かぶれの世界(新)

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世界連鎖株安 - 新段階に入る

2008-10-16 22:20:29 | 国際・政治

今日の東京証券取引所は絶不調、日経平均は過去2番目の大暴落、前日比1089円安の8458円で引けた。米国の主要各紙の論調は、金融不安がついに実体経済に波及し急速に悪化しているとの見方が広まり、世界同時株安は新しい段階に入ったと言うものだった。

ついに恐れていた事態になった。後からなら何とでもいえるが、だから言ったじゃないかという台詞(せりふ)が聞こえてくる。勿論私が言ったからということではなく、多くの専門家が、金融不安が続くと実体経済が傷み、その修復に長い年月をかけることになるという指摘だ。

だが、今春ベアー・スターンズを救済後、米国政府は事態の悪化に適切な手をタイムリーに打たなかった。リーマン・ブラザーズを破綻させ、75兆円の救済策が一旦否決されるという大失態を演じた。この1ヶ月余りに銀行が倒産、消費が低迷、失業率上昇など実体経済が急激に悪化した。もう一度、「だから言ったじゃないか」。

実際のところ、日本政府が10年かけてやったことを、米国は1年で同じことをやった。10倍も早く対応しているのに、何でうまく行かないのだろうと誰もが疑問に思うはずだ。住専問題で示された民意に比べれば、米国の場合たった1週間遅れで対応したじゃないか、と。それでも遅かった。

この日米の差は、当時と今回との物事が進む「スピードの差」、有体に言うなら「毒が回る速度の差」ということが出来る。世界の金融システムがインターネットを通してシームレスに一体化しているという技術的な側面があるが、それだけではない。制度と商品の差が決定的だ。

サブプライムが組み込まれた金融商品(証券)を大量に抱えた金融機関は、時価会計ルールによりその評価損を3ヶ月単位で決算報告しなければいけない。不良債権などの評価損を隠し続けた当時の日本の金融機関とは状況が違うし、当時毒は海外まで伝染していなかった。

しかも、今回は欧州を初めとする海外の金融機関もこの猛毒商品を大量に抱えている。サブプライムを組み込んだ金融商品の問題が最初に発覚したのはフランスだったことを思い出して頂きたい。これにより世界中で金融機関に毒が回ったことが判明し、金融システムが麻痺(貸し剥がし・貸し渋り)し、実体経済が傷み始めた。

特に、世界経済の牽引車である米国では、企業の運営資金が借りられず黒字倒産が増えているだけでなく、借金して買い物する消費者がクレジット・カードやローンの枠を狭められ、住宅や自動車が売れなくなり消費が失速、今年のクリスマス・セールを当て込んだアジアからの輸出が大打撃を受けると予想される事態となっている。

金融不安の実体経済へのインパクトはもう後戻りできないところまで来ている。日本の大手輸出会社トップはインタビューに答えて、最早直ぐ回復することはないだろう、最悪事態に備えねばならないと、暗い表情で言っていた。もう後戻りできない新しい段階に入った。昨日から今日にかけての株価暴落は、新しい段階に入った。最早金融の問題だけではなくなったのだ。

このテーマについて素人の悲しさか、中々大局的に捉えて議論できない。その都度、強く思った視点から議論してきた。つい先日は世界連鎖株安について希望的(楽観的とは言えなかった)な見通しを述べ、その前はリーマン破綻を非難し、遡ると昨年中頃はサブプライム問題を楽観視した。今後も視点を変えて議論していく中で、考えを纏めていきたい。■

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respect

2008-10-13 23:58:07 | スポーツ

連日の世界同時株安のニュースにうんざりしていたが、MLBがポストシーズンに入り、日本人選手が出場して活躍するのを見ると、気分転換でき息抜きになっている。

今日のドジャーズ対フィリーズはテレビ中継が無かったが、ネットを見るとドジャーズの黒田投手が好投し勝ち投手になったが、乱闘寸前の争いに巻き込まれたようだ。

夕方、スポーツニュースを見ると黒田が打者の頭の後ろ側に速球を投げ、その直後2ゴロで打ち取ったが睨み合になり、両チームのべンチから全選手が飛び出してきて、あわや殴りあいの乱闘寸前になったようだ。

