hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

東野圭吾の略歴&既読本リスト

2017年09月30日 | 読書2

東野圭吾の略歴&既読本リスト

東野圭吾(ひがしの・けいご)
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業後、日本電装でエンジニアとして勤務しながら執筆。
1985年『放課後』で江戸川乱歩賞受賞しデビュー
1999年『秘密』で日本推理作家協会賞
2006年『容疑者Xの献身』で直木賞、本格ミステリ大賞
2012年『 ナミヤ雑貨店の奇蹟』中央公論文藝賞
2013年『夢幻花』で柴田錬三郎賞
2014年『祈りの幕が下りる時』で吉川英治文学賞
2019年第1回野間出版文化賞
2023年第71回菊池寛賞 を受賞、
2024年 紫綬褒章を受章。

          

加賀恭一郎シリーズは、『卒業』、『眠りの森』、『どちらかが彼女を殺した』、『悪意』、『私が彼を殺した』、『嘘をもうひとつだけ』、『赤い指』、『新参者』、『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』、『希望の糸』『あなたが誰かを殺した

 

ガリレオシリーズは、『探偵ガリレオ』、『予知夢』、『容疑者Xの献身』、『ガリレオの苦悩』、『聖女の救済』、『真夏の方程式』、『虚像の道化師 ガリレオ7』、『禁断の魔術 カリレオ8』『沈黙のパレード』『透明な螺旋

 

天下一大五郎シリーズは、『名探偵の掟』、『名探偵の呪縛』

 

浪花少年探偵団シリーズは、『浪花少年探偵団』、『浪花少年探偵団2』=『しのぶセンセにサヨウナラ』

 

笑小説シリーズは、『怪笑小説』、『毒笑小説』、『黒笑小説』、『歪笑小説

 

マスカレードシリーズは、『マスカレード・ホテル』、『マスカレード・イブ』、『マスカレード・ナイト』、『マスカレード・ゲーム

 

スキー場シリーズは、『白銀ジャック』、『疾風ロンド』、『雪煙チェイス

ラプラスの魔女シリーズは、『ラプラスの魔女』、『魔力の胎動』、『魔女と過ごした七日間

 

クスノキシリーズは、『クスノキの番人』、『クスノキの女神

 

その他  『東野圭吾公式ガイドブック

『白馬山荘殺人事件』、『学生街の殺人』、『11文字の殺人』、『魔球』、『香子の夢』=『ウインクで乾杯』、『十字屋敷のピエロ』、『鳥人計画』、『殺人現場は雲の上』、『ブルータスの心臓』、『宿命』、『仮面山荘殺人事件』、『変身』、『回廊亭の殺人』=『回廊亭殺人事件』、『ある閉ざされた雪の山荘で』、『美しき凶器』、『同級生』、『分身』、『むかし僕が死んだ家』、『虹を操る少年』、『パラレルワールド・ラブストーリー』、『天空の蜂』、『秘密』、『白夜行』、『片想い』、『レイクサイド』、『トキオ』=『時生』、『ゲームの名は誘拐』、『手紙』、『おれは非情勤』、『殺人の門』、『幻夜』、『さまよう刃』、『使命と魂のリミット』、『夜明けの街で』、『ダイイング・アイ』、『流星の絆』、『パラドックス13』、『カッコウの卵は誰のもの』、『プラチナデータ』、『 ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『夢幻花』、『虚ろな十字架』、『人魚の眠る家』、『危険なビーナス』、『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』、『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』、『白鳥とコウモリ』、『架空犯

 

短編集   『依頼人の娘』=『探偵倶楽部』、『犯人のいない殺人の夜』、『交通警察の夜』=『天使の耳』、『怪しい人びと』、『超・殺人事件 推理作家の苦悩』、『あの頃の誰か』、『素敵な日本人』

 

児童書(絵本)  『サンタのおばさん』

  

エッセイあの頃ぼくらはアホでした』、『ちゃれんじ?』、『さいえんす?』、『夢はトリノをかけめぐる』、『たぶん最後の御挨拶

 

アンソロジー 相続人を宿す女

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ラ・パレットでランチ

2017年09月29日 | 食べ物

 

麻布十番の墓参りに行った。

パティオ10番」横のレストラン「ラ・パレット LA PALETTE 」でランチとした。

 

私は、「ちょっと贅沢ランチ」で、

スコットランド・サーモンマリネ・サラダ
たっぷりでご機嫌

相方は、「ランチ」で、
グリーンサラダを選択
これもたっぷりで、少々お相伴にあずかる


私の本日のスープは、西洋ネギの冷製スープ
美味しいが、腹が冷えた

私のメインは、牛ハラミのステーキ、ブルーチーズソースを選択
ハラミとは牛の横隔膜の薄い部分(背中側)らしいが、層になっていて直角には多少切りにくいが、やわらかく、内臓という感じはしない。美味


相方は、本日の魚河岸料理 アイナメ を選択
美味しかったが、多少塩辛かったとのこと

私のデザート

相方は、一つ少ない

私はコーヒーで、相方は紅茶

2200円と1620円で、美味しくいただきました。

 

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ラ・プルミエ・プゥッスでランチ

2017年09月27日 | 食べ物

9月20日(水)のこと。

西荻駅南を東に数分のところにあるSERGE et JANE セルジュ&ジェーンでランチと思ってはるばる出かけたところ不定期水曜の休み。

ならばと、南口すぐの有名店「そば処 鞍馬」へ行くと、ここも休み。

「なんじゃこりゃ!」とあたりをウロウロして、小さな「カフェ+」?を見つけた。

ラ・プルミエ・プゥッス La Premiere pousse だ。それにしても、教養のない者は、店名も読めず、覚えられない。

店内は広くはないが、凝っていてそれなりにムードがある。

テーブルには、トウガラシが飾ってあった。

横須賀在住の頃に、庭で出来てしまったトーガラシを乾かして強引につぶしにかかり、顔を腫らして大変な目にあったことを思い出した。


まずは野菜のスープ。

メインは大きな豚肉、たっぷりのレタスと少しのポテト、マカロニなど。

デザート

これでおおよそ1200円。

結果的に良いお店を見つけた。


 

