1.コインの周囲の溝は何のため?
日本でも外国でも、高額なコインの周囲(端面)には溝(ギザギザ)が刻まれているのが多い。日本では500円コインには凸部が、100円、50円コインにはギザギザが刻まれています。
なぜ、高額コインの周囲に溝が刻まれるようになったかと言うと、昔米国で、金貨の周囲を不自然にならない程度に削り、少しずつ金を貯めるという犯罪が流行しました。そこで、金貨の周囲に溝を刻み少しでも削るとわかってしまうようにしました。現在でもこのなごりで高額コインの周囲に溝を入れる慣例になっているのです。
独立行政法人 造幣局 HP Q&A http://www.mint.go.jp/index.html にも、以下のようにあります。
「貨幣のギザはもともと「金貨や銀貨等の貴金属の貨幣の場合に、外縁が削り取られるのを防ぐため」あるいは「当時の最高額面の貨幣であることを示すため」につけられていましたが、現在は、一般的には「他の貨幣と区別するため」や「偽造防止対策のため」につけられています」
昔は50円コインに次ぐ高額コインだった10円コインにもギザギザが付けてありました。昭和32年に100円コインが発行され、昭和34年から10円コインのギザはとれて現在の形になりました。なお、このとき10円コインは、従来1.45mmの厚さから1.5mm厚さに変更されました。また、昭和57年に発行された500円コインはこの周囲のギザギザに代わり、目の不自由な人が識別できるように周辺部に点字のような凸部を付けています。
2.500円コインは世界最高の価値をもつコイン
日本の500円コインは、広く流通している硬貨としては、現時点では世界最高の価値を持つ硬貨です。外国で発行の高額コインは例えば、米国1ドル(約130円)、カナダ 2ドル(約200円)、2ユーロ(約290円)、オーストラリア 2ドル(約170円)です。
3.コインの名称
コインは、硬貨、貨幣などと呼ばれますが、法律上は、臨時補助貨幣です。本位通貨制度上の本位貨幣、つまり正式に貨幣と呼べるものは金貨だけですが、現在は発行されていません。
4.コインの表裏は決まっていない
菊の紋章の側を表としていましたが、第二次世界大戦後、菊の紋章が使われなくなると、現在の法律では、明文化されていないことから裏表が特定できなくなっています。 現在、造幣局では、作業上の必要性等から年号のある側を裏としています。(造幣局 HP Q&Aより)
5.コイン20枚以上の使用は断られることがある
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条に「貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する。」と定められていて、20枚までの受取りを拒否することはできないとされています。
6.記念コインより高い通常コイン
昭和39年発行の東京オリンピック記念の100円コインは非常な人気で、8万枚発行されました。このため、同じ年の通常の100円コインは1万枚しか発行されませんでした。翌年の100円コインは62,500枚発行ですから、非常に少ない発行枚数です。おそらく現在でもそうだと思いますが、枚数の多い東京オリンピック記念の100円コインより、昭和39年発行の通常の100円コインの方が市場価格は高くなってしまいました。皆と同じことをやっていては得しないという典型ではないでしょうか。
7.オーストラリア、カナダのコインは歳をとる
オーストラリアや、カナダは、今でも英連邦に属し、法律上はイギリス女王を君主としていて、コインにも今年80歳になったエリザベスⅡ世女王の肖像が使われています。その肖像は年相応のものに変わっていっています。
最初の写真は、オーストラリアの1ドルコインで、1984年発行と2001年発行のものです。次がカナダのコインで、1989年の1ドル、1993年の5セント、2005年の2ドルです。いかにも若々しい女王が、熟女となり、やがてシワも深くなってきました。こう並べて写真を撮っていたら、「かわいそうじゃない」と言われてしまいました。(コイン・ミュージアム http://wedder.net/coins/ を参考にしました)