かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

日本と似て非なるドイツの心

2023-01-23 21:55:16 | 国際・政治
ロシア軍侵攻を受け苦闘するウクライナ支援の行方が世界最大の関心事だ。その中でEUのリーダードイツの逡巡と、先進国で最低の支援国の日本の対応が私はとても気になる。この2国は第2次世界大戦当時に各国から悪の象徴をみなされ、現在ならず者と言われるロシアと同じ位置にいた。その意味で私は今後日本とドイツが何処に向かうのか気になり例によって素人予測をしてみたい。

20日の世界の国防相を集めた国際会議で、ドイツはウクライナへの世界最強といわれる独製戦車供与を認めなかった。ポーランドやバルト三国など東欧諸国から強い批判の声が上がっているという。私は今回の会議でドイツがウクライナ支援に前向きな姿勢を期待していたので残念だった。

何故ドイツはこれ程にウクライナ支援に後ろ向きなのか。先ず、ドイツは日本とよく似た立場にあると思う。日独伊三国同盟で戦った第2次世界大戦を引き起こし敗れたのが主な原因、日独共に独裁体制の反省から民主主義と戦争反対の平和主義が生まれ未だに一定の影響力がある。

現在のドイツは日本と異なり強力な軍事力を保有するNATOのリーダーで、世界的な武器輸出国だがウクライナ支援には煮え切らない態度を続けてきた。他の米欧諸国もロシアを核戦争に追い込まない様に慎重にウクライナ支援を続けてきたが、ドイツはそれ以上の別の事情がある。

それは冷戦終結後のシュレーダー首相時代からドイツ経済の為の最善の施策として、ロシアの民主化を信じて友好な関係を結びエネルギー依存し、その後の東独出身のメルケル首相も良好なロシア関係を維持し経済的に成功した。極端に言えばロシアはドイツ経済の死命を左右する存在になった。

日本は新憲法で戦争放棄したが、その後自国防衛が必要との国論が高まり専守防衛の謳い文句で自衛隊を発足させ、更に今日の日米同盟などで実質的に軍事力を持つに至った。結果として日本のウクライナ支援はG7の中で最も少なく、武器支援は防御目的に制約されている。そして今、ロシア侵攻と中国の台湾や南シナ海で強圧的な対応に危機感が高まり、自国を自ら守る姿勢を強めている。

ちょっと無理があるかもしれないが、私は両国に共通するのはロシアと直接戦う戦争兵器のウクライナ支援に後ろ向きであり、それが上記の第2次世界大戦の後遺症を持つ国民感情であると感じる。欧米には「ウクライナ支援疲れ」も報じられているが、日独は初めから戦争支援に消極的だった。米英や東欧諸国の危機感から支援に積極的なEU諸国の後ろに隠れていた。だが、戦局は変わった。

報道によるとドイツの世論調査では戦車供与に賛成46%、反対43%と拮抗しているという。積極的なな支援を求める欧州他国と差がある。更には想像した通り旧東ドイツのドイツ東部が反対59%で西部38%を圧倒した。一方、意外だったのは高齢者より若者の方が反対が多かった。多分、冷戦時代のソ連の共産独裁を知る高齢者の方が危機感が強いのだろう。

私の推測では日本は少数の避難民を受け入れてマスコミは大々的に報じて支援している積りだが、全体から見れば恥ずかしい程度で殆どは不介入の他人事だと思う。日本の場合地政学上やむを得ない反応だが、私はこの方が不安だ。岸田内閣はロ軍のウクライナ侵攻を中国に置き換え危機感を持って安全保障戦略の強化を図るが、国民は賛成してもその為にお金は払いたくないという姿勢だ。

つまり、現在の国民は日本は自ら血を流して国を守る積りはない、それ程追い込まれていないと言う事だと私は思う。ポーランド等が支援に積極的なのは逆説的には追い込まれているのだ。言い換えると日本にはドイツを批判する資格はないし、自由に発言出来るはずのマスコミも批判するのを見たことがない。日本国民も総じてそんなところだと思う。

今朝がたニュース速報ではポーランドはドイツの許可を得ずとも世界最強の独製戦車をウクライナに提供する積りだと報じられた。また、独首相とフランス大統領がNATO分断を避けるべく会談したとの報道もあった。ドイツが世界からの非難を和らげる為にEU諸国からの戦車提供に目を瞑り、ロシアにも言い訳できる道を探る、そんな密約を仏と交わしたと思う。

日本はもっと難しい、ウクライナは他人事のままだろう。反撃能力を含む安全保障体制の強化を増税で対処するか、世論の動向を探りながら実質的な成果を求めるだろう。原発再稼働は反対だが電力値上げは嫌だという声と全く同じように私には聞こえる。それが日本国民の心だと思う。日独は強いリーダーシップを求められ、一方で妥協を迫られている。■

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 関係維持の手法 | トップ | 勘違いのシティポップ »

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事