民主党代表選は興味深い展開で、何度も取り上げたようにブログ記事のネタの宝庫だった。朝6時過ぎに目が覚めると布団の中でラジオのニュースを聴いた。1時間余り経つと起きだし9時前まで、食事をしながら新聞とニュースショーを見た。
その後ゴミ捨てや洗濯物を干すとパソコンを立ち上げ内外のニュース速報とマーケット動向を確認した。そのあと外出しなければ昼食と夕食時に定時ニュース、最後に寝る前にニュースを見るのがルーチンだった。
勿論ニュースの内容によってスキップするし、逆に気になることはネットで検索マシンを使い詳細を調べた。この間円高が進み株価低迷が気になったが、意外に欧米の状況が悪くなかったのには救われた。ともあれ代表選とその前後はこの権力闘争に半分以上の時間を使った。
菅代表が圧勝し党・内閣人事の主要部分が決定するところまで来て、為替介入など具体的政策が動き始めた。こんなに時間を使って政局を追いかけたのは初めてで、その結果今まで気がつかなかったメディアの報道傾向の違いが妙に気になり始めた。今までは例えば朝日と読売の違いだが、今度は紙と電波とネットの違いだ。
というのはテレビに出て来るいわゆる評論家の多くは、小沢氏の「政治と金」の問題は検察が起訴しないと最終決定した、いわば「推定無罪」である。世論が小沢氏に厳しいのは検察のリークを流し続けた報道のせいだと、世論の支持率調査が出るたびに彼等は指摘した。NHKを除くラジオのコメンテーターも大体同じ論調で、視聴者の声も小沢支持のほうが多かったと思う。
私は代表戦の終盤でこれらテレビ・ラジオがこれら評論家の声をメインに流すのを聞いて、てっきり小沢氏が巻き返したのではないかと思った。ネット世論と世論の乖離については前々から注目していたので驚かなかったのだが。選挙後も彼等は小沢氏の影響を言い続けている。私には、この評論家達と世論のギャップについては新鮮で、何故そうなったのか大変興味が湧いた。
根拠が無いのだが、私の仮説を紹介したい。検察のリークが限られた現場の記者にのみ流され、これら評論家達は蚊帳の外にあった。経験から言うと情報から疎外された者は、多くの場合情報源に対して反発しアンチになる。情報格差が生んだ検察批判と世論がミスリードされたとの指摘であるように感じる。加えて、記者クラブのメンバーかどうかで生じる情報格差もあるように感じる。
もう一つはメディアの中で一流は新聞、二流テレビ、三流ラジオという階級意識があり、一流の報道に対する二流階級の反発があるのではないかという疑いだ。報道という点では新聞記者が記事を書く教育を徹底的に叩き込まれ、現在もそれを実行しているのは間違いないと思われる。何百万という読者が相手にしているという意識が一流意識を生むはずだ。
テレビは知名度はあるが報道という観点では素人が参画し、目先の視聴率で存続が左右される弱みがある。それでも国民の数パーセントから二桁の人が見る。だが、ラジオの視聴者はコンマ以下のニッチの世界といっても良い。あるラジオ局の朝の番組は、発信する側もそれに応える視聴者の声も、驚いたことにネット世論とほぼ同様の反応をした。他の番組も同じ傾向だった。
劣等感とはいわなくとも、メインストリームに対する違いを出して存在理由を示そうとする姿勢が普段から養われた結果かもしれないと思う。或いはそういう視聴者が多い結果かも知れない。とにかく、代表選中にこれらテレビ・ラジオ報道に接し、私には小沢氏に傾斜した評論が多く感じた。にもかかわらず、毎週末の世論調査は菅氏の支持率が圧倒的に多かった。
私にはテレビ・ラジオの評論家の主張と世論の乖離の理由がまだ良く分からない。上記の理由はまだ十分でなく説得力に欠けるのは認める。だが私の浅知恵ではこの程度の推測しかできない。それとも、全く別の理由だろうか。ということで、とりあえずカッコつきの仮説とさせて頂いた。■