を二分する抗争から距離を置いてきた清兵衛に、一大事が要請される。断るが、妻に名医を紹介するとの言葉に心が動く。そして、秘剣が・・・、妻は・・・。

「だんまり弥助」:心無い言葉で結果として従妹を自害に追いやった悔やみから極端な無口になる「だんまり弥助」。その恨みを晴らした後、無性に誰かに話しかけたい気持ちに気づく。

「日和見与次郎」:父は、加わった派閥が藩内抗争の負け組となり、家禄を減らして見る見る老けていった。それを見ていた与次郎は、父の轍を踏まぬよう日和見に徹し、かってあこがれた従姉を守ることができなかったが、・・・。

「祝い人(ほいと)助八」:2年前に妻を喪った助八は物乞いをするわけではないが、身なりの汚さから「ほいと」と呼ばれた。事情を知るものから同情もされることもあったが、実は・・・。

その他、「うらなり与右衛門」、「かが泣き半平」、「ごますり甚内」、「ど忘れ万六」

全8編の短編集「たそがれ清兵衛」は単行本として1988年9月に新潮社から発行された。また、収録されている短編「たそがれ清兵衛」は1983年「小説新潮」に発表された。



藤沢周平の略歴と既読本リスト



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

同じような流れの話が続くので、ゴチャゴチャになるのが欠点だが、真剣勝負は一瞬の輝きであり、底に流れる日々の生活の幸せ感や、女性への甘美な感情がほのぼのとさせる。ことに、もう終わったと思っていた愛しい女性が、戦い終えてボロボロになった主人公を必ず待っていてくれる最後が良い(単純だ!ツーノ)。

高橋源一郎さんに、「文学ではない」とか、「伝統芸」だとか言われようとも、TVドラマの「水戸黄門」のように、読者を、安心させ、心地よくさせてくれるのも、一つの「小説」の形だと思う。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「こんな介護で幸せですか」を読む

2009年06月09日 | 老後

中村寿美子著「こんな介護で幸せですか?-知らなければ絶対に後悔する終の棲家の選び方」小学館101新書、2009年2月発行を読んだ。

高齢者介護施設にはどのような種類があるか、実情はどうか、問題点はなにか、について具体的に説明している。

ピンピンコロリを望んでも、寝たきりになり、亡くなるまでの期間が3年以上の人が半数、10年以上の人が15%近くいるという。介護の長期化と要介護度の重度化が進んでいる。

介護保険のサービスを利用しているのは全国で約400万人。そのうち認知症の高齢者は約170万人。介護保険を利用していない人も含めると倍になると思われる。80歳代で約2割、90歳代では3割が認知症と言われる。

特別養護老人オーム(特養)
特別養護老人オーム(特養)に入居待ちの人が全国で約40万人いるといわれ、退去者は約7割が死亡によるもので、終の棲家として暮らしている人が多く、なかなか空きが出ない。
しかも、2002年からは必要度の高い人から入居させることになったので少々のことでは入れない。
特養に入居できても、途中で病院に入院し3ヶ月以上になると、もう特養には戻れなくなる。そこで、本人の意思に関係なく、早く退院できるように家族が無理に胃ろうをしてでも元気にして特養に戻れるようにする場合が多い。胃ろうとは、胃に開けた穴へチューブを介して流動食を流し込む食事方法で、管理が簡単だという。

介護老人保健施設(老健)
病院での入院治療を終えた高齢者が、自宅復帰に向けたリハビリに重点を置いて一定期間入所する、全国に3500ほどある施設で、主治医、看護師が常駐している。
原則3ヶ月で事情によっては6ヶ月入居できる。退所後、自宅へ戻る人は4割程度で、病院へ戻る人、あちこちの老健を転々とする人も多い。

