hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

4月の散歩

2021年04月30日 | 散歩

 

道端に置かれたチューリップの鉢植。ちょっと開きすぎ?(3月30日)

 

見事なツツジ(4月6日)

 

桃の花?(4月7日)

 

白い夾竹桃(キョウチクトウ)。葉が竹に似て、花が桃に似ているので名付けられたらしい。(4月7日)

 

壁を覆う?(4月8日)

 

大きな大きな木に一杯の白い花の正体は?(4月8日)

右下の部分を拡大してみました。

 

立教女学院の白いハナミズキ(4月8日)

近づいて見上げる

 

苦労してテイクアウトを始めたレストランがついつい本音で「カモがネギをしょって来る」を展示。

 

覆いかぶさるモッコウバラ(4月11日)

 

八重桜?(4月11日)。
出っ歯の人のあだ名(花(鼻)より先に葉(歯)が出るから)

 

玄関脇のマーガレット(4月19日)

 

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マイクル・コナリー『ナイトホークス(上)(下)』を読む

2021年04月29日 | 読書2

 

マイクル・コナリー著、古沢嘉通訳『ナイトホークス(上)(下)』(扶桑社海外文庫コ7-1&2,1992年10月30日発行)を読んだ。

 

上巻裏表紙にはこうある。

ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。

 

下巻裏表紙にはこうある。

ボッシュは身内であるロス市警の監視に邪摩されながらもFBIの女捜査官エレノアとの捜査を継続。なんとかメドーズの仲間らしき人物を特定するが、片や事件の目撃者の少年は何者かに殺されてしまう。同時に銀行強盗事件の洗い直しで不審なヴェトナム人を発見、男に会いに行こうとした矢先、ボッシュらは謎の車に殺されかける。やはり内通者が…。ボッシュの疑念が増す中、事件は新たな局面へ。ヴェトナムを生き抜いた一匹狼の刑事が迷い込む、迷路のようなLAの悪夢を描き切る、期待の新鋭の力作。 <解説・穂井田直美>

 

「ナイトホークス(Nighthawks)」とは、深夜の小さな食堂にいる男女と、離れて座る孤独そうな男とバーテンを描いたエドワード・ホッパーの絵画で、「夜ふかしする人々」とも呼ばれる(ウィキペディアで絵が見られる)。

原題は “THE BLACK ECHO”。「ブラック・エコー」はヴェトナム戦争でべトコンが掘った地下トンネルに響くこだま。潜った米軍兵士達(トンネル・ネズミ達)の戦争の傷痕の象徴で。ボッシュの夢の中にも繰り返し現れる。

 

5月20日(日)から28日(月)の9日間が上下巻の9章という構成。

 

主人公のハリー・ボッシュは、ベトナム戦争で迷路のような地下トンネル内のベトコンを掃討するベテラン兵士の一人だった。戦後、ボッシュはロサンジェルス市警察・強盗殺人課の花形刑事になったが、「ドールメーカー」の連続殺人で武器を持っていなかった犯人を射殺したため、ロス市警の下水と呼ばれるハリウッド署の殺人課に左遷された。
かっての戦友(トンネル・ネズミ達)・メドウズの死体が発見され、ボッシュは殺人だと考えて捜査意欲を燃やす。また、トンネルを掘って地下から銀行の貸金庫室へ侵入した事件はFBIとロサンジェルス市警察が捜査を開始する。

ボッシュは内務監査課のしつこい監視を受ける中、FBI捜査官のエレノア・ウィッシュと協力して、両事件の捜査に邁進する。

 

 

ハリー(ヒエロムニス)・ボッシュ:ハリウッド署刑事。優秀で成果を上げたが、一匹狼で憎まれ、はめられ左遷。

ジェリー・エドガー:ハリウッド署刑事。ボッシュのパートナー。兼業の不動産業の方が儲かっている。

ハーヴェイ・パウンズ:ハリウッド署の警部補。ボッシュの上司

エレノア・ウィッシュ:FBI特別捜査官。女性。ボッシュとパートナーになる。

ジョン・ローク:FBI特別捜査官。ウィッシュの上司

アーヴィン・アーヴィング:ロス市警・副警視正。内務監査課担当。部下はピアス・ルイスドン・クラーク

ウィリアム・メドーズ:ボッシュのヴェトナムでの戦友。麻薬中毒者。

シャーキー:家出少年。メドーズの死体遺棄を目撃。

ブレマー:ロスアンジェルス・タイムズの記者。かってボッシュの記事で人気に。

ジーン・デルガド、アート・フランクリン:ヴェトナムでの米軍兵士(トンネル・ネズミ達)

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

いくつかの謎が幾重にも重なり、少しずつはがれていく。

ヴェトナム戦争のトラウマを抱え、一匹狼で、強引な捜査で問題を起こすボッシュ。こう書くと、ハードボイルドの主人公ではお決まりの主人公なのだが、細部の肉付けが素晴らしいから魅力的に描けている。

身内の署内からもボロを出さないか監視される中で、パートナーのウィッシュも完全に味方なのか不明のまま、ボッシュの困難な捜査が進む。

 

