かぶれの世界(新)

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ダボス会議は二流役者の世界

2017-01-19 17:51:39 | ニュース
中国の習近平国家主席がダボス会議に始めて参加し演説、中国が自由貿易に取り組む姿勢を強調し、言外に米次期政権に保護主義的な政策をとらせないようけん制したと報じられた。英国のEU離脱交渉とトランプ大統領就任を直前に控え、突然「自由貿易」のリーダーみたいな扱いで注目された。

17日の演説の内容は、世界各国が「開かれた経済を推進する必要がある」と呼びかけ、「保護主義にはノーと断言すべきだ」と訴えたという。私は記事を見て、「チャンチャラ可笑しい、中国が自由貿易が聞いてあきれる。進出企業に規制をかけ、政治的な問題を経営に介入する国が良く言えたもんだ」と笑ってしまった。三流役者の食えない能書きだ。だが、今問われているのはそんなことではない。

だが今年のダボス会議の最大のテーマは、ダボス会議そのものが体現する世界がそれ以外の世界の怒りを受け止め解決できるかだったと、ウォールストリートジャーナル(WSJ)やニューヨークタイムズ(NYT)の記事は伝えた。ダボス会議の存在意義と真贋を問う、非常に厳しい指摘だった。毎年政財界の著名人がプライベートジェットでやって来て、年代物のボルドーワインを空け格差を議論し帰っただけ。例によって私風の大胆解釈をすると、「ダボス会議は二流役者が演じる二流劇場で、習近平は遅れて来た三流役者」だった。

参加者はそれを理解していただろうか。ダボス会議とは毎年1月に開かれる世界経済フォーラム年次総会の通称で、各国の政府首脳や中央銀行総裁、主要銀行やグローバル企業の最高経営責任者(CEO)、有力な学者、メディアや芸能界の華やかなスターが集う。彼等は国籍や人種は異なっても共通点がある。グローバルな世界での勝者であり特権階級(貴族)ダボスエリートなのだ。私達は貴重な意見を拝聴させて頂いた。

そこで地球温暖化対応など高邁な意見が議論され、グローバルな世界におけるベストプラクティスが世界に発信された。日本からもグローバル企業のトップや政治家が参加するだけで注目されることになった。だが、今年から明らかに風向きが変わった。ダボス会議は誰の為のものか基本の戻ってその目的が問われることになった。地球温暖化など同じ問題は残るが、それが誰の為にどう解決すべきかという視点が180度変わった。

トランプ次期大統領や英国のEU離脱は、「地元にとどまる人々、すなわち教育水準が低く、均質化した経済環境で成功するのに必要な手段や資金に縁がない人々」からの怒りの声だ。WSJは今年のダボス会議で「リーダーたちは境界線の維持や回復を望む有権者を今後もはねつけ、人種差別主義者や外国人嫌い、さらにはネオ・ファシストだとあざけり続けるのか、あるいは少なくともグローバル主義の考え方に対する国民感情の正当性を認めるように努力する考えがあるのか?」が問われていると報じた。(痛い!) 

正直、私はWSJやNYTの記事を読むまで”貴族”の受け売り、身の程知らずと言われても仕方がない、世界に広がるポピュリズムを軽蔑し馬鹿にしてきた。今もポピュリズムの波及は絶対に防がなければならないと考えるが、ポピュリズムは何が原因で何を対策すべきか、視点を変えて深く考え直す必要があると思う。

WSJの記事は衝撃的に終わっている。「貴族階級の歴史はたいてい不幸な結末を迎えている。・・・ブルボン王朝やロマノフ王朝に起きたことの現代版が、それほど激しい暴力を伴わず多くの死者を出さない形で、最終的には同じ重大な結果をもたらすのを待つしかない・・・」 記者にはお前もエリート知識人の一人だよと言いたいが。そういう私も貴族階級のオコボレを期待して後を追ってきた。

歴史を振り返ると、ポピュリズムは貴族階級を倒すために沢山の間違いを起こし血を流した。英国のEU離脱やトランプ大統領も間違いであり問題解決にはならない、逆にもっと問題を深刻化させると考える。だが、既に暴走は始まったようだ。ダボス会議はこの世界的動きをどう食い止めるか、それを貴族たちが身を犠牲にして防ぐ姿を見せるか。それ以外に二流劇場を立て直す手はないと思う。(多分、無理だ。)■
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へたれ仲間

2017-01-17 19:00:37 | スポーツ
ママさんバドミントンクラブ練習に私と同年配の新しい仲間Sさんが参加した。彼は若い頃に実業団リーグでプレーし、現在は市のバドミントン協会長をしている。現役の頃は私の実力ではとてもかなわない見上げる存在だった。彼はこの20年間以上バドミントンを全くやらなかったが、誘われてママさんクラブならできるかもしれないと再開したという。私と同じ動機だ。

彼にとって今日が再開後2度目の練習だった。流れるようで無理のないフォームは現役時代を彷彿させたが、動いて打つと途端にフォームが乱れて初心者みたいにフレームショットや空振りを繰り返した。30分の基礎練習でさえ息が切れてついて行くのが精一杯。いざゲームになると揺さぶられてミスを連発し、練習ゲームを数本やるとコート脇に座り込んでしまった。聞くと膝がガクガクして動けないと息も切れ切れにいう。

