かぶれの世界(新)

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人権報道(続)

2007-05-16 22:57:48 | ニュース

5月の連休中に甘利経産相が世界有数のウラン埋蔵量がある中央アジアのカザフスタン、ウズベキスタンを訪問しウラン権益を獲得したというニュースが流れた。石油価格高騰と温暖化に対応し世界的に原子力回帰が進む中での資源外交の成果と見られている。

日本が出遅れから逆転出来た要因は単なる資源国から付加価値商品を輸出できる技術を組み合わせたシステムとして提案したからと報じられている。これまで主要なメディアは中国のなりふり構わない資源外交に日本が出遅れていると無原則で批判的な立場をとっていたように思うが、今回は淡々と事実を伝える姿勢だったと感じる。

小泉氏が首相退陣前に中央アジア諸国を訪問したときも無視か的外れの批評をした。退陣前の海外訪問の意味がないとか、卒業旅行だとか、外交・経済面での扱いも地味だった不明を恥じたほうが良い。

更に、別の視点からも日本マスメディアの取り上げ方が私にはやや違和感があった。

数日前米国議会の有志100人余が中国の胡錦濤主席にダルフールで虐殺を続けるスーダン政府への支援を止めるよう求めた書簡を送ったことが控えめに報じられた。適切に対応しなければオリンピックをボイコットするという過激な内容をも含んでいるらしい。

それに対して慰安婦問題で大騒ぎした日本のメディアが今も虐殺が続いているのに音無しなのは何故か。中央アジアのウラン産出国は大統領が反対派のデモに発砲し多数の死者を出し国際的な制裁をうけているのに取引をして良いのかという疑問も一切出てこない。

日本のメディアの基準は何か、少なくとも普遍的な意味での自由でも人権でもない。都合のいいときに取り上げるカッコ付の自由とか人権ということか。米国では慰安婦問題に限らず人権問題に関して極めて敏感に反応する(自国のことは忘れる癖があるが)。そういう意味では一貫している。

誰にでも言い訳があるように、彼等にも言い訳がある。英米に比べ海外ニュース関連のスタッフが悲惨なほどに少ないのは事実なようだ。しかし、今回のウラン調達外交には一言えたはずだ。産経新聞も米国議員の書簡について「中国叩きネタ」として詳しく伝えたのだが… ■

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生活変えたら - 本音編

2007-05-13 23:56:16 | インポート

覚君、コメント有難うございます。種明かしすると、人の役に立つボランティア活動をする高尚な目的の為に生活を変えたのではないのです。今の生活パターンに飽きたからなのです。コンサルタントの仕事も開店休業状態だし、働いてお金を稼ぐのを終わりにしようと思ったからです。

私は同じ生活パターンを長く続けることは出来ない人です。会社勤めしている頃(管理職になってから)、同じ会社内でも2年から3年周期でかなり劇的に担当業務が変わり、それによって幸運にも生活パターンを変えることが出来ました。

実際、早期退職までの最後の15年間は生産から営業まで7つの領域を担当しました。2-3年サイクルで色々な経験をさせゼネラリストを育て、その中で幹部を選抜昇進させていく日本の大企業に典型的な年功人事システムの中にすっぽり入り、ある意味楽しく仕事をしました。

私の場合、この会社内転職サイクルは新たな知識を学び、内外を旅行し人と知り合う機会を与えてくれるものになりました。うんざりしてやり残したことを全て忘れて新しいことに取り組める機会を定期的にタダで与えてくれる仕組みは私には決して悪くはありませんでした。

私の場合、新しい部門の責任者として赴任すると新しい役割とスタッフを理解するのに約1年かかり、成果が出始めるのは2年目に入ってから、3年目にはややマンネリになるパターンを繰り返したと思います。お陰で真の専門家になることは出来ませんが私は気に入っていました。

先日エルピーダの坂本社長が外資系の会社では1年以内に成果を出さなければならないとテレビで答えていました。かつて一緒に働いたコンサルタント諸氏は1年といわず出来るだけ早く効果を見せ(Quick hit)ないと信頼を得られないと言ってました。その点私は時間がかかり過ぎました。

退職後は自らアクションをとらないと何も起こらないことに気が付いたのですが、いつも変化に対し受身だったので中々その気にならず、今回が退職後初めて自分が決めた軌道修正でした。といっても活動の場は変わらず経済を含め生活環境を激変させた訳ではなく、精神的な切替が主の気楽なものでした。

ということで、多分1年も経つとボランティア活動についてウンチクを語るようになり、2年経つとそれなりに貢献できるようになるけど飽きてきて、3年以内に又新しい何かをしていると思います。■

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生産性の停滞

2007-05-12 22:45:25 | 社会・経済

今回は何時も良く扱うテーマのグローバリゼーション、構造改革、先端企業の凋落、格差問題のどれにも少しずつ関わる日本企業の生産性の伸び停滞の問題について語りたい。

日本産業の二重構造

トヨタが前年度2兆円を越す史上最高の営業利益をたたき出したと昨日報じられた。高品質で燃費効率が高い商品の競争力は高く、今年ついに世界一の自動車メーカーになると予想され、所謂トヨタ方式の経営力の成果の表れと報じられている。

