かぶれの世界(新)

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2017大胆占い

2017-01-04 11:44:27 | 社会・経済
緩やかに回復する世界経済に霧
正直言うと今年の「大胆占い」はしたくない。3か月先の世界の姿すら不透明で私にはさっぱり見えない。例年なら12月20日頃には年賀状に今年の予測を印刷しなければならないので、腹を決めてエイヤーと無責任な「大胆予測」する。だが、今は喪中なのでこの十年余で最ものんびりでき、何もせず年末年始を過せた。しかし3が日も終わり、今年最初の無責任を実行することにする。

全体として世界経済は昨年後半から緩やかに回復する兆しを見せている。昨年の正月は中国経済の減速や資源価格低下で見通しは明るくなかったのに比べれば実体経済は悪くない。昨年は想定外の英国のEU離脱とトランプの次期大統領が決まったが、昨年後半から徐々に経済指標は改善に向かっている。なのに、前方に見える灯が靄(もや)に包まれ揺れているのだ。

理由は明らかで、世界経済の行く手に何が起こるか読めないリスクがゴロゴロ転がっている。トランプが新大統領に就任後に全ての選挙公約をドンドン実行したら世界は吹っ飛ぶ。その前にリスクを感知して現実的な政策に軌道修正する可能性も無くはない。だが、中国との関係が悪化する可能性は高く、そうなると世界の政治経済は深刻な影響を受け、現在の緩やかな回復など誤差の範囲になってしまう。

3つのリスク
トランプ大統領就任後の100日が注目されている。議会に諮らずとも即実行できる大統領令は限られている。その間はまずロシア制裁や中国との外交に絡んで新大統領が共和党主流派とどんな関係を構築するか、加えてFRBが金利上昇させた場合の反応、TPPだけでなくEUや北米などの貿易協定の扱い等が注目される。その前に公約通りに国内政策を打ち出せるか、場合によっては短期間に国民が失望する恐れの可能性もあると予測する。

もう一つの大きなリスクは欧州各国のポピュリズムの広がりだ。春からオランダ、フランス、ドイツなど重要な国政選挙が予定される。これらEU主要国の一つでも極右政権が誕生するようなことがあれば、EU政策運営は混乱に陥り機能しなくなるだろう。こんな状態で3月から開始される英国EU離脱交渉が出来るだろうか。そんな最悪の状態になった時、ドイツ銀行や伊銀行危機が適切に対処出来るか。心配するときりがない。

3つ目のリスクはトランプの経済政策(トランポノミクス:Trumponomicsと言われ始めた!)が極端な保護主義に傾き同時にFRBが早々に金利を上げる事態になると、ドル高と中国元安など新興国通貨が下落してアジア危機並の資本流出が起き、危機に発展する可能性だ。一方米国が保護貿易を徹底すれば、中国がアジアに新たな経済ブロックを作る可能性が高い。

座して待つしかない?
これ等のリスクは金融がシステミックに連動して波及し恐慌に発展する恐れは十分ある。だが、我が国に何ができるだろうか。多分、座して待つしかないだろう。上記のような世界に波及するリスクは政治が主要な役割を果たすはずだ。だとすれば、世界政治経済の舵を握るリーダーとして日本トップが貢献する機会は限られる。皮肉にもEUのリーダーが最も経験を積んでいると思うが、EUの現状を考えると力不足にならざるを得ないだろう。

出来ることは、何が起こっても耐えられるよう色々なケースに備えて準備しておくことと、一方でチャンスを逃さずタイムリーに手を打っていくことだ。深刻な危機が来るかもしれない今年、危機管理能力のあるリーダーが誰か極めて重要だ。想定外の危機発生時のリーダーの重要性は、東日本大震災時の民主党政権の迷走を思い出せば理解できる。安倍首相は悪くないが、世界をリード出来ないとしてもリーダーを支える重要な役割を果たせれば上出来だろう。

そんなこんなで、2017年の世界経済予測を現状の延長で考えると以下のようになる。「大胆占い」を返上したい所だ。無責任を貫いてもどっちに転ぶか分からないのが正直なところだ。

成長率   大胆占い IMF1611
世界経済  3.0    3.4
米国      2.2    2.2
欧州     1.0    1.5
中国      6.1    6.2
新興国     4.2    4.6
日本      0.5    0.6
(注)単位%、IMF1611は2016/11時点の予測 

緩い居心地の悪くない状況だが先行きが不透明な時、我々はどうすべきだろうか。最悪事態に備える一方で、「縮み志向」でいるだけでは最悪事態の展開次第で訪れるチャンスを生かせない。私のような高齢者の資産管理で例えると、ポートフォリオを見直し「現金比率を高め」危機に備え、危機が杞憂に終わりそうなら「後追いで投資に回す」のが2017年の在り方と思う。何しろ、日本は国自体が高齢者なのだから。■
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