hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

伊集院静『大人の流儀』を読む

2011年11月30日 | 読書2
伊集院静著『大人の流儀』2011年3月講談社発行、を読んだ。

講談社の内容紹介にはこうある。
こんなとき、大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう。
「本物の大人」になりたいあなたに捧げる、この一冊。
大好きな人に手紙を書きたくなったとき。上司に意見をしなければならないとき。人を叱らなければならないとき。大切な人を失ってしまったとき。嫌でもケンカをしなければならないとき。とてつもない悲しみに包まれたとき。(以下略)


大人の流儀とは誇大宣伝だ。普通のことが書いてあるだけ。内容は、「職場ではダメなものはダメとどんどん叱りなさい」「何をやれば良いか分からない若者は旅をしろ」「女は不良の男が好き」など言いたいこといい放題。短い文なのに最初と終りのつながりが悪く、流れがない。さすが、週刊誌の連載物。

いつもは星をつけた評価の前は、あらすじを紹介するに留めるのだが、紹介する内容がない。

初出:「週刊現代」2009年7月18日号~2011年1月15・22日号
単行本化にあたり抜粋、修正。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

週刊誌に連載していた読み物なので、そこらの酔っぱらいの講釈のような内容だ。ところどころに、阿木燿子、井上陽水、長嶋茂雄、松井秀喜など有名人を登場させるサービスがあるが。
内容も普通の大人なら当たり前のことが多い。一部だが、怒りの内容も野球部で鍛えられただけあって、タカ派であり、軟弱な私には受け入れがたいものが多い。古いタイプの男性で矜持があり、男臭いとお好みの女性もいるのだろうが。

最後の「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」だけが、心を打つ。夏目雅子の無邪気さ、ひたむきさ、明るさが。自分を制御できず、ギャンブルや酒に溺れる人を私は全く評価しないが、そんな彼女に愛された伊集院さんは、単純な私には理解できない良いところを持った人なんだろうとは思う。



伊集院静(いじゅういん・しずか)
1950年山口県防府市生れ。立教大学文学部卒。
CMディレクター、作詞家などとして活躍
1981年「小説現代」に『皐月』を発表し、文壇レビュー
1991年『乳房』で吉川英治文学新人賞受賞
1992年『受け月』で直木賞受賞、女優篠ひろ子と再婚
1994年『機関車先生』で柴田錬三郎賞受賞
2001年『ごろごろ』で吉川英治文学賞受賞
その他『駅までの道をおしえて』、『なぎさホテル』など。
二番目の妻が夏目雅子、現妻は篠ひろ子。






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デビット・カークパトリック『フェイスブック 若き天才の野望』を読む

2011年11月27日 | 読書2
デビット・カークパトリック著、滑川海彦・高橋信夫訳『フェイスブック 若き天才の野望 5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた』2011年2月日経BP社発行、を読んだ。

マーク・ザッカーバーグ Mark Zuckerberg がハーバード大学の寮の一室でソーシャルネットワークのフェイスブック Facebook を学内だけを対象として立ち上げてから、ユーザー数が5億人を超え、会社価値がグーグルに迫るグローバル企業に成長させるまでが詳しく書かれている。
著者は徹底して取材していて、技術的な記述は少ないが、他社との競争、主導権を渡さずに会社成長の資金を確保するための駆け引きや、社内の人間関係のもつれなど詳細にあからさまに描いている。

著者がザッカーバーグに初めてあったとき、彼はこう言ったに。
われわれの会社はガスや水道と同様の公益事業です。人々が世界を理解する方法をより効果的なものにしようと試みています。われわれの目的はサイトの滞留時間を最大にすることではない。われわれのサイトを訪問している時間を最大限に有意義なものにしようと努力しているんです。


フェイスブックがサーバー容量の範囲内でアイビーリーグの大学に徐々に拡大していくと、様々な企業から買収提案が上がった。しかし、ザッカーバーグは金には興味がなく、ユーザーにとって楽しく役立つサイトという自分の思うようなサイトにフェイスブックを成長させていくことしか考えていなかった。寮仲間のモスコロヴィッツ、クリス・ヒューズや、ナップスターの創業者ショーン・パーカーが加わり、西海岸のパルアルトに移る。
パフォーマンスを確保できる範囲にコントロールしながら規模拡大し、サーバーを増加させ、運用ソフトを開発し続けた。そして、サーバー購入やソフト開発者確保のための資金が必要になり、ベンチャーキャピタルや大企業との駆け引きが始まる。

ザッカーバーグは広告には否定的だったが、規模拡大と共に膨大となる運営費を稼ぐためには広告を載せるようになる。通常のポップアップ広告やグーグルのアドワーズ検索広告は、自分が探しているものが解っているものの広告だ。しかし、フェイスブックの広告は、欲求を生み出す広告なのだ。

今や、フェイスブックのユーザー数は5億人を超え、毎月5%と驚異的なスピードで成長している。ユーザーは平均で毎日1時間弱も利用している。



著者デビット・カークパトリック
フォーチュン誌のIT分野を専門とするベテラン記者だったが、フリーに転身して本書を執筆した。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

ザッカーバーグや、フェイスブックという会社、あるいはベンチャー企業の成功物語に興味のある人はとくにお勧めだ。極めて優れた頭脳の持ち主で、自分でコードを書くことが好きで、頑固で信念を曲げなが、形式的なことは大嫌いで、身の回りには構わないザッカーバーグに魅せられる。友達としては歓迎できないと思うが。ビル・ゲーツ、スティーブ・ジョブズなどIT企業で成功する男に共通するような気がする。
友人数人で開発していたごく小規模の頃の話が面白い。本文490ページと大部で、出資資金獲得の駆け引きの部分と、広告のあり方の記述が読んでいてもたれる。