マイクル・コナリー Michael Connelly 

1956年生まれ。フロリダ大学卒業。ロサンジェルス・タイムス紙で十年以上記者として活躍し、ピュリッツァー賞の最終選考まで残った経歴を持つ。

1993年、処女作の『ナイトホークス』でMWA賞最優秀新人賞を受賞。

その後も、〈ボッシュ〉シリーズを中心にハードボイルド・ミステリーを精力的に発表している。

 

 

古沢嘉通(ふるさわ・よしみち)

1958年生れ。大阪外国語大学デンマーク語科卒。

訳書、コナリー『ナイトホークス』『ラスト・コヨーテ』、プリースト『魔法』、バクスター『天の筏』など

 

 

 

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4月(2)の花

2021年04月28日 | リタイヤ生活

 

4月19日に届いた花

 

ラッパ状の白いカラーが4本、アストロメリアが紫、白とピンクの3本と、右端のブルーパフューム2本。右上の添え物的ソリダコと、この写真では見えないがおなじみのレースフラワー2本。

 

 

2日後には咲き始めて少しにぎやかに。

 

この写真だと、左下のレースフラワーが存在を主張し、アストロメリアも全面に出て華やか。

 

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ヒヤリハット

2021年04月26日 | 会社生活

 

台風一過、ベランダから久しぶりの富士のシルエットを眺めながら思い出した。

 

息子が小学生の頃、箱根にドライブ旅行をした。
曲がりくねった山道を快調に車で登っていくと、突然正面に大きく富士山が顔を出した。あまりに見事な富士なのに、後部座席の我が相方と息子は何事か話していて気が付かない。見えなくなってしまう前にと、「ほら、富士だぞ!」と振り向いて大声で注意した。瞬間、車は大きく傾いて凄まじい音がした。急なカーブを曲がり切れず、左側の車輪が道を外れた。

運よくちょうど見晴台の手前だったので側溝があって、車輪が溝に落ちた状態で止まった。わずかでもずれていたら車ごと崖下に転落していただろう。
しかし、我々だけではどうにもならず、途方にくれていると、山を下りてきたトラックの運転手さんが手伝ってくれて、側溝から脱出できた。

 

新聞などで見かける大きな事故や死亡事故の陰には、こんな肝を冷やした多くの軽い事故や、より多くの結果オウライがあるのだろうと思った。

研究所勤務が長かった私は、コストダウン、品質向上など小集団活動にはまったく縁がなかった。会社を変わり、工場勤務になったとき、「ヒヤリハット防止活動」を知った。
ヒヤリハットとは、重大な事故ではないが、大きな事故につながりかねなかった一歩手前の事故のことだ。なんでも重大事故の陰には29倍の軽度の事故と、300倍のニアミスが存在するらしい。工場での「ヒヤリハット防止活動」は、比較的よく起こる小さなヒヤリハットの事例を集め、分析し、予防法を共有することでその先の重大な事故を予防する活動だった。

 

原因はさまざまだが、人間はどんなに注意しても何万回に一回は必ず間違いを犯す。間違いを起こさないような仕組みにする、あるいは一人が間違っても別に人が間違いを確認できる手順にするなど、数十年に一度の大きな事故を引き起こさないために、ヒヤリハットの事例からの防止対策活動が有効だと思う。

 

皆さんも車の運転中は、どんなに衝撃的な美しい景色があっても、流し目でちらっと眺めるだけにとどめ、振り向いたりしないことをお勧めします。

 

余計な話

工場の壁に大きな字で、「俺がやらなきゃ、誰がやる」とスローガンが書いてあった。

しばらくして、また見ると、「誰が」の「が」の点が消され、「か」になっていた。

 

 

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上野千鶴子の略歴と既読本リスト

2021年04月24日 | 読書2

 

上野千鶴子(うえの・ちづこ)
1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクショネットワーク(WAN)理事長。
専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間、教育と研究に従事。


著書に『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)、『女たちのサバイバル作戦』、『女ぎらい』、『老い準備』、『ひとりの午後に』、『みんな「おひとりさま」』、『上野千鶴子のサバイバル語録』、『こんな世の中に誰がした?

「おひとりさまシリーズ」:『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』『おひとりさまの最後』『最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく


共著、水無田気流と『非婚ですがそれが何か』、田房栄子と「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」、樋口恵子と『最後はひとり』。

 

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上野千鶴子『在宅ひとり死のススメ』を読む

2021年04月23日 | 読書2

 

上野千鶴子著『在宅ひとり死のススメ』(文春新書1295、2021年1月20日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの作品紹介は以下。

累計125万部ベストセラー『おひとりさまの老後』シリーズ、最新作!

「慣れ親しんだ自宅で、自分らしい幸せな最期を迎える方法」を提案。

「わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。
 現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、
 ひとり静かに死んで。ある日、亡くなっているのを発見されたら、
 それを『孤独死』とは、呼ばれたくない。それが本書の執筆動機です」 
                     (上野千鶴子)

「在宅ひとり死、おおいに結構。事実、世の中こうなってきている」養老孟司氏・推薦!
「ひとり静かに在宅死。わたしもそうありたいと願っています」下重暁子氏・絶賛!