 

 

 

 

 

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9月の花

2017年09月25日 | リタイヤ生活

月2回届けられる 9月の花



昨年の9月の花


 

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まもなく吉祥寺プテット村出現

2017年09月23日 | 散歩

だいぶ前から吉祥寺の中道通りに、ジブリかと思うほど場違いなへんてこな建物が建築中だった。

こんなポスターが貼られていた。

真ん中の部分を拡大すると、


絵本のような各店舗が並ぶ「吉祥寺プテット村」が出現するらしい。

おじいさんは、一度眺めておしまいだな!

 

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東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』を読む

2017年09月21日 | 読書2

 

東野圭吾著『どちらかが彼女を殺した』(講談社文庫 ひ17-20、1997年7月15日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

 

 大人しい和泉園子は恋人である佃潤一を親友で、派手目の美人・弓場佳代子に紹介した。しかし、数ヶ月後、潤一は別れを告げられ、追及すると佳代子が好きになってしまったと言う。園子は兄・康生に電話し、「裏切られちゃったんだ。信じてた相手に」と告げる。

 さらに数日後、兄康正は園子の部屋で遺体となった妹を発見する。他殺であると直感した康正は、警察より先に自ら犯人を見つけ、罪を償わせると決意し、警察が自殺と判断するように現場を偽装する。加賀は康正の意図を察知し、二人は互いに探り合い、犯人探しを競い合う。

 やがて、康生と加賀は、潤一と佳代子のどちらが園子を殺したか、答えにたどり着く。答えをこの本から明示されない読者やいかに?

 

 犯人がどちらか最後まで明かされないため、初版直後、編集部に問い合わせが殺到した。このため、文庫版には、袋綴じの西上心太氏による解説がついた。ただし、ここでも犯人の名前は直接的には書かれていない。

 

 

1996年6月講談社小社ノベルスとして刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 最後の最後まで犯人の名前が明かされないで、謎が解けるかと読者を挑発するというけしからん構成になっている。おかげで何回も読み直してしまったぞえ。

 

 被害者の兄・康生が犯人を捜す探偵役であり、同時に犯行現場を偽装して警察が犯人を見つけられないようにする偽装役という複雑さ。加賀刑事からすると、犯人の偽装に上の康生の偽装が加わった謎を解くという困難さがある。

 

 

 

以下、メモ

東野圭吾の履歴&既読本リスト 

 

 

 

登場人物

 

加賀恭一郎:練馬署の刑事(巡査部長)。剣道の元日本チャンピオン。

 

和泉園子(いずみ・そのこ):電源コードによるショック死。被害者。長身で、和食とワインを好む。んでいた。警察は自殺と判断したが、加賀は他殺を疑う。

和泉康正(いずみ・やすまさ):園子の兄。豊橋警察署交通課の警察官。園子の死体を発見し、状況から他殺と判断。犯人を調べ上げ復讐するため証拠物件を持ち去る。

 

弓場佳世子(ゆば・かよこ):園子の高校時代からの親友。小柄だが美人。

佃潤一(つくだ・じゅんいち):園子の元恋人で、佳世子と恋仲。画家をあきらめ、父親の大手出版社勤務。

 

 

以下、ネタバレにつながるので白字。

  •  左手か右手か、どちらの手を使うかに注意。
  •  和泉園子は左手で丸めた便せんを投げた。(P9) 
  •  しかし、ビニール屑が包丁の刃の右側に付着していた(P95)ので、自殺ではなく犯人がいる。
  •  睡眠薬の袋を破いた跡は、右手によるものか左手によるものか、詳しく見るとわかる(らしい)。
  • 以下参考は、
  •  一つの睡眠薬の袋は、利き腕が右の潤一が破いたものだった。ゴミ箱から探したもう一つも右利きの人が破いたものであることを加賀が調べ、加賀は園子が自殺ではなく、殺されたと確信した。
  •  かつ佳世子が右利きなら、犯人は二人のうちどちらか分からなくなる。しかし、犯人が確定できたということは、佳世子は左利きということになる。小社ノベルスには、佳世子が左手で破りと書いてあるらしい。
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東野圭吾『卒業』を読む

2017年09月18日 | 読書2

 

 

 東野圭吾著『卒業』(講談社文庫 ひ17-2、1989年5月15日講談社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

卒業を控えた大学四年の秋、一人の女子大生が死んだ。親友・相原沙都子は仲間とともに残された日記帳から真相を探っていく。鍵のかかった下宿先での死は自殺か、他殺か。彼女が抱えていた誰にも打ち明けられない秘密とは何だったのか。そして、第二の事件が起こる。刑事になる前の加賀恭一郎、初登場作。

 

 女子高で密室殺人事件を扱った青春ミステリーで、乱歩賞受賞後の第一作。シリーズとなる加賀恭一郎がまだ大学生で登場する。

 

 表紙や奥付のタイトルは『卒業』とあるが、本文最初のページには『卒業 -雪月花殺人ゲーム』とある。

 

 

「君が好きだ。結婚して欲しいと思っている」加賀は少しのためらいも見せずに、はっきりと言った。そして彼らしく、こんな時でも相手から目を外(そ)らしたりしない

と始まり、最後のページは、

「〇〇だわ」

と終わる。

 加賀が現在も結婚していないことを知る読者は、沙都子の言った「〇〇」が何だかわかるだろう。

 

