かぶれの世界(新)

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データは神聖なり

2021-05-09 20:58:53 | 日記・エッセイ・コラム
緊急事態宣言が発動されたが、報じられた対応策を見た限りでは「政策効果を数量的に検証」して新たな対策を打ち出そうという姿勢を余り感じられず失望した。テレビのニュース番組も表面的な数字で煽り政府非難をするが、国民と一緒になって取り組もうという姿勢を感じられなかった。繁華街の人混みを報じるだけ、人々の緩みを誘発したと同じだ。どちらも経験が生かされてない。

コロナウィルス感染が表面化してから1年以上経ち、関連するデータは山ほどあるのにこんな状況なのは、かつてIT業界に身を置いた私にはいささか恥ずかしい思いがある。菅首相がディジタル庁を創設した問題認識を高く評価したが、平井大臣の音沙汰を全く聞かない。最近、ワクチン接種管理をマイナンバーで実行するという方針が覆され各地で混乱が報じられた。

私事だが会社勤めを始める前年に中央研究所で実習の機会があり、当時まだ研究段階だった発光ダイオードの発光効率を測定する実験をやった。その時収集したデータから一定の傾向を導く考察中に、担当者から「データは神聖にして侵すべからず」と徹底された。「一見理屈に合わないデータも重要、何故そうなったかよく考えそこから真実を見出す」と、若者には印象深い言葉で胸に刻んだ。

コロナウィルス関連のデータは国内外に山ほどある、氾濫していると言ってよい。その中から新しい発見があるはずだが、何故か引用され報じられるのは欧米からの研究結果が多い。テレビに登場する日本の医療関係者の発言は、個人的な私見で政府批判の材料に使われることが多いと私には感じる。きちんとデータを纏めて統計的に処理をし共通の知見にしないと信頼性に欠ける。

コロナ感染が広まった頃の保健所の活動やデータは判断基準になり非常に貴重だったが、そこから一向に進歩が見られないように感じる。保健所と厚労省等のデータ処理能力が弱いのではと思う、多分決定的に弱い。だからこそ平井大臣が指名され民間から大量のスタッフを採用したはずなのだが。今、彼らがどういう働きをしているのか分からない。大量のデータが無駄にしないで欲しい。

普段マスコミ批判をすることが多い私だが、本件については報道にも注文を付けたい。繁華街での混雑の映像を見せて「コロナ疲れ」とか「自粛疲れ」を報じるのは視聴者への悪い影響を与えている恐れがあると深刻に受け止めて欲しい。政府の施策は殆どマスコミを通じて伝わる。その伝え方によって人々の受け取り方が変わるのは学問的にも明らかだ。

最後に、この問題は残念ながら日本的な傾向であることを追記したい。必ずしもコロナ対策だけではなく、厚労省や医療関係だけでもない。官も民もデータをオープンにして対策の効果を検証しながら政治経済に生かすべきだ。以前も指摘したが英米アングロサクソンは大量の国民を死なせたが、今はワクチン先進国になり勝者の扱いだ。豊富なデータをフル活用した結果でもある。どっちがいい?■
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お金の値打ち

2021-05-07 17:01:06 | 日記・エッセイ・コラム
3日前に郵便が転送されてきた。差出人は米国財務省だった。見慣れた年金支給のIRS(歳入庁)とは別の部署だった。見ると説明文抜きで1400ドルの小切手が1枚だけ。バイデン政権が3月に小切手を支給すると公約した経済対策1400ドルの現金給付だとピンときた。

しかし、何で今頃、日本人の私に? トランプ政権時の600ドルは何の音沙汰もなかった。政権が変わって担当部署が変わったのか、担当が変わったのか、その程度の理由しか思いつかなかった。いずれにしろ、米国の効率のいいシステムは私を探し出して給付金を送り届けてくれた。

私が受給する資格があるのかどうか分からない。90年代の一時期、米国に滞在し働き税金を払った。弁護士にグリーンカードを申請するか聞かれ不要だと断った。なのに、日本に帰国後20年余り経過し、年金を受給しコロナ対策の給付金を貰った。日本の10万円支給の大混乱と大違いだ。