どうもこれは決め事だったようだ。

その後、中継録画放送を見ると黒田が打者のビットリオに所謂ビーンボールを投げる前から、コメンテーターは何度も黒田がフィリーズの選手にぶつけるのは避けられないかのような発言をしていた。

最初の2試合からドジャーズのバッターは厳しく内角を攻められ、ある選手はデッドボールを受けて傷んでいた。チームにはフラストレーションが溜まっていた。

そして、前の回に女房役のマーティン捕手が死球を喰らい、MLBでは「決め事」として黒田が報復することをチームから期待されていたということのようだ。

相手チームのフィリーズも報復されるのは織り込み済みで、そうしなければドジャーズは収まらないと覚悟していたようだ。だから打者の反応は、横腹の上を指差して頭は止めてくれ、ぶつけるならここにしてくれとジェスチャーした。

コメンテーターも黒田のその1球の直後、これで彼はチームのリスペクトを受けたと言った。MLBのホームページの記事も、このたった1球でチームのリスペクトを勝ち取ったと述べている。

MLBの野球にはルールブックには書いていないが、こうした不文律の「決め事」がいくつかあるようだ。そのキーワードがリスペクトではないかと思う。多分、「尊敬」と訳しても問題ないと思う。

それは味方だけでなく相手チームや選手に対する尊敬を含み、味方の尊敬が冒されたときは報復しなければいけないし、逆の場合報復されることを覚悟しろということのようだ。怖いね。■

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超希望的・世界連鎖株安

2008-10-12 21:49:10 | 国際・政治

暗黒の9月

世界連鎖株安はちょうど1ヶ月前に米国政府がリーマン・ブラザーズを見捨てた時始まり、更に1週間余り前に金融機関の不良債権を買い取る救済策を米下院が否決して追い討ちをかけた。この1週間は世界の株式市場の底が抜け、世界を震撼させた1週間だった。

9月末の世界の株式時価総額は1400兆円失い、日本の個人資産は28兆円減ったという。中でも団塊世代の投資資産を痛撃したという。彼らは振り込み詐欺に代表される無知な老人世代と異なり、賢い投資家と見られていたが世界同時株安では分散投資も損失を防ぎようがなかった。

正気を失ったか

投資家は不安の連鎖でパニック売りを繰り返し、物の価値を合理的に見ることが出来なくなったようだ。例えば、このところ話題になっている世界最大の自動車メーカーGMの株式時価総額が26億ドル(2600億円)まで縮小したという(1011朝日新聞)。会社をバラバラにして売ったほうが余程値打ちがあるという馬鹿げたことが起こっている。

こういう時こそ冷静に落ち着いて行動すべきだが、テレビ等のメディアは連日のように不安を煽るような報道が多いのは如何と思う。特に、19291024日「暗黒の木曜日」といわれるウォール街の大暴落をきっかけに起こった世界大恐慌が、又起こるかのような報道は国中パニックになれと勧めているようなものだ。

80年前、財政規律厳守が事態を悪化させた

そこで、今回の世界連鎖株安と世界大恐慌は全く違うことを紹介したい。書物から得た限られた知識ではあるが、世界連鎖株安の衝撃の度合いは1929年の世界大恐慌と同じか、それ以上かもしれないと私自身感じている。不動産バブルが弾けたのがきっかけなのも同じだ。

だが、当時と今では全く環境が違う。バブルが弾けた当時、世界の政府の基本政策は財政規律を守ることにあり、中でも米国は緊急事態になっても厳格に財政規律を求める政策を適用した。米国政府は金利を下げ財政出動するどころか、収支改善の為増税し景気は急激に悪化して行った。ケインズ学説はまだメインストリームではなく、政治は考えうる最善の手を打った積もりだった。

貿易制限が世界大不況に

更に、米国内の農家やビジネスを守るために輸入制限し、既に米国への輸出頼りになっていた第二次世界大戦後の世界経済を打ちのめした。つまり、「暗黒の木曜日」は世界大恐慌の原因ではなく、その後の政策が世界恐慌を引き起こした。

1929年の株式市場の大暴落から大恐慌に向う間、適切な手が打たれないまま金融システムの信用不安連鎖が続いた。1932年初め1800以上の銀行が倒産してもまだ適切な手が打たれず、1933年ルーズベルト大統領が就任した3月には2600行が閉鎖され、そこで初めて例のニューディール政策が始まった(10/13Time)。

