hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

久坂部羊『悪医』を読む

2017年05月29日 | 読書2

 

 

 久坂部羊著『悪医』(朝日文庫、く24-2、2017年3月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

余命宣告された52歳の末期がん患者は、「もう治療法がない」と告げた若き外科医を恨み、セカンドオピニオン、新たな抗がん剤、免疫細胞療法、ホスピスへと流浪する。2人に1人ががんになる時代、「悪い医者」とは何かを問う、第3回日本医療小説大賞受賞の衝撃作。<解説・篠田節子>

 

 胃がんが再発、転移した52歳の小仲辰郞と、「・・・もう治療法はありません。・・・あとは好きなことをして、時間を有意義に使ってください」と告げた誠実だが共感力にかける35歳の医師・森川良生の物語。

 

 小仲は「見捨てられた」とショックを受け、「私にすれば、死ねと言われたのも同然」と診察室を飛び出した。セカンドオピニオンを求めた大学病院では関連病院に回され、新聞で絶賛されていた抗がん剤を専門とする腫瘍内科は儲けと論文書きしか考えず、やさしい医師のいる免疫細胞療法のクリニックは効果どころか病状が悪化した。医療機関を渡り歩き、有り得ない希望にすがりつき、最悪の結末へ・。そして、がん患者支援のNPO「ヘラクレス会」と巡り合い、最後は・・・。

 

 一方、森川は次々と生ずる病院内の難題に忙殺されるなか、小仲のことが気がかりで、末期がん患者への宣告方法に思い悩み続ける。

  

 初出:2013年11月朝日新聞出版より刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 余命3ヶ月の現実を受け止められず、最後まで治療を求め続ける小仲と、これ以上の治療は副作用の方が強くて余命を短くするという医療の現実を納得させられない森川がともに悩む。

 貧しく孤独で頑固、凄惨な状態へ陥っていく小仲と、厳しく辛いことの多い病院勤務の一方で贅沢で満ち足りた家庭を持つ森川の生活が数ページ毎に対照的に描写される。

 

 

久坂部羊(くさかべ・よう)の略歴と既読本リスト

 

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ロバート・ロディ、ローラ・ロス『トランスジェンダーってなに?』を読む

2017年05月23日 | 読書2

 

ロバート・ロディ、ローラ・ロス著、上田勢子訳、LGBT法連合会日本語版監修『わたしらしく、LGBTQ③ トランスジェンダーってなに?』(2017年3月21日大月書店発行)を読んだ。

 

 全4巻シリーズの3巻で、第1巻が「多様な性のありかたを知ろう」、第2巻が「家族や周囲にどう伝える?」、第4巻が「心とからだを大切にしよう」。

 

宣伝は以下。

性同一性障害など、身体の性と心の性が一致せず、違和感をいだき続ける人をトランスジェンダーと総称します。そうした苦しみが生まれるのはなぜなのか、基本的な理解から、適切なサポートや医療までを幅広くガイド。

 

トランスジェンダーLGBTQとは?

L:レズビアン(女性を好きになる女性)

G:ゲイ(男性を好きになる男性)

B:バイセクシュアル(両方の性別を好きになる、または相手の性別にこだわらない人)

T:トランスジェンダー(身体の性別に違和感があり、別の性として生きたいと望む人)

Q:クエスチョニング(性自認や性的指向を模索中の人)またはクィア(規範的異性愛以外のあらゆるセクシュアリティ)

 

最近の調査では、日本では13人に1人の割合でLGBTに該当する人がいるという。

 

 トランスジェンダーについて、日本語での解説サイト(例):GID info

  

 

 彼(he)でも彼女(she)でもないと思う人には、「ze」(ズィー)との呼びかけが一般的。ze/zirs/zirと変化。

 

 

クロスドレッサー:女装する男性。女性が男装することには社会は寛容なので、その場合は使わない

 

インターセックス:男性と女性の両方の生物学的特徴をもって生まれた人。日本ではDSDまたは性分化疾患。旧名「両性具備」。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

シリーズの他の3冊を読んでいないのだが、用語解説にとどまり内容が浅い。文章は分かりやすい。

 

さまざまな立場で異なった使い方で語られている用語についてはざっと解説してあり、LGBTに対する理解がより深く進化しつつある現状で、用語が混乱していることは一応分かった。

 

米国での出版であり、日本とは異なる点も散見される。

たとえば、

従来女性の仕事とされてきた分野で男性が成功した場合、同僚から「気が弱い」などとみなされ、軽んじられやすいといいます。逆に、従来男性の仕事と考えられてきた分野で女性が成功した場合は、尊敬されることが多いのです。