思いがけないプレゼントに心が浮き立ったが、小切手のままでは何の役にもたたない。午前中に予約した歯科医で治療を受け、その後地元の銀行に行き小切手を換金できるか聞いてみた。窓口の女性は質問を理解できず、バックオフィスから若い女性が出てきて相談にのってくれた。

ドル口座は開設できるが小切手の換金は本店でしか出来ない、しかも手数料1500円必要だという。彼女の小切手の「取り立て」というのが私には奇妙だった。「えっ、アメリカ政府に取り立てるの?」と半ばふざけて皮肉った。申し訳ないが予想通りの答えで、念のため確認しただけ。だが、小切手は有効期間が過ぎると紙切れになる、いつかは換金しないと値打ちが無くなる。

帰郷前に東京の自宅で家族パーティをした時、小学生の孫のランドセルが10万円もすると話題になった。安っぽいランドセルを持たせる訳に行かない等と盛り上がっていた。ケチな私が興味なさげに聞いていると、孫の時はやむを得ず嫁さんのお母さんが買ってくれたと私は責められた。

話は広がり、私の子供達は小学生の頃クラスの皆が持ってる漫画本やゲームなどが無くて、同級生を自宅に招待し誕生会をした時に肩身の狭い思いをしたと、又も矛先が私に向かってきた。私は子供の為に無駄だと思うことにはお金を使ってやらなかった。

孫のランドセルの話題から子供の時の苦い思い出までに話が発展した。私はその一桁も二桁もの教育費を出してるじゃないかと苦い言い訳をした。嫁さんが気を使って頷いてくれたが。私の子供達にはお金の値打ちは金額よりも、その時必要だったかどうか記憶に残るもののようだ。

私が身を削って必死で働いて得たお金も、子供達の判断基準では余り値打ちがなかった様だ。彼らが自宅で見た私は平素深夜まで帰宅せず、たまに早く帰ると会社の女の子と居間を占領して酒盛りしている。それを見た子供達は目を背けて早々に自分の部屋に引き込んだ。

子供達の教育の為や欲しいものを買ってやるのは家内だった。私が汗水たらして稼いだお金だというのは子供にとって言い訳にはならなかったようだ。こんな年になってキツイ一発だった。ともあれ、私には思いがけないアメリカからのプレゼントは値打ちがあった、投資で儲けたのとは違う。■
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体温上昇の謎

2021-05-05 22:16:11 | 健康・病気
今年の3月半ば頃から体温が普通の人並みの36度台に上昇した。血圧は何年も前から毎朝測定していたが、昨年の4月から血圧を測る時に一緒に体温を測るようになった。コロナウィルス感染の目安として体温が37.5度以上かどうか判定するニュースを見たのがきっかけだった。

実際に測定し始めると私は34-35度台で、異常に低い体温だった。これでどこに行くにもコロナ感染を疑われることはないと友人の前で吹聴した。ところが医療関係にいたという友人は、低体温は癌になりやすい体質なので食習慣を見直した方がいいと助言してくれた。

正確には思い出せないが、ショウガとか甘酒は体温を上げる効果があると言われた。言われた通りやってみたが中々体温は上がらなかった。しかし、それ以来なるべく色々な食材を口にするようになった。すると何が効果的だったのか不明だが、今年の3月中頃から36度台に上昇した。

思いつく限り最も有力な原因は、昨年11月に帰京後に食事に魚を増やしてくれと家内に頼み、週に何度か刺身に焼き魚料理が出るようになった。加えて肉料理や他の惣菜も充実し美味しくなった。更に料理に合わせてワインを出してくれ、私も毎晩アルコールを飲むようになった。

この間体調不調でずっとバドミントン練習に参加せず、代わりに長めのウォーキングを続けた。奥多摩などには行かず近場の山裾を歩く程度だが、できるだけ長い距離を歩くよう努めた。その他に生活習慣を変えた記憶はない。振り返って何が体温を上げる効果があったのか良く分からない。

それから約3か月間、安定して36度台の体温が続いている。帰郷後2週間余り経ち、明らかに食事はワンパターンで粗末になったが、まだ体温は36度台を維持している。もう少し様子を見る積りだが、仮に低体温に戻ったらどうするか悩ましい。嗅覚が鋭くなったのと関係があるかも。■
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西日本豪雨の傷跡