実は私とて同じようなものだ。膝は動くし息も切れないが、瞬間的な動きが出来ない。不意にロングサービスを打たれて返せず、今度はそれを気にし過ぎてショートサービスを取れず、はたまた前後に揺さぶられてドロップショットに反応できない。頭の中はかつて俊敏に動けた頃のイメージがあるのに、足はイメージ通りに全く動いてくれない。

Sさんもきっと同じように感じているのだと思う。私より5歳年下だというから65歳前後、だがその年でもどこまで回復出来るか中々大変だと思う。「頑張ってね、だけど絶対無理しちゃダメだよ」というと本人もよく分かっていると返事が返って来た。どうやら思った通り行かなくとも「へたれ仲間」としてやって行けそうだ。

もう一人同い年のへたれ仲間がいる。昨年膝の手術をしてもう出来ないかもしれないと弱気になっていると聞いている。若い頃の私達を知る同じクラブに所属するママさんが、愉快なエピソードを思い出させてくれた。総合体育館で協会が主催したお楽しみの大会の途中で抜け出してビールパーティにもぐりこんだ。

場所は体育館のすぐ近くにある、ユーミンのヒット曲「中央フリーウェイ」に出て来るサントリーのビール工場だ。そこで無料ビールをしこたま飲んだ後、素知らぬ顔で体育館に帰り残りのゲームに参加した。酔っぱらってゲームにならなかったが、何故か主催者に咎められることもなく出場禁止になることもなかった。彼女はいまだに忘れられないという。私も直ぐに思い出した。多分、死ぬまで忘れられない「へたれ仲間」の思い出だ。■
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小池都知事に感謝

2017-01-16 22:44:36 | ニュース
小池都知事に心から感謝したい。もし彼女が都知事にならなかったら、今頃は有害物質に汚染された魚を食べていたかもしれない。先の都知事選で築地市場から豊洲市場への移転に待ったをかけた有力候補は彼女だけだった。他候補が知事になっていたらと思うとぞっとする。市場が信頼を失ったら大事になっていたろう。

なぜこんなことになったのか、三代に亘る知事と都庁及び都議会など当事者は何をしていたのか、結果として機能していなかった責任と反省をして欲しい。本件について問題があるかも知れないとマスコミは薄々感じていたのではないかと思う。もしそうならマスコミにも責任があると思う。

移転が遅れて不満を表明する仲卸業者などの市場関係者の声を繰り返し聞くと違和感があった。この人達は安全な魚を届けようという気持ちがあるのか疑問に思った。マスコミもそれでいいと思ったのだろうか。評論家とタレント司会者は都議会選やその後予想される国政選挙がらみの政局を嬉々として報じていたのも不愉快だった。

小池知事が指摘してきたように都政を透明化していればこの問題は防げたと都民は思い知った。彼女が指摘するまで、地下水モニタリング調査の最終結果が出てから移転の可否を判断するという、至極当然の判断すら都民は認識してなかった。この当たり前のことすら指摘しなかったマスコミと評論家に価値があるのか。■
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韓国との外交的合意の意味は?

2017-01-14 23:11:38 | ニュース
韓国プサンの日本総領事館前に慰安婦像設置を黙認したのは、2015年の慰安婦合意に反するとして日本政府の駐韓大使の一時引き上げが波紋を広げている。もっともその後トランプ新大統領のとんでもない記者会見で世界中が大騒ぎになり、極東の小競り合い程度に見なされ世界から忘れ去られている。

思うに、韓国政府と約束してもこんなことになるかも知れないという、悪い予感があった人も多いのではないか。日本政府も実はそうなると予測していた節がある。韓国を100%信用していた訳ではない。かつて他のテーマでも反発する民衆とそれを政治利用する野党が反対運動を盛り上げ、圧力に抗しきれず韓国政府が国と国の約束を台無しにしたことが何度かあった。また、司法が政治決定に影響を与えたこともある。

そんな事がしばしば起こるようならこの国との交渉とか約束しても意味が無いのではと思わずにはいられない。(私から見たら一方的な)歴史教育で偏った考えを持った若者が往々にして暴走し反日運動の主体になっている。日本政府には対応しようがない。この国民的運動が韓国の政治の方向を決めてしまうのは、世界的なポピュリズムの流れの一環だろうか。

私は世界的な流れというより極めて韓国的な現象、つまり韓国に特有の政治や司法が法治よりも国民の意向を反映し易い傾向にあることの現れだと考える。こんな約束が約束にならない国とどう付き合うか難しい。私の見方が正しければ、韓国とのお付き合いは通常の外交関係とは考えない方が良いと思う。

だが、政府間の約束を守らないのは別に韓国だけではない。その最たる例は米国だ。トランプ次期大統領は貿易協定から安全保障同盟関係まで見直すと言って世界中を大騒ぎさせている。地球温暖化の協定も抜けそうだ。遡れば第1次世界大戦後自ら提唱した世界連盟に加入しないという史上最悪の判断をした。常習犯だ。

