hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

舞城王太郎「ビッチマグネット」を読む

2010年01月11日 | 読書2
舞城王太郎著「ビッチマグネット」2009年11月、新潮社発行を読んだ。

宣伝文句は、こうだ。
優しくて逞しい、最新作はネオ青春×家族小説。
なんだか妙に仲のいい、香緒里と友徳姉弟。浮気のあげく家出してしまった父・和志とその愛人・花さん。そして、友徳のガールフレンド=ビッチビッチな三輪あかりちゃん登場。成長小説であり、家族をめぐるストーリーであり、物語をめぐる物語であり…。とにかく、舞城王太郎はまたひとつ階段を上った。


初出誌は「新潮」2009年9月号。

舞城作品にはつきものの、猟奇的な連続殺人も、血糊も、おどろおどろな現象も出て来ない。舞城王太郎が、新潮社によって、あの過剰さを抑えて芥川賞を取りに行かされたと邪推してしまう。そもそも表紙が、無垢なかわゆい女の子がピンクの背景に立っている絵で、これで舞城王太郎?

父が浮気をして家に帰って来ない。母は沈んでいて痩せていく。壊れそうな家庭の中で、弟思いの姉は、必死の弟を守ろうとし、弟のどうしようもない彼女とも戦う。

ラスト近く母親が「・・・最近可愛い息子を取り戻して・・・」と言うところで、姉が「キモ!」と言うのだが、「キモ!」の字がページの半分位に大きくなっていて、ここだけ舞城らしかった。

題名の、ビッチ bitch は不平や愚痴を言うという意味だが、主人公の弟が変な子に好かれやすいことから、ビッチ(困り者子?)ばかり引き寄せる磁石ということで、“ビッチマグネット”と言われたことからきている。



舞城王太郎(まいじょうおおたろう)は、1973年福井県生れ。覆面作家。2001年「煙か土か食い物」でメフィスト賞受賞してデビュー。2003年「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞受賞。ほかに「暗闇の中で子供」「世界は密室でできている。」「熊の場所」「九十九十九」「山ん中の獅見朋成雄」「好き好き大好き超愛してる。」「みんな元気。」「SPEED BOY!」などの作品がある。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

この作家の登場は、一部批評家から高い評価を受け、大多数の作家からまったく否定された。私は、ふざけた題名、変な文体で、ヤングアダルトという印象があり、毛嫌いしていた。しかし一方では、将来大化けを期待したのだが、なかなかそうならなかった。徐々に純文学にも手を伸ばし、2003年「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞受賞。私も無視できなくて、2004年に「九十九十九」を読んだが、ばかばかしくてつきあえないと思った。その後も、精力的に活躍し、「好き好き大好き超愛してる。」が2004年上半期の芥川賞候補作となった。その後、話題が聞こえてこないと思っていたら、図書館の新書リストでこの本を見かけたので、読んでみた。この本も子供向けだし、どうも私には肌があわない。ところが、なにげなく文藝春秋のHPを見ていたら2009年度下期の芥川賞候補にあげられていた。もう、芥川賞ってワカンナイ!


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青山七恵「魔法使いクラブ」を読む

2010年01月10日 | 読書2

青山七恵著「魔法使いクラブ」2009年11月幻冬舎発行を読んだ。

宣伝文句は以下。
小学校4年生の結仁は魔法使いになりたいと真剣に願うちょっと変わった女の子。放課後は毎日、幼なじみの史人、葵と魔法使いになるための特訓をしていた。合い言葉は、「3人の願いが叶うまで魔法使いクラブをやめてはいけない」。しかしある日、七夕の短冊にその願いを書いたことがきっかけで一瞬のうちに、クラスの笑い物になってしまう。一人だけ違う世界にはじきとばされたような、さみしくて怖い気持ちに襲われる。8年後、高校3年生になった結仁はまだ、「世界は突然自分を裏切り、はじきだす」という呪いのような記憶にしばられて生きていた―。


第1章が小学生、第2章が中学生、第3章が高校生時代になっている361ページある書き下ろし長編。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

第1章の子供向け小説から、第2章のヤングアダルト小説と続き、一転、第三章では悲惨、陰惨な話に変わる。この変化になかなかついて行けない。小学生の心理は良く書けているとも言えるが、こんな小説ならいろいろな人が書いている。青山七恵さんには、一つ一つ言葉を選んで紡いでいく手作りの小説を期待したい。