2021-05-04 18:14:31 | 日記・エッセイ・コラム
実家での田舎暮らしが落ち着いたところで山裾歩きを再開した。先ず足馴しに徳森地区を二分する232号線の両側の山裾を二日に分けて歩いた。そして先月30日に目的の恋木から富久保ルートを歩いた。グーグルマップ上は道がないが、両地区を個別に歩いた時に道標に気付いていた。

私の理解では、グーグルマップは舗装された自動車道のみ表示する。例えば、東京の高尾山のような人気のハイキングルートは点線で表示されているが、誰も歩かない田舎道は表示されてない。なので一体どんな道なのか今回の田舎暮らしで是非とも歩いてみたかった。

地図から推測するとかなりの距離、15-20kmの行程だった。帰郷前に長男とその孫達と一緒に歩いた奥多摩の大岳山-馬頭刈尾根と同じ程度の距離で、舗装してないが歩き易い車も通る道幅の一般道だろうと想像した。だが、最近足の衰えを実感していたので多少の不安があった。

当日は今まで何度か歩いた中学校から恋木地区まで長い急坂を歩いた。時折軽自動車やトラックとすれ違ったが、歩く人は一人も見かけなかった。恋木地区は集落というより山の斜面に分散して住居があり、南側に大洲盆地の東側と内子町が見える美しい風景があった。

昔なら山中の不便なところだったろうが、今では車を使えば簡単に行ける洒落た避暑地っぽい。意外に多い家々を見てそう思った。点在する家々の間の道を縫って登って行くと大ボリュームの演歌が聞こえて来た。出会った老婦人にお祭りかと聞くと、行商の車が地区の人に知らせる為だという。

そういう彼女は畑仕事には不似合いな化粧の濃い農婦(すみません、私の印象です)で、仕事を終え軽トラで帰宅するところだった。下から登ってきて「別府」まで歩く積りだというと、屑だと言って皮がしわになったポンカンをくれた。長い山歩きには役立つ、有り難く頂いた。

ここから先が本題だ。集落の最高地辺りまで登り、突き当りを標識に従って冨久保・鳴沢方面に向かって歩くと、数軒の廃屋らしき家があり舗装が切れた。やや広めで雑草のなかにはっきりした轍(わだち)が残っている道を選んで歩き続けたが、内心は道がいつ途切れるか不安だった。

その頃からスマホの歩数計が機能しなくなった。電波が届かずGPSも探知しなくなった為のようだ。そのうち軽トラックが見えてきてその横で作業中の古老の男性を見た。彼によると、この先は西日本豪雨以来道が崩壊し行き止まり、引き返して鳴沢に下りる用勧めてくれた。

やむを得ず元来た道を戻り、途中で南側に下りる小径を選んで下り始めた。だが、直ぐに道が消滅し右往左往した。頭を冷やして昔測量に使ったと思われる赤印の杭を辿ると、結局古老が教えてくれた草だらけの道に出た。最近誰も歩いた気配のない、しかし以前は車が通れた道幅があった。

上記の馬頭刈尾根みたいなトリッキーな岩道ではなく、延々と続く舗装されてない割と急な車幅の道路だ。突然、半分崩壊した道に出くわし用心しながら通り過ぎた。道の下に埋め込まれた直径0.3-1mの水道管が下流に流されていた。更に下っていくとそんな崩壊事故現場が十か所以上あった。

どこも道の前後に赤いコーンが設置されていた。西日本豪雨の凄さを改めて実感した。途中見た家々も廃屋なのだろう。幸運なことに全崩壊した道はなく何とか下山できた。舗装されていない道はどこも修理されてなかったが、纏まって民家が見えて来るとそこから先は舗装された道だった。

そこから先も長い森の中の長い道をただただ歩くだけだった。地図上のどこを歩いているのか見当がつかなかった。そのうち足の膝にガタがきて、上手く説明できないが時々跳ねるような歩きになった。
みっともない歩き方を見られるのが嫌だったが、平地に下りても時々そんな歩きになった。