(米国は相変わらずマッチョな社会のようだ。日本では、草食系男子と認知されつつある一方、強い女性はまだまだ「女だてら」など敬遠気味である場合が多いと思う)

 

 

ロバート・ロディ Robert Rodi

米国シカゴ在住の作家、ライター、パフォーマー。LGBTをテーマにした多くの物語や評論などを発信。

 

ローラ・ロス Laura Ross

ライター、編集者。ニューヨークで30年以上にわたり出版にたずさわってきた。

 

上田勢子(うえだ・せいこ)

翻訳家。1979年より米国カルフォルニア州在住。現在まで約90冊の児童書・一般書の翻訳をてがける。

 

LGBT法連合会(性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会)

約60の団体等により構成される連合体。

 

 

用語集

 

アドボカシー(advocacy)

社会的少数派など、特定の集団の人権を守るために行動し、主張すること。

 

アライ(allie)

LGBTの人びとと同じ側に立って支援する人。

 

LGBT(Q)

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった総称。「ウエスチョニング」(自分の性自認や性的指向を模索中)や「クイア」(規範的異性愛以外のすべてのセクシュアリティを指す)の頭文字「Q」を加えてLGBTQと言うこともある。

 

女っぽい(effeminete)

女性的とされる特性を男性がもつこと。

 

ジェンダー(gender)

男らしい・女らしい、どちらともちがうなど、身体の性別にもとづいて社会が決める性別のこと。

 

シスジェンダー(cisgender

生れたとき診断された性別と自分の性自認が同じ人。トランスジェンダーの反対語。

 

スティグマ(stigma)

恥ずべきことだとレッテルを貼ること。烙印。

 

トランスジェンダー(transgender)

自分の性を、生まれたときに割りあてられた性別をことなる性と感じる人。性同一性症候群。

 

ペルソナ(persona)

外的人格。演じられたキャラクター。

 

ホモフォビア(homophobia)

同性愛者への恐怖や嫌悪、憎しみ。同様にトランスジェンダーに対する恐怖や嫌悪は「トランスフォビア」という。

 

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藤田孝典『続・下流老人』を読む

2017年05月21日 | 読書2

 

藤田孝典著『続・下流老人 一億層疲弊社会の到来』(朝日新書597、2016年12月30日朝日新聞出版出版)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

もう、死ぬまで働くしかないのか?

想像してみてほしい―

「あなたが80歳のとき、本当に働けるだろうか?」

忍び寄る「一億総老後崩壊」を告発した

『下流老人』から一年半。

世界一老後が過酷な国で、

生きていくための「解決策」を示す。

 

『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』の続編。

 

結論は、下流老人にならない方法などない! 下流老人を生み出さない社会にするしかない。

そのために、大きな政府を恐れずに、生活に必要な物やサービスは、基本的には現物給付でまかない、増税の受益感を明快にする。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

前半の、現在の貧困層の高齢者が直面する問題の指摘については、実際に現場でいろいろな相談にのっている経験から書かれていて、説得力がある。しかし、これは前著とほぼ同じであり、この続編の目的は、後半の対策にあるはず。

 

著者提案の対策は、北欧諸国にように増税して大きな政府にして、国民それぞれが生活に必要なサービスを、お金のバラマキでなく、現物(サービス)で提供するというものだ。これなら、増税しても、受益感があるので納得されるし、一律でなく個人個人の事情に合わせて支給され、不正もないという主張だ。

 

わかるような気がするが、私には、縮小ループに入っている日本人が増税を現実に支持するとは思えない。日本人は、とことんまで落ちてからでないと、ドラスチックな対策は採れないだろう。

 

 

 

下流老人の現状

下流老人とは、生活保護基準相当(月額6~12万円)以下で暮らす高齢者。

 

65歳以上の2人以上世帯の平均貯蓄額は2500万円で、全世帯平均の1.4倍。ただし、少数の大金持ちがいるので、44%の老人世帯は500万円以下。

 

所得分布の変化

過去20年で、中間層が全体的に下方に推移し、平均年収100万円~400万円の階層が増大している。

 

高齢者の就業率

 日本20.1%、フランス2.2%、ドイツ5.4%、イギリス9.5%、アメリカ17.7%

 欧米では、スキルアップ研修や職業訓練が充実。最低賃金時給は、ヨーロッパで約1200円、日本749円。

 日本では働かざるを得ないで働いている人が多く、欧米のように生き甲斐で働いている人は少ない。

 

 

特別養護老人ホーム

 4~6人多床型から全室個室に代わり、介護福祉士の賃金がアップしたなどで利用料アップ。要介護3以上となり対象利用者が少なく、つぶれる特養も。

 

 

解決策

借金大国ニッポンは本当か?

