かぶれの世界(新)

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AKBと幼児願望

2012-07-07 23:52:16 | 芸能ネタ

楽のセンスが余り無いと自認する私が云々するものおこがましいが、最近人気の絶頂にあるAKBについてちょっと書いてみたくなった。AKBは余りの人気で社会現象になっている。それと最近堅い記事ばかりだったので息抜きを兼ねて。

きっかけは東日本大震災の支援に感謝するイベントにAKBがワシントンを訪れた時、ミニコンサートを見た当地の人達の戸惑いの反応を報じる記事を見て、私はある種の既視感があった。

米国から帰任した1999年の初め頃、テレビの歌番組に出て来るのは所謂JPOPシンガーと呼ばれる人達だと気付いた。歌謡曲ではなくJPOPなのだ。目に付いたのがローティーン世代の人気グループで、私には小中学校の学芸会レベルのように感じた。が、凄い人気だった。

米国にいた時はCディオンやHヒューストンのようなこれでもかとばかりに声を張り上げて歌い上げる曲を毎日聞いていたものだから、技術的に未熟で女性の魅力にも欠けるまだ子供臭さの抜けないグループの楽曲を聴いて著しい違和感があったのは当然だと思う。

ワシントンでAKBのコンサートを聞いた人達も同じような印象を受けたのだろうと、私は思った。プロとしては音楽的に未熟で子供の学芸会を超えないようなグループが、何故日本を代表するような人気があって感謝を伝えに来たのか、当地の人は理解できなかったはずだ。

本の音楽ファンには、年若いミュジシャンが人気者に成長して行く過程を幼い子供を育てるように楽しむ人達がいると、最近別の機会に聞いた。それを聞いて分らなくはないが、プロレベルに達した音楽だけ楽しむのとはちょっと違うのではとも思った。

それは昔からそうだったろうか。どのくらい昔から言われているのか分らないが、この特異な現象は日本のポップカルチャーの特徴として幼児願望があるという説と関係があるのかもしれない。

先日亡くなったザ・ピーナツとか三人娘とかが私の青春時代のアイドル的な存在であったが、彼らの音楽レベルは若くともかなり高かった気がする。当時は先ず米軍キャンプ巡りをしてプロの歌手として鍛えられた結果であり、こちらの方が一時的で日本的に正統とはいえないかもしれない。

キャンディーズが大人気になった時、私はこんな下手くそなグループに何で人気があるのだろうと訝ったのを記憶している。彼女達も年齢的に米軍キャンプは経験して無いだろう。だが、衝撃だったのは何と言っても上記の帰任時に見たローティーン・グループだった。

本社会の根底が変わるような変化がこの頃に起こったのと関係があるだろうか。金融不安の深刻化、リストラに代表される日本的雇用慣行の崩壊、中流階級の縮小と格差拡大、これらの分岐点は98年だといわれる。それが幼児願望を進化、もしくは変化させたのだろうか。

私は、それがいいか悪いのか言っている訳ではない。幼児願望と密接に関ると思われる日本特異のカワイイ文化は世界に広がっているというが、それはサブカルチャーでありメインストリームではないように感じる。所謂ガラパゴス化の一つだと感じる。

ガラパゴスといえば、その代表として日本家電のガラパゴス化もこの頃から目立ってくるようになった気がする。98年は日本にとって多くの分野で重要な転換点だったのかもしれないと、この記事を書きながら思いついた。経済だけではない、文化も含めた大掛かりな転換だったのかもと。

もしかしたらもっと昔からの日本的現象かもしれない。例えば、江戸時代に渡来した南蛮人(アーネスト・サトウ)が書いた本に、子供が最優先される接し方・育て方を見て驚いた記述がある。欧米には子供が大人の食事や音楽界などに同席を許されない習慣を聞いたこともある。そこでは子供が大人のレベルに達するまでは認められない。

ところで、初め学芸会みたいに見えていたAKBのメンバーだが、最近では顔を見て誰か認識できる子が増えたし、名前まで判る子も片手では足りなくなり、お気に入りの子も出来た。テレビの見過ぎといわないで欲しい、彼女達がテレビに出過ぎるのだ。AKBまでそんなに理屈っぽくならないで、と娘に嫌味を言われそうだ。■

コメント
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