4日に投稿した「大胆占い」では、今年は3か月先の世界すら不透明、ほぼギブアップ気味だったがそれなりに真面目な予測を紹介した。その中で3つのリスク「米国民がトランプ大統領に失望する」と「欧州各国のポピュリズム広がる」、「新興国通貨安による世界経済危機」をあげた。加えて中ロが引き起こす地政学上の危機がありそうだ。
今回は「起こりそうもないけど、起こったら世界は大変なことになる」という恒例の「天邪鬼占い」を紹介する。昨年は起こりそうもないと予測した「トランプ大統領」と「習近平の恐怖政治」が現実になったが、世界は驚いたがひっくり返ることはなかった。多分、その影響は今年具体的な形で現れそうな気配だ。
今年は上記の「大胆占い」で指摘したリスクが現実のものになりそうだが、「起こりそうもないけど、起こったら世界は大変なことになる」の延長線上の最も極端なケースを下記の様な「天邪鬼占い」としたい。それではつまらない、天邪鬼とは言えない、と言われそうだが他には思いつかないのだ。
1)トランプ大統領暴走する
やっぱりトランプ大統領発の異変を第一に上げたい。政治に無知な不動産屋のトランプ氏が指名した閣僚は全て「桁外れの大富豪と強面の軍人出身」だ。今の所議論されている政策は金融規制緩和など富裕層の為のもので、大統領選の重要な支持者に応える政策は個別工場の海外移転抑制位しかない。白人労働者に富が配分されるどころか、次々と公約の嘘がバレて彼等は裏切られたと思うようになると私は予測する。批判に焦ったトランプ大統領が国際ルールに反する保護貿易政策を打ち出し世界貿易が混乱する。トランプ氏が危機を回避するために、冷静に現実を見てそれに基づき長期的な判断を出来ないケースがゼロとは言えない。
2)欧州にポピュリズムの波が広がる
今年EUの主要国で実施される国政選挙で、メルケル氏が独首相に再選されない、仏大統領が極右政党のルペン氏になる、オランダ等で極右政党が躍進する等、どれか一国でも起こるとEU崩壊の危機が始まる。その前に始まるはずの英国の離脱交渉の行方が注目される。万が一3月までに大きなテロ事件が勃発すると、かなりの確率でどこかの国で極右政権が誕生するだろう。そこまで行かなくとも再選されたメルケル首相の影響力が弱まり指導力を発揮出来ず、EU崩壊への第一歩になる可能性がある。
3)新興国の経済危機
次はトランプ新大統領の政策に新興国が強く影響を受ける事態だ。保護貿易と金利上昇により新興国の通貨安が急速に進み、資本投下されたドル資金が米国に急激に還流されるとアジア危機の悪夢が再現する。昨年末から新興国の通貨安は一服したが、繰り返し報道されたように中国の外貨準備高が昨年35兆ドル減少し当局は強力な規制を行った。危機は一番弱い国を狙って起こり、一旦ある国で発生した通貨危機は他国に連鎖して地域全体の危機に発展する恐れがある。
4)地政学的な危機が迫る
世界各地に地政学上の危機のタネは幾つもある。特に中ロの国境付近には深刻な紛争に発展する可能性が強い。2017年の中国は習近平体制維持の為の重要な時期で彼の言う「核心的利益」を守る為領土問題で絶対に妥協しないだろう。一方、サワーズ英MI6前長官の「ロシアは脅威にさらされ、危ないと思えば、むしろ危険な行動に出かねない。彼らが冷静でいられるよう、過度に脅かさないことが大事だ。」(日本経済新聞1/8)との指摘は今迄のウクライナ問題をよく説明している。プーチン大統領が米国大統領選にまで介入してくる恐ろしさに備えておく必要がある。
以上の4つの起こってはならないリスクが今年も起こりそうな気がする。その最大の理由は米国の弱体化による「G0現象」であり、オバマ大統領の所謂「弱腰外交」が作りだし、多分トランプ新大統領の「米国第一主義」でその歩みを早めるであろう。上記サワーズ氏のインタビューで、トランプ氏の主張は「米国は、日本や英国のような古い同盟国を大切にするが、目の前の懸案を処理するため、貢献してほしいという思いも抱いている。・・・」 この主張には日欧ともに状況を冷静に捉えて現実的な対応をすべし、一国平和主義のような綺麗事では済まされない、という説得力のある問いかけと私は思う。いずれにしても2017年は難しい判断が迫られることになりそうだ。■
