1‐3月の日本経済の成長率は2次推計で4.1%から4.7%に改定され回復基調にあったが、4‐6月は欧州危機の影響と政策効果の減少で経済成長が低下する見込みだ。3ヶ月前に世界も日本も総ては欧州次第であると私は予測したが、欧州は何も決められない「日本病」にかかり2Qの世界経済は悪い方向でほぼ予測通りに進行した。
世界経済の成長は昨年の2.7%から今年2.5%に減速すると、世界銀行は先月12日に発表した。同レポートでユーロ圏債務危機の緊張で途上国の金融市場のボラティリティが長期にわたる可能性に備えよと警告した。ユーロ圏は今年0.3%のマイナス成長、途上国は6.1%から5.3%、中国は9.2%から8.2%に減速する見通しだという。
私の占いの具体的な数字の予測は、前回のデータを据え置きたい。新興国が強めになっているが、それはここに来て欧州が「日本病」を克服すかもしれない期待が出て来たからだ。
US EURO Japan China India Brazil
2012 2.0 0.2 2.0 8.5 7.2 3.2
EU fail ▲1.8 ▲2.0 ▲0.2 7.4
占い 2.0- ▲0.3 2.0+ 9.0-
欧州は「日本病」を克服出来るかが下期最大のテーマ
欧州の「日本病」とは、危機に直面してその場凌ぎの対策を打ち目の前の危機を回避するが、よく内容を見ると具体策が無いことに市場が失望して短期間にノーの声(国債金利上昇)を上げる、慌てて首脳会議を招集して更に小出しの対策を打つパターンを繰り返す悪循環だ。
国民の反発を恐れて小出しの対策で済ませ、次に市場の反発で少し前進した対策を打つ。私は消費増税に関する記事の中で、「市場に後追いする民主主義」と揶揄した。米メディアは「47回目の欧州首脳会議」と何も決めず会議を繰り返す欧州を皮肉った。だが、多かれ少なかれ世界の民主主義先進国は欧州に限らずこのパターンに落込んでいると私は思う。
実は私が残り半年の予測を据え置いたのは、29日の欧州首脳会議で懸案事項に具体的な対策を合意し、今までとは全く違う姿勢を示したからだ。金融安全網から危機に陥った民間銀行に直接資金注入、破綻した時は民間投資家と同じ優先順位にした。期待しなかった市場には驚きの決定であり、その直後から世界の株式市場が急騰した。
欧州のみならず世界各国がこの決定に称賛したが、慎重派のメルケル首相はよく了解したものだ。ドイツ包囲網の圧力を強く受けての決定だが、メルケル首相は従来の交渉姿勢は変えてない、何らの譲歩はしていないと自国の記者団には語ったという。
この各国の温度差が域内銀行の救済で欧州安定メカニズム(ESM)の弾力的運用や、欧州中央銀行(ECB)の銀行監督権限の拡大、といった政策の具体化で難しい局面が生じる恐れもある。今までが今までだけに、金融市場にはまだ疑いが晴れてない。合意が本物だったかどうかは、各国が一致して銀行を監督する新組織を発足させられるかにかっている。
続いて占いのハイライトと1Qからの見直しを簡単に紹介する。
世界経済は欧州次第: ○ 欧州の安定が依然最大課題である
崩壊せずともジリ貧の欧州: ○ 安全網の強化は依然ドイツの姿勢次第
ぼやけてきた米国: ○(△) 雇用と消費回復は減速、住宅市場は回復に向う?
成長優先の新興国: △ 中国経済減速を受け、成長に軸足を移すが効果は?
緩やかな成長の日本: ○ 復興予算効果とエコカー効果徐々に剥落
お楽しみのスポーツについて、MLBのダルビッシュと青木の活躍は予想した通り。特にゼロから出発した青木の今までの頑張りは称賛に値する。フルシーズン続いて欲しい。一方、イチローは今までのところ衰えが目立つ。今年復活できないと高給であるが故にチームに残れない岐路にたつと予想する。
サッカーの香川はいよいよ大化けする舞台に立つことになった。必ずしも成功は保証されてない厳しい挑戦にエールを贈りたい。その他に今夏ドイツでプレーする選手は頑張って欲しいが、香川ほどの活躍は期待すべきでないと感じる。成功すれば日本のサッカー・リーグの選手育成システムが高く評価されるようになり、プロ野球でも再考の機会が来ると予測する。■