米運輸省は11日に「トヨタ車の電子制御システムに欠陥はなかった」と最終報告を発表した。昨年吹き荒れた激しいトヨタ批判は終幕を迎えた。だが、その間にトヨタ車は高品質という信頼感は傷つき、米国内の販売は停滞しトップシェアをGMに譲った。
トヨタの対応、特に初動に問題があったのは確かだが、途中からトヨタを追求する米国のやり方には不公平だと感じるようになった。実際、欧州や新興国は冷静で落着いた対応をした一方で、米国政府・議会やメディアの集中豪雨的な批判キャンペーンは異常だった。
苦境に陥った米自動車産業を救済する為、税金を使って販売支援したらトヨタが一番恩恵を受けた、そういう環境で隙を見せたら待っていましたと凄まじいトヨタ叩きになったというのが構図だ。彼等は待っていたと思う。他国で商売させてもらったら覚悟せねばならないのも事実だ。
私は、事故が運転ミスによるものだったという事実を(意図的に)報じない米国メディアの偏見を伝えるForbesの記事を引用して、一方的なトヨタ叩きは政府・議会・業界・メディアが一体となった米国自動車業界救済キャンペーンの一環だと昨年8月に投稿した。
Toyota-gate or Comprehensive Bailout Campaign? ( http://blog.goo.ne.jp/ikedaathome/d/20100805)
色んな人に読ませようと思って下手くそな英語で書いたせいか、或いは読むに値しない内容だと思われたのか全く反響が無かった。読み返すと皮肉が利きすぎて伝わらなかったのかもと思う。
このブログの名前どおり「アメリカかぶれ」の私としては、運輸省の発表に改めて怒りを感じた。米国でビジネスを経験して、彼らの公平で原則に基づく透明なプロセスを重視する姿勢に感銘を受けた。そういう視点から物事を解釈して記事を投稿してきた。
だが、一連のトヨタ叩きは公平ではなくそれを恥じて反省する気持もないように感じる。個人的には米国かぶれの私の価値観を壊されたみたいで、至極気分が悪い。アンフェアな報道はある意味ショックだ。戦後マッカーシーの赤狩りのような集団ヒステリーの暗い記憶がある。
一方日本側の反応も何だか気が抜けたシャンペンみたいで、米国にクリアなメッセージとして伝わらない中途半端なものだった。例によって主要新聞の社説を見ると、読売は付け込まれたトヨタの反省を求める論調、朝日は米当局の姿勢に疑問を示したが、明確に米政府は行き過ぎで不公平と非難したのは日経だけだった。一言で言えば、評価はバラバラだ。これでは伝わらない。
一昨夜CNN番組で日本国内の反応を東京の特派員に聞いていた。米国のトヨタ叩きを非難する声が聞かれると予想していたのかもしれないと思った。私は米政府・議会のトヨタ叩きをこのまま幕引きさせるべきではないと考える。問題を問題として認識させて終るべきだと考える。■