ジーコ日本のワールドカップは今朝方未明ブラジルに完敗し文字通り終った。残念ながら私の予想通り1分け2敗だった。敗因は勝つことが出来たはずの初戦で豪州に敗れたことが大きいとジーコはインタビューに答えていた。その試合での采配ミスを指摘する声も多い。
決定的だったのは日本ディフェンスが予想通り「ひ弱」だったことだと私は思う。決定機を逃したフォワードには失望したが彼らばかりが責められるのは私には不公平とすら感じる。一時黄金と呼ばれた中盤も格別の活躍はなかった。
しかし私はそれも含めて実力通りの結果だったと思う。ブラジルと言わずとも豪州・クロアチアと比べても選手個々の力が劣っていた。ワールドクラスの選手はいない(かつての中田がそうだった)。日本のマスコミがちやほやしただけである。それでもここまできたのは選手達がよくやったからだ。個人技の不足を補うくシステム・戦略を含めたチームトータルとしての力も及ばなかった。
しかし、世界一となった野球と比べるのは可哀想だ。WBCでは選手個人をみるとイチローのように世界最高レベルの場でも中心選手として活躍するスーパースターがいた。更に日本野球には100年の歴史があり勝つための日本独自のスタイル(スモールボール)が確立されている。野球にはスター選手の寄せ集め以上にチームとしての力を出せるノウハウがあった。
プロが出来て10年余のサッカーに野球と同じことを求めるのは酷だ。しかし希望はある。30年前はシーズン後物見遊山気分で来日したMLBの単一チームに日本のプロ野球チームは全く歯がたたなかった。今の速度で成長すれば、20年後のサッカーは個人レベル・チーム戦術共にかなり高いものになるはずだ。
苦杯したのは日本だけではない。波乱が少ないと言われる今大会でも、トップスターのいる優勝候補のチェコが破れ、上位を狙うと言われた米国、復活をかけたポーランドも敗退した。フランスも苦悩が深い。アジアで残っているのは韓国だけ、まだ勝ち残れるかどうか分からない状況だ。日本だけではない。
対策をどうするかビジネス風に言うと、「明確な現状認識に基づく的確な意思決定」という経営の基本を粛々とやることしかない。W杯のゲームだけでなくこの4年間に出来たこと、出来なかったこと、目標そのものを含めしっかり評価分析して次のW杯を目指して欲しい。日本人はこういうことがとても得意なはずだ。
ところで日本メディアの報道、特にテレビが視聴率狙いの能天気な楽観論ばかり言っていたのは如何なものかと思う。サッカーを楽しもう、盛り上げようと言うという気持ちは分かるが、現実離れした期待を持たせる報道を続けるとメディア本来の信頼を失うことにならないか。■