かぶれの世界(新)

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検証:自民圧勝の理由

2005-09-19 14:20:13 | 国際・政治
今回の衆院選での自民党の圧勝の理由は「都市と若者の反乱」であるという仮説を選挙の翌日に主張した。小泉マジックにはまったとか、風が吹いたとか言う論が多い中で、少数ではあるが民意がどこにあったか分析し理解しようとしている人達がいるのは救いだ。17日にNHK BS1が報じた出口調査の基づく分析は興味あるものであった。

番組によると総投票数は前回比834万人増の6953万人、投票率は7.65%増の67.51%であった。このうち20,30歳代の投票が全体の21%から23%に増え、絶対数で314万人増えた。前回20-50歳代が民主党支持だったが、今回全年代で自民党支持が上まった。今回国民は全ての年代で小泉改革を支持し過半数議席獲得に貢献し、増加した若者の投票が上乗せして自民圧勝に導いたという説明が出来そうである。

一方角度を変えて政党支持率から投票結果を見ると、自民・民主ともに1%増えただけで変化が無いが、無党派層の投票パターンが民主支持が17%減り39%、自民支持が10%増え32%になった。つまり投票率は増えても政党支持の比率の変化はなかったが、無党派の民主支持減が結果に大きな影響を与えた。無党派層の年齢構成と地理的な分布が知りたいところである。

都市で自民党が圧勝したのは明らかであるが、東京の小選挙区で自民:民主の得票率50%:36%なのに議席数が23:1という衝撃的な結果になった。比例区だと得票率が38%:31%、議席数が77:61となったのと対照的である。今回都市のほうが全国平均の投票率増加率より3-5%高かったことが、投票結果に影響を与えたはずだがデータが無い。年齢構成も知りたいところである。それがわかると「都市の反乱」の原動力が何だったか明確に見えてくる。

民意は「政権を安定させ改革のスピードアップを求める」ものであった。反対派を公認せず敵と見方をはっきりさせ改革を打ち出す小泉マジックにかかったという表面的な見方は誤りで、民意に応える戦術を取ったので勝てたという謙虚さが必要だろう。私は解散直後から民主党が郵政民営化に対案を出さず反対をしたことが致命的になると見た。結果はその通りになった。前原新民主党代表はこれを明確に認識し、重要事項には必ず対案を出す戦う集団に脱皮しようと宣言したのは誠にポイントを突いた認識であり今後が期待できる。

今後10年は自民党の時代という説もあるが、私はそれほど明確ではない。小泉政権が圧勝したことにより、選挙は既得権益を守るより政策を優先するプロセスに変化しもう後戻りできないところまで来た。これは自民党にとって両刃の剣になる。自民党政権が民意にそむけば、政権の交代が簡単に起こることを今回の選挙結果は示した。今後の焦点は日本をどこに向けて改革していくかグランド・デザインのビジョンを示し民意はどちらを選ぶかで戦われることになると期待される。■

追記:放送後NHKに出口調査のデータを見たい旨依頼した。実は今回初めて出口調査の対象になった。NHKの性格上データは公開すべきものと考える。詳細がわかれば私の仮説がもう少し詳細に分析できるのだが。


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ニューヨーク・タイムズWebの有料化

2005-09-17 14:34:48 | ニュース
14日にNYtimes.comからメールが来て月曜日から署名入り論説(Op-Ed)を別枠にしてTimesSelectとし年間購読料50ドルの有料になるという。確かにトーマス・フリードマン氏やデビット・ブルック氏など著名な記者の論説は、社説を越えて洞察力に富み先見性があり目を開かせるものも中にはある。TimesSelectに加入すると古い記事や検索ツールを利用できるようになると言っている。しかし、私には50ドルは高すぎる。

この試みには懐疑的な意見も多い。狙いはケーブル・テレビの映画専門チャネルHBOの位置付けだという見方もある。しかし映画見放題と署名入り記事が同じ価値とは思えない。特定層の読者を狙ったとしても、一定のオピニオン形成に影響を与える程度に購読者が増えるかどうかは疑問だ。記者にとっては折角書いた記事の読者が減るのはハッピーではないはずだ。ワシントン・ポストなど他の有力紙が追随するかどうかが注目される。個人的には何とかこの動きが広がらないように祈っている。■