今回は「起こりそうもないけど、起こったら世界は大変なことになる」という恒例の「天邪鬼占い」を紹介する。昨年は起こりそうもないと予測した「トランプ大統領」と「習近平の恐怖政治」が現実になったが、世界は驚いたがひっくり返ることはなかった。多分、その影響は今年具体的な形で現れそうな気配だ。
今年は上記の「大胆占い」で指摘したリスクが現実のものになりそうだが、「起こりそうもないけど、起こったら世界は大変なことになる」の延長線上の最も極端なケースを下記の様な「天邪鬼占い」としたい。それではつまらない、天邪鬼とは言えない、と言われそうだが他には思いつかないのだ。
1)トランプ大統領暴走する
やっぱりトランプ大統領発の異変を第一に上げたい。政治に無知な不動産屋のトランプ氏が指名した閣僚は全て「桁外れの大富豪と強面の軍人出身」だ。今の所議論されている政策は金融規制緩和など富裕層の為のもので、大統領選の重要な支持者に応える政策は個別工場の海外移転抑制位しかない。白人労働者に富が配分されるどころか、次々と公約の嘘がバレて彼等は裏切られたと思うようになると私は予測する。批判に焦ったトランプ大統領が国際ルールに反する保護貿易政策を打ち出し世界貿易が混乱する。トランプ氏が危機を回避するために、冷静に現実を見てそれに基づき長期的な判断を出来ないケースがゼロとは言えない。
2)欧州にポピュリズムの波が広がる
今年EUの主要国で実施される国政選挙で、メルケル氏が独首相に再選されない、仏大統領が極右政党のルペン氏になる、オランダ等で極右政党が躍進する等、どれか一国でも起こるとEU崩壊の危機が始まる。その前に始まるはずの英国の離脱交渉の行方が注目される。万が一3月までに大きなテロ事件が勃発すると、かなりの確率でどこかの国で極右政権が誕生するだろう。そこまで行かなくとも再選されたメルケル首相の影響力が弱まり指導力を発揮出来ず、EU崩壊への第一歩になる可能性がある。
3)新興国の経済危機
次はトランプ新大統領の政策に新興国が強く影響を受ける事態だ。保護貿易と金利上昇により新興国の通貨安が急速に進み、資本投下されたドル資金が米国に急激に還流されるとアジア危機の悪夢が再現する。昨年末から新興国の通貨安は一服したが、繰り返し報道されたように中国の外貨準備高が昨年35兆ドル減少し当局は強力な規制を行った。危機は一番弱い国を狙って起こり、一旦ある国で発生した通貨危機は他国に連鎖して地域全体の危機に発展する恐れがある。
4)地政学的な危機が迫る
世界各地に地政学上の危機のタネは幾つもある。特に中ロの国境付近には深刻な紛争に発展する可能性が強い。2017年の中国は習近平体制維持の為の重要な時期で彼の言う「核心的利益」を守る為領土問題で絶対に妥協しないだろう。一方、サワーズ英MI6前長官の「ロシアは脅威にさらされ、危ないと思えば、むしろ危険な行動に出かねない。彼らが冷静でいられるよう、過度に脅かさないことが大事だ。」(日本経済新聞1/8)との指摘は今迄のウクライナ問題をよく説明している。プーチン大統領が米国大統領選にまで介入してくる恐ろしさに備えておく必要がある。
以上の4つの起こってはならないリスクが今年も起こりそうな気がする。その最大の理由は米国の弱体化による「G0現象」であり、オバマ大統領の所謂「弱腰外交」が作りだし、多分トランプ新大統領の「米国第一主義」でその歩みを早めるであろう。上記サワーズ氏のインタビューで、トランプ氏の主張は「米国は、日本や英国のような古い同盟国を大切にするが、目の前の懸案を処理するため、貢献してほしいという思いも抱いている。・・・」 この主張には日欧ともに状況を冷静に捉えて現実的な対応をすべし、一国平和主義のような綺麗事では済まされない、という説得力のある問いかけと私は思う。いずれにしても2017年は難しい判断が迫られることになりそうだ。■