トヨタやキャノンなどの世界企業が好業績を上げる一方で、皮肉にも我国の労働生産性改善がトータルでは停滞している。内閣府のデータによると2005年の労働生産性(一人当たりのGDP)は米国の71%しかない。続くユーロ圏の87%にも大きく離され、OECD加盟国平均の75%にも追いつかない、甚だ惨めな状況にあるという。

これはかねてから指摘されてきた世界企業と国内市場だけで勝負する規制産業の二重構造が依然として続いている証左である。世界企業(トヨタなど製造業)の生産性は既に世界トップクラスにある一方、卸・小売・運輸業などのサービス産業の生産性が低迷しているのである。

生産性の差はIT活用の差

問題は日本の就業人口の65%がサービス産業になり、その比率は更に高まりつつあることである。大前研一氏によると、この分野の生産性は今世紀に入っても米国との差が寧ろ拡大傾向にあるらしい。逆に米国の製造業の生産性も近年改善が進み日本との差を詰めたといわれている。

サービス産業の生産性の改善が進まない原因は、コンピューターをうまく活用できてない為である。延々として続く会議を減らし、仕事のやり方を変えて作業を標準化してコンピューターにやらせ、バックルームを効率化し営業やサービスなどのフロントに出せてないと氏は指摘している。

最近引き合いに出される格差問題の一因は、ビジネスプロセスの見直しよりパートやアルバイトなどの低賃金労働力に依存する経営無策にあると私は感じている。現状の二重構造と低賃金労働力はある意味必然の関係にあるのではないだろうか。

分断されたIT

90年代末に米国から帰任後、大前氏が指摘している日米の生産性の差を実感した。米国で導入したERPは生産から営業までの全米のオペレーションをカバーし、一つのデータベースで経営管理されていた。情報の伝言ゲームは一切なし、場所は離れていても電話会議で前日までのデータをどう解釈するか議論し即意思決定した。(他に問題はあったのだがそれは別の議論)

ところが日本に戻ると、営業・工場・事業管理は別会社で責任分担、システムは繋がっておらず夫々が異なる目標とデータベースを持って活動していた。加えて生産工場は台湾や中国にアウトソースして引き取り責任がある棚卸があり、営業も量販店の棚卸残高を半ば保有した状態にあった。

つまり、仮想的には一つであるべきビジネスプロセスが海外のアウトソーシング生産会社から国内の販売店まで分割されていた。ITの視点で見るとトータル・サプライ・チェーンのエキスポージャーが10以上のシステムで分断されており、異なるデータベースで管理されていた。

その全体像を把握して迅速に経営判断することは極めて困難だった。米国から戻り経験も力も不足している私には、高速で変化する市場を理解し意思決定する根拠(データ)がなく、経営者として適切な判断を下す直観力にも欠け、最後までこの問題を克服することは出来なかった。

認識ギャップ

私のことはさておき、先月28日経営情報学会は「IT投資マネジメントの発展」をテーマに講演会を開催したという報道を読んで、数年前に違和感を持ったギャップはそれほど変わってないとショックを受けた。日経情報ストラテジーによると松島武蔵大教授は講演で次のように述べたそうだ。

「日本企業のIT投資の絶対額は米国企業に比べて少ないが、費用対効果という面では、日本企業の方が優れている。日本企業のほうがIT費用に敏感で、ITはあくまで事業目的を達成する為の道具だと割り切って投資している」と講演で述べたと報じられている。

そこには費用対効果とか省力化という発想のみで、IT投資により他社と差別化し競争力を高める発想がない。従来の組織や仕事のやり方に固執し、ITと一体化して世界で勝てる強いビジネスプロセスを作る発想に欠けているのである。

米国の実態とあるべき姿

アウトソーシングばかり目立つ米国だが、日経ビジネスによると小売業やヘルスケア関連、企業向け専門サービス業などの生産性上昇を加速させ、トータルでは海外から米国にアウトソーシングされる額のほうが多い入超になっていると報じている。

記事によると米国のサービス分野の輸出は661億ドル、輸入は442億ドルでグローバリゼーションの果実をしっかり手にしているという。言い換えれば米国式仕事のやり方、IT活用した経営、がグローバル標準になり米国に果実を取り込んでいるということだ。

日本のIT投資のほうが費用対効果の面で優れているなどというのはミスリード以外の何物でもない。効率化よりも「顧客満足度の向上」「競争優位の獲得」「新ビジネス・製品の開発」(日経ビジネス)などに重点を置いたIT投資という観点から経営の見直しが望まれる。■

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米株高の不思議(続)