【読書メモ】
■実名主義はフェイスブックの最も重要な方針だ。
■「ぼくらは世界にもっと透明性を加えることが必要だと。さまざまな情報へのアクセスを拡大して情報の共有を広げることが、結局、世界に必然的に大きな変化をもたらすと、ぼくらは考えた」(ザッカーバーグ)
■フレンドスターは自らの成功によって押しつぶされていった。
 1ページを読み込むのに20秒もかかるようになった。
 また「フェイクスター」とあだ名を付けられた一部ユーザーとの戦いがブランド・イメージを傷つけていた。
■ポークはおおいに洗練され分別もあるはずのハーバードの学生の間でさえ、むやみに流行した。その秘密は、ポークが公式にはなんら性的意味を含んでいなかったことにあった。
■「ぼくはこのサービスをどうつくっていくかを考えている。出ていくことなんか考えていない。(中略)悪いが、出口戦略なんか考えたことがない」(会社を売って儲けることは全く考えない)(ザッカーバーグ)
■「アイデンティティーはひとつだけ」
 フェイスブックを始めた頃、大人のユーザーには仕事用のプロフィールと「楽しめるソーシャル用プロフィール」の両方を用意すべきだという声があった。ザッカーバーグは常に反対した。
 「仕事上の友達や同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる」
■「ニュースフィールド」
 ニュースフィールドで公開される自分の情報を、ユーザがある程度制御できるようにした。例えば、交際ステータスを既婚から未婚に変えたときには配信しないように。
■フロントページ(新聞の一面)ルール
 プロフィールには詳細で正確な情報を載せ、積極的に会話に参加している。しかし、もし地元の新聞の一面に載ったらショックを受けるようなことは、絶対に書かないようにしている。
■フェイスブック上の近況アップデートだけをとっても、世界中のブログを合わせた10倍の量になる(社内推計)。2010年1月、米国インターネット利用時間の11.6%がフェイスブック上で費やされ、グーグルは4.1%だった。
■グーグルがフェイスブック内の情報にアクセスできなければ、検索サイトとしての地位が危機になる。
■広告用語で言えば、グーグルのアドワーズ検索広告は「要求を満たす」
 対照的に、フェイスブックは要求を生み出す。
■「敵は正面からではなくいつの間にか背後に忍び寄ってくる。だからツイッターはフェイスブックが十分注意すべきタイプの相手なのだ」(マーク・アンドリーセン)
■「ぼくは毎日のようにこう自問している「今ぼくは自分にできる一番大切なことをやっているのだろうか」と」(ザッカーバーグ)


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長嶋有『安全な妄想』を読む

2011年11月24日 | 読書2
長嶋有著『安全な妄想』2011年9月平凡社発行、を読んだ。

各種メディアに発表したエッセイ66編を集めている。

冒頭の「蕃爽麗茶」から面白い。
S出版社からお歳暮で送ってくる品物(本文には実名を挙げているが、ここでは特に名を秘す??)がまずくて飲めない。断っても断っても送って来て、冷蔵庫を占領する。友人の作家の家に遊びに行って冷蔵庫の上部にブロック化したあの品を発見してしまう。
〇〇〇〇の、ストローまで茶色というところも中年扱いぽくてむっとする。ママやぼくにはカラフルな赤や緑だけど、中年太りのパパは茶色ね! みたいな、・・・


「ごはんできたよ」
向こうの部屋から「ごはんできたよ」と呼ばれて「はーい」と答えて食堂に行ったらまだ全然ご飯をよそってない。ことがある。
釈然としない。
・・・
ウソをいうな。
「ごはんもうすぐできるから手伝って!」と正確にいってほしい。ものすごく、ガッカリするから。


ふざけた口調で語っているが、他の話を読んでも、長島さんは、言葉に敏感で厳密な人らしい。ちょっとずれた言葉に怒り、そこから自虐ネタが生み出されるようだ。



長嶋有(ながしま・ゆう)
1972年埼玉県草加市生れ。北海道育ち。東洋大学第2文学部国文学科卒業。
シャチハタ勤務後、
2001年「サイドカーに犬」で文学界新人賞受賞、芥川賞候補
2002年「猛スピードで母は」で芥川賞受賞
2007年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞受賞
その他、『ジャージの二人』など
ネット・コラムニスト「ブルボン小林」としても活動



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

全編おふざけで笑える。こういった本は簡単に読めるので電車の中で読むのが良いのだが、思わず吹き出して周囲の人に白い目で睨まれるおそれがある。
私は嫌いではないのだが、おふざけ度が高いので、芥川賞作家「長嶋有」の名ではなく、「ブルボン小林」の名で発表した方が良いと思える。

iPhoneもときどき突然落ちるという。
iPhoneの、あの「落ちた」後の涼しげな感じはなんだろう。あらわれる林檎のマークがツルピカで格好いいのも解せない。「俺、iPhoneだけど?」みたいな風だ。
今、おまえそういう態度でいい場面じゃないだろう。

昔、私もWindows3.0(もっと昔だったかも)を使っていた頃、パソコンが突然落ちて、セーブしてないデータが飛んでしまうことが多かった。しかも、画面には「不正な操作が行われました」といった内容の表示がでる。アメリカの責任逃れ文化によけい頭にきたのを思い出した。




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スティーブン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』を読む

2011年11月20日 | 読書2
スティーブン・ミルハウザー著、柴田元幸訳『ナイフ投げ師The Knife Thrower 』2008年1月白水社発行を読んだ。

静かに空想の世界を精緻に描き出し、どんどん深めていく、魔法のような12の短篇集。

ナイフ投げ師
熱狂的支持の一方、下卑た見世物師との噂もあるナイフ投げ師ヘンシュが町でただ一度だけ公演を行う。ナイフ投げの技は徐々に危険度を増し、「師による血のしるし」を頂くためにより危険な技に移っていく。そして最後の出し物「最後のしるし」となり、会場に緊張が走り、・・・。
本作「ナイフ投げ師」(The Knife Thrower)はOヘンリー賞受賞。

空飛ぶ絨毯
父さんが近くでもよく見かけるようになった空飛ぶ絨毯を買ってきてくれた。僕はさっそく絨毯に乗り窓から外へ飛んでみる。家々の屋根や川などが見えてくる。

新自動人形劇場
私たちの市には無数の自動人形劇場がある。しかしなのといっても名匠は、自動人形(からくり人形)の魔力に取り憑かれたハインリッヒ・グラウムだ。自動人形には機械的熟練、解剖学的完全無垢の動作はもちろん、神秘的要素、精神的次元の高さが要求される。彼は若くして神業に域に達したが、36歳から10年間の沈黙に入る。そして復活した名匠の作品は人々を驚かす。

その他、「ある訪問」 、「夜の姉妹団」、「出口」、「月の光」、「協会の夢」、「気球飛行、一八七〇年」、「パラダイス・パーク」、「カスパー・ハウザーは語る」、「私たちの町の地下室の下」



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

訳者の柴田さんが「あとがき」で
ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に嚙まれることに似ていて、いったんその魔法に感染してしまったら、健康を取り戻ることは不可能に近い。


と述べている。私も、確かに不思議で深いオタクの世界だと思う(柴田さんも含め)。記述の精緻ぶりには感心するが、私はここまで潜り込む気にもなれないし、入り込めない。



スティーブン・ミルハウザー Steven Millhauser
1943年ニューヨーク生れ。コロンビア大学卒。
1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー
1998年本書『ナイフ投げ師』でOヘンリー賞受賞
1996年『マーティン・ドレスラーの夢』でピューリッツァー賞受賞。

柴田元幸(しばた もとゆき)
1954年東京生まれ。東京大学教授、専攻現代アメリカ文学。翻訳者。訳書は、ポール・オースター、ミルハウザー、ダイベックの主要作品、レベッカ・ブラウン『体の贈り物』など多数。著書に『アメリカン・ナルシス』『それは私です』など。『生半可な学者』は講談社エッセイ賞を受賞。