今度は違う

しかし、今回の世界連鎖株安は深刻ではあるが、昨日のG7とその後に続いたG20に見られるように、米国を始めとする世界の財務省・中央銀行は1929年の大恐慌を学習している。財政悪化を心配するより金を刷って市場に供給し、失業や倒産を防ぐほうが重要だと理解している。更に、誰も輸入制限など説いていない。

G20は‘よってたかって’大恐慌になるのを防ぐ為、連携してあらゆる手を打つことを確認したと夕方のニュースは報じていた。G7の結論は資本注入を含む全ての必要なアクションを含んでいる。後は、合意事項に基づいた具体的な実行が連携されて実施されるかどうかである。

無論、不安はある

正直、考えれば考えるほど不安はある。最新の金融技術で作り上げられた「ステルス金融商品」の損がどれほど隠されているのか、強欲な経営者が罰せられないのを見て田舎者(失礼)の米国選挙民が何時又反乱を起すか、欧州は実質経済が思ったより脆弱な上に各国バラバラで本当に連携できるのか、分からないことが多い。

日本も志の低い政官の不適切な慣行がこの後も暴露され、ポピュリズムが横行し国会空転が続くかもしれない。私自身も、上記に紹介した団塊世代が陥っている苦境から逃れることは出来そうもない。しかし、不安を言い出したらきりが無い。人はそれ程馬鹿じゃない、理性は最終的に世界大恐慌を防ぐことが出来ると、私は希望をこめて信じる。■

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小泉嫌い

2008-10-06 23:34:01 | 国際・政治

前例がないといわれるが、麻生新首相自身の内閣発表や、民主党に逆質問した異例の所信表明は、悪くないと思った。国民が知りたいことを聞いたからだ。参院で野党が過半数を占め、多くの案件で民主党が政府に代わって意思決定(をしないことを含め)してきたからだ。

私は小泉元首相の構造改革による「小さい政府」路線を支持してきた。麻生氏の政策は対極の「大きな政府」路線のようだが、自分流を貫く政治スタイルという点では小泉氏と似ている。両者ともに党の総裁選で圧倒的な支持で選ばれたが、国民の支持という点では大きな差がある。

国民の圧倒的な小泉支持に反して、マスコミは現在までずっと「小泉嫌い」と私は感じていた。小泉氏が従来とは異なる政治手法をとって国民の高い支持を得た頃から、マスコミは「小泉劇場」と呼び、巧妙に利用されていると認識し、マイナス面に偏って指摘しているように感じていた。

教育格差や所得格差などの拡大を、小泉政権が実施した規制緩和や行過ぎた市場経済が原因とする報道は、構造改革の影の部分にのみ焦点を当てて非難しているように私には聞こえる。だが、政治家の主張なら理解できても、このような報道姿勢は私には偏っており奇異に感じる。

何故、小泉元首相は長期間にわたって国民から圧倒的な支持を得たのか、しっかりと調査し論理的に分析することをメディアはやるべきだ。国民は愚かにも「小泉劇場に乗せられた」のだろうか、国民はそれ程馬鹿じゃなかったと私は思う。メディアにとって「小泉劇場」は、その先「思考停止」する合図のようだ。

小泉内閣は「聖域無き構造改革」を掲げ、郵政3事業及び道路公団を民営化、長年我国経済を停滞させた不良債権処理を断行して金融不安を解消させ、景気好転とあいまって株価を回復させた。私が最も評価するのは、改革の実行過程で、政官財の既得権益をベースにした政策決定プロセスを、経済諮問委員会を使い国民に開かれた透明なプロセスにしたことである。

この国のメインストリーム・メディアが「小泉嫌い」になったのは、小泉劇場の宣伝にうまく利用されたという苦々しい思いからだけではないだろう。実は、彼ら自身が従来の政策決定プロセスの中に既得権益を持ち、それが脅かされたからではないかという疑いが、私にはある。

しかし、考えて欲しい。誰が昔の既得権益でがんじがらめの、政官財の鉄のトライアングル主体の政策決定の時代に戻ることを望んでいるだろうか。勿論改革をすればするほど歪みが出る、常に見直しは必要だ。メディアには小泉構造改革の光と影をキチンと伝え、光の部分を守りかつ影に光を当てるバランス感覚が必要ではなかろうか。■