介護療養型医療施設
老人病院の介護保険が適用される病床(ベッド)である介護療養型医療施設は、年間4千億円の医療費節減のため、2011年度までに全廃される。

介護専用型の介護付き有料老人ホーム
特養と同様に、医療的ケアを常時必要とする要介護高齢者が入所する民間施設。

老人ホームの食事はおいしくない
ほとんどの有料老人ホームでの食事は、外部のフードサービス会社に頼んでいる。工場でほとんど作って、ホーム内では若干手を加え、味付けするだけだ。これではありふれた料理になり、地元の旬の地魚などが出ることはない。
特養などの公的介護施設では、入居できただけでありがたいという思いから、多くの人は食事に不満があっても文句を言わずに黙って食べている。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の9人ほどがグループになり職員のサポートを受けながら共同生活を送る。問題あるホームから、うまくいっているホームまで差が大きい。
東京都は、「とうきょう福祉ナビゲーション」で、全国的には、「WAN NET」で各ホームの評価結果が公表されている。

高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
高齢者であることを理由に入居を拒まない民間住宅で、高齢者専用に賃貸する住宅。介護報酬が重荷になるため、自治体が介護施設建設を拒否するために、介護付き有料老人ホームの新設数は頭打ちで、高専賃が急増している。しかし、高専賃には施設、サービスに基準がないため、高専賃の約35%が、実際は無届の有料老人ホームとの調査結果もある。



著者の中村寿美子は、1946年生まれ。介護情報館・有料老人ホーム・シニア住宅情報館館長。都内の有料老人ホームに勤務した後、1997年都内に有料老人ホーム展示場を開設。以後、介護や高齢者の住まいに関する相談に1万3千件件以上応えている。2005年から介護コンサルタント。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

第一章には、介護関係の施設にどのようなものがあるか、解説し、あとは問題点、実情が紹介されている。

在宅介護よりも、常時医者や看護師のケアを受け、食事の栄養バランスも良い介護施設で暮らしている高齢者の方が長生きするそうだが、ただ長生きするだけでなく、少しでも楽しく、自分にあった施設を見つけるのは大変そうだ。

老後の施設に関する本、雑誌をいろいろ読んで、見学もし、下に挙げたように既に5件も
ブログを書いている。しかし、施設の細かな実情は2,3日の体験入所でも分かりにくく、国の施策もコロコロと変わる。結局、自分にあった施設探しは、この本の著者のようなコンサルタントに依頼するのが一番よさそうだ。

「あなたは「ひとり」で最期まで生きられますか?」を読む 

「介護施設にだまされるな」を読む 

「60代からの住み替えを考える本」を読む 

老後の住まい

介護付有料老人ホームを見学




第1章 要介護の高齢者になぜ「胃ろう」が増えているのか?―医療と介護の間で揺れる特別養護老人ホームの実態

第2章 なぜ老人ホームの食事は「おいしい」と感じられないのか?―豪華施設でも「食事内容」への不満はなくならない

第3章 介護付き有料老人ホームなら「介護は安心」のウソ―介護保険を適用した「包括的サービス」の限界

第4章 入居費用が同じに見えても、施設によって異なる総費用―有料老人ホームの入居費用はなぜ高いのか?

第5章 家族が入居させたい施設に入居させられない不可思議―認知症高齢者ケアの切り札「グループホーム」が抱える難題

第6章 一人で暮らしたい高齢者の落とし穴―高齢者専用賃貸住宅で暮らすことで生じる“将来不安”

第7章 あなたの「老後の住まい選び」ここが間違っている―本当によい有料老人ホームの見分け方

第8章 それでも幸せな老後を送れるかはあなた次第―「終の棲家」としての介護施設の役割

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「お七火事の謎を解く」を読む

2009年06月08日 | 読書2
黒木喬著「お七火事の謎を解く」2001年8月、教育出版発行を読んだ。

「火事と喧嘩は江戸の花」というが、私は、江戸の火事は振袖火事と、八百屋お七の火事しか知らない。そして、かねてから、なぜ歌舞伎や浄瑠璃で「お七」が有名になったのか知りたいと思っていた。放火といえば現代でも重罪なのに、芝居にまでなったのは何故か。会いたさ、恋しさ余って火をつけるというのも、無粋な私には解せなかった。