以下、私のメモ

「ある訪問」
大学生の頃の親友アルバートとは9年間は音信不通だった。突然の誘いの手紙を受け、新居を構えた奥深い村に向かう。紹介された妻アリスは椅子に座っていたが、大きな・・・。

「夜の姉妹団」
深夜、 少女たちが人目のつかない場所で夜の秘密の集会を開いているという。少女の自殺、とびかう様々な噂のなか、ある医師が自分の娘を追跡するが、・・・。

「出口」
ハーターは図書館で知り合った人妻マーサと終わりを覚悟したときマーサの夫が入って来る。そして翌日二人の男がハーターを訪ねて来て、・・・。

「月の光」
15歳になった夏、僕は月明かりの町を歩き出す。クラスの女の子4人が男の子のような格好でボール遊びをしていて、僕も加わる。終わってから誘われてソーニャの家の中を通って玄関で別れる。月光のなか夜道を家に戻る。

「協会の夢」
古くなり、かつての魅力をなくした百貨店を「協会」が買収し、新規開店した。新装百貨店は19階建てで、本物のように驚かされる売り場が数々ある。小川や滝は郊外の大土地所有者に相当売れた。さらに百貨店は日々劇的に変化していく。

「気球飛行、一八七〇年」
1870年、プロイセン軍に包囲されたフランスに降り立ってレジスタンスを組織すべく気球で空に登る。

「パラダイス・パーク」
1912年に開園し、1924年に焼失した伝説の遊園地パラダイス・パークは、ある種のどぎつさ、過剰さによって空間の限界を乗り越えようとしていて、前代未聞の方向へと進んでいく。

「カスパー・ハウザーは語る」
野生児、カスパー・ハウザーは、一見非の打ち所がない若い紳士であるが、ほんの数年前まで、火すら知らず、光を怖れる獣のようだった。棒のてっぺんに光が見え魅せられて手を伸ばすと棒が私に噛み付いた。それはロウソクというものだった。やがて、生きていて動くものと、風などで動かされるものを区別できるようになった。

「私たちの町の地下室の下」
私たちの町の地下室の下、はるかずっとしたには、くねくねとよじれ、交差しあう通路の迷宮が広がっている。


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吉祥寺南町のフレンチレストランでランチ

2011年11月18日 | 食べ物

たまには昼飯もレストランでと、かねて目をつけていたレストランに電話すると、満杯だという。ならばと、散歩がてら末広通りあたりを歩きまわる。
花いっぱいの「トーク バック ビコックTALK BACK Bicoque」は何回か入ったしと、隣を見ると、小さなビルの3Fにフレンチレストラン「ボナペティBon Appetit 」とある。



ランチメニューは、1200円、2300円などとある。ささやかな我々でも恐れるほどの店ではなさそうなので、エレベータで3Fに上がる。



窓際にはお客がいたので、店内入口側をパチリ。週日で目立たず、入りにくい店なのに4組ほどのお客様がいる。



野菜ランチ1200円より1つだけ上のマロニエコース(2300円)をオーダー。
まず、自家製ライ麦パンが出てくる。皮の硬いライ麦?の小さな固まりがあり、多少コリコリして美味しい。



続いて、前菜の6種盛り合わせ。右回りに有機野菜のサラダ、鴨のリエット、鯛のカルパッチョ、パプリカのエチュベ(蒸し煮)、ツボ貝のポッシェ、あん肝のコンフィ



三鷹の完全無農薬農家吉田農園の長ネギの冷製スープ



完全に頂いてしまってから写真を撮ってないのに気が付く。

メインは、天然黒ムツのソテー、トマトとキタアカリのソース。わずかに酸味のあるトマトのソースと黒ムツが良く合っている。エビの尻尾に残った身がナイフで採れないで悔しい。

 

季節のご飯は、銀杏の乗ったご飯とほうじ茶。ご飯は軽くおにぎり状に。



先着25名のサービスデザート栗のサバラン



奥様のデザートはラム風味のクレームブリュレ(自然卵使用)



私めは、自家製アイスクリームの盛合わせ(ヴァニラ、カシスオレンジ、キャラメル)



最後に、キリマンジャロ・コーヒーとハーブ・ティー

コストパフォーマンスの良い結構なランチでした。




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スティーブン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』を読む

2011年11月16日 | 読書2
スティーブン・ミルハウザー著、柴田元幸訳『ナイフ投げ師The Knife Thrower 』2008年1月白水社発行を読んだ。

静かに空想の世界を精緻に描き出し、どんどん深めていく、魔法のような12の短篇集。

ナイフ投げ師
熱狂的支持の一方、下卑た見世物師との噂もあるナイフ投げ師ヘンシュが町でただ一度だけ公演を行う。ナイフ投げの技は徐々に危険度を増し、「師による血のしるし」を頂くためにより危険な技に移っていく。そして最後の出し物「最後のしるし」となり、会場に緊張が走り、・・・。
本作「ナイフ投げ師」(The Knife Thrower)はOヘンリー賞受賞。

空飛ぶ絨毯
父さんが近くでもよく見かけるようになった空飛ぶ絨毯を買ってきてくれた。僕はさっそく絨毯に乗り窓から外へ飛んでみる。家々の屋根や川などが見えてくる。

新自動人形劇場
私たちの市には無数の自動人形劇場がある。しかしなのといっても名匠は、自動人形(からくり人形)の魔力に取り憑かれたハインリッヒ・グラウムだ。自動人形には機械的熟練、解剖学的完全無垢の動作はもちろん、神秘的要素、精神的次元の高さが要求される。彼は若くして神業に域に達したが、36歳から10年間の沈黙に入る。そして復活した名匠の作品は人々を驚かす。

その他、「ある訪問」 、「夜の姉妹団」、「出口」、「月の光」、「協会の夢」、「気球飛行、一八七〇年」、「パラダイス・パーク」、「カスパー・ハウザーは語る」、「私たちの町の地下室の下」



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

訳者の柴田さんが「あとがき」で
ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に嚙まれることに似ていて、いったんその魔法に感染してしまったら、健康を取り戻ることは不可能に近い。

と述べている。私も、確かに不思議で深いオタクの世界だと思う(柴田さんも含め)。記述の精緻ぶりには感心するが、私はここまで潜り込む気にもなれないし、入り込めない。



スティーブン・ミルハウザー Steven Millhauser
1943年ニューヨーク生れ。コロンビア大学卒。
1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー
1998年本書『ナイフ投げ師』でOヘンリー賞受賞
1996年『マーティン・ドレスラーの夢』でピューリッツァー賞受賞。

柴田元幸(しばた もとゆき)
1954年東京生まれ。東京大学教授、専攻現代アメリカ文学。翻訳者。訳書は、ポール・オースター、ミルハウザー、ダイベックの主要作品、レベッカ・ブラウン『体の贈り物』など多数。著書に『アメリカン・ナルシス』『それは私です』など。『生半可な学者』は講談社エッセイ賞を受賞。