国債・借入金は国民一人当たり826万円、対GDPで232%。しかし、多くの国民の貯蓄は銀行などを介して国債投資になっており、いわば国民は国債の投資者なので心配ない。(?)

 

税の負担率で日本はOECD33国中で27位。

 

税負担を重くして、生活に必要な公的サービスを拡充するのが望ましいあり方という提案。

増税への拒否感が強く小さな政府を求める現状は、「受益感」の乏しさが原因。受益感があれば、増税も受け入れる。(?)

 

EU諸国に比べ、日本は労働力人口に対する公務員の数はかなり少ない。日本は十分小さな政府。

(ノルウェー30%、フランス22%、OECD15%、アメリカ15%、ドイツ11%、日本6%)

大きな政府の北欧諸国の方が日本より高い成長率。

 

市場原理から必要原理へ

低所得者から高所得者まで全員で負担を分かち合うことで、すべての人間が生きるために必要なサービスを財政が満たす、

 

ベーシックインカム

ベーシックインカム(基本所得)とは、政府が国民全員に生活に最低限必要な現金を無条件に給付する制度。

本来、社会保障とはサービス(現物)が基本で、現金支給ではない。例えば、もし大病を患ったら、月数万円の一律給付のベーシックインカムでは救えない。社会保障は現物支給を原則とすべし。(現実に可能?)

 

 

藤田孝典(ふじた・たかのり)

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学客員准教授。

ソーシャルワーカー。反貧困ネットワーク埼玉代表。

ルーテル学院大学大学院博士前期課程修了。

著書『ひとりも殺させない』『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』 、共著に『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』

 

 

 

2016年6月調査

生活保護世帯 162万5922世帯。うち65歳以上の高齢者世帯 83万2525世帯で、全体の約51%を占める。

 

2013年度末、高齢者が受け取っている老齢年金(国民年金・厚生年金)の月額分布で最も人数が多いのは6~7万円の間で約460万人。

 

消費税を上げて増税分を社会保障に充てるはずが、そのほとんどを国債の返済に回してしまったために社会保障が脆弱となってしまった。

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ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ『ナージャ わが道をゆく』を読む

2017年05月15日 | 読書2

 

ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ著、麻生九美訳『ナージャ わが道をゆく』(1995年8月15日晶文社発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

もし音楽に恋してしまったら、ぼんやりなんかしていられない。毎日が挑戦なのだ―。

きらめく才能と個性あふれる演奏で、クラシック界に旋風をまきおこしたナージャ。パンツ姿で舞台に登場し、指揮までしてしまう型やぶりな魅力で聴衆を魅了する。

ピアノ教師の母、オペラ好きの祖父のもと、貧しくも心豊かな幼き日々。名門音楽院でのじゃじゃ馬ぶり。楽器に触れることさえできなかった長く辛いスランプ。しかし、国際コンクールで見事に優勝をかちとる…。

いくつもの壁をのりこえ、自分のスタイルを貫いてきた、いま最もブリリアントなヴァイオリニストが語る「私の音楽人生」。

 

 この本は、著者が28歳のときの聞き書きによる自伝で、「NADJA On My Way」(1989年出版Crown Publishers)の翻訳だ。

 

この本は、鶴我裕子の本(『バイオリニストは目が赤い』 or『バイオリニストに花束を』)の中で紹介されていた。

 

訳者あとがきによれば、ナージャ・サレルノ=ソネンバーグは、日本での評判も「クラシック界の異端児」、「自由奔放」、「型やぶり」との評価で、「このごろは(演奏が)みな同じに聴こえる。ところがナージャの演奏は、音を聴けばすぐナージャだとわかる」と言われるという。ナージャ自身も、教えられたとおりに作品を演奏しようなんて思わない、・・・権威者がいうことに即座にしたがうようなことはしない、と語っている。

 

 

ヴァイオリンという楽器を発明したのがどういう人なのか知らないけど、たぶんその人物が、拷問台も、中国の水責めも、虫歯もというぐあいに、かんべんしてほしいものをつぎつぎと発明していったんだろう。ヴァイオリンは堅い木でできているから、首筋にアザができる。・・・何もかもが不自然で、きもちがよくなくて、やっかいで、優雅じゃない。

 

今までの人生で、わたしは理屈が通らないことにがまんしたことは一度もない。

(こう言い切れる人ってスゴイ! 私なんて・・・・・・、長くなるから止める。ナージャは理屈が通っていることでもあくまで抵抗するんだから、お友達にはしたくない)

 