図書館で、タイトル「お七火事の謎を解く」を見て、さっそく借り出したが、裏切られた。
本書の大部分が、江戸の火事と復興の歴史であり、188ページ中、「お七火事」について書かれているのは44ページだけだ。その内容も、資料の解説であり、結論もその資料の内容はあやしいというものだ。

お七が放火したのは、実はボヤ程度で終わったこと、「お七火事」と呼ばれる天和二年(1682年)の大火ではお七は避難者であったのに、犯人として火刑になったことが、ある資料には書いてある。しかし、この資料の信憑性には疑問があるという。

これでは、「お七火事の謎を解く」の題名や、お七が降りかかる火の粉、火炎の中、火の見やぐらへ竹はしごを登っていく月岡芳年の表紙絵は一体何だ!(振袖のすそを乱した絵につられたおまえが悪い!?)



著者の黒木喬氏は、1933年東京生まれ。江戸災害史研究家。著書は、1977年「明暦の大火」、1999年「江戸の火事」など。



私の評価としては、★☆☆☆☆(一つ星:無駄)

江戸の火事災害に興味はあるのだが、詳しいことは知らないというごくまれな人にはお勧めだが、ほかの人には時間の無駄になる。

火事の被害といえば、庶民と思っていたが、本文や付録を見ると、多くの大名がその屋敷を火事で失っていることが分かる。



目次
1 江戸繁昌記
2 天和の治
3 天和の大火
4 謎解きお七火事
5 元禄の防火と火災
付 天和の大火罹災大名表/江戸災害関係略年表/参考資料

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伊坂幸太郎「グラスホッパー」を読む

2009年06月07日 | 読書2

伊坂幸太郎著「グラスホッパー」2007年6月発行、角川文庫を読んだ。

この本は、2004年7月に角川書店から刊行された単行本に加筆・修正し、文庫化したものだ。



3人がそれぞれ語り手になる。

元教師の「鈴木」は、妻を殺した男に復讐するため「令嬢」という組織にもぐりこむ。しかし、敵が車に轢かれる瞬間を目撃する。「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。「鈴木」は彼の後を追う。

身長190cm以上の「鯨」は、狙った相手を自殺させる殺し屋だが、過去に殺した32人の亡霊に悩まされる。「押し屋」を殺してすべてを清算しようとする。

うるさくしゃべりまくるナイフ使いの蝉も、「押し屋」を殺して名を上げようとする。

風変わりな個性的な殺し屋が入り乱れ、「押し屋」を追いつめる。



この本に関する著者へのインタビュー(2004年6月)がwebKADOKAWAに載っている。

「僕の好みとして、強い人が何人か出てきて、彼と彼が戦ったらどっちが強いんだろうっていう「ワクワク感」が昔から好きなんです。」と伊坂幸太郎は語っている。




私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

ストーリー展開は軽快だし、セリフのやりとりは、軽妙で、ユーモアに満ちている。人物のキャラは十分立っていて、それぞれの、ぼやき、反発などのセリフはハードボイルド風で生き生きとシャレている。

確かに新しげなミステリー小説といえようが、細かいところは強引な設定があり、「まあ良いじゃん」とそのまま進む雰囲気があり、完成度からいってこの作品が直木賞候補になるには疑問がある。
この筆力、会話力ある作者には、若干オフザケを抑えて、本格物を書いてもらいたいものだ。

 


伊坂幸太郎の履歴&既読本リスト

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ダンナ様はFBI」を読む

2009年06月06日 | 読書2
田中ミエ著「ダンナ様はFBI」幻冬舎2008年12月発行を読んだ。

仕事が恋人の私の前に、VIP護衛で来日中のFBI捜査官だった彼が現れる。毎月1通のエアメールで始まる用意周到なプロポーズ作戦で、私は彼と結婚した。ところがシャイで一途なダンナ様は次々とトンデモ指令を発し、私は振り回される。