 

「白鷺荘」の自室で牧村祥子が左手からの出血多量で死亡していた。発見時自室は「密室」で自殺と思われていた。

 県立R高校から国立T大に進んだ仲間7人のうちには、加賀恭一郎も含めて他殺ではないかと死の真相を探ろうとする。茶道を楽しむ仲間でもあった彼らは、恩師南沢雅子の誕生日を祝い、カードを使う雪月花之式を行うが、そこで金井波香が毒物を飲んで死んでしまう。

 加賀と沙都子は2つの事件につながりがあるはずと、亡くなった2人の身辺を探っていく。

 

1986年5月単行本刊行

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 このファイルを保存後、名称変更時に削除してしまい、おまけにゴミ箱も削除したので、最初から書き直す羽目に陥った。やる気をそがれ、簡単に済ませる。

 

 茶道・雪月花之式の流れが複雑で付いて行けず、面倒になって該当部分は飛ばし読みした。それでも、全体の理解にはとくに支障はなかったのだが。
 犯行の動機がすっきりしない。

 

 

以下、メモ

東野圭吾の履歴&既読本リスト 

 

 登場人物

 

以下、ネタバレで白字(少し違うかも)。

 

 祥子は流れにのって身を任せてしまい病気を移されたと思い込み、手首を切る。藤堂は、祥子から話を聞いて許すと言ったのに、自分の出世に影響すると悩んでいた。藤堂は裏口の錠を形状記憶合金に取り換えて人知れず祥子の部屋へ忍んできていたが、たまたま手首が水の外に出てまだ死んでいなかった祥子を発見し、手を水の中に戻し、自殺ほう助した。

三島享子は、入社を餌に波香に動作が鈍くなる薬を飲ませることを若生に提案し、実行されて、剣道大会で優勝し、波香は敗れた。これを知った波香は、雪月花之式で若生に薬を飲ませようと計画し、自殺ほう助の事実を知って藤堂を脅かし、協力を強制する。藤堂はこれを逆用して波香に毒を飲ませる。

 

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東野圭吾『放課後』を読む

2017年09月16日 | 読書2

 

 

 東野圭吾著『放課後』(講談社文庫 ひ17-1、1988年7月15日講談社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。

 

 東野圭吾の作家デビュー作。

 女子高での殺人ミステリー。

 

 私立進学校「清花女子高等学校」の数学教師の前島は、3度にわたり何者かに命を狙われた。学校のイメージダウンを恐れる校長に口止めされ警察には届けてはいなかった。

 しかし、前島ではなく、厳しい生徒指導の村橋が密室で亡くなる。警察は自殺、他殺両面で捜査を進める。女教師の麻生や、最近非行が目立つ女生徒の高原陽子に容疑が深まる。

 そして、体育祭で、前島と間違われてと思われる教師の竹井が殺された。

 

 

1985年単行本刊行

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 女子高生の心理にはもっとも遠い所にいるおじいさんからすると、動機が納得できない。

 密室の謎解きも、玩具っぽくてぱっとしない。一度目の解決案を別の案に置き換えるのも、しっくりこない。

 ようするにミステリー性はいまいち。

 

 アーチェリーや女子高生のことは良く書けていて、まあまあ面白く読めた。東野さんは大学4年間アーチェリー部に所属し3年ではキャプテンだったようだ。また、東野さんの奥さんだった人は女子高で教えていたと、どこかに書いてあった(真偽不明)。

 それにしても、女子高って、先生と生徒の関係が濃いね。好意も反感も。男子生徒の場合は、先生なんてどうでも良いと思っているのが多いと思うけど。

 

 でも、サラリーマンやりながらこれ位のもの書けるのは才能があったからだろう。仕事ぶりはどうだったのかな??

 

 いつものように、先生も生徒も登場人物が多すぎる。多少のことがあっても同じ人を複数のことに当たらせるなり、一度きりの登場人物には名前をつけないなど工夫をして欲しい。人物の多さで謎を深めることはやめて欲しい。年寄りにはキツイぜ!

 

 

以下、メモ

 東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

 

 

登場人物

 

前島:私立清華女子高等学校の数学教師。「マシン」と呼ばれる。アーチェリー部顧問。

前島裕美子:妻

 

栗原:校長、理事長

村橋:生徒指導部長、数学教師、院卒

松崎:教頭

竹井:陸上部顧問、現役のやり投げ選手、あだ名はギリシャ

麻生恭子:英語教師。校長の息子との縁談話がある。26歳

藤本:テニス部顧問、若い教師

堀教諭:中年の国語教師、バレーボール部顧問

長谷:高原陽子の担任

その他、教師(前島、時田(歴史)、小田(体育)、森山(北条雅美の担任)

板東:バンさん、用務員

志賀:医務室の養護教諭

 

高原陽子:成績抜群だったが、最近服装や日頃の態度で問題児に。3年生。父親はK製菓の重役。

加奈江:洋弓部サブ・リーダー

杉田恵子:ケイ、洋弓部キャプテン、全国大会レベル

宮坂恵美:1年生、洋弓部員、成績優秀

北条雅美:3年生、剣道部主将。入学以来の首席。高原陽子と中学から親友。

山本由香:1年生

 

大谷:刑事

白石:若い刑事

 

川村洋一:高原陽子の友人、バイク乗り。

貴和:校長の息子、一流国立大を出て、地元企業で働く

芹沢:裕美子が働くマーケットの店長

 

 

 

 

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東野圭吾『人魚の眠る家』を読む

2017年09月14日 | 読書2

 

