田舎暮らし雑感２０２１（2）

田舎暮らしを始めて２週間弱で、ご近所のお年寄りが昨年から全員生き残っていると分かった。勿論、全員元気という訳ではない。長老の元気がなく聞くと、癌治療中の奥さんが再入院したという。情報源は表通り沿いの郷土の偉人の墓地への石段に座り雑談する３－５人の老婆達だ。

かつて社会人ソフトボール選手でまだ８０代前半の老婆が介護施設に入った経緯も分かった。ご主人に死なれた直後の西日本豪雨で床上浸水の被害を受けた頃から、盗難にあった等と虚言が目立つようになり息子が判断したという。嫁さんとの折り合いが悪いので息子が判断したと噂で聞いた。

老婆達は８０から９０代の後家さんで、最年長はもうすぐ１００歳になる。その中で父と同じ職場で働いたお婆さんと話が合い、後家さんグループが後何年生き残るか、集落が消滅するのは何時かなどと際どい話をする。後１０年経ったら随分変わった風景になるのは間違いないと。

だが、集落には後家さん以外に５０代から６０代の独身男性がまだ数人いる。再生産可能な女性は全くいない。１０年経ったら後家さん達の殆どは亡くなり、再生産性ゼロの老男性陣が同じような話題をしているだろう。私はそれまで生きたくない、絶対に見たくない風景だ。

その中でも若手の元地区長が、私が帰郷した時家の中が寒かったろうと聞いた。全くその通りだった。彼は私の実家の造りの特徴を言ったのではなく、この地の昔の農家は夏涼しくなる造りだと言いたかった。同じ立地に最新の建築技法で作った家が数軒あるので、そのうちどうか聞いてみたい。

この数日住んで室温が徐々に上がり２０度前後になり住み易くなった。だが、築３年になる東京の自宅に比べると、実家の室温は外気にの変化に左右されやすい。朝布団の中で今日は少し寒いぞと感じながら起きるのは決して嫌ではない。子供の時から建て直す前の自宅までずっとそうだった。

田舎暮らしの全てが今まで通りではない。この１，２年食事を工夫し始めた。私は何であれ面倒なことは大嫌い、食事は手間暇かけるよりマズくても安くて簡単な方がいい。だが、妻に冷凍品の品質が良くなったと聞いて、簡単に美味しく食べれるようになった。今回、「新玉丸ごとチン」とか妻がくれた荏胡麻を利用した焼き肉とかバリエーションが増えた。味もまあまあだ。

最後に再会した老婆グループは上記のように毎年少しずつメンバーが入れ替わる。病気したり、亡くなったり、施設に入ったり、とか。この１０年を遡ると母がメンバーの時もあるったし、男性がいたこともある。悲しいかな、男性は少ないしかなり短期間だった。私は入りたくない。■