東野圭吾著『沈黙のパレード』(2018年10月10日文藝春秋発行)を読んだ。
「ガリレオシリーズ公式サイト」の宣伝は以下。
容疑者は彼女を愛したふつうの人々。哀しき復讐者たちの渾身の謎が、湯川、草薙、内海薫の前に立ちはだかる。
突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は? アリバイトリックは?
超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。
ガリレオシリーズの最新刊で、書き下ろし。
キクノ・ストーリー・パレード:東京郊外の菊野市で10月に開催されるコスプレ・チーム戦。
キクノン:パレードのためのゆるキャラ。募集、発表された「キクノン」が文藝春秋から公開されている。
登場人物
湯川:ガリレオ先生。アメリカ帰りで、帝都大学准教授から教授になった。性格が丸くなったと言われる。
草薙:警視庁捜査一課係長。湯川とは大学からの友人。
内海薫:草薙の相棒。美人、鋭い目つき。30代?
間宮:管理官(昇格)。草薙の上司。 多々良:捜査一課長に次ぐ理事官(に昇格)。 岸谷:主任。警部補。
並木祐太郎:定食「なみきや」の主人。 並木真智子:祐太郎の妻。
並木佐織:祐太郎の長女。有望な歌手の卵だったが、3年前に殺害。 並木夏美:佐織の妹。大学2年。
新倉直紀:音楽スタジオを持ち歌手を育成。佐織に期待。資産家。 新倉留美:直紀の妻。以前は歌手希望。
戸島修作:並木祐太郎の小学校以来の親友。食材加工業の社長。
高垣智也:殺された佐織の彼氏。会社員。母は里枝(りえ)。
宮沢摩耶:大型書店「宮沢書店」の跡継ぎ娘。パレードの実行委員長。
蓮沼寛一:23年前の優奈ちゃん事件と、9年前に殺人の容疑で逮捕されたが、無罪となる。
増村栄治:蓮沼の元同僚。以前傷害致死事件で逮捕。狭い倉庫で蓮沼と暮らす。
本橋優奈:23年前に殺害された。当時12歳。
本橋誠二:優奈の父親。会社の経営者。6年前に食道がんにて亡くなる。
本橋由美子:旧姓藤原、優奈の母親。事件後、飛び降り自殺。 沢内幸江:(旧姓:本橋)、本橋誠二の妹。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
殺人を2件も犯しながら、自供に頼りすぎる警察をあざ笑い、証拠不十分を良いことに、完全黙秘で無罪を勝ち取る蓮沼を憎みながら読むと、最後に騙されて、さらに最後に……。
意外性はある。複雑にすれば、そりゃ……とは思うが。
ガレリオ先生の活躍が、物理学から人間分析に移りつつあり、シリーズの特徴が薄れた。
事件が2件あり、登場人物が多く、年寄が相関図を思い描くのが大変。
湯川が語る。(p422)
「僕には苦い経験があるんです。以前にもにたようなことがありました。愛する女性のために、すべての罪を背負おうとした男がいたんです。でも僕が真相を暴いたため、その女性は良心の呵責に耐えきれなくなり、結果的に彼の献身は水泡に帰してしまいました。同じようなことはもう繰り返したくない、という気持ちがあります」