小学生の3人が魔法使いになろうと隠れ家で訓練に励む。読み始めは、なんだ、これ子供向けの小説で、ほのぼの系じゃないかと思った。ところが、主人公はもともとクラスでは孤立しがちだったが、ひょんなことから完全孤立、いじめ状態になる。第2章で中学生になってもまだ魔法などと言っていて、異常とも思えるほどまだまだ幼い。
そして、第3章では悲惨で破滅的な話が展開し、それまでの雰囲気が一変する。そして、兄弟に救いはあるが、主人公は地平に放り出された形で終わり、読後感は良くない。



青山七恵は、1983年、埼玉県生まれ。筑波大学図書館情報専門学群卒業。2005年、在学中に書いた「窓の灯」で文藝賞、2007年「ひとり日和」で芥川賞受賞。2009年、「かけら」で川端康成文学賞を最年少で受賞。その他、2008年「やさしいため息」、2009年本書「魔法使いクラブ」。




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川上未映子「乳と卵」を読む

2010年01月09日 | 読書2

川上未映子著「乳と卵」2008年2月、文藝春秋発行を読んだ。

芥川賞受賞作の「乳と卵」と「あなたたちの恋愛は瀕死」の2作。初出は、前者が「文学界」2007年12月号、後者が「文学界」2008年3月号。

「乳と卵」
姉の巻子が娘の緑子を連れて東京の私のところにやってくる。二人は女性としての体に悩みを持ち、39歳の巻子は豊胸手術にこだわりつづけ、思春期の緑子は言葉を話さない。二人は3日間私の家で過ごし、母娘の絆をつなぎとめて、大阪に帰っていく。

「あなたたちの恋愛は瀕死」
女が、新宿の百貨店の化粧品売場、靴屋などをぶらつき、いろいろなことを想像し、待ち合わせまでの4時間をつぶす。
筋もないし、話はどんどん流れていき、まともな面白さはない。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

川上未映子独特の文章は、大阪弁の話し言葉を、頭にうかんだまま切らずにそのままつないでいくという長文で、慣れてくれば特に読みにくいわけではなく、読んでいくうちにテーマ、キャラクターの雰囲気を醸し出すのには効果的なような気がしてくるから不思議で、野坂昭如の「エロ事師たち」も独特のしゃべりがエゲツない主人公を浮かび上がらせていたと思い出しつつ、日本語ってすぐれた言語だとあらためて思い、しかしまてよ、独特の文化を濃密に共有する日本人同士だから通用する言語なんだと気づき、もはやそんな過去の日本社会は崩れだしているから、一部の人々が日本語の危機を叫んでいるのだろうが、土台の社会が変ってしまっている以上、しょせんせんないことで、それどころか、信じられないことに本なんて読まない人が増えているらしく、本は読まない、人の話は聞かない、でも本は書きたい、人にはしゃべりまくりたいという米国発の病が日本を犯していると、巨人好きからアンチ巨人になるような、いつもの米国嫌いで結局話が終わる。



川上未映子は、1976年大阪府生まれ。小説家、歌手。「夢見る機械」「頭の中と世界の結婚」などのアルバムを発表。2007年「わたくし率 イン 歯―、または世界」が芥川賞候補、2007年坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、本書「乳と卵」が芥川賞受賞。



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鳥飼玖美子「TOEFL・TOEICと日本人の英語力」を読む

2010年01月08日 | 読書2

鳥飼玖美子著「TOEFL・TOEICと日本人の英語力 資格主義から実力主義へ」講談社現代新書1605、2002年4月発行を読んだ。

日本人の自虐的英語観
話題に事欠いたら英語を出すと良い。誰もが苦い過去を背負い、辛い体験を持ち、一家言を持っている。英語が苦手なのを楽しんでいる。
日本人は完璧主義で、相当な英語力があっても、できない、できないとぼやく。そして、少数の人は、「英語道」といえるほど、涙ぐましい修行をかさねる。大多数の人は、英語ができるようになりたいと熱っぽく語るが、奇跡を待つだけで具体的努力はろくせず、「留学でもすれば私だって」と思うだけだ。
私は、顔がひきつりながら笑ってしまう。

資格試験の内容
本屋には、TOFEL、TOEIC対策本が山積み。企業も入社や昇格にTOEICのスコアを条件にするところもある。しかし、英検、TOFEL、TOEICの実際の内容が知られていないことも多い。よく言われるよりは、読解力を見る問題が多い。具体的な試験内容の説明がたっぷり続く。

なぜ日本人のTOFELスコアは低いか。
とくに英語を必要としていない人まで受験する日本と、留学の必要にかられた優秀な少数の人間しかTOEFLを受けない国と、平均点を比較しても意味がない。
日本人はとくにリスニングが苦手と言われるが、韓国などと比較しても、読解や文法など大学受験でも重点的に扱われている筈の分野でも得点差をつけられている。

文法は大切
外国語で内容のある話をしようと思ったら、体系的な文法知識を応用することは当然である。複文を組み立てたり、仮定法を使ったりすることは日常レベルでもある。文章を作り出し組み立てる力を支えるのは基本的な文法・構文の知識である。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

英語資格試験に関心ある人は一度読んでおくとよい。どの試験がどんな内容かを他の試験と比べているような本は少なくとも2002年当時はなかったと言う。

私にとっては、出だしの「日本人の自虐的英語観」が面白かった。「外国で暮らせば私だって」と思っていたが、実際、1ヶ月、2ヶ月暮らしてみて、挨拶や買い物など最低限の会話には慣れるが、自分の考えを述べるときなどは、文法、構文を思い出さないとだめなことを実感した。そもそも、英語以前に、言いたいこと、論理を整理することが最重要だと思った。また、市販薬の説明書、コンドミニアムを借りるときの契約書などややこしい文章を読まないと実害があることもわかった。多少の金銭や時間のロスを楽しむくらいでないと、私のような英語能力ではロングステイはできない。



鳥飼玖美子(とりかい・くみこ)は、1946年東京生まれ、上智大学外国語学部卒業、コロンビア大学大学院修士課程修了。立教大学大学院教授。同時通訳の草分けの一人。1971年から約20年間、ラジオ番組「百万人の英語」の講師。著書に、「異文化をこえる英語」「歴史を変えた誤訳」「『プロ英語』入門」など。


目次
序章 日本人の自虐的英語観と奇跡願望
第1章 英語試験の誤解と勘違い
第2章 三大検定試験の中身はこうなっている
第3章 検定試験は何を判定しているか
第4章 日本人のTOEFLLスコアはなぜ低いのか?
第5章 「資格試験」は万能か?
第6章 本物の実力をめざして
終章 資格主義から実力主義へ



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杉田望「不正会計」を読む

2010年01月07日 | 読書2

杉田望著「不正会計」講談社文庫、2009年11月、講談社発行を読んだ。本書は講談社文庫書下ろし作品。

宣伝文句は以下。
巨大粉飾決算発覚!“無限責任”の嵐が会社を襲う
組織人の心にくい込む迫真の経済小説
分不相応な拡大路線、放漫経営・・・大手監査法人が健全だと判断を下した老舗メーカーに粉飾決算疑惑が浮上した。内部告発が業界を駆け巡り、金融庁も動き始める。監査法人の会計士・青柳は粉飾幇助の疑いから組織を、己の正義を、守ることができるのか?未曾有の企業不正を描く経済小説。<文庫書下ろし>


大手監査法人が、粉飾決算関与、内部抗争を起こした。多数の大手企業の監査を行っていて、その影響が巨大だからこそ解散はないと信じられていたが、金融庁、あるいは謎の権力により崩壊させられる。モデルはカネボウやライブドアマーケティングの粉飾決算にかかわったとされ、結局解散した中央青山監査法人。

物語は老舗メーカー兼高の粉飾決算疑惑に東京地検特捜部が動き出すところから始まる。兼高担当の会計士はベテランで粉飾関与はないと断言する。しかし、この監査法人では、担当会社からの接待など癒着は蔓延し、合併後の派閥抗争も激しかった。あっさり引退した理事長に代わった野心家磐田の奮闘むなしく、徐々に崩壊へと追いつめられていく。
主人公は、この監査法人に務める改革チームの若き公認会計士で、事件を取材することになる新聞記者の恋人がいる。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

テンポよく話が進み、会計処理に関する専門的話もほとんどないので、すらすら読める。
提携する米国監査法人の抜け目ない陰謀、金融庁の責任逃れのための強引な施策、抜きつ抜かれつの取材合戦などを巧みにからませるが、太い流れ、深い洞察は見えてこない。良くある話を丹念に集めてあるといった印象だ。逆に、この種の経済小説にありがちな、巨悪の弾劾といった取って付けたような安直な正義感も見えないので、気楽に読めるのだが。



杉田望は、1943年山形県生まれ、早稲田大学文学部中退、業界紙編集長、社長を務めたあと、1988年に作家として独立。経済小説分野で旺盛な執筆活動を続ける。近著に、「特別検査 金融アドベンジャー」「破産執行人」「総理殉職 四十日抗争で急逝した大平正芳」などがある。




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真保祐一「最愛」を読む

2010年01月06日 | 読書2

真保祐一著「最愛」2007年1月、新潮社発行を読んだ。

小児科医の押村悟郎の携帯電話が鳴った。18年間音信不通だった姉が、意識不明で救急病院に搬送された。重傷の火傷、頭部の銃創。それは婚姻届を出した翌日の出来事だった。しかも、姉が選んだ最愛の夫は、かつて人を殺めた男だという。姉のアパートで見つけた不審な預金通帳、姿を現さない新婚の夫。噛み合わない事実。逃げる男と追う男。「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ……」感動恋愛長編。


うたい文句は以上。なぜなのか、と一気に読んでしまったが、それだけ軽く、細かいところの破綻も目立つ。なにより、「いまどき、またこれかよ!」という最後にがっかり。派手な場面もあり映像化しやすそうなので、TVや映画の脚本には良いかも。と思って、作者について調べたら、脚本でも活躍している人だった。

初出は「小説新潮」2006年4月号-8月号。



真保祐一(しんぽ・ゆういち)は、東京生まれ。千葉県立国府台高等学校を卒業後、シンエイ動画入社し、1991年「連鎖」で江戸川乱歩賞受賞。その後もアニメや映画の脚本などを書きながら小説を書く。1995年「ホワイトアウト」で吉川英治文学新人賞、
1996年「奪取」で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長篇、2006年「灰色の北壁」で新田次郎文学賞短編集受賞。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

いじめられている人を見ると、どんな乱暴者にも果敢に挑みかかっていく姉。不幸な子供時代のためとはいえ、大人になってもそのままとは、少し極端な性格設定だ。謎めいた刑事なども乱暴な作りだ。携帯小説を作り込んでいったような小説だ。

作者のあざとさに快く乗ることができないミステリーを私は好きでない。真保祐一もミステリー作家と決め付け、今まで読んだことがなかった。謎で引っ張っていく力は十分なので、極端さを押さえ、細かいところを修正すれば、良い作品になると思う。ど素人に言われたくないだろうが。



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角田光代「愛がなんだ」を読む

2010年01月05日 | 読書2
角田光代著「愛がなんだ」2003年3月メディアファクトリー発行を読んだ。

宣伝文句は、こうだ。
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」―OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。


どこがいいのか分からない男に惚れて、友達から注意されながら、自分を捨てて相手に合わせ、利用されてというより、利用してもらうように努力して、尽くして、尽くして、避けられるテルコ。
彼と会ってから、
単一だった世界は、「好きである」と「どうでもいい」とに二分した。「好きである」ものを優先しようとすると、ほかのことは自動的に「好きなものより好きではない」に変換され、つまりはどうでもよくなってしまうのだった。
この結果、彼以外との約束は、彼の電話でドタキャンし、そのうち仕事もいい加減になる。

最終的には、彼の恋愛を手助けするようになり、
私を捉えて離さないものは、たぶん恋ではない。きっと愛でもないのだろう。私の抱えている執着の正体が、いったいなんなのかわからない。けれどそんなことは、もうとっくにどうでもよくなっている。
と思うようになる。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

恋愛物が好きな方は、ストーカーじみたこんな話を読んでみたらよい。ご縁のない私でも「これが愛なの?」「自分こそではなく、自分を捨てて相手のためだけを考えるのが愛?」などと考えてしまう。しかし、正直いって、読んでいてダルクなる。こんな女性に見つめられたら気持ち悪い。まあ、縁のない話だが。