・・・七か月もの長いあいだ、わたしはヴァイオリンを弾くのをやめた。(弾くことができなかった)人生最悪のときだった。

・・・

・・・自分が持っているものを残らず注ぎ込んだのに、「残念でした。あなたは何か他のことをしなさい」といわれるのはとてもつらい。

 まだ小さかったとき、バレエのクラスで、わたしはそのことに向き合わなければならなかった。

・・・

1981年のW・ナウムバーク国際ヴァイオリン・コンクールが二カ月後に迫っていた。

  そして、世捨て人になり、驚異的ハードな練習を重ね、そして、優勝した。

 

コンクールで一位にならなくたって、一流のキャリアを積む方法もまちがいなくある。その一方で、すごく有名なコンクールで一位になったのに、ゆっくりと無名の演奏家になっていく人も大勢いる。

 わたしは「勝ち抜く熱意」というものを固く信じている。気力があれば、そしてすばらしい才能があればその人は成功するだろう。

 

 

ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ(Nadja Salerno-Sonnenberg)

1961年ローマ生まれ。8歳で家族と米国ニュージャージー州に移住。

カーティス音楽学校、ジュリアード音楽学校でドロシー・ディレイに師事。

1981年史上最年少でニューヨーク・ナウムバーグ国際バイオリン・コンクールで優勝。

個性あふれる情熱的バイオリニストとしてコンサート、レコーディング、テレビ出演と活躍。

 

 

麻生九美(あそう・くみ)

1946年東京生まれ。翻訳家。早稲田大学卒業。

訳書、ローフス『子どもたちにとって死とは?』(晶文社)、アリソン ルーリー『永遠の少年少女―アンデルセンからハリー・ポッターまで』、カルロ・フェルトリネッリ『フェルトリネッリ イタリアの革命的出版社』、ジェイムズスティーブンソン( 文・ 絵)『モンティー』(評論社)など。

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東野圭吾『虚ろな十字架』を読む

2017年05月13日 | 読書2

 

東野圭吾著『虚ろな十字架』(2014年5月25日光文社発行)を読んだ。

 

11年前、娘を強盗に殺害された中原道正を訪れた当時の担当刑事・佐山は、離婚した元妻の小夜子が刺殺されたと告げる。小夜子とは、犯人の蛭川の死刑を望み、裁判をともに戦ったがその後離婚し、連絡し合っていなかったが、小夜子は離婚後もライターとして被殺害者遺族のために盛んに行動していた。

 蛭川は、かつて強盗殺人を犯し、刑務所で無期懲役だったのだが、更生良好とした仮出所し、強盗殺人を犯したのだ。死刑判決だったなら愛美は殺されなかったのだ。

 

 小夜子はいう。「今の法律は犯罪者に甘いですからね。人を殺めた人間の自戒など、所詮は“虚ろな十字架”でしかない」

 

 花恵は問う。少年の時に一つの命を奪ったとして刑務所に入り、ろくな反省もしない“虚ろな十字架”と、罰から逃れても、その後、何人もの命を救いながら生きるのと、どちらが償いになると思いますか?

 

この作品は書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 充分な面白さを保ちながら、重い死刑制度の是非を読者に問うという力量はさすが。

 

ミステリーとしては途中から、おおよその最後の予測がついてしまうが、まあまあかな。

 

 被害者家族の死刑を望む気持ちは良く書けているし、死刑制度の是非の問題提起も小説的によくできている。しかし、最後に出てくる、小夜子の、贖罪も認めない全く一方的な強弁は、娘を殺された直後ならわかるが、強引過ぎる。

 

 

死刑について私が思うこと

 

 私は死刑制度には反対だ。無期でなく終身刑を設けるべきと思う。

現在の無期という制度は、殺人しても無期で、その後いつのまにか出所してしまうのも問題だが、刑務所を出た後も、受け入れ体制がないためもあり、結局社会復帰できず再犯する人が多いのが問題だ。

 死刑というのは、殺したら、殺し返すということだし、なかには本当に悔いて、贖罪し、更生して人生を送る人もなかにはいるのだろうし。

死刑が残酷な殺人行為の抑止になっているというのも、本当に残忍な殺人者には効き目がないようだし、一時の怒りにまかせた殺人に対しては、死刑という抑止効果はないだろう。

 

多くの場合は全く落ち度のない被害者が命を絶たれ、被害者の家族は、犯人がいまだに生きているのは理不尽と思い、死刑を望むことが多いだろう。しかし、死刑になってももちろんそれで心が晴れるわけではない。

死刑と決まると、犯人の贖罪の気持ちが薄れる可能性もある。命はかけがえのないものというが、殺人犯も死刑となれば、自分のかけがえのない命で償うのだからと、反省、贖罪の気持ちが薄れる可能性もあるのではないだろうか。

 

 

登場人物

 