以下、私のメモ

「ある訪問」
大学生の頃の親友アルバートとは9年間は音信不通だった。突然の誘いの手紙を受け、新居を構えた奥深い村に向かう。紹介された妻アリスは椅子に座っていたが、大きな・・・。

「夜の姉妹団」
深夜、 少女たちが人目のつかない場所で夜の秘密の集会を開いているという。少女の自殺、とびかう様々な噂のなか、ある医師が自分の娘を追跡するが、・・・。

「出口」
ハーターは図書館で知り合った人妻マーサと終わりを覚悟したときマーサの夫が入って来る。そして翌日二人の男がハーターを訪ねて来て、・・・。

「月の光」
15歳になった夏、僕は月明かりの町を歩き出す。クラスの女の子4人が男の子のような格好でボール遊びをしていて、僕も加わる。終わってから誘われてソーニャの家の中を通って玄関で別れる。月光のなか夜道を家に戻る。

「協会の夢」
古くなり、かつての魅力をなくした百貨店を「協会」が買収し、新規開店した。新装百貨店は19階建てで、本物のように驚かされる売り場が数々ある。小川や滝は郊外の大土地所有者に相当売れた。さらに百貨店は日々劇的に変化していく。

「気球飛行、一八七〇年」
1870年、プロイセン軍に包囲されたフランスに降り立ってレジスタンスを組織すべく気球で空に登る。

「パラダイス・パーク」
1912年に開園し、1924年に焼失した伝説の遊園地パラダイス・パークは、ある種のどぎつさ、過剰さによって空間の限界を乗り越えようとしていて、前代未聞の方向へと進んでいく。

「カスパー・ハウザーは語る」
野生児、カスパー・ハウザーは、一見非の打ち所がない若い紳士であるが、ほんの数年前まで、火すら知らず、光を怖れる獣のようだった。棒のてっぺんに光が見え魅せられて手を伸ばすと棒が私に噛み付いた。それはロウソクというものだった。やがて、生きていて動くものと、風などで動かされるものを区別できるようになった。

「私たちの町の地下室の下」
私たちの町の地下室の下、はるかずっとしたには、くねくねとよじれ、交差しあう通路の迷宮が広がっている。


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『佐野洋子対談集 人生の基本』を読む

2011年11月14日 | 読書2
佐野洋子、西原理恵子、リリー・フランキー『佐野洋子対談集 人生の基本』2011年2月講談社発行、を読んだ。
2010年11月に死去した佐野洋子と西原理恵子、そしてもう一つリリー・フランキーとの対談集。いずれも武蔵野美術大学の卒業生。

佐野と西原の「人生のきほん」とはとても言えない凄まじい生き様の語り合いに圧倒される。

西原さんはアル中の夫と6年暮らすが、ひどくなって暴れだし、幼い子供が2人いたので夫を離婚する。病院でアルコールと戦う元夫に「治ったら一緒に暮らそうね」と励ますが、治っちゃったので子供と4人で4年間暮らす。アル中の父親に殴られて育ったという元夫は“負のスパイラル”を自分の手で断ち切って子供に手を上げることもなく、ガンになり最後は“いい奴”になって心安らかに亡くなる。

佐野さんが3,4歳のとき、生まれたばかりの弟が血を吐いて目の前で亡くなる。毎日世話していた弟も一晩で急死する。翌年兄が死ぬ。
「人間も動物だから、一生なんて、息して、ごはん食べて、うんこして、子ども産んで、死ぬっていうだけなんだよね。」


リリー・フランキーさんとの対談時は2009年で、すでにガンで医師から余命2年と言われる中で行われたが、タバコを吸いながら豪快に笑う佐野さんの写真が良い。
リリーさんとの対談は佐野さんの体調から2回に分けて行う予定だったが、1回しか実現しなかった。この本の最後には、リリーさんから亡くなった佐野さんへの手紙で終わる。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

まったく普通ではない生涯の中で、達観する佐野さんと、依然欲まみれの西原さんの話がかみ合って面白い。三人による挿絵、イラストも三者三様で楽しい。

人生に達観したような佐野さんの言が痛快だ。
「余命を聞いたときに、死ぬまでいくらくらい病院に払わなきゃなんないかもきいたの。そうしたらいちおう見通しが立ったの。だからその日にジャガーを買った。」


そんな佐野さんも、70歳を過ぎても4歳の頃に母に舌打ちして手を振り払われた苦い記憶から逃れられない。
私も4,5歳の頃、母に連れられてデパートを歩いているとき、知らない所で何か不安だったのだろう、母の着物の袖をしっかり掴んでいた。急ぎ足の母が急に振り向いて、「そんなところ持ったら歩きにくいでしょう」と私の手を振り払った。びっくりして、悲しくて、60年以上経った今でも頭にこびりついている。高齢出産で一人っ子の私は、母に十二分に愛されたことは解っているのだが。



佐野洋子
1938年北京生れ。武蔵野美術大学デザイン科卒。ベルリン造形大学に留学。
主な絵本に『100万回生きたねこ』、エッセイ集『神も仏もありませぬ』で小林秀雄賞受賞。
2010年11月ガンで死去。
谷川俊太郎は二度目の元夫。

西原理恵子
1964年高知県生れ。武蔵野美術大学卒業。
在学中に漫画家デビュー。数々の賞を受賞。

リリー・フランキー
1963年福岡県生れ。武蔵野美術大学卒業。
イラスト、文筆、写真、俳優業など。
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』は220万部を超すベストセラー。







「100万回生きたねこ」のあらすじ(以下、ウィキペディアによる)
ja.wikipedia.org/wiki/100%E4%B8%87%E5%9B%9E%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%AD%E3%81%93
主人公の猫は、ある時は一国の王の猫となり、ある時は船乗りの猫となり、その他、サーカスの手品つかいの猫、どろぼうの猫、ひとりぼっちのお婆さんの猫、小さな女の子の猫…と100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。その時、100万人の飼い主は猫の死にひどく悲しんでいたが、当の猫はまったく悲しまなかった。主人公の猫は、飼い主のことが大嫌いだったのだ。
ある時、主人公の猫は誰の猫でもない野良猫となっていた。「自分だけの事が好き」な主人公の猫は、100万回生きたことを自慢し、周囲のメス猫たちも何とか友達や恋人になろうと、プレゼントを持ってきたりして周囲に寄ってくる。
しかし、唯一 自分に関心を示さなかった一匹の白猫の興味をなんとか引こうとするうちに、いつのまにか主人公の猫は、白猫と一緒にいたいと思うようになる。そして、白猫にプロポーズをするのであった。白猫は主人公の猫の思いを受け入れた。
そして時がたつと、白猫はたくさん子供を産み、年老いてゆき、やがて猫の隣で動かなくなった。そこで猫は初めて悲しんだ。朝になっても昼になっても夜になっても、100万回泣き続けた。
そして猫も、とうとう白猫の隣で動かなくなり、それ以後生き返ることはなかった。