 東野圭吾著『人魚の眠る家』(2015年11月20日幻冬舎発行)を読んだ。

 

 宣伝文句は以下。

娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた――。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

 

『ラプラスの魔女』に次ぐ、東野圭吾作家デビュー30周年記念第2弾。

 

 ミステリーではない。脳死、臓器提供の問題を提起した重たい小説だ。

 

 

 薫子が和昌に、四つ葉のクローバーを見つけたときの瑞穂の言葉を伝える。

「『瑞穂は幸せだから大丈夫。この葉っぱは誰かのために残しとくといって、そのままにしておいたの。『会ったこともない誰かが幸せになれるようにって」

 

 

 諸外国では心臓が動いていても脳死になれば死と認められるが、日本では臓器提供を承諾しない場合は、脳が機能停止していても心臓死して初めて死とされている。

 脳死に関する日本の判定基準(竹内基準)は、人の死かどうかは関係なく、実際には、臓器提供に踏み切る境界を決める基準で、ポイント・オブ・ノーリターン――この状態になれば蘇生する可能性はゼロという点だという。

・・・子供の長期脳死の例は多い。でも脳死判定後に人工呼吸器から離脱したとか意識を回復したといったケースは、過去に一例たりとも認められておらず、結局は脳死状態が持続した上で心停止に至っています。長期脳死の存在は、臓器提供を前提として脳死判定そのものに影響を与えるものではありません、たとえ背が伸びていようとも。

 

 

 この作品は書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 脳死をテーマとしているが、同時に論理で割り切れない母親のエゴ、業を描いているとも言える。

 

 

 脳死状態にあるのに心臓を機械で動かし続けることは、私には人間に対する冒とくと思える。回復の見込みがないのに人工呼吸器で呼吸させるのも疑問があるが、この小説のように横隔膜ペースメーカーで脳死者の手脚を動かすなどおぞましく、意にかかわらず動かされる脳死者には侮蔑以外のなにものでもないと思う。

 この部分を読んだときは母親の精神が異常になったと思い、これからどうなってしまうのか、先を読むのがいやになった。しかも、母親が包丁を持って錯乱する場面に至り、ハチャメチャだと思った。しかし、さすが東野さん、事態を上手くまとめた。私などの反応は計算づくなのだろう。

 

 以下の出来事が臓器提供を拒否するようになるきっかけになった。

「オネエチャン」生人が小さな声で呼びかけた。

 その時だった。和昌の手の中で、瑞穂の手がぴくりと動いたように感じた。・・・和昌は薫子の顔を見た、すると彼女も、驚いたような表情で彼を見つめていたのだった。

 この部分で思い出した。TVで、放送作家で直木賞受賞の景山民夫が同じようなことを話しているのを聞いたことがある。彼は、おふざけが過ぎるし、幸福の科学に入信するなど私にはあまり良い印象はない。

 しかし、彼には生まれつき寝たきりで何の反応もない子供がいた。いつものように、その子の握った拳の中に指を入れて話しかけていたら、ある時、ちょっと指を握り締めて来たという。彼にはそれが嬉しくて、嬉しくてと、熱っぽく話していた。この話を聞いて、やはり人の親とは、と嬉しく、また哀しくなった。

 

 

 

以下、メモ

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

 

登場人物

播磨薫子(かおるこ):和昌の妻、瑞穂と生人の母、36歳

播磨和昌(かずまさ):薫子の夫、(株)ハリマテクス社長、薫子とは別居中

播磨瑞穂:薫子と和昌の長女

播磨生人(いくと):瑞穂の弟、薫子と和昌の長男

播磨多津朗:和昌の父、元(株)ハリマテクス社長、75歳

美晴:薫子の妹、若葉の母

千鶴子:薫子と美晴の母

茂彦:薫子と美晴の父

 

新藤:脳神経外科の医師、40代半ば

武藤:看護師

星野裕也:(株)ハリマテクス開発者、32歳

川嶋真緒(まお):星野の恋人、30歳、動物病院の助手

浅岸:横隔膜ペースメーカーの開発者、慶明大学医学部呼吸器外科の准教授

 

新章(しんしょう)房子:特別支援学校の教師で瑞穂に本を読み聞かせる、40歳、表情が乏しい

米川:特別支援学校の教師、30代半ば、瑞穂の世話に心優しく奮闘する

 

門脇五郎:江藤雪乃の心臓移植手術費用募金活動のリーダー、江藤の親友、食品会社社長

松本恵子:江藤雪乃の心臓移植手術費用募金活動に協力

江藤哲弘:雪乃4歳の父、かって門脇五郎とバッテリーを組んだ投手

江藤由香里:雪乃の母、哲弘の妻

 

神崎真紀子:(株)ハリマテクスの和昌の秘書

榎田博貴:薫子のメンタルクリニックの医師

宗吾:不思議とお屋敷に興味をひかれた小学

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東野圭吾『眠りの森』を読む

2017年09月11日 | 読書2

 

 東野圭吾著『眠りの森』(講談社文庫、ひ17-7、1992年4月15日講談社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

名門バレエ団で男が殺された。被疑者は居合わせたバレリーナ。正当防衛を主張するが、その証拠は見つからない。事件が混迷をきわめる中、「眠りの森の美女」を模した殺人事件が起こる。捜査にあたる加賀恭一郎は、被疑者の親友のダンサーと出会う。気丈に稽古に励む彼女に惹かれながらも、辛い決断の時が迫る。

 

 

 加賀恭一郎がまだ大学生だった1作目の『卒業』に続く、シリーズ第2作で、加賀恭一郎は刑事になっている。しかし、この頃加賀は警視庁捜査一課に所属していた。
 新春スペシャルドラマとしてTBSで阿部寛主演でドラマ化されている。