・「孤独死」あらため「在宅ひとり死」へ
・慣れ親しんだ自宅で、自分らしい最期を迎えるしあわせ
・ウエノが徹底取材!「おひとりさまの最期」最新事情
・医師、看護士、介護士、看取り士をコーディネートする方法
・とくにガンなら「在宅ひとり死」が、ほぼ100パーセント可能
・病院死は、医療が貴重だった昭和の名残り
・「施設」に入れたがるのは、本人ではなく家族
・ずばり、家で死ぬために必要な費用はいくらか
・「老後の幸せ度」は「おひとりさま」と「大勢家族」が高く、「老夫婦ふたり」世帯が低い
・たとえ認知症になっても「在宅ひとり暮らし」で問題がない理由
・安楽死、尊厳死は正義か
・介護保険をどう活用すべきか
・もちろん私は「在宅ひとり死」でゆくつもり

 

年寄りの容態が急変したら119番してはいけない

家族はまず訪問看護ステーション(24時間対応)に、だめなら主治医、ケアマネに連絡する。離れていて素人の子どもに連絡してはいけない。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

家族嫌い、集団生活嫌いの上野さんが、「在宅ひとり死」を強引に勧める本。
論旨の強引さが目立つ。また、多くに他の人の著書、調査結果の引用が多いが、自分の論旨に合致したものだけを引用しているという疑いが私には強い。

上野さんは認知症になっても一人暮らしできるのでは?と問う。冷凍食品をかじっても、真っ裸になっても、問題ないのだと言うが、下の方を失敗して気づかなかったり、仏壇の線香の始末を失敗したりしたらそれは危険だ。家族が居ればとても一人にしておけないだろう。一人暮らし可能だという論旨に強引に誘導しすぎだ。

 

上野さんは、安楽死はもちろん、尊厳死も問題あると主張する。食べられる限り生かして置いて欲しいと上野さんは書くが、何が正義だというのではなく、人それぞれが選択すべき問題に過ぎない。

 

 

上野千鶴子の略歴と既読本リスト

 

以下、メモ

 

すごい勢いで「おひとりさま」が増えている。

介護保険が始まった2000年には、高齢者の子どもとの同居率は49.1%、約20年で30.9%に。

高齢者世帯の独居率は、2007年には15.7%、2019年には27%で、近い将来独居世帯は半分以上になる。

 

大量調査で独居高齢者と同居高齢者の生活満足度を比較すると、独居の方が低くなる。これは独居の貧困率が高く、社会的孤立も高いため。しかし、中流の高齢者の住む地域では、「選択的」独居者が多く、生活満足度は同居より高く、二人世帯、とくに妻の満足度は最低、という調査もある。

 

このところ、病院死の割合がようやく減少に転じて、代わって在宅死と施設看取りが徐々に増えてきた。

 

介護保険の要介護認定率は高齢者全体では平均2割程度。80代後半では5割、90代で女性83%、男性67%。ピンピンコロリではなく、フレイル期間を経験し、訪問介護を経て、在宅のままゆっくり下り坂を下って在宅で死ぬのが普通になる。

 

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安藤祐介『本のエンドロール』を読む

2021年04月21日 | 読書2

安藤祐介著『本のエンドロール』(2018年3月7日講談社発行)を読んだ。

 

講談社BOOK倶楽部」にはこうある。

彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。

大反響5刷! あなたたちがいるから本が読める――。
作家が物語を紡ぐ。編集者が編み、印刷営業が伴走する。完成した作品はオペレーターにレイアウトされ、版に刷られ、紙に転写される。製本所が紙の束を綴じ、"本"となって書店に搬入され、ようやく、私たちに届く。廃れゆく業界で、自分に一体何ができるのか。印刷会社の営業・浦本は、本の「可能性」を信じ続けることで苦難を乗り越えていく。奥付に載らない、裏方たちの活躍と葛藤を描く、感動長編。

『本のエンドロール』ができるまで】の動画公開中!

 

「エンドロール」とは、映画などの最後に出演者・制作者・協力者などの氏名を流れるように示す字幕のこと。英語では “credits” 。 「ああ、終わった、終わった」と多くの人が席を立ち、退出するなか、字幕に映画製作にかかわった多くの人の名が延々とほとんど見られることもなく流れる、あれである。

本を作った人というと、作家ということになり、ほんのたまに出版社や編集者があげられることがあるだけだ。実際にはこのほか、印刷会社、製本所、さらに読者に届くまでのその先には配送、取次、書店などの多くの人がかかわっていて、一般に、本の最後にある奥付には、著者、発行者、発行所の他に、印刷所と製本所の会社名が書いてある。


この作品は、主に印刷会社の多くの人たちがそれぞれの立場で熱意を込めて“本”を作っているその現場の話である。

 

この本の最後には、この『本のエンドロール』を作ったSTAFFとして、印刷会社、製本会社など30数名の名前が書かれている。

 

