米国大統領選はまだ続いている。従来ならとっくに敗北宣言しているはずなのに、トランプ大統領が次々と根拠が曖昧なまま法廷闘争を仕掛けているからだ。今までのところ全て否認されている。保守派の判事を任命したが、最高裁はペンシルベニア州の訴えを却下した。これまでか、と思った。
今朝のロイターは、テキサス州司法長官が大統領選の手続きに不当な変更を加えたとして激戦4州を連邦高裁に提訴し、他17州が追随する方針を表明したと速報した。トランプ大統領は支持を表明したが、テキサス州が勝利する可能性は殆どないとみられている。何故こんなことをするのか。
最早トランプ大統領は死に体だと思うが、問題は彼の後ろには7400万人の支持者がいる。共和党自体が変質してしまった。7400万人のトランプ支持者(勝手な略称:74M)が共和党の入れ物を使ってトランプを後押ししている。彼等には理屈は通じない頑強な支持者だ。
昨日の日本経済新聞はコラム「真相真相」でその背景を明解に解説していた。80年代から「上位1%」の総所得は国の所得全体の10%から18%に、一方「下位50%」の総所得は20%から14%に格差が拡大した。この富の格差と分断が相互に増幅しあう構図が働いているという。
日本経済新聞の記事、格差が人間心理に及ぼす影響を調べた実験(ノースカロライナ大学)結果を引用して示す。実に興味深い結果だ。
『ある集団に偽の試験を受けさせ、実際の得点と関係なく「上位」と「下位」に分けて感情や行動を比べる実験で、下位の人々は「制度がおかしい」と自身を正当化する一方、上位の人々は自らの実力への確信を強めることが分かった。
取り残されたと感じる人たちは「少数の者が世の中を操っている」などの言説を信じやすくなる傾向もみられた。トランプ氏支持者の間で広がった「ディープステート(影の政府)」論とも共通する。
疎外感を抱く人々は人生に意味を見いだそうと宗教や政治的信条に深入りすることも判明した。保守、リベラルの人とも元の立場がより極端になり、反対側の人々への敵対心を強めるという。まさに米政治の縮図。トランプ大統領は格差が生んだこうした社会心理に便乗し、旋風を巻き起こした。』
つまり、米国の分断はトランプ一人のせいにはできない。格差が拡大すると人は右にも左にも極端に振れ敵対的になる、そこにトランプは付け込んで分断を大きくしたということだ。分断の真の原因は格差拡大であり、グローバリゼーションやITが引き起こしたという論理に繋がる。
となると、米大統領選は分断を修復する手段についての戦いであったのだろうか。その手段は民主主義の手続きであるべきで、非民主主義的アプローチをとったトランプを憎んだのが(アメリカ-74M)=80Mだった。実際、80Mの一人で友人の以下の言葉には憎しみを感じた。
昨日受け取ったメールの半分は怒りに満ちた内容で、意訳するとこうなる「トランプは極悪人で強欲と憎しみに満ち、多くの追従者がいる。こんな無能力な指導者に何故多くの人が支持するのか信じられない。怖い、まさにヒットラーだ」つまり、トランプと同時に支持者74Mを憎んでいた。
会った時から彼女は知性があって穏やかな印象を受けた。カリフォルニア州に住み民主党支持者で、一人で四国88か所を巡礼していた。多分大学教育を受けた中流階級の人だと思う。そんな人が言う言葉ではなかった。選挙が終わっても右も左も過激になり分断は亀裂になりそうだ。バイデン新大統領は亀裂を乗り越えて頑張って欲しい。■
今朝のロイターは、テキサス州司法長官が大統領選の手続きに不当な変更を加えたとして激戦4州を連邦高裁に提訴し、他17州が追随する方針を表明したと速報した。トランプ大統領は支持を表明したが、テキサス州が勝利する可能性は殆どないとみられている。何故こんなことをするのか。
最早トランプ大統領は死に体だと思うが、問題は彼の後ろには7400万人の支持者がいる。共和党自体が変質してしまった。7400万人のトランプ支持者(勝手な略称:74M)が共和党の入れ物を使ってトランプを後押ししている。彼等には理屈は通じない頑強な支持者だ。
昨日の日本経済新聞はコラム「真相真相」でその背景を明解に解説していた。80年代から「上位1%」の総所得は国の所得全体の10%から18%に、一方「下位50%」の総所得は20%から14%に格差が拡大した。この富の格差と分断が相互に増幅しあう構図が働いているという。
日本経済新聞の記事、格差が人間心理に及ぼす影響を調べた実験(ノースカロライナ大学)結果を引用して示す。実に興味深い結果だ。
『ある集団に偽の試験を受けさせ、実際の得点と関係なく「上位」と「下位」に分けて感情や行動を比べる実験で、下位の人々は「制度がおかしい」と自身を正当化する一方、上位の人々は自らの実力への確信を強めることが分かった。
取り残されたと感じる人たちは「少数の者が世の中を操っている」などの言説を信じやすくなる傾向もみられた。トランプ氏支持者の間で広がった「ディープステート(影の政府)」論とも共通する。
疎外感を抱く人々は人生に意味を見いだそうと宗教や政治的信条に深入りすることも判明した。保守、リベラルの人とも元の立場がより極端になり、反対側の人々への敵対心を強めるという。まさに米政治の縮図。トランプ大統領は格差が生んだこうした社会心理に便乗し、旋風を巻き起こした。』
つまり、米国の分断はトランプ一人のせいにはできない。格差が拡大すると人は右にも左にも極端に振れ敵対的になる、そこにトランプは付け込んで分断を大きくしたということだ。分断の真の原因は格差拡大であり、グローバリゼーションやITが引き起こしたという論理に繋がる。
となると、米大統領選は分断を修復する手段についての戦いであったのだろうか。その手段は民主主義の手続きであるべきで、非民主主義的アプローチをとったトランプを憎んだのが(アメリカ-74M)=80Mだった。実際、80Mの一人で友人の以下の言葉には憎しみを感じた。
昨日受け取ったメールの半分は怒りに満ちた内容で、意訳するとこうなる「トランプは極悪人で強欲と憎しみに満ち、多くの追従者がいる。こんな無能力な指導者に何故多くの人が支持するのか信じられない。怖い、まさにヒットラーだ」つまり、トランプと同時に支持者74Mを憎んでいた。
会った時から彼女は知性があって穏やかな印象を受けた。カリフォルニア州に住み民主党支持者で、一人で四国88か所を巡礼していた。多分大学教育を受けた中流階級の人だと思う。そんな人が言う言葉ではなかった。選挙が終わっても右も左も過激になり分断は亀裂になりそうだ。バイデン新大統領は亀裂を乗り越えて頑張って欲しい。■