それではどう付き合えばよいか。韓国には韓国特有の性癖がある。法の支配の原則とか民主主義等の価値観とかいった西側民主主義的理屈より、韓国との外交はもう少し損得関係というかビジネスライクな付き合いをした方が良い。約束が守られないこともあるという前提に立った方が効果的な外交が出来るのではないだろうか。

その意味で韓国への抗議の意思を示すため、駐韓大使を一時帰国させ通貨スワップ協定作業を中断した政府の判断は良かったと思う。抗議の相手は韓国政府だが、伝えるべきメッセージは韓国の民衆だ。彼等が感情的になって損したと実感できるやり方を静かにかつ断固としてやらねばならないと思う。■
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私的・オバマ大統領の8年

2017-01-12 18:40:35 | ニュース
オバマ大統領がシカゴで最後の演説をした直後、トランプ次期大統領がニューヨークで当選後初の記者会見を行った。トランプ氏がトップ扱いで報道される一方、現職大統領と言えどもオバマ氏は対照的に地味な扱いになったのはやむを得ないことだ。これから世界一の権力者になるのは誰か、当然の扱いではあるが寂しい。

オバマ大統領は歴代大統領の中でもレーガン大統領に次ぐ高い支持率(55%)で任期を終えるという。8年前に大統領になった時はリーマンショックの危機のさ中で崖っぷちに立ち多くの人達が家や財産を失い生活が脅かされた一方、9.11後ブッシュ大統領が始めたイラク戦争の泥沼にはまり込み厭戦気分が漂っていた。

米国は当時ベストセラーだった「分断されたアメリカ」(ハンチントン)の危機にあった。大統領就任後は途中支持率が低下した時ブッシュ元大統領が「史上最低の大統領」を免れそうになったかと思われたが、危機を回避し失業者に1500万人の職を与え徐々に支持率を高めてレーガン大統領並みの支持率になった。大統領としての業績もさることながらオバマ氏個人としての人間的魅力が評価されたのだと思う。

実際、リーマンショック後の米国経済復活は目を見張るものがあった。世界経済がリーマンショックの後遺症で長く苦しんでいる間に、米国政府はFRBと連携し次々と思い切った対策を打ち短期間で立て直した。私にとってもオバマ氏が他国の大統領とは言え他人事とではなかった。なけなしの退職金を投じた金融資産の残高は半分以下になったが、オバマ大統領下の米国経済の復調に同期して損失を取り戻すことが出来た。

私はオバマ大統領の任期の初めの頃、高い理想を掲げるがそれを実行に移す政治手腕に欠ける姿を「オバマ温泉」(つまり、言うだけ)と揶揄した。まるで企業お抱えの弁護士みたいな外交スタイルで、安倍首相も付き合い方に苦心したと言われている。だが、今ではそれがオバマ大統領の理想の高さ故のことだったと思う。特にそんな理想のかけらもないトランプ次期大統領と比較して、オバマ氏の理想主義が高く評価されたのだと思う。

オバマ外交を弱腰外交と非難されているのは高い理想と米国内の厭戦気分を反映し支持されたと思うが、一方で今となってはトランプ氏の強硬な主張に共感するところもある。日本の所謂「戦後リベラル」の流れをくむと言われる人達は反対するだろうが、世界は力を背景にして物事を動かす国が大半だ。そうした現実の世界にどう貢献していくか考えた時、先々難しい判断が求められることがあると思う。

唯一オバマ大統領の大失敗だったと思うのは、「米国は世界の警察官ではない」と明言したことだ。米国の圧倒的な軍事・経済力が相対的に衰退したのは間違いないし、世界の警察官を続けられる国力がなくなつつあるのも正しいだろう。これによって「G0の世界」が公式に出現した。だが、絶対に公言すべきではなかった。クリミア半島や南シナ海において中ロがやりたい放題出来たのは、米国の不介入姿勢を確信していたからだと思う。

この指摘をする識者はいない。私の素人考えかもしれない、だが依然として米国の国力は突出している。逆に皮肉にも今回言いたい放題のトランプ劇場に世界が右往左往している姿を見ると、依然米国の力は抜きん出ており強い影響力を持っていると実感した。オバマ氏のスタイルとは全く違うしやりたくないだろうが、言外に強い圧力をかけて中ロに思いとどまらせる巧妙な外交のやり方はあったのではないかと今でも思う。

任期最後までオバマ大統領を高く評価した同じ米国民が、対極にあると言ってもおかしくない品格に欠けるトランプ氏を後継者に選んだ。理由は格差拡大とか白人労働者の反乱だと言われても私にはまだ理解できない部分がある。米国をイラク戦争に向かわせた史上最低と言われるブッシュ大統領がオバマ大統領を生んだように、オバマの8年間がトランプ大統領を生んだと言われている。それについては別の機会に議論したい。

ともあれ、どんな問題が残され待っていようとオバマの時代は終わった。この8年間がアメリカにとって悲劇だったのか喜劇だったのか、皮肉なことにそれはトランプ次期大統領が決めてくれそうな気がする。■
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