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レイモンド・チャンドラー『リトル・シスター』を読む

2011年11月13日 | 読書2
レイモンド・チャンドラー著、村上春樹訳『リトル・シスター』2010年12月早川書房発行、を読んだ。

村上春樹のレイモンド・チャンドラーの翻訳には、世評の高い『ロング・グッドバイ』と『さよなら、愛しい人』がある。3作目は村上さんが個人的にとくに「愛おしい」という本書『リトル・シスター』だ。


裏表紙にはこうある。
「あなたはとことん見下げ果てた人間です」私は二十ドルぶんの通貨を、デスクの向こう側に少し押し出した。「君は二十ドルぶん、彼のことを案じていた。しかし何を案じているのか、もうひとつよくわからない」
行方不明の兄オリンを探してほしい―私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、20ドルを握りしめてこう言った。いわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受けることとなったマーロウ。しかし、調査を開始した彼の行く先々で、アイスピックでひと刺しされた死体が! 謎が謎を呼ぶ殺人事件は、やがてマーロウを欲望渦巻くハリウッドの裏通りへと誘う…。村上春樹が「愛おしい」作品と呼び、翻訳を熱望した『かわいい女』、ついに半世紀ぶりの新訳なる。




レイモンド・チャンドラー Raymond Chandler
1888年シカゴ生れ。7歳のころ両親が離婚し、母についてイギリスへと渡る。名門ダリッチ・カレッジに通うも卒業することなく中退。
1912年アメリカへ戻り、いくつかの職業を経たのち、1933年にパルプ雑誌“ブラック・マスク”に寄稿した短篇「ゆすり屋は撃たない」で作家デビュー
1939年『おおいなる眠り』
1953年『長いお別れ(ロング・グッドバイ)』でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長編賞
1959年70歳で没



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

人と事件が複雑で、充分に説明されないまま進んでいくこともある。訳者の村上さんも、誰が犯人か解らないところや、整合がとれない点も多いと書いている。実際、読んでいる途中で混乱することも多かった。
では何で「四つ星:お勧め」か、というと、いつものように苦笑してしまう私立探偵マーロウの会話、存在の魅力だ。加えて、純粋、素朴、潔癖そのものと思える依頼人オーファメイ・クエストの描写、そして謎だ。



以下、村上さんの「訳者あとがき」について。

「訳者あとがき」によれば、本作は著者チャンドラーが唯一嫌いな作品だという。著者は4年間ハリウッドに身をおき、売れっ子ライターで給料も良かったが、過酷な仕事で、本作品の執筆を中断させられることもしばしばだったという。このためもあって、チャンドラーはハリウッドのくだらなさにうんざりしていた。
本作にもそんな記述が散見するが、ひとつだけ挙げる。
「寝そべって空に浮かんだ淡い星を見上げている男がいた」
星はハリウッドから遠く距離を置くだけの節度を持ち合わせていた。


また、本作には前4作にないくたびれた中年男の侘しさが漂っている。
埃まみれのクーペやセダンに乗った疲れた男たちはたじろぎ、ハンドルをしっかりと握り締め、我が家に向けて、夕食に向けて、北に西にとぼとぼと家路を辿る。家で彼を待っているものといえば、新聞のスポーツ・ページか、騒がしいラジオの音か、甘やかされた子供たちの泣き声か、愚かな細君の果てしないおしゃべりか、その程度のものだ。


では、村上春樹はこの作品のどこが気に入っているのか?
まずだいいちにオーファメイ・クエストという女性が素晴らしくうまく書けているからだ、僕はこのオーファメイの出てくるシーンを読むためだけでも、この本を手に取る価値があるとさえ考えている。


著者自身はこの作品について「すぐ脇道にそれて、気の利いたことを言ったり、悪ふざけをしたり、そんなことばかりうつつを抜かしている」と言っているが、村上さんはそれこそがチャンドラーの魅力で、訳していても楽しかったと語っている。

いつもながら、村上さんのあとがきは嬉しい。客観的、公平でありながら充分気を使った評価、同じ作家として創作する立場からの分析がある。そして、個人としての作品、著者へのいとおしさに溢れている。


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キョロキョロ散歩

2011年11月10日 | 日記
まずはピラカンサから。



昔、庭にピラカンサがあって鳥がついばみに来るのをガラス戸の中から観察したものだった。散歩していて、ときどき大きな木に山盛りの実がなったピラカンサを見かけるが、これほどズラリと並んだところは珍しい。



淡い色の朝顔?を思わずパチリ。



こちらは壁一面の朝顔? もう少しすると一面に咲き出す。



こちらも淡く艶やかな花。



繁華街にブドウの木。



近くで覗き込むとちゃんと実もなっている。



こちらのレストランは花いっぱい。



道路沿いに新しく出来た公園。



最近見かけないバッタが。



デコレーションのように色とりどりの実がなっていた。



この季節にときどき見かける花だ。「ブルグマンシア」が正しい名前のようだが、通称の「エンジェルス・トランペット」の方が覚えやすい。



黄色の花もある。(一昨年の写真)



だいぶ前の写真だが、ハロウィーン便乗のケーキ店。




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レイモンド・カーヴァー「必要になったら電話をかけて」を読む

2011年11月08日 | 読書2
レイモンド・カーヴァー著、村上春樹訳「必要になったら電話をかけて」村上春樹翻訳ライブラリー2008年7月中央公論新社発行、を読んだ。

2008年8月に読んだ本の再読だ。ただし、新書版化されている。図書館で村上春樹翻訳シリーズがズラッと並ぶ中で目についてさっと取って家に帰って読み始めるとすぐに既に読んだ本だとわかった。よくあることだ。どうも題名などが私の好みであるらしい。

村上春樹さんは敬愛するレイモンド・カーヴァーの全著作を14年かけて翻訳した。この本は、カーヴァーの死の10年後、発見された5編の短編の翻訳を全集から収録したものだ。

薪割り
アルコール依存症回復施設に入っているあいだに奥さんは別の男と家を出て行ってしまう。彼は旅に出て、気の良さそうだが、知りたがりの夫婦の家の部屋を借りる。何日か経って、冬に備え薪用の山のような材木が運ばれてくる。彼は頼んで薪割りをさせてもらう。すべての薪を割ってしまって、彼はその家を出る。

どれを見たい?
この家を出ると夫婦は東部と西部に別れるのだ。出ていく家をきっちり掃除していると、隣でレストランを営む大家さんがやってきて出発の前日の夕食に誘われた。夕食では温かい会話が続く。翌朝には・・・。


夢を見るとその内容を夫に話して聞かせる妻。隣家には可愛いさかりの子供二人と暮らす奥さん。そして、隣家で悲劇が起こる。

破壊者たち
妻は旧友夫妻と何かというと会いたがる。そして、2組の夫婦は触れられない話題を気にしながら会話し、夫は落ち着かない。かって彼らは、妻の元夫と4人組でさまざななことを楽しむ仲間だったのだ。