中原道正:ペット葬儀社「エンジェルボート」経営。娘の愛美を殺された。

神田亮子(りょうこ):40歳、中原の部下

 

浜岡小夜子:中原道正の元妻。フリーライター。娘の愛美を殺され自分も刺殺される。被殺害者遺族の会に参加。

浜岡里江:小夜子の母。裁判への被害者参加を決意

浜岡宗一:小夜子の父

 

仁科史也(ふみや):富士宮市の中学で一学年下の沙織と付き合う。現在慶明大学附属病院の医師

仁科花恵:史也の妻、町村作造の娘

仁科翔:史也と花恵の長男、花恵の連れ子

仁科由美:史也の妹

仁科妙子:史也と由美の母

 

井口沙織:幼稚園の時母を亡くし、父洋介と二人暮らし。富士宮市の中学で史也と付き合う。

井口洋介:沙織の父。化学工業製品会社の技術者。

 

町村作造:小夜子殺しで自首、仁科花恵の父

町村克枝:仁科花恵の母、50歳前の癌で死亡

田端祐二:花恵と付き合う。詐欺師。

 

蛭川和男:中原道正と小夜子の娘、小2の愛美(まなみ)を殺す。48歳

平井肇:蛭川の弁護士

 

佐山:警視庁捜査一課

 

日山千鶴子:小夜子の大学の同級生、出版社経営。

イグチ:小夜子が取材した女性、30代、情緒不安定で盗んだ物を食べ2度刑務所に入る

 

山部:弁護士。被殺害者遺族の会

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

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HATTIFNATT ハティフナットでランチ

2017年05月11日 | 食べ物

 

連休は井之頭公園100周年行事もあって、吉祥寺に出るのを遠慮していた。
久しぶりの駅前で、5月5日に除幕式が行われた「はな子」の像にご挨拶。

ここは従来から喫煙場所になっていて、通りのを避けていた場所だったのでありがたい。

「駅前の場所を喫煙場にするなんてとんでもないことだ。タバコなんて税金をヨーロッパ並みに上げるべきだ」
と元喫煙者の私は思う。

 

吉祥寺駅から線路に沿って西荻方面に5分ほど歩いたところにあるメルヘン風の可愛い店「cafe & gallery HATTIFNATT」でランチした。

”HATTIFNATT”とは『ムーミン』に出てくるキャラクター『にょろにょろ』のスウェーデン語の名前だという。
(「えん食べ」)

ここは今年2月に私一人で、初めて入った店で、その時の写真を流用。

今日は奥さんと二人なので、カワイイ絵に囲まれた2Fへ登る。
手すりにしがみつくほどの急な階段を上がると、恥ずかしくて下を向いてしまうほどの「可愛い!、キュート!」な世界。

注文したのは、ランチドリンク付きで、私が「冷たいトマトのたこライス」¥950

相方は、「トマトのカルボグラタン」ミニサラダ付き ¥950

グラタンはかってないほどおいしかったということで、私にはまわってこなかった。


ふと目を上げると、懐かしいドアの鍵が。

帰り道、民家の塀に、見事な「クレマチス」


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西荻の一軒家カフェでランチ

2017年05月10日 | 食べ物

 

西荻駅の南へ伸びる2本の道の西側の道、一部では「乙女ロード」という、を南へ数分、西に曲がり西教寺へ入る道を10mほど行くと、北側に普通の民家風の門がある。

閉まっているとき(月曜閉店)は、

ここが、「西荻窪の一軒家カフェ&サロンhana」。

靴を脱いで入ると、普通の民家風の畳部屋。


食事やあづきスイーツが楽しめる。

酵素玄米とスープ御膳 本日のスープは韓国風わかめスープ ¥950+税


酵素玄米ベジビビンバ ¥1000円+税
三種ナムルをコチュジャンソースで混ぜる。
温泉たまごをトッピング(+150円+税)

酵素玄米はけして固くなく、モチモチしている。


食事は美味しく、健康的で、くつろげる空間だ。

次回は「薬膳ぜんざい」でもいただくか、
それとも「あずきアフォガード」にするか?

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紅茶専門店 プリュスカフェへ

2017年05月08日 | 食べ物

 


紅茶専門店 PRIUS CAFE / プリュスカフェ」 でランチ。


吉祥寺の中道通りを入って数分、北側のフォーラムビルの狭い入口を入る。

年寄りには厳しい階段。「PRIUS」と書いてある3Fでなく2F。

カフェの女性店主によれば、「3Fは主人のやっている美容院です」とのこと。

 

ベーグル・サンドイッチ(サラダ、スープ、紅茶付き)


ベジタブル  セット/1,250円
  アボガド・トマト・レタス・マヨネーズ。ヘルシーな野菜サンド


ハム&チーズ  セット/1,250円
  ハム・クリームチーズ・黒コショウをサンド。ベーグルサンドの定番

美味しく、女性やおじいさんにはちょうど良い量。


「ダージリンはやはりタルボ茶園の春摘に限るな」とつぶやいてみた。


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東野圭吾『禁断の魔術』を読む

2017年05月05日 | 読書2

 

 

東野圭吾著『禁断の魔術』(文春文庫、ひ13-12、2015年6月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作!

 

「ガリレオシリーズ」の基本構成は、草薙刑事が直面した不可解な謎を物理学者の湯川が科学的考察によって解明するという構図だ。本書は、湯川や草薙という人物をもっと描きたいと長編になったと著者は語っている。(文藝春秋特設サイト

 

 東京のシティホテルの一室で20代後半と思われる女性が大量出血し亡くなっていた。

 

 帝都大学理学部助教授・湯川学は、高校の後輩・古芝伸吾が帝都大学に入学したとのお礼の訪問受ける。かて、湯川の斬新なアイディアと厳しい指導で作り上げた装置での派手な実験パフォーマンスが成功して、古芝が部長の物理研究会に新入が入り、部活動が継続したという経緯があったのだ。

 

 しかし、古芝は親代わりの姉が急死し、大学を中退、町工場で働くことになる。さらに、代議士の大賀を追っていたフリーライターが殺され、さらに、大賀の担当新聞記者が古芝伸吾の姉だったことが分かる。

 

 

 

初出:この作品は『禁断の魔術』(2010年10月)所収の「猛射つ」を大幅に加筆・改稿

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 著者自身が、「ここに登場する湯川学は、「シリーズ最高のガリレオ」だと断言しておきます。」(「本のWEB」自書を語る) と言っているが、人物描写に力を入れるという長編にも拘わらず、湯川が十分描かれているとは思えない。また、出版社の宣伝では、この本自体を「シリーズ最高傑作」と言っているが、過大広告だ。事件の推移自体に、意外性は珍しく九割方なかった。兵器?実験装置も、正直いまいち?です。ストーリーが頗る単純

 

 姉がそんなに魅力的とも思えない男性と不倫しているのか理解できない。しっかり者の姉がしかも妊娠に気づかないとは。

 

 最後の最後で湯川の態度はあり得ない。どんな事情があっても人が命を絶つことを肯定してはいけない。

 

 

登場人物

 

湯川学:帝都大学理学部准教授、ガリレオ先生

 

多々良:管理官、本事件の実質的責任者

間宮:草薙の上司

草薙:警視庁捜査一課、特捜本部主任、警部補、湯川の親友

岸谷:草薙の後輩刑事

内海薫:草薙の部下、巡査長、女性

 

古芝伸吾:帝都大学工学部に入学し、1か月で退学、湯川の高校の後輩、クラサカ工機に勤めていた

古芝秋穂(あきほ):伸吾の姉、父母亡きあと生計を支える、明生新聞政治部で大賀担当記者

 

長岡修:フリーライター、38歳、スーパー・テクノポリス(ST)反対運動家、自宅マンションで絞殺される

渡辺清美:長岡の交際相手、美容整形外科の受付

勝田幹生:レストラン「ボタニアン」の店主、ST反対運動のリーダ的存在

米村:書店経営、タウン誌発行、勝田を助けている

 

大賀仁策(じんさく):光原町が地元の代議士、STの発案者、元文部科学大臣

鵜飼和郎:代議士・大賀の秘書

池端:代議士・大賀の光原町(みつはらちょう)の後援会長

西村:大手不動産会社の社長、光原町のプロジェクトの実質責任者

矢場:建築コンサルタント、プロジェクトの反対派対策調整役

 

倉坂達夫:クラサカ工機社長

倉坂由理奈(ゆりな):高校生、クラサカ工機社長の娘

 

サトル:ミカにプロポーズしようとSTに侵入、突然バイクが炎上

 

スーパー・テクノポリス:光原町に建つ最新科学技術の拠点、高レベル放射性廃棄物処理の研究も行う予定

光原町糸山地区:G棟が建つ予定の場所、イヌワシの巣が確認され反対運動が再燃

 

吉岡:東京のシティホテルのフロント、古芝秋穂の宿泊を受け付ける

松下:東京のシティホテルのベルボーイ、古芝秋穂の死体を発見

 

 

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鶴我裕子『バイオリニストに花束を』を読む

2017年05月03日 | 読書2

 

鶴我裕子著『バイオリニストに花束を』(中公文庫つ-28-1、2013年12月20日中央公論新社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

だれも信じてくれないが、私は十歳でバイオリンを始める前は、一日に一言も口をきかないような、青白い子供だった――「スーダラ節」に救われた修業時代、もぐりで聴いたカラヤンの「とてつもない何か」、愛憎こもった指揮者の思い出、感動のフィナーレに客席デビュー。元N響バイオリニストがのびやかな筆致で綴る音楽的日々雑記。

 

鶴我裕子さんは1975年から2007年までN響の第1バイオリン奏者であった人。この本は、エッセイスト・デビューした『バイオリニストは目が赤い(肩が凝る)』に続く第二弾。

 

演奏家見習い記

 山形の貧乏な家の小学生だった著者。貧乏だが音楽一家に育ち、10歳でバイオリンを始めて、ようやくおしゃべりになった。山形新聞のエライさんの後押しで、中三でレッスンのため東京のお金持ちの上級家庭に居候になった。

 

N響という“カイシャ“

花粉アラモード

指揮者:「白人界では、たとえライブ・レコーディング中でも、ハナをかむ音はOKということになっているそうだ。逆に、タブー中のタブーがハナをすする音で、私たちが何気なくたてる「シュン」という音に、凍りついたような顔をする。」

弦楽器:「・・・高い楽器にハナが落ちるとシミになって、何百万円も安くなるのが一番困る。

 

N響旅芸人

 

オーケストラのゲストたち

登場する数人すべて無教養な私は知らず、ありがたみが分からなかった。

 

定年ビフォーアフター

 

文庫版を買って下さったあなたに二編

「私たちがステージで正装しているのは、曲に対してなのですよ。」

 

 

初出:「音楽現代」というクラシック音楽のマニアックな雑誌に連載を中心にした『バイオリニストに花束を』(2009年4月中央公論新社発行)に2編を加え再構成

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 著者の成り上がり(いい意味)過程は、淡々と語るので、「フムフム」と興味深かった。母の介護のためにへとへとになりながらも片道1時間半かけてN響に通い続けたことも、さらりと語るだけで、感じが良い。

 

 音楽好きな家庭であったが、貧乏で田舎(山形)だった。この時点でN響に入るなど論外の環境だと思う。プロとしては遅く10歳でバイオリンを始め、中三でレッスンのため東京のお金持ちの上級家庭に居候。学業優秀で駒場高校に進んだが、父親が失業して続けるのが困難になった。奨学金に助けられ、芸大に入り、卒業後は様々な場所で演奏し、やがて突然やってきたチャンスをものにしてN響楽員の座を奪い取り、定年まで演奏一筋で突き進んだ。

音楽への愛情、努力、才能が人の助けを引き寄せて、困難な状況を乗り切って、天職をつかみ取った。

 

向こうっ気強い性格、直截的な語りも、ユーモアに包まれ、たのしく読める。「四つ星」としても良いのだが、 クラシックファンではない私には、オーケストラやマエストロの実状、裏話を知っても、「へ~」と思うだけなので「三つ星」とした。

 

 

 

鶴我裕子(つるが・ひろこ)

福岡県生れ。東京芸術大学卒。

1975(昭和50)年にNHK交響楽団に入団する。第一バイオリン奏者(バイオリンはファーストとセカンドの2集団に分かれている)を32年間務めた。現在は人前ではバイオリンをまったく弾いていないという。

著書『バイオリニストは目が赤い』、本書、『バイオリニストは弾いてない』。

 

調べても年齢不詳だったが、本書に「ギドン・クレーメル」と生まれた年月日がまったく同じと嬉しそうに書いていて、年齢がばれてしまった。1947年2月27日生まれで今年古希。

 

 

 

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鶴我裕子『バイオリニストは目が赤い』を読む

2017年05月01日 | 読書2

 

鶴我裕子著『バイオリニストは目が赤い』(新潮文庫つ-25-1、2009年12月1日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

N響入団当日、あまりの緊張感に耐えられなくなり、「一週間と保たないな」と感じた――。それから三十年以上、第一バイオリン奏者として楽団をささえた著者が、オーケストラの舞台裏から、マエストロたちの素顔、愛する曲・演奏家までを語り尽くす。クラシックを愛する人もそれほど詳しくない人も、とにかく楽しめる、各界絶賛の極上エッセイ。『バイオリニストは肩が凝る』改題。

 

 プレリュード(まえがき)で著者は語る。

我ながら「いいお仕事」だと思うが、これはソーメンの束に二、三本混じっている、色つきのソーメンにあたる部分にすぎない。あとに大部分の日々、それはもう・・・「登校拒否」の日々だったし、今もそうだ。

・・・ この本の中味は、そんな日々の中の「色つきソーメン」を集めたものです。

 