 

 有名な高柳バレエ団の事務所で、風間利之が殺された。加害者のバレエ団のバレリーナ・斎藤葉瑠子は正当防衛を主張する。疑問点は、金目の物がないバレエ団の事務所になぜ侵入したのか、風間とバレエ団との関わりが見えないことだった。

 捜査が停滞する中、バレエ団のバレエ・マスター、振付師で、演出家でもある梶田が演技指導中に毒物で殺害される。なぜ梶田が殺されたか、第一の強盗殺害事件との関係など、謎は深まる。

 

 

「刑事ドラマなんて見るんですか」

「見るよ、時々。なかなか面白いんだ。一時間でカタをつけなきゃならんから、どんどん手掛かりが出てくるしな」

 

 

 本書は、1989年5月に“推理特別書下ろし”作品として講談社より刊行。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 1989年当時から東野さんの文章は読みやすく、スイスイ抵抗なく読み進められる。グイグイ引きつけられるというわけではないが、いくつか気になる点があって、ついつい読んでしまう。

 

 東野作品はいつもながら、大きな破綻、つっかかりもなく、物語の展開は素直に進んでいくが、最後の謎解きで、意外な展開に強引に持っていくために、少々無理が感じられる。

 

 シリーズの初期ということで、加賀はまだ若く、純粋なのが微笑ましい。加賀の内面が十分に描かれるわけではないので、物足りない読者もいると思うが、シリーズの多くを読んでいれば、言葉や行動の背景が分かり、シリーズ愛好家だけが微笑むという仕組みになっている。

 

 加賀がシリーズ第1作の『卒業』のときの恋人と別れたことが明らかにされる。

「古い話です。大学卒業と同時に別れた恋人がいたんです」と加賀は白状した。・・・「茶道をやっている女の子で、俺も少し茶道をしていたので、その関係で親しくなったんです。高校の時でした。今彼女は出版社に勤めています。・・・」「でももう彼女とは何年も会っていないので、よくはわからないな」

 

加賀はズボンのポケットに手をつっこむと、くしゃくしゃになった千円札を一枚出した。そして受け取った小銭を、そのままポケットに戻した。現金を財布ではなく、ズボンのポケットから直接出し入れしている人間というのを、未緒は初めて見た。

 私も財布は持たず、ズボンのポケットに金を入れている。そういう男性は多いのでは?

 私は紙幣は畳んで重ねている。小銭もバラで入れていたが、ズボンのポケットに穴が開きがちなので、鞄持参のときは小銭入れに入れ、鞄を持参しないときは、小銭を持ちださないし、おつりはチップとして差し上げる。これはウソで、しかたなくそのままポケットに入れる。

 

 

以下、メモ

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

加賀恭一郎:警視庁捜査一課。その後、日本橋署に移る。剣道の元日本チャンピオン。

太田:警視庁捜査一課の刑事

富井:警視庁捜査一課の警部。太田、加賀の上司。

小林:石神井署の警部補。捜査主任。

内村:渋谷署の警部補。

加賀隆正:恭一郎の父。元刑事。

 

浅岡未緒:高柳バレエ団の団員。葉瑠子の幼なじみ。

斎藤葉瑠子:高柳バレエ団の団員。22歳。侵入者を正当防衛(?)で殺害。未緒の幼なじみ。

森井靖子:高柳バレエ団の団員。未緒たちの3年先輩。

柳生講介:高柳バレエ団のダンサー。葉瑠子の恋人。

紺野健彦:高柳バレエ団のトップダンサー。

梶田康成:高柳バレエ団のバレエ・マスター、振付師、演出家

中野妙子:高柳バレエ団のミストレス

高柳静子:高柳バレエ団の経営者

高柳亜希子:高柳バレエ団の国際的にも通用するトップダンサー。静子の養女。

坂木:高柳バレエ団の事務局長

 

風間利之:25歳。絵の勉強のためニューヨークに行き、帰国後も再渡航予定。事務所に侵入し殺害される。

宮本清美:風間の恋人。

青木一弘:絵の留学生としてニューヨーク滞在中に殺されかけた。後に自殺。

 

斎藤政夫:葉瑠子の父親

斎藤広江:葉瑠子の母親

 

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桐野夏生『顔に降りかかる雨』を読む

2017年09月09日 | 読書2

 

 桐野夏生著『顔に降りかかる雨』(講談社文庫き32-8、2017年6月15日講談社発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

親友の耀子(ようこ)が、曰(いわ)く付きの大金を持って失踪した。被害者は耀子の恋人で、暴力団ともつながる男・成瀬。夫の自殺後、新宿の片隅で無為に暮らしていた村野ミロは、耀子との共謀を疑われ、成瀬と行方を追う羽目になる。女の脆さとしなやかさを描かせたら比肩なき著者の、記念すべきデビュー作。江戸川乱歩賞受賞!