主人公は本好きで熱意だけは一人前の印刷会社の浦本。営業先の出版社の編集者の無理な要求を、熱意が先走って勝手に引き受けて来ては、生産管理部を飛ばして、ふじみ野工場の野末正義に頼み込む。

 

豊澄印刷

浦本学:営業部の文芸書担当。婚約者は柿崎由香里。本造りしたいためワールド印刷から転社。意欲先走り。

仲井戸:営業部のエース。確実な営業で印刷機の稼働率第一。

福原笑美:データ制作部。本好きで、入力作業に集中する。

臼田日向:デザイン部門のブックデザイナー

野末:ふじみ野工場の製造部係長。妻は沙織、幸太と陽太の双子。闘病中の義弟の援助で経済的に苦しい。

ジロさん:吉崎次郎。特色印刷40年の職人。

キュウさん:山際久。デクノ堂のインクジェット輪転印刷機をオペレート&メンテ。

奥平:慶談社の若手編集者。「オウヘイ」と呼ばれる。重版しない作家の曽我部瞬担当。

天草:文友館の編集者。途中退職。

 

本書は書き下ろし。

 

 

安藤祐介(あんどう・ゆうすけ)

1977年生まれ、福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。

2007年、『被取締役新入社員』でTBS・講談社第一回ドラマ原作大賞を受賞しデビュー。

その他、『営業零課接待班』『1000ヘクトパスカルの主人公』『宝くじが当たったら』『社史編纂室 アフター5魔術団』『おい!山田 大翔製菓広報宣伝部』『テノヒラ幕府株式会社』など。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

紙の本が減っていく状況の中で、日の当たることがない書籍の印刷工程に光を当てた点を評価したい。ベストセラーとはなりそうもないこんな本を書いた作者、出した出版社にエール。こんな本もなくてはいけないと思う。
小説ではあるが、印刷機工程管理の難しさがわかるのが面白い。出版社の編集で数年アルバイトしたことがあるので私は興味深々だったが、一般には印刷機に関する細かい内容が多く退屈で、「★★★☆☆(三つ星:お好み)」だろう。

 

浦本の営業の進め方は、自分の意欲に振り回されていてコントロールできてない。読む私もイライラさせられて、小説とはいえ、「お前は首だ!」と叫びたい。「小説だから結果オーライになってるんだぞ、こころしろ!」
問題が起こると、自分だけでなんとか解決しようとして、大きくなって手に負えなくなってから上へ上げている。私は、良い話はゆっくりで良いが、嫌な話はすぐに上司に上げろと教育された。

顔が客先の出版社にばかり向いていてその場だけ上手く逃れたいと良い子になり過ぎている。権限もないのに受注価格に内諾じみた話をしてしまうのは、営業として落第であり得ない。

 

 

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競馬で5万円を2億円にした人がいるらしい

2021年04月20日 | その他

 

5万円元手に3回連続大穴当てて、2億円儲けたのはあなたじゃないですか?

(私のブログ「競馬の神と呼ばれた男」を一部書き換え)

 

先日戸棚を整理していて、その記事、2003年7月5日の朝日新聞の切抜きが出てきた。タイトルは「常道外れた競馬の「神」」「宝塚記念2億円的中」である。当時の2チャンネル情報などと合わせて、若干構成し直してみた。

2003年の6月28日、ウインズ新橋で一人の中年男性が6月8日の安田記念のアグネスデジタルの130万円の的中馬券を差し出し換金した。単勝9.4倍だったので1222万円だ。透明プラスティックの仕切り越しに札束が男性に渡った。この日は宝塚記念の前日だった。

まもなく、翌日の宝塚記念の9.7倍を示していたヒシミラクルの単勝オッズが一気に1.7倍の圧倒的一番人気となった。不審に思ったJRAの職員が調べてみると、一人の客がヒシミラクルの単勝を1222万円分購入したためだった。
まちがいなく、さきほど安田記念の的中馬券を払い戻した男性が、パドックや天候も確かめず、全額1222万円を宝塚記念の穴馬に突っ込んだのだ。一度に1万円札は20枚しか入らない発券機に60回以上投入を繰り返したのだ。おそらく何かにつかれたように。


このヒシミラクルという馬はこれまでにも、菊花賞、春の天皇賞とGIを2勝しているが、ムラのある穴馬であり、最終的にこの宝塚記念の単勝オッズも6番人気、16.3倍に落ち着いた。

そして、なんと、この16.3倍のヒシミラクルが宝塚記念に勝利したのだ。その払戻金は1億9918万6千円の高額となった。

競馬ファンの間では、安田記念でかけた130万円の元手は、6月1日の日本ダービーで2.6倍の単勝に50万円をかけて当てたものとの話がある。あるいは、NHKマイルカップに 5万円で26倍を当てたとの話もある。

1000万円単位で購入する客はけして特異ではないという。バブル期には3千万円、あるいは6千万円購入した人がいるとの話もある。
しかし、(日本ダービー50万円*2.6倍 or NHKマイルカップ5万円*26倍)=130万円
 → 安田記念 130万円*9.4倍=1222万円
 → 宝塚記念 1220万円*16.3倍
 = 1億9918万円 と、
G1を3(2)回連続して勝ち、しかも大穴に無造作に(つかれたように)次々とすべての大金を突っ込んでいるのは異常とも言える。まさに「神」の名にふさわしい。