ダンナ様は、常に一流のヘアショップで髪をカットし、セレブ仕様のブランドスーツを身にまとう、身長187cm、体重102kg。頑固で、シャイで、お節介な、空手3段。専門は危機管理。

「日本一腕のいい錠前師を探そう」:当時唯一のプロの錠前師に家の鍵を変えさせた。

「郵便の宛名が書いてある封筒はそのまま捨てるな」:自分のシュレッダーを持ち込み。

「メジャーを柱に貼る」:侵入した悪いやつの身長を即座に読み取る。

「麻薬の匂いがするから、ロックのレコード50枚は処分」:クイーン、レッド・ツェッペリンなどはFBIの麻薬犯罪者リストに載っている。これらCDを聞くのは麻薬にはまる第一段階。

「プロファイリングの腕をあげろ」:一目でビジネス相手の人柄、考え方などを見抜け。

「盛装して一流のブランドショップに行こう」:所帯じみた身なりに慣れてしまうとすべてが所帯じみて、仕事にも輝きが失われる。チェックは、一流店の店員の自分への扱い方をみれば分かる。

「自分磨きが7割、子育て3割」:子どもはその親を見て立派に育つ。まず自分に投資。



ビジネス上のノウハウや、家庭でのリスク管理の点で教えられることが多い。



著者は、東京都生まれ。銀行員を経て広告業界に入る。以後コピーライターとして、20年以上にわたり、テレビCF、雑誌・新聞広告などを幅広く手がける。朝日広告賞特別賞、日本印刷部門賞を受賞。女性誌・新聞を中心に、インタビュアー・ライターとしても活躍。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

偏っているとも思えるほど極端な信念をしっかり持っていて、頑固、そして、論理的、計画的で、相手のことを思いやることもできる。しかし、結局、相手をしっかり自分のペースに巻き込んでしまう。たしかに、この種のアメリカ人はいる。
それにしても、180度違うともいえる日本の環境のなかで、なんとか自分の信念を通そうするダンナ様の行動は、読んでいるだけでくたびれる。

私は昔セキュリティ関連の仕事をしていたので、元FBIのダンナ様の日常生活でのセキュリティについて考え方は納得できる点が多かった。もちろん、それは考え方であって、そのまま実行するとこの本のような悲劇で喜劇になる。

欧米人との生活にあこがれる人や、日本のセキュリティの甘さが気になる人にはお勧めだ。

内容は、約10年前のことなので、セキュリティなどの話は、ダンナ様に先見の明があったことは分かるが、日本の現状についてはどう評価しているのだろう?日本に慣れ、歳も取って、丸くなったのだろうか?



最後に、イクラとウニが好きな人のために、これだけは書いておく。
元FBIのダンナ様は何でも日本の食材を食べるが、イクラとウニは食べない。理由は、イクラは皮膚がざっくり切れたときの死体の皮下脂肪にそっくりで、ウニは死後しばらくして発見された割れた脳みそに似ているから。
私は、両方とも元々食感が嫌いで食べないのだ。



目次
1 運命のダーリンがやってきた(私の行く手をさえぎったダークスーツの大男;どうして私の電話番号を知ってるの? ほか)

2 愛のささやきは「フォーユアセイフティ」(大統領の執務机と障子板16枚を船便!?;ダーリンは夢を見る。私は現実を引き受ける ほか)

3 FBI直伝・家庭も仕事も楽しむ10の掟(家庭と仕事を両立させてこそ人生は楽しい;相手の服装が発するメッセージを読みとれ ほか)

4 FBI直伝・自分の魅力をアップさせる10の掟(初対面の人には時間差で2度微笑みかけろ;出会って最初の1分間は、相手に尊敬を伝える時間 ほか)

5 日本の安全はボクが守る(独身最後の英国旅行で「重要参考人」にされる;彼は元X国大使だ!一度見た顔は忘れない ほか)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする