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都 |
知事選は幸か不幸か私の予測はほぼ100%当たってしまった。前日までの不在投票率がかなり高かったので、予想通り投票率は前回より大幅に増えており無党派層が関心を持たなかったのではないというところが注目される。私の住む町でも9時すぎ投票後近所の役員に聞くと既に昨年より出足がいいという返事が返ってきた。
その中で石原氏は70代の支持率が最も高いが、次に20,30代の若者の高い支持があって全年齢層で押なべて支持を得ていた。これが無党派層でも40%の票を得て石原氏の大勝に繋がった。デモグラフィーから見た勝つ選挙とは「高齢者と無党派層」、両方抑えると大勝する。
今まで無党派層の投票率が上がるときは一方向に票が流れるのが常だったが、今回は政治の気圧差が少なく風は吹きようが無かった。民主党選挙戦術が拙劣というより、石原陣営の「争点潰し+イメージアップ」選挙戦術が見事に成功したというべきだろう。
注目すべき地方議会の変化
しかし、目を地方に向けるといくつか注目すべき結果があった。民主党が地方議会議員の数を急増させ、地方でも二大政党の芽がやっと育ち始めたことを示した。その視点から余り評価が無いが、小沢党首の地道な活動が徐々に成果を出し始めたといえる。
今回の民主党地方議員の増加は微風なれど私には選挙民の風向きの変化を感じた。今まで自治体の議会が首長の暴走をチェックする役割を果たさず批判を受けていたが、民主党議員の倍増はその地域の選挙民がこのままでは良くないと見識を示したと評価したい。
地方分権の法制化、夕張市の財政破綻、地方談合の摘発などが、選挙民の地方自治の見方を変えさせ始めた、地方自治が健全な方向に向かい始める、そういう兆候を感じた。この傾向が続くと自民党にとっては容易でない状況が生じ、公明党は益々存在感を増すだろう。
ネジレを解消した滋賀県
もう一つが首長と議会の所謂ネジレ現象である。「総論賛成、各論反対」は従来国政も地方も関係なく我国の実態だった。
その最も端的な例は改革派県知事とオール野党議会の長野県であり、選挙民は不正をなくし財政規律を取り戻せし、しかしおらが村の道は通せといい大混乱となったのは記憶に新しい。前知事のエキセントリックな性格だけでは片付けられない、何か釈然としない結末となった。
同じ運命を辿るか注目されたのが、今回の滋賀県議選だろう。嘉田由紀子知事の政策に賛同する議員が過半数を制したというニュースを聞いて私は正直驚いた。各論となると自己利益しか考えない選挙民が多数を占めるだろうという予測は見事に外れた。
端的にいえば県知事選は建前とすれば、県議選は本音の選挙だ。滋賀県民は選挙結果で建前と本音を一致させた、本気で知事の政策を実行せよという民意を示したといえる。多分、知事の個人的魅力も今回の勝因の一つだろう。
昨年嘉田知事が一部公約に反し議会に妥協的な姿勢を見せた後、滋賀に住む義兄に意見を聞いたことがある。私のやや皮肉っぽい問いかけに対して、彼は至極真面目に知事を信頼しているという返事が返ってきたのを思い出した。
私は滋賀県の詳細な事情を全く知らない。一時あれほど時間をかけて報道したテレビも今回殆ど何も報じない。テレビの見識といえばそれまでだがその程度かと思うと寂しい限りだ。これは一時的に吹いた風なのか、知事の個人的魅力のなせる業か、それとも県民性か私にはまだ分からない。注目していきたい。■