 

「解説」の香山二三郎氏によれば、この作品は、日本ミステリー・3F小説(作者、主人公、読者が女性)の本格開始を告げるものだったという。

 

 

 柄の悪い服装の君島について、ミロが親分の上杉に言う。

「君島さんは、シダー・コーポレーションは本当はこういう会社なんだって、察しの悪い客にそれとなくわからせるために雇われているんでしょう」

 

 『高卒魂』と口にして頑張る耀子の社員との話が耳に入り、ミロは驚く。彼女は、「うちの大学じゃ、・・・」と話していた。

 

 

成瀬は、一見クールな私が感情的になったので、さぞかしうんざりしたことだろう。やっぱり女だ、と思っているに違いない。男はいつも最後に、そう言うのだ。

 

 

(ミロ)「失礼ですが、このお店は?」

(成瀬の元妻)「私の父が出してくれました、ええ、成瀬の家は普通の勤め人ですから、彼は何も持ってません。家も財産も、そして私たちもすべて失いました」

「成瀬さんは後悔してると思ってらっしゃる?」

「ええ」

成瀬の妻は勝ち誇ったようにうなずき、私は初めて、この女はいやなヤツだと思った。

 

 本書は、1993年9月発行の単行本で、1996年7月文庫版の新装版。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め) (最大は五つ星)

 

 文庫版で465ページもあるが、一気に読めた。読んでしまった。これが、著者の実質的な本格小説のデビュー作とは恐れ入る。底知れぬ恐ろしさ、むなしさ、汚さなど描き切っている。少女小説を書いていた人のデビュー作とは思えない。

 すべてが猥雑で、どのよりした空、べったりとした空気の新宿で、どうしようもなく穢れた人たちが裏切りを重ねる。

 

 抜群ではないが、ストーリー、謎解きの魅力もある。しかし何よりも、女が女を見る眼のエグサが、著者のその後の作風を思わせる。

 

 

桐野夏生(きりの・なつお)
1951年金沢市生れ。成蹊大学卒。

1993年本書『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞

1998年『OUT』で日本推理作家協会賞

1999年『柔らかな頬』で直木賞

2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞

2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞

2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞

2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞

2009年『女神記』で紫式部文学賞

2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞 を受賞。

その他、『ハピネス』、『夜また夜の深い夜』、『奴隷小説』、『だから荒野』、『抱く女』。

 

野原野枝実(のばら のえみ)の名で少女小説、レディースコミック原作を手がけていた。

 

村野ミロシリーズは、第1作の本書『顔に降りかかる雨』、『天使に見捨てられた夜』、『水の眠り灰の夢』、『ローズガーデン』、『ダーク』

 

 

 

登場人物

 

村野ミロ:夫の自死に苛まれ、無為に新宿で一人暮らしする32歳。元は博通社でマーケティング担当。向こうっ気が強く、しなやかでしたたか。見栄っ張りなところはなく、一匹狼。

村野博夫:ミロの夫。ジャカルタで自死。

村野善三:以前、村善調査探偵社でやくざの国東会の仕事をしていた。北海道で一人暮らし。

 

成瀬時男:ナルセモータース社長。燿子の不倫相手。元東大全共闘。

成瀬笙子:時男の妻。

宇野燿子(ようこ):ミロの親友。ペンネームは宇佐川燿子。本名宇野正子。

 

上杉:満崎組傘下のやくざの親分。企業舎弟の皮を被る極道。

君島:やくざの下っ端。粗暴で派手な服装。

 

小林ゆかり:燿子の事務所の電話番

藤村:「暗黒夜会」のプロデューサー。

 

川添桂:「暗黒夜会」でパフォーマンス。耽美小説家、ヴァイオリン演奏者。

金沢まどか:「暗黒夜会」での踊り子。

魔礼音(マレイネ):「暗黒夜会」での踊り子。

山崎龍太:ナチス愛好家。

                                                                                         

三田邦彰:論壇社文芸編集部で燿子の担当者

ジュヌヴィエーブ松永:占い師

多和田一郎:右翼やナチス愛好家に詳しい弁護士。村野善三の知り合い。

シンシア、マリア、ジュリー、イザベラ:ミロの隣に住み、ショーパブに勤める。

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東野圭吾『聖女の救済』を読む

2017年09月07日 | 読書2

 東野圭吾著『聖女の救済』(文春文庫ひ13-9、2012年4月10日、文藝春秋発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが・・・。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作!

 

 ガリレオシリーズ第5弾。2013年6月TVドラマ「ガリレオ」第2シリーズで映像化。

 

 

 真柴義孝は、子供ができないことを理由に綾音(あやね)を離婚すると告げた。結婚時にその話はあったものの、「愛情は変わっていないのだが」という義孝の嘘っぽい話に綾音は決心する。

・・・その目を化粧台に向けた。右側の一番下の引き出しに隠してある白い粉のことを思い浮かべた。ビニール袋に入っていて、その口はしっかりと閉じられている。

 9ページの時点で、犯人は誰かが暗示というより、明示される。あと400ページ余りは、完全犯罪を解明しようとする読者への著者の挑戦だ。

 

 ホームパーティーが行われた数日後、北海道の実家に帰った綾音の留守に、義孝を訪ねてきたパッチワーク教室の講師・若山宏美が義孝の死体を発見する。コーヒーからは猛毒・亜ヒ酸が見つかる。

 しかし、捜査に当たった草薙は一目で綾音に惹かれて呆然とする。一方、内海薫は、女の直感で綾音に疑いを持つ。綾音のアリバイは完璧で崩せず、毒物の混入経路も不明のまま、捜査は謎の周辺を少しずつ巡っていく。

 

 

 綾音が若山宏美に抱きついて泣いたのを見て、草薙は、綾音は夫と宏美の不倫に気づいていないと思った。しかし、内海薫は、そうではないのでは、と示唆した。

「・・・もしかしたらこの人は、人前で堂々と泣けるところを見せつけたがってるんじゃないか、と。人前で堂々と泣くわけにはいかない人に」

 

 捜査に協力しようとしない湯川に内海薫はわざと言った。

「草薙さんは」彼女は湯川の目を見つめて続けた。「恋をしています」

「えっ?」

湯川の目から、冷徹そうな光が消えた。迷子になった少年のように、焦点が曖昧になっている。

 

 こんな記述も。

薫は再びiPodをバッグから取り出した。福山雅治の歌を聞きながら、・・・

 

 