女友達が言う。
三十歳が近くなって私しみじみ思うの。ファミレスでごはん食べてたらファミレスが似合う顔になるのよ。百円ショップで生活雑貨そろえたら百円ショップの顔になるの。


確かに、七十歳近くなって私の顔はスーパーの“20%引きシール”顔になった。それにしても、レジで、「何円引かせていただきます」と大きな声で言うのはやめて欲しい。

本作品は、「WEBダ・ヴィンチ」2001年10月-2002年9月に大幅加筆訂正した。



角田光代さんは、1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、1996年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、1998年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、1999年「キッド・ナップ・ツアー」で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石賞、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞を受賞。なお、2006年芥川賞を受賞した伊藤たかみさんと6年間の同棲を経て2005年春に婚姻届を出した。
その他、「水曜日の神さま」「森に眠る魚」「何も持たず存在するということ」「マザコン」「予定日はジミーペイジ」「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」を執筆。





    




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一日一分半の英語ジョークを読む

2010年01月04日 | 読書2
里中哲彦編訳「一日一分半の英語ジョーク」宝島社文庫、2008年9月、宝島社発行を読んだ。

本書は2004年9月、宝島社より単行本として刊行された「一日一分半の英語ジョーク」を文庫化したもの。

里中哲彦は、翻訳家。著書「英会話どうする?」「英語の迷言・方言・大暴言」など。


They say baldness is an indication of masculinity. The only trouble is, it lessens your opportunities to prove it.

ハゲはセックスが強いと言うけれど、唯一の悩みはそれを証明する機会に恵まれないということだ。

For twenty-five years my husband and I were very happy. Then we met each other.

25年間、夫と私はとても幸せでした、で、そのあと私たちは出会ってしまったのです。

I never knew happiness until I got married- then it was too late.

結婚してはじめて、幸せの何たるかがわかりました。で、そのときはもう手遅れでした。

A woman marries a man expecting he will change, but he doesn’t. A man marries a woman expecting she won’t change and she does.

女は男が変わると思って結婚するが、男は変わらない。男は女が変わらないと思って結婚するが、女は変わる。

Husbands should be like Kleenex, soft, strong, and disposable.

夫はティッシュペーパーのようなのがいいわね。ソフトで丈夫で、使い捨てができて。
映画「殺人ゲームへの招待」より

One of the hardest decisions in life is when to start middle age.

人生でもっとも難しい決断のひとつは、いつから中年をはじめるかである。

In youth we run into difficulties; in old age difficulties run into us.

若い頃は困難にぶつかるものだが、年老いると困難がぶつかってくる。

If you’re over forty, it takes about ten yeard to get used to how old you are.

40歳を超えると、自分の実年齢に慣れるのにおよそ10年かかる。

A toe ? a part of the body for finding furniture in the dark.

爪先―暗やみで家具を見つけるための身体の一部

I just saw an interesting bumper sticker. It said: IF YOU GET CAN READ THIS, GET OFF MY TAIL.

面白いバンパー・ステッカーを見たよ。こう書いてあったんだ。「これが読めたら、くっつきすぎ」

Happiness is good health and a bad memoriy.

幸福とは健康と記憶力の悪さじゃないかしら。
Ingrid Bergman

A bank is a place that will lend you money if you can prove that you don’t need it.

銀行というのは、金を借りる必要がないことを証明できる人間にだけ、金を貸すところだ。
Bob Hope

A classic is something that everybody wants to have read and nobody wants to read.

古典とは、誰もが読んでおけばよかったと思いながらも、読みたいとは思わないもの。
Mark Twain

Patient : I am so frightened ? this is my first operation.
Doctor : I know how you feel ? this is my first operation, too.

患者:怖いなあ。なにしろはじめての手術なもので。
医者:お気持ちはよくわかります。私もはじめてですから。

Doctor : I’m afraid I have some very bad news. You’re dying, and you don’t have much time left.
Patient : Oh, that’s terrible. How long have I got?
Doctor : Ten.
Patient : Ten? Ten what? Months? Weeks? What?
Doctor : Eight, seven・・・

医者:残念ながら、とても悪い知らせがあります。死が間近に迫っており、余命いくばくもありません。
患者:それはあんまりだ、で、どのくらいの命ですか?
医者:10 ―
患者:10?10なんです?月?週?何です?
医者:8,7、・・・

Customer : The food is terrible here. I’d like to see the manager.
Waiter : Sorry, sir. He’s out for lunch.

客:ここの料理はひどいな。支配人を呼んでくれ。
ウェイター:申し訳ございません。支配人はただいま昼飯に出かけております。


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奥田英朗「空中ブランコ」を読む

2010年01月03日 | 読書2
奥田英朗著「空中ブランコ」2004年4月、文藝春秋発行を読んだ。

いずれも精神科医伊良部医師が子供のようなはしゃぎぶりで混乱させ、結局問題を解決してしまうというハチャメチャは話が6つならんだ短編集。初出は、「オール読物」の2003年1月から2004年1月に掲載。

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!? 


直木賞受賞作がこんなに笑える作品で良いのだろうか。ともかく、結果からみると巧みな治療行為になっているのだが、無邪気にとんでもないことに挑戦し、見事にやりとげ、あるいはぶざまに失敗する。こんな伊良部医師像を作り上げたことが作者成功の一大要因だろう。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

ともかく面白い。伊良部医師の弾けぶりが、そんな馬鹿なと思いながら、ばかばかしく面白い。



奥田英朗(おくだひでお)は、1959年生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライター、構成作家を経て、1997年「ウランバーナの森」で作家デビュー。第2作の「最悪」がベストセラーになる。2002年「邪魔」で大藪春彦賞、2004年「空中ブランコ」で直木賞、2007年本書「家日和」で柴田錬三郎賞、2009年「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞受賞。その他、「イン・ザ・プール」「町長選挙」「マドンナ」「ガール」「サウスバウンド」など。



空中ブランコ
サーカスの空中ブランコの山下は最近落ちてばかりで、受け手が何か企んでいると疑う。しかし、勧められて軽い気持ちから伊良部総合病院に行くが、伊良部医師は、診療そっちのけで、サーカスに興味深々。翌日サーカスにやって来た伊良部は、100キロを超える体で空中ブランコのハシゴを登りはじめる。

ハリネズミ
ヤクザの親分猪野は、尖ってものが目に刺さるように感じる尖端恐怖症になる。刃物も持てなくなった猪野は伊良部医師にかかり、・・・。

義父のヅラ
大学医学部に席置く池山は、義父の教授のかつら(ヅラ)が気になって、剥がしたくなってこらえきれなくなる。「思い切ってやりたいことをさせる」という伊良部の治療法により、池山と伊良部はとんでもないいたずらを始める。

ホットコーナー
ホットコーナーとは、野球のサードの守備のこと。ゴールデングローブ賞を何度もとったプロ野球の名三塁手坂東は、突然、一塁へまともに送球ができなくなる。せがまれて伊良部とキャッチボールすると、「コントロールって何?」と混乱させられる質問を投げかけられてますます深みにはまる。しかし、・・・。

女流作家
次々と書きまくる女流作家の星山愛子は、なにかというとこの設定は前に書いたように思うという強迫観念に悩まされる。精神安定剤をもらうために、運の悪いことに伊良部医師を訪れてしまった愛子に、伊良部は「自分も本を出版したい」と言い出し、結局原稿を預かることになる。出版社の担当の婉曲な拒絶も伊良部のやる気を鼓舞するだけ。
この本の直木賞受賞のコメントで、林真理子さんが、「女性作家の自意識過剰さは、私自身の姿を見ているようだ。むっとする場面もあったが、やはりおかしくてたまらない。」と言っていた。


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レベッカ・ブラウン「体の贈り物」を読む

2010年01月02日 | 読書2
レベッカ・ブラウン著「体の贈り物」2001年2月、マガジンハウス発行を読んだ。

原題は、”THE GIFTS OF THE BODY”で、翻訳は、雑誌「オリーブ」、「鳩よ!」に掲載された7編に、初訳3編を加えた11の連作短編集。

歩き、食べ、風呂に入るなどの日常生活が徐々に難しくなっていくエイズに侵された人たち。ホームケア・ワーカーとして、身のまわりを世話する私と彼らの交流。死は逃れようもなく、次々を彼らは旅立ち、切ない思いと、残されたかけがえのないいろいろな形の贈り物。ささやくような静溢で心にしみる短編集。



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)

訳者あとがきで柴田さんが言っている。
「・・・この本の内容をざっと要約してみると、たとえば「エイズ患者を世話するホームケア・ワーカーを語り手とし、彼女と患者たちとの交流をめぐる、生と死の、喜びと悲しみの、希望と絶望の物語」と言った具合になるだろう。
 むろんそういう要約で、「読んでみようかな」と思ってくださる方もいらっしゃるだろう。でも反面、そう聞いて「あ、俺、そういうのパスね」「私それってちょっと」と思ってしまわれる読者の方も大勢いるのではないかと思う。けれども、まさに「そういうのパス」「それってちょっと」と思われる方々のなかに、実は、この本を読んだら気に入ってくれる方が絶対いるに違いない、とかなり確信をもって思うのである」

そういう人、絶対いる。私がそうだから。押し付けがましく、紋切り型で、作者がすっかり入り込んでしまっている感動もの、しらけものでは、絶対ない。悲しかった、嬉しかったなどの直接的感情表現はほとんどなく、シンプルな言葉で、真正面から事実を淡々と重ねて行く、静かな物語だ。それだけに胸に響く。

この本に出てくるエイズ患者救助組織UCS(都市共同体サービス)のシステムが良く出来ている。支援者は何かを提案できるが、選択は利用者が行うという原則、利用者との対応マニュアル、利用者との間で生じた困難な問題を皆で話しあう月例会合、前回会合の報告・問題解決のヒントなどが載ったニュースレターなどだ。欧米はこのようなシステム作りが上手い。

米国の社会は、競争社会で、弱いもの、弱くなったものが生きていくには厳しい。個人主義で人間関係もベタベタせず、日本より人と人の距離が遠いのではと思う。しかし一方では、慈善、ボランティアが根づいていて、助けを求めたときには、快く、しっかりと、そしてさっぱりと助けてくれる場合があるように感じる。
べたべたしない愛のかたちが私は好きだ。



著者レベッカ・ブラウン、Rebecca Brownは、1956年、アメリカ生れ。シアトル在住。本書「体の贈り物」でラムダ文学賞、ボストン書評家賞、太平洋岸北西地区書店連合賞を受賞。その他、「家庭の医学」「私たちがやったこと」「若かった日々」。著者もエイズ患者を自宅看護する仕事についていたという。

Wikipedia(英語版)で、“Rebecca Brown(author)には、以下のようにレスビアンと書いてある。私に偏見はないつもりだが、それでエイズになった人を献身的にサポートしたのか、などとつい考えてしまう。これでは、興味本位で作者自身を知ることが作品鑑賞にマイナスになる典型だ。
”Rebecca Brown is an American lesbian author whose work has contributed significantly to contemporary gay and lesbian literature.”


柴田元幸(しばた もとゆき)は、1954年東京生まれ。東京大学大学院教授、専攻現代アメリカ文学。翻訳者。訳書は、ポール・オースターの主要作品、レベッカ・ブラウン「体の贈り物」など多数。著書に「アメリカン・ナルシス」「それは私です」など。村上春樹さんと翻訳を通してお友達でもある。



汗の贈り物
いつもリックの好物シナモンロールを買っていく私は、今日電話をかけると、「手ぶらできてくれればいいんだよ。びっくりさせるものがあるんだ」とすごく元気そうにいう。ところが行ってみると、彼は倒れていて病院へ運ばれて行った。台所に入っていった私は息を止めた。そこには・・・。

涙の贈り物
いよいよホスピスに入るほどになったエドは、長く待たされた入居可の電話を受けて、迷う。「だんだん良くなっているんだよ」悪くなり方が、ゆっくりになってきただけなのだが。「よくなったら、帰ってこさせてもらいえるの?」「当然よ」と私は言ったが、ホスピスから帰ってくる人はいない。よくなる人なんていない。彼は笑って言った、「嘘ばっかり」

以下略


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おめでとうございます

2010年01月01日 | 個人的記録

初日の出を拝んだことないもので、マンションをうろうろしてみましたが、隣の建物の影になって拝めませんでした。
代わりに、お月様が見事でした。



東の新宿副都心には、朝焼けの都庁ビルがくっきり。



7時過ぎには富士山も多少はっきりとしてきました。



たまの早起きも良いものです。

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