ここ数日民主党の小沢元代表の仕掛けた消費税政局がメディアを賑わした。この先、小沢グループの離党、新党結成から一体改革法案の参院審議、その後自公が内閣不信任をつき付け解散総選挙に向い、政局は一気に流動化する可能性が出てきた。
過去20年間何度も政党分裂を仕掛け壊し屋と呼ばれ権力闘争の達人小沢氏の手法は、「小沢なるもの」として政界で恐れられてきた。おそらく小沢氏は日本で最も嫌われ且つ恐れられて来た政治家だろう。何しろ剛腕で滅法喧嘩に強い。
自公両党は一体改革協議の条件に小沢を切れと迫ったのは、彼らが小沢氏を恐れていたことの裏返しでもあった。だが、さすがの小沢氏も齢70になって消費税政局では影響力の低下が垣間見られ、今回が最後の闘いという見方も散見される。
新党結成して一体何をしたいのか政策ビジョンがないと批判の声が圧倒的で、消費増税反対者からも今後の小沢氏に期待する声が聞こえてこない。多くの国民は小沢氏のやってきたことにやっと気がつき愛想を尽かしたということなのだろうか。今までに無くそういう声を良く聞く。
だが、私は小沢氏の出番がまだ来ると予想する。彼の特徴は天性の政局勘と勝負勘で喧嘩に滅法強いことだと私は思う。既成政党が国民の支持を失って行く一方で、大阪・東京などの地域政党が新勢力として国政に進出し、一時的にどの政党も多数を取らない事態が生じ政界再編に向う時が来る可能性が高い。
このような勢力が拮抗する混乱がもし生じたら、小沢氏の出番が来る。政権をとれるかどうかぎりぎりの判断を迫られると、ビジョンとか政策が棚上げになる事例は掃いて捨てるほどある。小沢氏は権力の甘い蜜が信念を変えさせ政治家を離散集合させる力を持っている、その達人というか年齢的には名伯楽といっていいだろう。一概に政治的妥協が悪いと決めつけられない。
今勢いのある橋下大阪市長に私はその臭いを微かに感じる。ビジョンを実行する為には数が必要であり、権力を取らなければ民主主義では何もなしえない、と橋下氏は言う。その通りだが、最初のビジョンがいつの間にか権力奪取の道具立てに変われば、所謂「小沢なるもの」に変質して行く。私の勘違いかもしれないが、今迄の発言や反対者を恫喝する姿勢にその臭いがするのだ。
小沢氏が来るべき政界再編の政局まで一定の勢力を維持していることが、彼の出番の条件となろう。だが、解散・総選挙の結果彼が率いる新党が大きく議席を減らし、影響力を行使できない可能性もある。総崩れになるかもしれない。そうなると小沢氏の政治生命はほぼ絶たれるだろう。
「小沢なるものの終焉」が来るのだろうか。だが、心配することはない。誰かが必ず跡を継いでくれる。その有力な後継者は誰か分らないが、それを求める国民がいるのは確かだ。テレビをはじめマスコミが囃し立てるのも間違いない。マスコミを含めた今の選挙システムは小泉チルドレンを生み、小沢ガールズを生んだ。次は維新ボーイズかも。それも「政治は民意の表れ」なのだ。■