 初出は、「オール讀物」2006年11月号~2008年4月号。その後、2008年10月文藝春秋刊。

 

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

 いつもの東野作品のように、読みやすくスイスイ読んでしまうが、謎解きには「う~ん」と言いたくなる。

 

 きっと心変わりしてくれると信じて、尽しに尽くす綾音の聖女ぶりをもっと描いていたら、逆に美しく献身的な聖女の裏にちらつく悪だくみが浮き上がったと思う。そして、女性心理を描くもっと深く面白い作品になったと思う。

 とはいうものの、内海薫の(ということは東野圭吾のということだが)女性の心理分析はすばらしいと、疎い私は思ったのだが。

 

 

 以下、数行はネタバレにつながるので、白字。

 使った人が死んでしまう毒を仕込んで、一年間一度も使わないように監視して、いざという時にだけ使うなんていうことが、実行できるのか、私には大いに疑問が残る。

 

 以下が、題名「聖女の救済」の由縁だろう。(以下、数行白字)

綾音は使えば死んでしまうので、使わないように監視し、救済し続ける毎日だったが、ついに・・・。

「かまわないよ。俺は一人で大丈夫だから」

そう、と綾音は頷いた、夫への救済が終わった瞬間だった。

 というか、いつでも殺せるとほくそ笑む毎日だったとも言えるのでは。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

登場人物

 

湯川学帝都大学物理学科第十三研究室、准教授。捜査一課では「ガリレオ先生」と呼ばれる。好きなものはインスタントコーヒーで、苦手なものは論理的でないので子供。

草薙俊平警視庁捜査一課刑事・警部補。湯川とは帝都大学バドミントン部での同期。

内海薫警視庁捜査一課刑事・草薙の後輩。女性。愛車は臙脂色のパジェロ。

間宮:草薙の上司。捜査一課所属係長。

岸谷:草薙の後輩刑事。

 

真柴綾音:パッチワーク教室主宰。夫に尽くす良き妻で美人。旧姓三田。

真柴義孝:綾音の夫。会社社長で金持ち。「子供を産んでこそ妻」との考えを持つ。自宅で毒殺される。

若山宏美:綾音主催のパッチワーク教室の講師。3か月前から義孝と不倫。

猪飼達彦:義孝の会社の顧問弁護士で経営にも参加。42歳。

猪飼由希子:猪飼達彦の妻。35歳。

津久井潤子:絵本作家。綾音の前の義孝の交際相手。事件の2年前に自殺。

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東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』を読む

2017年09月05日 | 読書2

 

東野圭吾著『カッコウの卵は誰のもの』(光文社文庫ひ613、2013年2月20日光文社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

往年のトップスキーヤー緋田宏昌は、妻の死を機に驚くべきことを知る。一人娘の風美は彼の実の娘ではなかったのだ。苦悩しつつも愛情を注いだ娘は、彼をも凌ぐスキーヤーに成長した。そんな二人の前に才能と遺伝子の関係を研究する科学者が現れる。彼への協力を拒みつつ、娘の出生の秘密を探ろうとする緋田。そんな中、風美の大会出場を妨害する脅迫者が現れる―。

 

 緋田風美の遺伝子からはスポーツ選手としてバランスなどに優れた才能に直結するFパターンが見つかった。新世開発スポーツ科学研究所の柚木は、研究のため父の宏昌の遺伝子も調べさせてほしいと頼むが、宏昌は何故か強く拒否する。

 一方、耐久性に優れるBパターンの遺伝子を持つ登山家・鳥越克哉の息子、中学生の伸吾が同じ遺伝子を持つことがわかり、新世開発スポーツ科学研究所は伸吾をスキー部のクロスカントリーの訓練に参加させる。

 

 遺伝子レベルでスポーツに才能のある若者はオリンピックで活躍して、会社の宣伝媒体になり得るか?

 

 

 初出は、スポーツ月刊誌「VS.」(バーサス)に2004年から連載(タイトルは「フェイク」)。だたし、途中の2006年8月号で同誌が廃刊となり、月刊誌「小説宝石」に連載を移行。その後、2010年1月光文社刊。2016年春にWOWOWでドラマ化。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 相変わらず読みやすいし、面白く読める。犯人探しの筋書が二転三転して面白い。

 

 しかし、最後の謎解きには、意外性を無理して生み出すために、強引すぎて、すっきりせず、疑問が残る。大団円での説明では、主犯や実行犯の動機がいま一つ納得できないし、母親が自殺する理由もはっきりしない。

 

 

 柚木という男、最初は冷たい理系人間で、上司の顔を伺うつまらない人間として登場する。しかし、後半では主人公なみに探偵として活躍し、おまけに急にいい人になっているのは、ちょっとした違和感があるが、笑える。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

緋田宏昌(ひだ・ひろまさ):スキーの元オリンピック日本代表。緋田風美の父。

緋田風美(ひだ・かざみ):緋田宏昌と智代の娘。新世開発スキー部所属。Fパターンの遺伝子の持ち主。

緋田智代(ひだ・ともよ):緋田風美の母。風美が2歳になる前に自殺した。旧姓は早川。

畑中弘恵(はたなか・ひろえ):智代の中学の親友。

 

柚木洋輔(ゆずき・ようすけ):新世開発スポーツ科学研究所副所長。スポーツ選手の才能と遺伝子の関係を研究し、才能ある若者の発掘を目指す。

高倉:緋田風美のコーチ

 

 

鳥越伸吾(とりごえ・しんご):新世開発スキー部ジュニアクラブ所属でクロスカントリーの訓練に参加する中学生。Bパターン遺伝子の持ち主。

鳥越克哉(とりごえ・かつや):鳥越伸吾の父。実績ある登山家だが、定職に就かず。Bパターン遺伝子の持ち主。

貝塚:鳥越伸吾のコーチ

 

上条伸行(かみじょう・のぶゆき):新潟長岡のケーエム建設社長。緋田風美のファンだと称する。新生児誘拐事件の被害者。

上条世津子(かみじょう・せつこ):上条伸行の妻。新生児誘拐事件の被害者。

上条文也(かみじょう・ふみや):上条伸行の息子で、ケーエム建設常務。骨髄性白血病で入院している。

小田切竜彦(おだぎり・たつひこ):ケーエム建設の社長秘書

 

西島:道警本部捜査一課の巡査部長

 

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F.cアージョでランチ

2017年09月03日 | 食べ物

 

吉祥寺駅から線路の北側を西荻方面へ数分、郵便局の向い側の KSビルB1にある「F.c Agio(アージョ)」でランチした。

 

agioとはイタリア語で「やすらぎ」という意味らしい。

最近できたばかりの店で、いつも女性が本格イタリアンのシェフですとビラを配って、熱心に誘っていたが、ついついいきそびれていて、今回初回。

入口は左手の階段を地下へ。

店内は小さな段差がいくつかあり、注意。


ランチメニューは、

私は、Cセットのバジルきのこハンバーグステーキ(パン)。

ハンバーグは二枚重ねで結構なボリューム。写真は真っ黒だが、美味。


相方は、アージョの日替わりプレート。アジ(?)のコロッケ?

 

アジの味はいま一つ。


飲み物は、セルフで色々飲み放題。


隣が大勢で、ご迷惑だったからとサービスでデザートを追加してもらった。
ランチ150円引きと書いたビラの持参を忘れたので、ちょうど取り返せた。

新規開店で、スタッフの熱意が感じられる。

次回はランチかな?

 

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山崎ナオコーラ『美しい距離』を読む

2017年09月01日 | 読書2

 

山崎ナオコーラ著『美しい距離』(2016年7月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

 40代の夫が、末期がんになった同い年の妻に寄り添う165ページの中編小説。主人公は保険会社の営業職で午後からの介護休暇をとり、姉妹のようだった妻の母とともに、病床の妻に付き添う。

 サンドウィッチ屋を営んでいた妻は仕事を楽しんでいた。病院を見舞う取引先・仕事仲間の『双子屋』、「小林農園」を通じて知る妻の仕事ぶり。もはや良くなることはないと何度も繰り返し、自宅へ帰らないのかと聞く医者や、経験した「癌患者」の物語に妻を当てはめようとする介護保険認定調査員に、妻個人の考えを優先しようとする夫はイラつき、反論する。

 芥川賞候補、島清恋愛文学賞受賞作品。

 

 

すべての人の体が死に向っている、赤ちゃんの細胞だって、生まれてすぐに死を帯び始める。誰にでも余命がある。

「とりあえず・・・、死ぬまで修行中だから。他の人や昔の自分と比べないで、あと、未来にも思いを馳せないで、今の自分の環境だけを見ればいいんじゃないか、って・・・、まあ、そんな感じ。そうするとね、痛みがあるのが世界だ、と思うこともできるようになる。・・・」

 

未来があまりないことは知っている、未来が消える瞬間が来ることも知っている。だが、未来が消える瞬間を見届けたくて今を過ごしているわけではない。希望を持って、ただ毎日を暮らしたい。

 

 

HUFFPOST」の「あの人のことば」で山崎さんは語っている。

 

「一昨年がんで亡くなった父のおかげで書けた小説」とTwitterで発言されていました。

父が病気のあいだ、4カ月くらい毎日病院に通っていたのですが、父のひげを剃ったりマッサージをしたり、歯磨きをしたりといったお世話をするのが妙に楽しかったんですね。当時は私自身、あまり仕事がうまくいってなくて。小説が書けなかったんです。・・・。

コーヒーを飲むのと同じ軽さで人が死ぬような話を書きたいと思った。

 

 

初出:「文學界」2016年3月号

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 静かに進む話に、ゆっくり耳を傾けようとする気になる。寄り添う夫の、強いが、自己抑制が効いた愛情が沁みる。

配偶者というのは、相手を独占できる者ではなくて、相手の社会を信じる者のことなのだ。・・・配偶者が遠慮すべきときも、きっとある。

 

愛しているがゆえに、妻の考え方、仕事への思いを優先し、あえて距離を保とうとする夫にもっと遠慮せず、ストレートに意見を言えばよいのにと思ってしまう。

 墓の前で手を合わせると、尊敬語も謙譲語もでてくるようになった。

 敬語を使うようになったのを含めて、「美しい距離」と言うのには違和感がある。

 

 

 

山崎ナオコーラ
1978年9月15日福岡県北九州市生まれ、埼玉県育ち、東京都在住。本名山崎直子。
國學院大學文学部日本文学科卒業後、会社員。
2004年「人のセックスを笑うな」でデビューし、文藝賞を受賞、芥川賞候補。
2006年『浮世でランチ』で野間文芸新人賞候補
2008年『カツラ美容室別室』で芥川賞候補、『論理と感性は相反しない』で野間文芸新人賞候補
2009年「手」で芥川賞候補、『男と点と線』で野間文芸新人賞候補
2010年『この世は二人組ではできあがらない』で三島由紀夫賞候補

2011年『ニキの屈辱』で芥川賞候補

2013年『昼田とハッコウ』で野間文芸新人賞候補

2016年本書『美しい距離』で芥川賞候補。

2017年『美しい距離』で島清恋愛文学賞受賞

その他、対談集『男友達を作ろう

目標は、「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。

2012年に一歳年上の書店員男性と結婚し、2016年に37才で第一子を出産。

 

 

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