必要になったら電話をかけて
それぞれ愛人のいる夫婦が一夏の間自宅を離れ別の家を借りて暮らしてみることにした。

いずれの話も、とくに何と言うことはない淡々とした話なのだが、アルコール依存症、離婚などの棘が刺さったままでの、かみ合っているようで、すれ違う男と女の会話。そして、その会話からその奥が覗けてしまう。

序文では、本編発見のいきさつなどをでカヴァーの奥さんである詩人のテス・ギャラガーが語る。巻末には26ページに及ぶ村上さんの解題(著者や著作の由来、内容などの解説)と、20ページに渡るレイモンド・カーヴァーの年譜がついている。



レイモンド・カーヴァー Raymond Caver
1938年オレゴン州生まれ。製材所勤務、病院の守衛、教科書編集などの職を転々とするかたわら執筆を始める。
1977年『頼むから静にしてくれ』が全米図書賞候補
1983年『大聖堂』が全米批評家賞・ピュリッツァー賞の候補
1988年肺がんで死去



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

前回には筋を追うのに集中していたのが、3年ぶりに読み返すと、雰囲気、会話の向う側、文章などにも注意が行くようになる。これらの作品は未発表の半分習作のようだが、とくに村上さんの解題を読むと、私にもカーヴァーらしさが解ったような気がした。

村上さんの解題は、本文よりもお勧めだ。良い点も悪い点も率直に語る村上さんの息遣いが聞こえるようだ。
各編をこまかく分析、批評していて、作家として、小説のつくり方からの批評が面白い。カーヴァー自身が未発表にとどめたこれらの作品のどういう点が「ゆるい」のか、具体的に指摘しているものもある。
自身の小説とはまったく似ていないカーヴァーに入れ込んで全集の翻訳までした理由の一つをこう述べている。
読んでいると、光景がいきいきと目の前に立ち上がって浮かんでくるし、抑制された不思議な静けさが漂っている。匂いがあり、温もりがあり、肌触りがあり、息づかいがある。世界を見つめる一対のたしかな目があり、それを文章に的確に移し換えていく熟練した技量がある。
 












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村山斉『宇宙は本当にひとつなのか』を読む

2011年11月06日 | 読書2
村山斉著『宇宙は本当にひとつなのか 最新宇宙論入門』ブルーバックスB-1731、2011年7月講談社発行、を読んだ。

宇宙の中で、原子でできている目に見える物質は5 %にも満たず、残りの約23 %は正体不明の暗黒物質ダークマターと約73 %の暗黒エネルギーが占めている。宇宙の約97 %は正体不明だったのだ。しかし、ごく最近、暗黒物質の研究から、私たちには見えない4次元膜があるとの多次元宇宙の理論が提案されてきた。また、暗黒エネルギーの存在を説明するため、量子力学のひも理論を用い、無数の宇宙が存在しているという多元宇宙というものも提案されている。
宇宙の初歩的な事実から、SFチックな最新の理論まで、コンパクトにまとめた最新宇宙論入門。



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

「この本、本当に面白い!」と言うと、奥様が題名を見て眉をひそめた。ウーン、確かに面白いと思うのは理工系オタクに限るかも。しかし、専門的な内容だが、興味さえあれば大変読みやすく、コンパクトにまとまった驚きのSF的本なのだ。そして、まだまだ仮説の部分も多いのだが、もちろん科学的理論、実験に基づく本だ。したがって、あくまで五つ星としたい。



村山斉(むらやま・ひとし)
1964年東京生まれ。東京大学国際高等研究所数物連携宇宙研究機構(IPMU)の 初代機構長、特任教授。米国カリフォルニア大学バークレー校物理教室教授。
1991年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。カリフォルニア大学バークレー校物理学科MacAdams冠教授、米国プリンストン高等研究所メンバーを経て、2007年10月より現職。専門は素粒子物理学。素粒子理論における若きリーダーであり、執筆活動などにより、宇宙研究の広報にも努めている。





以下、私のメモ

「暗黒物質ダークマター」
目で見えなくて正体不明だが重力を持つように観測されるものを暗黒物質と呼ぶ。
銀河は遠くに行っても星やガスの速度は遅くなっていない。このためには、見えない物質(暗黒物質)が銀河の端に行くほど増加していなければならないことになる。
また、遠くの銀河団の光が巨大な重力によって曲げられている。これから暗黒物質が存在しなくては行けないことがわかる。
そもそも、この暗黒物質がなければ、地球も、太陽も、星も、銀河も生まれなかった計算になる。
この暗黒物質は何物とも干渉しないので、今この瞬間にも私達の周辺、体をすり抜けている。
暗黒物質(ほとんど反応しない重い素粒子、コールドWIMP)の有力候補がアクシオン、と超対称性粒子のニュートラリーノであると理論的に予言、期待されている。


「多次元宇宙
『ワープする宇宙』を書いたアメリカのリサ・ランドールの説は、我々の認識できる4次元の膜(ウィークブレーン)と、もう一つの4次元の膜(重力ブレーン)が並行に並んでいて、その間にワープ出来る空間があるというものだ。暗黒物質は私達が見えない次元を走っていてエネルギーも高いが、私達からは止まっているように見えるというものだ。
http://pub.ne.jp/hiyamizu/?daily_id=20071123
重力は他の力に比べてあまりにも小さすぎる。例えば電磁力とは36桁も異なる。ただし重力は引力しかないので互いに打ち消し合わず、加わるだけだ。そこで、重力は異次元にもにじみ出るので弱く見えるという考えが出てきた。


「暗黒エネルギー」
宇宙の体積が大きくなっても、膨張速度は速くなっている。宇宙が広がるたびに増え続けるエネルギーが必要で、そのため考えられたのが暗黒エネルギーだ。
有力な仮説は、真空も粒子は反粒子が出来ては消えてを繰り返してエネルギーを持っているという説だ。この説により真空エネルギーを計算すると120桁も大きな値になり宇宙は引き裂かれてしまうことになる。そこで、素粒子を点ではなく、小さなひもだという超ひも理論が登場し、宇宙は1次元の時間、目にできる3次元、小さな異次元が6次元(カラビ・ヤウ多様体)の10次元ということになる。超ひも理論は重力を含む力の統一が出来る可能性がある。超ひも理論は特異点を持つブラックホールが熱を持つという問題に解を与えた。
アインシュタインの重力理論はまちがっていて、宇宙は加速膨張しないとする人たちがいる。彼らは超ひも理論の一つにより泡宇宙となるとの提案をしている。

「多元宇宙」
暗黒エネルギーを説明するためには、相対性理論と量子力学を1つにした新しい理論が必要だ。その最有力候補の超ひも理論のよれば、まだ未完成なのだが、膨大な宇宙が存在するという結果が出てしまう。これが宇宙は10の500乗個も作られたという「多元宇宙」という考え方だ。

「人間原理」
この宇宙の物理法則を見なおしてみると、人間が出現するための条件がありえないほど見事にそろうようにできている。うまくできすぎている理由を、神のような超越的な存在が宇宙を創ったためだという考え方もある。最近では、超ひも理論のよる「宇宙は10の500乗個も作られた」という多元宇宙の考えから、膨大な宇宙の中からたまたま条件の合った宇宙があって、そこに人間が現れたのだという解釈が出てきた。



その他の知識

地球が太陽の周りを回る速さは、秒速 30 km。

星の成分は光を分析することで解る。温度が高い場所ではどんな物質でもガスになる。光がガスの中を通るとガスにより決まる波長が吸収される。このスペクトラムの欠けで元素がわかる。

宇宙の年齢は137億年。宇宙が膨張して38万歳のときに電子と原子核がくっついて光が真っ直ぐ進めるようになる(宇宙の晴れ上がり)。このときの光が宇宙背景放射。
ちなみに地球の年齢は約46億歳。

宇宙の広さ
2006年8月に冥王星は惑星から準惑星に格下げになった。光で4時間。
太陽系の中で恒星は太陽だけ。次に近い恒星はケンタウルス座プロキシマ星で4.2光年。
我々の天の川銀河には約2000億個の星がある。太陽系は中心から28千光年離れた端に近い場所にあり、まだ若く星や惑星が生まれている。
太陽系は銀河の中心に比べ秒速220kmで動いている。
銀河団より広い6.6億光年でみると、銀河は一つの点になり、線のようにつながったフィラメント構造と空洞になったボイド(泡)になる。これを宇宙の大規模構造という。
60億光年くらいの範囲で見ると、宇宙はだいたい均質で同じような性質をもっている。これを宇宙原理という。
300億光年先の銀河まではみえている。350億光年より先は星も銀河もなく暗黒時代と言われている。


スイス・ジュネーブ郊外の地下一周27kmの世界最大の加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC:Large Hadron Collider)」でビッグバンを再現する実験を行なっている。
LHCでは、ブラックホールをつくる計画があり、できれば4次元以外の次元、つまり、異次元があるという証拠になる。そうすれば、異次元の中を運動する物質の暗黒物質の正体もわかるかもしれない。


目次
第一章 私たちの知っている宇宙
太陽系は宇宙の一部/太陽系をのぞいてみると/意外に早い公転速度/星は何からできているのか/ニュートリノの贈りもの/ニュートリノ観測の苦労/星の内部を調べる/天の川の銀河を詳しくのぞいてみよう/銀河系にもブラックホールが/奇妙な銀河の回転/目に見えない物質/銀河の中は暗黒物質で満ちている?!/銀河が回転しているのはどうやってわかるのか/何も見えていないのに等しい

第2章 宇宙は暗黒物質に満ちている
銀河団も暗黒物質に満ちている/重力レンズについて/活躍するすばる望遠鏡/銀河団同士の衝突現場

第3章 宇宙の大規模構造
宇宙の中の濃淡/ビッグバンの残り火/宇宙は膨張している/宇宙の内訳/暗黒物質と宇宙の始まり/コラム 万物をつくる素粒子

第4章 暗黒物質の正体を探る
暗黒物質の候補/第一候補は弱虫くん/WIMPの正体/異次元からやってきた?!/暗黒物質の音を探る/加熱する暗黒物質探し/ビッグバンを再現する/宇宙のゲノム計画/コラム 宇宙の年齢

第5章 宇宙の運命
宇宙の運命/暗黒エネルギー/超新星から膨張速度を求める/増え続けるエネルギー/宇宙が裂ける?/暗黒エネルギーが生み出されるスピード/超ひもが予測する宇宙の終わり

第6章 多次元宇宙
宇宙は一つではない/曲がった次元を平らにする/五次元時空/目に見えない次元/異次元はすぐそばにある/力の統一に向けて/重力は微力/重力は打ち消しあわない/なぜ重力は弱いのか/異次元ににじみ出る重力はあるか

第7章 異次元の存在
異次元にしみ出す重力/ブラックホールが異次元の証/リニアコライダーの実験/ワープする宇宙/異次元空間は不確定なもの/不確定性があるから存在できる/異次元の中の暗黒物質

第8章 宇宙は本当にひとつなのか
三次元のサンドイッチ/宇宙の枝分かれ/膨張を加速するエネルギー/理論物理学最悪の予言/超ひも理論とブラックホール/六次元空間は折りたたまれている/宇宙はものすごくたくさんある?


















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『なにがスゴイか?万能細胞』

2011年11月04日 | 読書2
中西貴之著『なにがスゴイか?万能細胞―その技術で医療が変わる!―』2008年7月技術評論社発行、を読んだ。

武蔵野自由大学の講座で遺伝子工学に話を聞いたので刺激されてこの本を読んでみた。
病気への最終手段に臓器移植があるが、免疫により拒絶反応の壁がある。臓器を試験管内で作り出すための研究に光が見えてきた。今年のノーベル賞を逃したので最近話題にならないが、京大山中教授によって発明されたiPS細胞がそれだ。

再生医療、受精卵から体細胞への変化、ES細胞、iPS細胞、クーロン羊ドリーなどについてかなり詳しく、分かりやすく説明している。
さらに、将来の薬への応用(あなたのためのオーダー薬)、理想的な再生医療イメージに触れている。


最初の方だけ、少しだけ抜粋。

たった一個の受精卵が細胞分裂して、やがて神経、筋肉、臓器などの体細胞に変化する(分化)。100個程度の細胞に分裂する頃までは、ほとんど全ての臓器細胞に分化する能力(万能性)を持っている。これがES細胞(胚性幹細胞)だ。

ES細胞を臓器再生に用いるには壁がある。特に人間の場合は既に受精した子宮に戻せば胎児に育つ可能性のある受精卵を用いるには倫理上の問題がある。

一方、分化してすでに何らかの組織や臓器の細胞に分化してしまった万能性を失ってしまった皮膚などの細胞を初期化し(ロックを外し)、「多能性」と「増殖」を持たせたのがiPS細胞(人工多能性幹細胞)だ。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

記述はかなり詳しく、おそらく山中教授の論文からの引用だろう、実験の詳細や、失敗した経過など、にも触れているため、概要を知るだけを目的とするひとには適さない。もちろん、一方では専門の大学院生などには、引用文献は脚注などに丁寧に示されて入るが、多分もっと専門の本の方が良いのだろう。



中西貴之(なかにし・たかゆき)
1965年,山口県下関市彦島生まれ。山口大学大学院応用微生物学修了。現在,総合化学メーカー宇部興産株式会社有機化学研究所で鋭意創薬研究中。
著書に『最新科学おもしろ雑学帖』『人を助ける へんな細菌すごい細菌』(技術評論社)。




