かぶれの世界(新)

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涙の渋谷

2022-10-22 21:48:48 | テレビ番組
今朝のNHKの再放送「さよなら渋谷駅のカマボコ駅舎」を偶然見て、恥ずかしながら涙がこぼれ出て来た。渋谷駅の再開発の一環で2013年に東横線の駅舎が地下に潜った時の前後の人々の思いを扱ったものだ。私の青春時代は1960年代の新宿であり、当時若者の街と言えば文句なく新宿だったのだが。

会社の先輩に連れられて新宿歌舞伎町のディスコで深夜まで田舎者が不器用(!)に踊り、その後朝まで喫茶店で夜明かし始発電車で郊外にある工場に出勤した強烈な思い出がある。今や若者の街と言えば渋谷だというが、私は若者の渋谷という印象はない。

このブログでも「俺の渋谷」(2015)で私の知っていた渋谷じゃなくなったと投稿し、「ロスト・イン渋谷」(2020)で家族と久し振りに渋谷に食事しに行き、すっかり変わった渋谷で迷ったと投稿した。番組では当時のカマボコ駅舎を懐かしむ鉄道ファンを描いていたが、私はそれとは違う方向に若者時代を思い出し涙が出て来た。

田舎から60年代に上京し最初は武蔵小杉の社員寮に住んだ。そこは田舎者が都会暮らしを始めるには最高の街だったと思う。武蔵小杉は東横線と南武線が交差し、平日は仕事で南武線を下り立川方面に向かい、休日は東横線を上り渋谷に行った。当時も渋谷はお洒落な街だった。

それだけではない。週末の夜は東横線下りで桜木町や野毛坂へ行くか、南武線を上り川崎の夜の街を遊んだ。しかし、平日でも仕事が終り同僚と騒ぐときは会社から直接新宿に向かうのが普通だった。新宿には若者が喜ぶ仕掛けがあった。番組を見ながらそんな若い頃を思い出すと懐かしくなって目が潤んできた。

近年は渋谷に行くことは滅多にない、一人で行くことはなく家族のお供で一緒に行くだけだ。駅の周りは新しい高層ビルが立ち並び昔の面影は全く無くなった。今の渋谷の何が(新しい)魅力なのか分からない。私は番組を見て渋谷から新宿を思い出し、回り回ってその頃の渋谷を思い出し自分を思い出したからかも知れない。

隣の原宿も当時とは随分変わったと思うが、当時を懐かしんで今を否定するような気持ちは無い。比べる対象ではないからだろう。新宿が若者の街だった頃、実は私の妹が渋谷の大学に通っており良く行った。ただ、若者の街とは思わなかっただけだ。その頃の渋谷は私には上品という印象があった。

よくよく考えれば坂に囲まれた都会の盆地が、私の生まれ故郷の盆地の地形を思い出させてくれ、内心では好きだったのかもと思う。何れにしても遠い昔の思い出話だ。若い頃のことを思い出すだけで湿っぽくなる。■

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