どういう仕組みで変な歩きになったのかさっぱり分からない。だが、翌日になって奥多摩に行った時経験した筋肉痛は出なかった。二日目も三日目も出なかった。多分、膝周りの関節や筋に異常が起こったのではと思う。振り返って期待した割に余り楽しい思い出はない。■
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二重基準でも筋を通せ

2021-05-02 16:30:51 | 国際・政治
バイデン大統領が就任100日を迎え、就任後初の施政方針演説を行ったと大々的に報じられた。価値観を同じくする同盟国と連携して専制主義国に対抗し、国際的な課題に取り組む姿勢を明確に打ち出した。主要メディアは100日間の大統領は概ね国内外で支持を受けていると報じた。

私の目にもトランプ大統領時代とは景色が変わったように見える。だが、2022年の中間選挙は必ずしも民主党が優勢かというとそうでもないという。米国の人口増が停滞する中で、民主党票田の加州等から南部テキサス州等に人口移動が起こり、共和党が優勢な見通しが出ているという。

バイデン大統領のコロナ対策などを支持する声が高いが、一方共和党の支持は殆ど減少してないらしい。トランプ大統領支持者の主張するハチャメチャな根拠だけではない。「大きな政府」に対する反発に加え、日経(4/30)オピニオン欄の記事を見て米国分断の深刻さを実感させられた。

例によって私なりに記事を要約する。英ファイナンシャルタイムズ(FT)ガネシュ記者はフロリダ州知事の主張を引用して、最近の大企業がジョージア州等で有権者の投票権を制限する動きを非難したが、一方で選挙をもっと制限する中国やキューバには何も言わないと大企業の二重基準を痛烈に攻撃した。

更に企業の二重基準の典型として、経営者がリベラルな声を上げる対象は人種差別と選挙などの市民権に関するものだけで、それが業績に関わる税金や賃金・労組の権利となると黙して語らずと指摘した。あの衝撃的な連邦議会占拠事件後も共和党への企業献金は減ってないのだそうだ。

共和党と米大企業は互いに対立しているように見せた方が双方に都合が良い、大企業は倫理を重視する消費者の支持を得たいだけだという。バイデン大統領は企業と社会の価値観を縮めた新時代を築いたのではない、企業は時の政権の倫理観にすり寄っただけで歴史が変わった訳ではない、と。

この記事は私には衝撃的だった。バイデン大統領はトランプ時代に傾いた民主主義に基づく米国の力と世界の信頼を回復させる、「米国の復元力」の表れと評価していた私には、記者が事実を示しながら米企業の倫理重視は一時的と言われ、しかも反論が難しい説得力のある主張に困惑した。

正しいと信じて努力する行動でも、こんなに皮肉っぽく反対する論理を単純に否定できない。それが現実である可能性は十分あると思う。似たような事例は幾らでもある。例えば巨大IT企業の個人情報の独占的利用と税金逃れ等の規制は必要だが、厳しい規制が現実に施行されると最後に生き残るのは優秀なスタッフを抱えたGAFAのみ、といった狙いとは逆の結果になる恐れが十分ある。

だが、それでも私は新時代が必要とする新しい企業倫理を重視して動くべきだと信じる。ガネシュ記者の指摘するような企業とか社会になれば、いつか世界は堕落して人類は滅亡の道を辿る。価値観を軽視してはいけない。人は間違う、歴史上間違った政治家を選ぶことも何度もあった。

上記の記事は、ジョージア州等の共和党が黒人などの投票権を制限する州法を成立させたのに対し、大企業が批判の声を上げ他企業も追随する動きに対して冷や水をかけるものだった。だが、米国に限ったものではない。中国やミャンマーなどの人権侵害を避けるために日本や世界企業は動き、地球温暖化についても先進的な動きが始まった。株主の声を無視できないのだ。

人類は何度も転覆しそうになり戦争や大恐慌を経験して、大きな犠牲を払いながら復元して新しい時代を生き抜いてきた。私の70年余の直接目にし学び経験した人生に近いこの100年は、何度となく間違いながら最後に米国の復元力が人類を助けたと思う。次の100年はそれほど簡単ではないが、上記FT記者のような英国的(?)な皮肉な見方が現実にならないよう祈りたい。■
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