 

と、あなたを競馬の穴狙いへと誘う「悪魔の誘い」でした。

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山本文緒『自転しながら公転する』を読む

2021年04月19日 | 読書2

山本文緒著『自転しながら公転する』(2020年9月25日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社によるStoryは以下。

32歳の与野都は、2年前まで東京でアパレルの正社員として働いていたが、更年期障害を抱える母親の看病のため、茨城県の実家に戻ってきた。今は牛久大仏を望むアウトレットモールのショップで店員として契約で働いている。地元の友だちは次々結婚したり彼氏ができたりする中で、都もモール内の回転寿司店で働く貫一と出会いつき合い始めた。でも料理が上手で優しいけれど経済的に不安定な彼と結婚したいかどうか、都は自分の気持ちがわからない。実家では両親共に体調を崩し、気づいたら経済状態が悪化していた。さらに職場ではセクハラ、パワハラいろいろ起きて――。恋愛をして、家族の世話もしつつ、仕事も全開でがんばるなんて、そんな器用なことできそうもない。ぐるぐる悩む都に貫一の放った言葉は、「そうか、自転しながら公転してるんだな」。

 

 

32歳の与野都(よの・みやこ)は、更年期障害が重い母・桃枝のため、茨城県牛久の実家に戻り、アウトレットモールの衣料品店で働いている。車の故障で困っている都を助けてくれた、回転寿司店の店員で、元ヤンキーの羽島貫一と付き合うことになった。しかし、中卒で、給料も安い貫一との将来に、都は悩み、自分がわからなくなる。

友人のそよかは都に言う。「都さんの迷いの根本は、自活できる経済力がないことなんじゃないですか。……都さんが持っている不安は、貫一さんの将来じゃなくて、自分への不安じゃないですか」(p271)

 

「小説丸」でのインタビューで山本さんはこう語る。

「男女が付き合うということは侵略しあうことでもあって、必ずしもいいこととは言えない気がします。今は一人で生きて一人で死んでも寂しいわけではない、という価値観もありますし。〝この人がいないと生きていけない〟という考え方も素敵だけれど、〝この人がいなくても生きていける〟という結論を一回出してから始まることもあると思うんです」

 

 

都:ミャー、おみや。若い頃はファンタジックで少女趣味の森ガールファッション一筋で、そんなアパレルに勤めていた。一人娘。

そよか:都の一つ下の幼馴染。彼氏は5歳上のバツイチ。

絵里:2年前に結婚、共稼ぎで子供はいない。

ニャン君:ベトナムからの留学生。日本人の妻を持つ兄が起業家。

アウトレットモールの衣料品店:店長は亀沢。社員は仁科、一番若いのは杏奈。他数名のアルバイト。本社のMD(マーチャンダイザー)は長谷部からイケメンの東馬へ。

 

この小説は、プロローグの「今日私は結婚する」で始まり、彼女がベトナム人と結婚するシーンへ続く。

エピローグで結婚式での父と母の正体があかされる。

 

初出:「小説新潮」2016年1月号~2019年5月号。プロローグとエピローグは書き下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

大部(p478)だが、アパレルショップの様子や、年頃の女性の結婚の悩み、女友達間の会話が、想定の範囲内だが、良く書けていて実感できる。

 

30歳過ぎの女性の結婚生活への諦め感、経済的不安感、絶望感が説得力ある筆致で描かれる。

 

ただ、プロローグは本文での話の進行に敢えてミスリードさせるもので、いけないじゃない?

 

私が大好きな著者の山本文緒さんは、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞したのだが、2003年40歳の時にうつ病を発症して約6年の闘病生活を過ごした。2007年、うつ闘病日記であるエッセイ『再婚生活』で復帰し、さらに小説は本書が7年ぶりの新刊なのだ。まだ「寛解」という状態らしいが、ともかくお待ちしていました、おめでとうございます。

 

 

山本文緒の略歴と既読本リスト

 

 

(店員の仁科と都の会話)(p244)

「それにしても与野さんって若いよね。25歳ぐらいにしか見えないよ」

「それ持ち上げ過ぎですよ?」

「バレた? でも30超えているようには見えないって。何か秘訣あるの? 教えてよ」

「そーですねー、強いて言えば物を考えないことですねー」

人差し指を顎に当てて、わざと馬鹿っぽく都は言ってみせる。

「ハハハ、やっぱり?」

「将来のこととか貯金のこととか考えると皺ができますからねー」 

 

ベトナムの人口は約1億人で、平均年齢は約30歳(日本は46歳位)。戦争で死んだ人が多いから。2000年には24歳だった。

 

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食品スーパー明治屋でランチ

2021年04月18日 | 食べ物

 

東急吉祥寺3階のマルシェ内にある「MEIDI-YA明治屋」のイートコーナーでランチした。

明治屋というとジャムのビン詰めのイメージがあるのだが、あらためて覗いてみると、写真右側にイートイン・コーナーがある。

「なになに、コーヒーが166円?」

コーヒーの安さにつられて、食べるものがあれば、ここで簡単にランチにしようと、店員さんに聞くと、冷凍食品のところに案内された。パンやピザなど青い皿のマークがある食品がレンジで温められてふっくらして提供されるという。

 

さっそく注文。私は左のコーヒー・コロンビア、相方はカフェラテ。

このコロンビア・コーヒー豆も「横浜何とか」と称して売っていた。

 

パンは小さいが2つ入った袋で2つ購入。

左が相方のクロワッサンで、右が私で、忘れた。

両方とも、冷凍食品とは思えないほどふっくらして美味しかった。

 

ちょっと物足りない量だが、二人で¥1,086ならいいんじゃない。

 

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新川帆立『元彼の遺言状』を読む

2021年04月17日 | 読書2

 

新川帆立著『元彼の遺言状』(2021年1月22日宝島社発行)を読んだ。

 

宝島社の特設サイトのあらすじ

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と三ヶ月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家主催の「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円ともいわれる遺産の分け前を獲得すべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。
他方で、彼女は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、軽井沢を訪れて手続きを行ったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう……。

 

第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作

 

登場人物

剣持麗子:渉外系大手弁護士事務所勤務。28歳。年収2千万円近く。父は雅紹、母は菜々子、兄・雅俊の婚約者は優佳。

信夫:麗子にプロポーズ中。理系研究者。

篠田:麗子の大学ゼミの先輩で英治の親友。インフルエンザを英治にうつしたとして遺産受領を麗子に依頼。

森川金治:森川製薬社長。英治の父で、母は恵子。

森川富治:金治の長男、英治の兄。文化人類学者。森川製菓にはまったくかかわっていない。

森川英治:大企業森川製薬の資産継承者。インフルエンザで死亡。イケメンでナルシスト。麗子の3つ前の彼氏。

森川真梨子:金治の姉。英治の伯母。

森川定之:森川製薬専務。金治の姉・真梨子の婿。英治の伯父。

森川拓未:定之・真梨子の息子、紗英の兄。英治のいとこ。

森川紗英:定之・真梨子の娘、拓未の妹、英治のいとこ。

森川銀次:金治の弟、英治の叔父。動画投稿で生計。

森川雪乃:拓未の妻。和風のか弱げな美人。

平井真人:森川製薬副社長。大株主の外資系投資会社から派遣。

原口朝陽:英治の看護婦で恋人。

村山権太:英治の顧問弁護士。60代の町弁。

堂上:森川家の犬・バッカスの面倒を見ている獣医。息子は亮。妻・真佐美は4年前に病死。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

ともかく面白ければいいんだろ!

 

まず、主人公のキツイ性格がスカッとする。金が第一で、すべて割り切って合理的。子どもや犬に嫌われる性格。好まない仕事はしないが、引き受けた仕事には忠実。まあ、まあ、読んでください。

 

出だしから、びっくり。恋人が差し出した婚約指輪の値段が100万円以下だと言って断る。「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という元カレの意味不明の遺言状。弁護を依頼されたが高々10億円の報酬だと拒否、その後、150億円と正確に計算して受託し、依頼者を殺人者に仕立て上げようとする。

 

 

新川帆立(しんかわ・ほたて)
1991年2月生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業。弁護士として勤務。司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格し、プロ雀士としても活動経験あり。作家を志したきっかけは16歳の頃、夏目漱石の『吾輩は猫である』に感銘を受けたこと。

宝島社の特設サイト の色紙にこう書いている。

「欲しいものは、自分で手に入れる
男が何度変わっても、女ともだちは変わらない

そんな私たちの、当たり前の日常を伝えたくて書きました

令和の女は強いぞ!」

著者へのインタビュー:「小説丸」 、「Pick UP」、……

 

 

男は元カノを美化しておくというけれど、本当にその通りなわけだ。その元カノのうちほとんどと連絡が取れなかったのだから、女の側では過去は過去としてどんどん忘れてしまうのだろう。(p136)

 

「ねえ、正直に話してよ。怒らないから」

雪乃は私をじっと見つめた。

潤んだ瞳が可愛らしいと思ったものの、これに騙されてはいけない。そもそも「怒らないから」と言って本当に怒らなかった女を私は見たことがない。(p165)

 

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伊岡瞬『いつか、虹の向こうへ』を読む

2021年04月15日 | 読書2

 

伊岡瞬著『いつか、虹の向こうへ』(2005年5月25日角川書店発行)を読んだ。

 

宣伝文句(文庫化の際の)は以下。

第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞、W受賞作、待望の文庫化!

尾木遼平、46歳、元刑事。ある事件がきっかけで職も妻も失った彼は、売りに出している家で、3人の居候と奇妙な同居生活を送っている。そんな彼のところへ、家出中の少女・早希が新たな居候として転がり込んできた。彼女は、皆を和ませる陽気さと厄介な殺人事件を併せて持ち込んでくれたのだった……。優しくも悲しき負け犬たちが起こす、ひとつの奇蹟。
第25回横溝正史ミステリ大賞& テレビ東京賞をW受賞した著者のデビュー作。

 

アルコールにおぼれる中年警備員・尾木遼平が酒場からの帰り道に、金がないので泊めて欲しいと声を掛けられた若い女性・高瀬早希をめぐって3人組と乱闘になる。翌朝、尾木は自宅で気がつく。早希が連れ帰ったのだ。尾木の一戸家には、経済ノンフィクションの翻訳者の石渡久典、休学中の大学生柳原潤、元主婦の村下恭子の三人が同居していた。早希はすぐに溶け込み、尾木の家の4人目の同居人となった。
尾木はかつて腕利きの刑事だったが、女性に利用され、その男を殺してしまい、懲役4年の刑に服し、妻は去り、一軒家だけが残った。

 

数日後、早希に強要して美人局(つつもたせ)をやらせていた久保裕也が早希を探してやって来て、家にいた尾木は散々に痛めつけられた。さらに夕方、久保は陸橋から転落死し、早希が逮捕される。久保の叔父だという地元暴力団の組長檜山は、尾木に初七日の法要までに真犯人を見つけなければ殺すと申し渡す。尾木は早希のアリバイを証明できる友人の女性の行方を捜すが……。

 

尾木遼平:道路工事交通整理員。元刑事。元妻は久美子。

石渡久典:経済ノンフィクションの翻訳者。役者のように整った顔。薬の依存症。恋愛対象は男性。

柳原潤:休学中の大学生。尾木は何故か「ジュンペイ」と呼ぶ。

村下恭子:7年前、無謀泥酔運転車に夫と1歳男の子を殺された。執行猶予1年の刑に、民事で訴え、検察に控訴するよう署名運動を起こすと、逆に3人の男に襲われ心を病んだ。3人の内1人を見つけ刺し…。

高瀬早希:自称21歳。美人局でデビューしたばかり。友人は二宮里奈、25歳、美人。

久保裕也:前科2犯。25歳。檜山組準構成員。檜山の甥。

檜山景太郎:檜山組会長。檜山興業社長。幹部は新藤拓郎

菊地隆一郎:檜山組と対立する菊地組組長。幹部は辻隆介

室戸:尾木を憎む警部補。

近川:尾木に情報提供する刑事。

花房伊佐夫:弁護士。花山弁護士事務所の共同経営者。

 

本書は第25回横溝正史ミステリ大賞及びテレビ東京賞を受賞した「約束」に加筆修正し、改題したもの。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

典型的ハードボイルド。主人公の尾上は、喧嘩に絶対的に強いわけではなく、強い相手にはボコボコにされる。ただし、タフ。中年で心に深い傷を負い、酒におぼれ、ボヤキばかり。元刑事だが警察から毛嫌いされ、ヤクザからも狙われる。

 

心に闇を持つ4人の着かず離れずの同居生活がユニークでいいじゃない。

 

ミステリーとしては、まあまあ良し程度。

 

伊岡瞬の略歴と既読本リスト

 

絵本『虹売り』:その人がもっとも悲しかった話と「虹の種」を交換する。種を土に埋めると最初の雨が降った翌日、その場所から虹が立つ。話の中味が悲しいほど大きな虹ができる。(p204)

もしもいつか、自分にも虹が立ち上がったら。自分にその虹を渡る資格があるなら。そしてその向こうで誰かが待っていてくれるなら。その時はきっと思い残すことはないだろう。私も、虹に昇って純平に会いに行こう。(p305)

 

市役所の市民課窓口には、絵に描いたように陰険そうな女が座っていた。…私が近づく途中から、ゴミバケツを見るような目つきでこちらを見ていた。ひとを見る目はあるようだ。(p163)

 

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4月(1)の花

2021年04月14日 | リタイヤ生活

 

4月5日に届いた花

 

ガーベラ12本、ピンクのカンパニュラ10数輪。上の左がブプレリウム、白いのがいつものカスミソウ。

 

ガーベラはあまりにも鮮やかな色合いでおもむきがなく、人工的過ぎる。

 

ラテン語で「釣鐘」という意味だというカンパニュラ。宮沢賢治の銀河鉄道の夜に出て来たのは「カンパネルラ」。

 

花言葉「初めてのキス」がロマンティックなブプレリウムは先端の緑のかたまりに小さな花がある。

 

いつもじゃけんにされるカスミソウだけをパチリ。

 

4日経過してガーベラの花びらが多少乱れた。

 

小さな花瓶に移したときにじゃまになったカンパニュラを一輪挿しに。

 

あらためてガーベラに近づいて、じっと眺めるとなにか不気味。

 

 

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伊岡瞬『もしも俺たちが天使なら』を読む

2021年04月13日 | 読書2

 

伊岡瞬著『もしも俺たちが天使なら』(2014年6月10日幻冬舎発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

セレブからしか金を獲らない詐欺師・谷川涼一。〝ヒモ歴〟更新中だが喧嘩は負け知らずの松岡捷。不始末で警察を追われた元刑事・染井義信。はみだし者三人の前に美しい娘が現れ、「変な男に実家が乗っ取られそう」と助けを求めてきた。彼女は何者? 怪しい男の背後で動く組織とは? 最高にクールでタフな男たちの、友情と闘いのクライムノベル。

 

谷川涼一:詐欺師。なけなしの金は奪わない。善意は逆手にとらない。弱者の恐怖心は利用しない。

松岡捷(しょう): 喧嘩早く強い。20代半ば。身長185㎝前後。二枚目で絵美のヒモ状態。子分は丸山小池

染井義信:元刑事で探偵業。別れた妻は再婚し藍沢真知子41歳、娘・さとみは11歳。

石崎:不良グループの頭で捷と対立。子分は浜口など。

敷島絵美:美容関連企業を経営する敷島祐三郎の後妻。元銀座のホステス。色気たっぷりの32歳。

松岡憲吾:捷の父親。狷介で強情。癌で闘病中。後妻は色気ある桐恵で連れ子が美人の茉莉

青木惇:松岡家に同居するぶどう畑作業の実直な助っ人。資産狙いか?

クロモズ:黒田和雄。大阪を根城にした謎の暴力的詐欺集団。

 

「もしも天使だったら、こんなに苦労しないでもっと簡単に人助けしてますよ。…」「たしかに。――おれは、自分でも意外だったが、久しぶりに心のどこかに火がついた。天使だったら、こんな感触はきっと味わえないだろう。人間で充分だ」(p338)

 

初出:「パピルス」41号(2012年2月)~49号(2013年8月)

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

ともかく面白く読める。

登場する男は皆かっこよく、女は皆、美人だが、まあ、そこは物語ですから。喧嘩は、こいつは強いと思うと、次に登場するやつはもっと強い。まあ、そこは漫画みたいなものですから。

何年も実直に働いた青木は、本当におとなしく真面目な男なのか、資産狙いではないのか? 最後まで謎で話を引っ張っていく。

 

伊岡瞬の略歴と既読本リスト

 

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知念実希人『傷痕のメッセージ』を読む

2021年04月09日 | 読書2

 

知念実希人著『傷痕のメッセージ』(2021年3月12日KADOKAWA発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

息をのむ展開と瞠目のラスト! 医療×警察ミステリの新地平!!

「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しい――」医師の千早が父の遺言に従い遺体を解剖すると胃の内壁に暗号が見つかった。28年前、連続殺人事件の犯人を追うため父が警察をやめたことを知った千早は、病理医の友人・紫織と協力して、胃に刻まれた暗号を読み解こうとする。時を同じくして28年前の事件と酷似した殺人事件が発生。現在と過去で絡み合う謎を、千早と紫織の医師コンビが解き明かす!

 

プロローグ

30年以上のベテラン医師・堀寛太は、患者に脅され、強制されながら常識外れの胃の内視鏡手術を行っていた。

 

水城千早:純正会医科大学病院の腹部外科が専門だが、一年間病理診断室勤務することになった。

刀祢紫織(とうや・しおり):千早と医学部同期だが、病理部では指導医。170㎝以上。

向井陽介:千早の3年先輩の外科医。

水城穣(みのる):千早の父親(母は葉子(故人))。仕事は警備員。元鬼刑事。

桜井公康:警視庁捜査一課刑事。昔、水木穣に鍛えられた。相棒は25歳の

有賀:殺人班担当管理官。実質指揮を執る。

井ノ原:折紙殺人事件の元捜査員

八木沼和歌子:水木穣が警備員をしていた八木沼建設(隣に「立花材木」の工場がある)の副社長。

折紙殺人事件:28年前、5人の幼女が殺害され、折紙が残された事件。ホシは「千羽鶴」と呼ばれた。陣内桜子1歳(父親は晋太郎)が最後の犠牲者。28年後に穣が死ぬと、折紙殺人事件が再開された。

 

初出:「小説 野性時代」2020年1月号~12月号

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

父親の謎、その愛情を信じられない千早の気持ちと、殺人事件の謎がからみあって展開し、興味をつないで読み進められる。

最初はぎこちなく、そのうちに良いコンビとなる千早と紫織のやりとりが面白い。紫織のキャラはちっとわざとらしい。

桜井と千早たちが情報交換して協同捜査することになるとき、犯人による放火の件を千早たちは桜井に何故教えなかったのか? 放火の捜査から、防犯カメラなど犯人への追及が行われないのは何故か?

剖検台(解剖して調べる台)、焼灼(しょうしゃく:外科で病組織を焼く)など役に立たない医学豆知識がいたるところにばら撒かれる。

 

「本書は『傷痕のメッセージ』と『祈りのカルテ』、両作品のスピンオフに当たる作品です。両作品の読了後にお読みいただくと、一層お楽しみいただけます。」と、14頁の「クロスロード」(『傷痕のメッセージ』初回限定書き下ろし短編)が別冊の形で添付されている。(読んでもあまり関係なかったが)

 

 

知念実希人(ちねん・みきと)の略歴と既読本リスト

 

 

零(こぼ)れた(p87)、嗜虐(しぎゃく)(p317)、嬲(なぶ)られる(p317)

 

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