前期(3月末)の見直しでは世界・日本経済は年頭の楽観的な予測より更に良かったと総括した。その要因として1)米国経済回復が順調、2)日本経済に明るさが戻り、3)欧州が持ちこたえ・二番手新興国の頑張りを挙げた。2Qもトータルでは大きな変化は無いが、その内訳を見ると出入りがあり激しく動いた。
QE3出口戦略に世界は過剰反応
それからの3ヶ月間は米国経済回復が順調に進んでいるかどうかの判断が、正確にはFRBによる判断が焦点となり市場が方向感を失い乱高下した。換言すると米国経済回復が堅調と判断すれば、QE3出口が早く来て資金供給が窮屈になり米株価が下がり世界市場に影響するという馬鹿げたトレンドだ(相場が実体経済で無く金融緩和に依存する)。オバマ大統領よりバーナンキ議長の言葉の方が重みを持つ事態になった。彼は極めて慎重に言葉を選んで市場と会話している。
新興国期待は大外れ、資源国も
実体経済のほうは米国の消費・住宅市場の回復基調が鮮明になり、更に雇用改善が明らかになれば今年度にも出口戦略が始まる見方が現実味を帯びてきた。この前提のもと市場は過剰反応し新興国からの資金流出が止まらず、更に中国経済のスローダウンが資源国全体の成長を押し下げた。私は世界経済を牽引するのは新興国、特にBRICsに続く二番手新興国の成長を予測したが、2Qに私の予測はズッコケてしまった。(大外れ)
期待を上回った日本と欧州の自信回復
米国経済回復に加え、6月の日銀短観が2期連続改善し2011年3月以来のプラスになった。既にOECDやIMFは日本経済成長率を上方修正し私の予測に近づいた。今後も日本のパフォーマンスは注目の的であり続けるだろう。特に3Qでは参院選で与党がどの程度勝ち、アベノミクスの第3の矢にどう影響するかだ。一方で欧州は「今そこにある危機」から、今すぐに崩壊する可能性はなくなった。寧ろ新たにクロアチアが加盟しバルト3国がユーロ通貨を導入の可能性など、欧州システムとしての強靭さが評価されるようになったというのが直近の見方だ。(ほぼ当たり)
最大リスクは中国が浮上
最大のリスクは中国経済成長のスローダウンと「影の銀行」の地方政府への過剰融資といわれる。3Qの焦点は米国経済回復の強さ(特に雇用)と中国経済がどう軟着陸できるかであろう。中国経済成長軟化は豪・露・ブラジルなど資源・新興国に深刻な影響を与え、それが又QE3出口戦略でリスクマネーが巻き戻される理由になっている。だが、バーナンキは市場と上手く会話しているように私は思う。この1週間世界市場は落ち着きを取り戻し方向感が出てきたように感じる。いずれ現在のジャブジャブの「金融緩和相場」から抜け出し正常化しなければならないのだ。
お楽しみ
ダルビッシュ、黒田、岩隈、上原などMLBに挑戦する日本人投手の予想以上の活躍が目立った。ダルビッシュ以外は壁にぶつかると私は予想していたので嬉しい予想外れだ。一方野手はイチローや青木などの成績はそこそこ、控えの川崎が話題になる状態でチョット寂しい。藤川、中島は残念ながら予想通り壁にぶつかった。何とか後半に頑張って欲しい。 サッカー日本代表はコンフェデレーションで全敗し予選敗退となったが、かつての日本代表に比べ力強くなったように感じる。来年のW杯では前大会以上の活躍が期待できる片鱗を見せたと感じる。ケチをつけた評論家達がいるが、彼ら誰一人としてこのレベルに達した経験を持たない。気にするな。但し、現在の代表の2-3割は新しく若い選手に入れ替わる競争が条件だ。■