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米国危機管理システム機能せず

2005-09-15 23:53:03 | 国際・政治
ブッシュ大統領はFEMA長官を更迭した後、昨日「あらゆるレベルで機能しなかった、その責任は私にある。」とハリケーン対応がまずかったことを公に認める発言をした。しかし、大統領の支持率は依然下がり続けており危険水域といわれる40%前後になりつつある。被災経過が判明してくるにつれ市長、知事、FEMA、DHSから大統領までのあらゆるレベルで最も重要な時に適切な判断がなされなかったとの追求の声が上がっている。週刊誌や新聞の記事を読むと全体として米国の危機管理システムが全く機能しなかったということが徐々にわかってきた。

私がかつて勤めた会社で危機管理を担当していた事があるので、ある程度危機管理の視点で状況を見ることが出来た。会社の事業活動に影響する事故が発生したときの対応を定め、事故の程度によって情報がトップに伝わるルートを明確にし、現場の裁量の範囲を狭め勝手な判断をしないよう徹底し機能したと思う。他の会社の例で申し訳ないが、三菱自動車の事故隠しは危機管理システムが万全で無い上にトップの誤った判断が重なり同じ失敗を繰り返し起こした。同じ視点から何故カトリーナの対応に失敗したのか推測してみる。

9/11後米国の危機管理システムは対テロに焦点を当て見直され、従来自然災害に対応していたFEMAが大統領直轄から新設のDHS(Department of Homeland Security)の配下に入った。従って情報は市長、知事、FEMA、DHSの順に上がっていく。連邦政府の危機管理マニュアル(National Response Plan)は対テロを含み地方政府が72時間耐えうる前提になっていたが、カトリーナが上陸した時点でニューオーリンズ市、ルイジアナ州の通信網はズタズタに分断され、以降の対応がチグハグで脈絡のないものになり大きな被害を出した。現場の情報はテレビ放送のほうが先行し、FEMA長官に入ってくる情報を基にした状況認識のギャップは大統領を窮地に追い込み更迭されることになった。この通信網の崩壊は無線電波割り当ての問題として既に9/11委員会で指摘されたことで、正に立法と政府は「不作為の罪」といわれても反論できない。

多くの指摘の中で私が気になることが二つある。市長、知事、FEMA長官もかなり良く準備はしていたのに、決断しなければならない肝心の場面で逡巡し手遅れになったと報じられている事である。その背景は決定のコストが莫大で後から生じる訴訟の事を考えざるを得ないからだ。例えば、強制避難を指示するとホテルや会社を閉鎖するコストは膨大なものになり市に支払い責任が生じるのである。雑誌タイムによると観光客の多いところは避難に金がかかる、92年のハリケーン・アンドリューのときフロリダの海岸1マイル当り避難コストが1億円かかったという。

二つ目は誰もが指摘している事で、こういう時には大統領に代わって軍隊の出動から資材の放出まで州や管轄を超越して総てを仕切ることの出来るリーダの存在が必須であったのに、今回いつまでたっても誰がリーダかわからず混乱が収束できなかった。私は現体制ではチャートフDHS大臣であったはずと思うが、通信網が分断された中で状況把握できない状態が続き対応が遅れた。DHSは18万人4兆億ドルの予算を抱える巨大官庁で大臣の大組織運営能力が改めて問い直されている。

米国のメディアや議会はしつこくこの危機管理システムの失敗の原因を追究している。日本のメディアに比べしつこく原因を追求していく姿勢は、問題を起こしても米国システム全体をスピーディに修正し強くしていく風土といって良い。個人的には、追い詰められた場面での意思決定の遅れがどういう事情で起こったかの人間ドラマが非常に興味がある。多分ノンフィクション小説も今後数多くかかれるだろう。■