以下、私のメモ
 
クローン細胞技術(ドリー):
体細胞クローンのドリーは羊の卵子から核を除去し、そこに別の羊の皮膚細胞から取り出した細胞核を移植して作り出された。
  
EPiS細胞:
着床後胚のエピブラストと名付けられた多能性細胞の集団から「EPiS」細胞と呼ばれる多能性細胞株が樹立できることがマウスやラットで確認された。 このEPiS細胞はES細胞よりも細胞が成長した段階にある多能性幹細胞だ。
 
「胎児を形成することができる能力を「万能性」、胚盤胞が持つあらゆる組織になれる能力を「多能性」」

「ある種の薬品をドナーに投与し続けると造血幹細胞が循環血中に出てくることが発見され、現在では全身麻酔の必要のない抹消血から造血幹細胞採取を行う手法が確立され、・・・」







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『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』を読む

2011年11月02日 | 読書2
溝口優司著『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』ソフトバンク新書162、2011年5月ソフトバンク クリエイティブ発行、を読んだ。

第1章では、アフリカで人類が生まれ、猿人、原人、旧人がなぜ、どのようにしてホモ・サピエンス(新人)に進化したのかが説明されている。現在進行形で研究が進んでいるようで、ときどきTVなどで説明される内容も、どんどん変わってきているようだ。もちろん判明していない点も多いのだが、そのあたりも含めて、分かりやすく説明される。
私たちホモ・サピエンスは10数万年前にアフリカで、ホモ・ハイデルベルゲンシス(旧人~原人)の中から誕生し、10万年前頃アフリカを出て中東に達した。

第2章では、ホモ・サピエンスがアフリカから出て、15万年あまりの年月をかけて世界中へと広がっていく様子が書かれている。現在でも続々と化石人骨の新発見があり、そのルートも時期にも異説があり、細かなところは今後も変化する可能性がある。

第3章では、日本人はどこからやってきたのかが解説される。明快な答えは得られていないのだが、いくつかの点は明らかになっている。少なくとも4万年前頃までにはホモ・サピエンスが日本列島にたどり着いた。

縄文時代は16,000年前頃始まり、3000年前頃まで続いた。氷期に海水面が下がり、マレー半島、スマトラ、ジャワ、ボルネオなどの島が繋がっていた大陸は、「スンダランド」と呼ばれるが、縄文人のルーツはここにあり、オーストラリア原住民(アボリジニ)などの祖先が同じだという。

弥生時代は3000年前(紀元1000年)頃から紀元300年頃。弥生人には寒冷地対応が見られ、バイカル湖近辺の人々が朝鮮半島で水稲技術を見につけ西日本に渡って来たのだろう。そして、大陸渡来の弥生人が日本に住んでいた縄文人と混血し広がって、人口増加率の高い農作民の弥生人系がかなり置き換わったと考える人が多い。



溝口優司(みぞぐち・ゆうじ)
1949年富山県生まれ。1973年富山大学文理学部卒。1976年東京大学大学院理学系研究科中退。国立科学博物館人類研究部研究官。現在国立科学博物館の人類研究部長。
長年歯や骨の形態を研究。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

人類、日本人のルーツに興味のある人は是非読んで欲しい。専門過ぎず、通俗過ぎず、易しくわかりやすい。ただ、著者の専門は頭蓋骨(正式には“とうがいこつ”と読む)、歯なのではやりのDNAについて触れることは少ない。



以下、私のメモ。

直立二足歩行でチンパンジーから猿人に
人類の遠い祖先は1000万年~700万年前にチンパンジーの祖先から分岐して猿人となった。猿人の脳の大きさはチンパンジーとほとんど変わらないが、直立二足歩行したことにより手をいろいろな用途に使うようになり脳が発達した。

美食の猿人が粗食の猿人を淘汰
栄養価の高い肉を食べる美食の猿人は時間的余裕を持ち食べること以外に脳を使い、発達し生き残った。硬い食物を頑丈な歯で一日中食べていた粗食の猿人は生存競争に敗れやがて絶滅した。

女性の胸はなぜ膨らんでいるのか?
直立したことで見えなくなった生殖器をカバーするため、唇は生殖器の、乳房は臀部の擬態だと言われている。

私たちの起源はルーシーか?
一人の個体の1本の染色体(核DNA)自身の祖先は、時間軸を遡れば遡るほどたくさんの祖先がいることになる。ミトコンドリアDNA(mtDNA)は、卵子にしかない細胞質の中にあり、女性にだけ伝達される。mtDNAの場合は過去に遡れば一人の女性、ミトコンドリア・イヴに行き着く。したがって、「私達のmtDNAの起源はアフリカの一人の女性のmtDNAである」とは言えるが、「核DNAもすべてその女性に行き着くわけではないので、私たちの起源はアフリカの一人の女性である」とは言えない。

なぜヨーロッパ人は色が白く、鼻が高いか?
紫外線が少ない高緯度地方ではメラニン色素が多いと紫外線をブロックしてしまい必要な量のビタミンDを作れなくなる。色の白い人だけが生き残った。
鼻は空気を温め湿らせてから肺に送り込むため、寒く乾燥した地域に住む人ほど幅の狭い鼻となる。
また、体が大きいほど熱を体内に溜め込みやすく、放出しにくい。したがって、寒冷地対応で体は大きくなる。
縮毛もしくは螺旋毛の方が、汗を発散しやすく頭が冷えるため、暑い地域の人には縮毛や螺旋毛が多い。
バイカル湖などさらに寒い地域に到達した人類(日本人の祖先を含む)は、空気を温めるため副鼻腔が大きく鼻幅が広く、凍傷にならないため鼻が低くなった。眼球が凍るのを防ぐためにまぶたが一重になった(モンゴリアン・フォールド蒙古襞)。まぶたが一重なのは、現代人の中では北アジア人と東アジア人だけで、チンパンジーなど霊長類全般も二重まぶただ。

今後人類は変化するか?
人類集団の形質が自然淘汰で変わるには、少なくとも数千年の安定した環境が必要だ。私達の環境はこれからも変わっていくだろうが、私達は知恵を使い、道具を進化させることで環境に適応していくので、自らの体を大きく変化させることはないだろう。

太い女性はもてた
人類の長い歴史の中では男性は胎児を育み易い太っている女性を好ましいと感じていた。そもそも太っている女性が少なかった。

同じ種とは?
生物の分類には大きい方から「界>門>鋼>目>科>属>種」という段階がある。猿人も含めて人類はすべてヒト科。ホモ・サピエンス(現在の人類)はすべてヒト科ヒト属ヒト種で学術和名の「ヒト」。黄色人種などの人種はすべて同じ種のホモ・サピエンス。同じ種では交配第一世代の子が生まれる。馬とロバにはラバが生まれるが、ラバ間には子が生まれない。したがって、馬とロバは種が異なる。





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