オーケストラの仕組み、裏話(楽員のシフト、奏者から見た指揮者、本番中に弦が切れたときの処置、リハーサルの内輪話、楽員オーディションの実例など)がぶっちゃけトークで生き生きと語られる。

 

感動的な話を一つだけ。

お父さんが入院していて意識もあやしくなった日、著者は許しを得て病室で演奏すると、娘が来たことさえわからなかったお父さんがうれしそうに聴き入り、「うまくなったなあ、味が出てきた」とほめた。ふと見ると、ほとんど植物状態かと思われた同室の人が顔を真っ赤にしてベッドのヘリにつかまって「ウーウー」と歌っていた。

「もしかしたら、一番聴き入ってくれる聴衆は、しあわせな人たちではなく、このような人たちかもしれない。」

 

 

エッセイの後には、「マイ・フェイヴァリット」として、著者が惚れこむ、演奏者、指揮者7名と9曲が紹介されている。

さらに、「裕子の音楽用語事典」で、28語がユーモア付きで解説される。

 

 

初出:2005年6月アルク出版企画より刊行された『バイオリニストは肩が凝る』を改題

 

鶴我裕子(つるが・ひろこ)

福岡県生れ。東京芸術大学卒。

1975(昭和50)年にNHK交響楽団に入団する。第一バイオリン奏者(バイオリンはファーストとセカンドの2集団に分かれている)を32年間務めた。現在は人前ではバイオリンをまったく弾いていないという。

著書、本書、『バイオリニストに花束を』、『バイオリニストは弾いてない』。

調べても年齢不詳だったが、本書に「ギドン・クレーメル」と生まれた年月日がまったく同じと嬉しそうに書いていて、年齢がばれてしまった。1947年2月27日生まれで今年古希。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 子供の頃からバイオリン一筋。習い事を始めるほとんどの人が挫折し、なんとか音大までたどり着いた人も、多くは学校や習い事の先生でやっと。芸大出ても楽団員になれるのは稀少。貧乏な家庭に生まれたが、音楽好きな家庭であった。駒場高校、芸大だから優秀でもあり、奨学金にも助けられ、N響楽員の座を奪い取り、定年まで演奏一筋の著者は、巨匠ではないが、間違いなく勝組だ。

天職をつかみ取ったしあわせ、憧れて、賞賛を惜しまない天才指揮者・ソリストたちと共に音楽を作り上げる喜び、「生きてて良かった」と呟く感動。

 

多少えげつないと思えるほど直截的な語りも、著者のカラッとした気質で、たのしく読める。

 

 

 かなり個性的で気が強いと思われる著者・オツルも外人指揮者にはびっくり。

三十年近く、ガイジン(指揮者)をつぶさに観察していると、彼らの法則が見えてくる。彼らがあいさつの次にすることは、パワー全開の自己主張だ。まず、自分を知ってもらうこと。たとえ反撃があっても、ひるむどころか、ますます元気になる。ケンカもコミュニケーションの一種ととらえているフシがあるのだ。ただし、自分に不利なポイントを突かれると、しらばっくれてサッサと先に行ってしまう。まことに調子いい。

・・・

第二にガイジンは、そこで相手が静かな場合は「自分を受け入れた」と解釈する。日本人の多くは、相手に拒否反応を持つと静かになるものだが、そうすると彼らは「あ、これでいいのね、それじゃ」と、ますます自分を押しつけてくる。

 

 

 

豆知識

プログラム

一般向けの定食:序曲・協奏曲・交響曲で構成。わかりやすく、バランス良い。アンコール付き。

マニアックな演奏会:「ミュージック・トゥモロー」など。新作。空席多く、アンコールなし。

定期演奏会:スケジュールの大半を占める。名曲ころび・うるさ型向き・土曜日のマチネーも含む楽しい楽曲。

 

出番・おり番

管は各パート二人ずつ、弦は3,4人増しで確保されているので、演奏毎に休める人が出てくる(おり番)。

編成は、フルが「16型」、協奏曲「14型」か「12型」というように、ファースト・バイオリンの数で表現。

 

譜読み

知らない曲や新作を、リハーサル前に家でおさらいすること。オーケストラ人生の大部分はこれでつぶれる。

大曲になると5,60ページもある。それを、手探りで弾けるようにしていく。おもしろくもナーンともない。

 

リハーサル

定期公演のリハーサルは、もっとも長くて3日間。「定食」演奏会は1日だけ。

 

ゲネプロ

会場での練習。著者は協奏曲が「曲おり」になると、ムヒヒとばかり客席(ロイヤルシートなど)に移る。

 

 

 

 

 

 

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