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仮説:選挙の勝因

2005-09-12 16:30:02 | 国際・政治
11日の総選挙で自民党は296議席、公明党と合わせて与党勢力が327議席と歴史な大勝利となった。解散以来の私の予測はこれほどの大勝とは思わなかったが、振り返って手前味噌ながら民主の不振等のポイントを突いた予測をした。まだ詳細なデータが無いのだが、ここで勝利を決定付ける選挙の勝因は何であったか例によって大胆に推測する。

メディアは例によって小泉劇場とかワンフレーズ戦術が人々を強く惹きつけたという浅薄な見方をしている。全く表面だけで底流を見ない従来延長線上にある見方である。私は二つの要因が与党圧勝に決定的な役割を果たしたと思う。二つに共通するのは国民が切に変化を望んでいる、さっさと構造改革をやってくれという叫びである。それでは誰が叫んでいるのかということである。私は都市と若者が重要な役割を果たしたと考える。

最初に都市の反乱であることは明確である。今まで諦めて投票しなかった都市の人達は今回始めて、自分達の為の政策を掲げた政党が現れたと考え投票所に向かった。関東圏及び近畿圏の投票率が前回より10%前後上昇している。都市の人達は昨年の道路公団改革で資金が地方に流れ、巨大な無駄遣いで財政を悪化させていく経過を具体的に知った。既得権益を守るため誰が反対したかわかった。民主党やメディアは改革が中途半端と何故か小泉政権を非難したが、責められるべきは既得権益を守ろうとした地方の族議員や官僚であった。彼らは郵政民営化で同じ臭いを嗅ぎ取り、その延長で小泉政権が構造改革することを望んだのである。

二つ目はまだデータが無いのだが私の勘では20代から40代前後までの若者の反乱である。全国投票率7%上昇の大半はこれらの世代の投票が貢献したのではないかと思う。事前の世論調査では年金・医療保険が最重要争点とされていたが、若者は年金など気にしていないと思われる。単純労働は海外に流出し若者の失業率が高く、アルバイト等で大した収入も得られず、何でこれ以上年寄りに金を払うのかと思っている人達は多いはずである。個人差はあっても総合すると世界で最も金融資産を持っている金持ちは日本の老人世代で政策決定への影響力も大きい。若者は何でも良いからこの状況を変えて欲しいと思い、改革を止めるなという主張に飛びついたのではないかと思う。

今回の選挙は都市と若者の反乱が選挙結果を決定付けたというのが私の結論付けようとしている仮説である。小泉政権になり年金、道路公団改革を進める中で今まで表に出なかった強欲の政策決定プロセスが表面化し、都市住民と若者のフラストレーションが高まっていた所に、郵政改革解散が触媒となり火をつけたというのが私の仮説である。正しいかどうかは選挙結果の統計データが公表されればすぐ明確になるだろう。■


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カトリーヌを巡る非難合戦(続)

2005-09-10 23:48:47 | 国際・政治
今朝方メールボックスを開くと米国からニュース速報が届いていた。予想したように最初の犠牲者はFEMAのブラウン長官だった。しかし思ったより早い更迭だった。ブッシュは重大なミスを犯しても忠実であるかぎり部下を切ったことがない。アブグレーブの捕虜虐待の責任をとらせてラムズフェルド国防長官を首にすることもなかった。そういう意味でブッシュは非常にぶれの無い人である。選挙も一貫して絶対失敗を認めず、それによってスタッフは選挙キャンペーンを安心して戦えた。

今回ブッシュはブラウンを更迭せざる得ないところまで追い込まれたと見るべきだ。イラクであれだけ酷い状態になっても主要なスタッフを取り替えなかったのにである。私の見るところ米国世論、特にメディアはこれで納得しそうも無い。カトリーナ災害は簡単にこうすれば事態は大幅に改善するとかいうものはない。予想より少ないと報じられているが、それでも多分毎日のように犠牲者の数が増えていく。遂にブッシュが三度目の被災地訪問という異例な対応になった。これで終わりとはとても行かないだろう。■

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