2007-05-10 23:05:44 | 社会・経済

国経済成長がこの4年間で最悪に向いつつあるのに、株式市場が記録的高値をつけている、どういう意味か。これは先月24日に書き込んだ私の問いかけではない、今月8日にCNNMoneyイシドロ記者の記事の書き出しだ。同じ関心を持っている人はいるもんだ。

私は、今年227日に始まった世界同時株安が又来るからしっかりシートベルトを締めておけと書いた。しかし、その後も株価は一本調子で上昇、今朝起きるとダウ平均は高値を更新していた。飛び降りる崖が益々深くなる気がする。とはいえ、私のちっぽけな金融資産もお陰で損を取り戻した。

記事に戻ると、イシドロ氏は米国の投資関係者に現状をどう見るか聞いて周り、景気軟化と歴史的株高は両立する、それは初めてのことではないという結論に達したようだ。むしろ会社の利益がどんどん増えているのに、株価上昇がついて行けない[1]というのが現状だという。

ITバブル破裂直前の1999年の株価収益費(P/E)が25.5だったのに対し、現在はS&P500の平均株価は15.5と極めて健全なレベルにある。つまり株価はバブってないという。しかし、住宅不況に加え自動車販売が低調では経済の悪化は避けられない、そうしたらもう二桁の利益なんか期待できるだろうか。

ところが、記事によると戦後10回の不景気のうち6回は株価が上がったそうだ。アー言えばコー言う、だ。米国のトップ企業はコスト削減と効率化が進み、かつ収益の26.5%は海外市場からで、国内市場がスローダウンしても利益が出る体質に変わったという。

随分楽観的な見通しという気がする。一方、楽天証券の上坂&原田氏は日米のマネタリーベースの伸びが株価を押し上げていると分析している。実際は量的緩和の解除後1年が経過し、日銀券、貨幣流通高、日銀当座預金の合計値の急減が一段落し株価に好影響を与えているという。

一方、米国では3月末に底を打って以来マネタリーベースの伸び率が反転上昇に転じ、これに符合して米国株価が底を打ったという。FRB(連邦準備銀行)は「住宅減速による逆資産効果のインパクトを緩和させる為、 ・・・ 株価の安定には細心の注意を払っている」という。端的に言うと株を買う資金が増え始めた、需給関係が変わり始めたというわけだ。

私にはまだ解せないと思う米国の株価上昇も、暴落後の上海証券市場の暴騰に比べると控えめだ。実際のところ日本を除く世界中の証券市場で株価が急騰している。株高の根拠を縷々紹介したが、バブルがはじける直前でもはじけた後でさえも、アナリストは「株はもっと上がる、買え」と言い続けたと非難された。

根拠はないが私はやっぱり世界同時株安の第二派、第三派が来るような気がしてならない。問題はいつくるかだ。今年か来年か予想もつかない。最後に懇意にしているX証券のアカウント・マネージャY氏の一言、「危険水域に近づいている、しかし、今年は大丈夫でしょう。」 ■


[1] S&P500企業の利益は14期連続二桁成長したがその株価増は10%に満たない。

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生活変えたら

2007-05-08 23:56:44 | 日記・エッセイ・コラム

何年か前に「お姉ちゃん、生活変えたら。」というキャッチ・コピーが流行ったことがある。当時は私の殆どの時間を会社勤めの為に注ぎ込んでいた頃で、妙に心に響いた。会社での立場を考えると降格して生活を変えることなど出来ず、仕事を辞めるしかなかった。

4年前早期退職してついに生活を変え、自分の時間を全て自分でコントロールできるようにした。それから半年後、日本経済が最悪期を脱したのを機会に退職金の一部を株式に投資した。損をしないため内外の政治経済をしっかりウォッチして勉強する刺激的な生活が始まった。

たいした金額でなくとも自分のお金がかかると会社勤めの時とは又別の緊張と真剣さが生まれ、退職後のボケ防止には大変役に立ったと思う。しかし気が付くと、毎日内外のニュースを追いかけ、市場をリアルタイムで監視する生活がマンネリになっていた。

2月末に始まった世界同時株安とその後のグローバル・リバランシングと平行して、私も日々の生活に割り当てる時間のポートフォリオを少しばかり見直すことにした。その為に良いタイミングではなかったが株を売り、四六時中市場を監視して株の買い時・売り時を気にしないで済むようにした。

そして今日初めて市の施設を使ったボランティア活動に参加した。今日は初心者を対象にしたディジカメ写真の編集研修の準備のため、施設のパソコンとソフトウエアの基本動作の確認を行った。私は初めて目にする写真ソフトなので、これから頂いたテキストをよく勉強して使い方を習得しておかないと役に立たない。私には新らしい刺激になりそうだ。

自前の金を賭けていて幾ら刺激的でも3年以上同じ事を続けるとマンネリになった。このボランティア活動をいつまで続けられるか分からないが、今までとは違った人達と知り合え、知的な楽しさとか発見があり、それで少しでも人の役に立てると思うと悪くない。■

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