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老いの不安

2008-10-04 18:37:20 | 日記・エッセイ・コラム

高血圧の再発

1ヶ月足らず前から降圧剤の服用を再開した。5年前に早期退職後、主に食事と運動の生活習慣を見直し、数ヶ月かけて血圧を標準値まで戻した。その間に長年服用していた降圧剤を中止した。しかしその後5年間に基礎代謝量が減少する一方で、同じ食生活を続けたツケが出てきた。

徐々に体重が元に戻るに連れて、血圧もリバウンドして来て、要注意領域(140-150台)の範囲になった。昨年頃には退職時の体重に戻り、血圧も更に上昇した。猛暑が続いた今年の夏は後頭部が重い自覚症状があり、起床時の血圧が危険領域(160170台)になった。

東京に戻り急ぎ健診を受け、5年前の高血圧・高脂血・高尿酸と同じくらい指標が悪化、先生から先ずは血圧を下げなさいと処方を頂いた。長らく高血圧と付き合ってきて、血圧を含む種々の健康指標をデータベース化しているが、今回の健康指標悪化と自覚症状には不安を覚えた。

降圧剤の服用再開

5年前に中止して残っていた降圧剤、ARB(商品名ニューロタン)、を試しに飲むと数日で標準値に血圧が低下した。私の体は、薬は良く効くし、少ない食事でも効率よく太る。余りに早く効きすぎて気持ちが悪い。医者の処方箋なしで勝手に薬を飲むのも何だが、もう直ぐ薬が切れる。

ネットで調べると降圧剤は多くの種類がある。ARBは末梢血管を拡大して血圧を下げ、腎臓や心臓を保護する効果があるという。妊婦の服用禁止など制限があるが、後で述べる運動機能に対する副作用はないようだった。

血圧が上昇するファクターは年齢、遺伝、食生活、肥満、運動、酒とタバコ、ストレス等があるという。私の場合、両親の高血圧を50%の確率で相続し、5年間に体重8kg増加で14mm水銀の血圧上昇、それに5年老いた年齢要因が大きいようだ(参照: 生活習慣病 田上幹樹 ちくま新書)。

副作用か、歳のせいか

血圧は下がったのだが、このところ余りハッピーではない。それは私が物理的に「老い」を感じているからだ。帰京後再び通い始めたジムで、以前なら1時間で710kcal以上消費したエアロバイクが、今では670程度で息が上がる。最大酸素摂取量測定ではそれ程悪い数字ではないのだが。

ウェイトトレーニングでも、5月には挙げられた重量から1-2目盛(1-2ポンド)下げないと挙がらなくなった。従来は田舎から帰ると、1ヶ月のうちに筋力を取り戻していた。今朝のバドミントンの練習では、一瞬の反応が出来ず、練習ゲームは全敗でパートナーに迷惑の掛け通しだった。耐久力や瞬発力の運動能力低下が、具体的な数字で老いを冷酷に教えてくれる。

バドミントン仲間はそりゃ歳のせいだよと言うけれど、私は体力の低下は歳のせいとは思いたくない。医療関係に勤める仲間は、降圧剤で運動能力が低下したなんて聞いたことが無いという。老人の運動能力と薬の関係を調べたデータなどこの世に存在しないだろうと慰めてくれたが。

どう老いるか、多分それが問題

私がこの十年一貫して気になっていたのは、何時まで普通の人のように考え、運動する生活を続けることが出来るか、ということだった。私が生まれた時祖父は既に亡くなっており、私が20代の時父も50代半ばで死んだ。男が老いていく過程がどういうものか目の前で見たことが無い。

老いるということがどういうものか実感が無い。老いに対する漠然とした不安が私にはある。それは健康指標の悪化から、肉体の衰えや記憶や思考能力の低下を、母の介護と重ね合わせて想像するがピンと来ない。10年後、20年後まだ生きているとして、どういう生き方をしているのか。

普段もっと前向きのはずなのに、発想が後ろ向きのスパイラルに陥っている。どう老いるか、現実的なシナリオを作り、若い時と比較して悲観するのを(そうしている積もりは無いのだが)止めるべきなのかもしれない。■

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