一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

LPSA芝浦サロン・中倉宏美女流二段・13

2018-12-29 00:21:06 | LPSA芝浦サロン
2013年8月23日(金)、LPSA芝浦サロンで中倉姉妹に教えていただいた将棋を振り返る。
人気姉妹の登板とあって、当日は大盛況。知り合いではHon氏、Tod氏、TK氏などがいた。
まず中倉彰子女流初段(当時)との指導対局。この時私は沖縄旅行帰りで、彰子女流初段に「ずいぶん焼けてますね」のお言葉をいただいた。
先手がもちろん私で、▲7六歩△8四歩▲7八飛となり、私の三間飛車、彰子女流初段の居飛車穴熊となった。以下難しい戦いになったが、私が中盤で銀をボロッと取られたのが痛く、以降は防戦一方。結局112手まで、私が負けた。
全譜を紹介したいのだが、彰子女流初段は記譜の公開を望まないので、投了図だけ掲げておく。

2局目は宏美女流二段とである。宏美女流二段とは「ワイン勝負」を行っていたが、前局で私が規定の勝ち星をクリアしたので、本局から純粋な指導対局に戻った。宏美女流二段はこの日もしっとりと美しく、まさに「平安美人」の趣だった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲7八金△8八角成▲同銀△2二銀▲7七銀△7二銀▲4八銀△3三銀▲4六歩△6四歩▲4七銀△6三銀▲6八玉△4二玉▲5六銀△5二金▲5八金△9四歩▲3六歩△5四銀▲7九玉△3一玉▲6六歩△4四歩▲3七桂△7四歩(第1図)

私の居飛車明示に、宏美女流二段は4手目△3二金。▲7八金には△8八角成ときた。当時宏美女流二段が得意にしていた1手損角換わりで、前局(2013年6月7日)もこの作戦だった。また宏美女流二段はこの3日後に中井広恵女流六段戦(倉敷藤花戦)を控えており、その実戦練習の意味合いもあったと思う。
お互い銀を腰掛け、△5二金▲5八金。今だったらどちらも金を真っすぐ立っているだろう。
さらに数手進んだが、私は▲2五歩と伸ばしていないし、宏美女流二段にいたっては飛車先の歩も突いていない。
△7四歩に次の手がどうだったか。

第1図以下の指し手。▲4八飛△8四歩▲9六歩△1四歩▲1六歩△7三桂▲4五歩△同歩▲1五歩△同歩▲7五歩△同歩▲4五銀(第2図)

▲4八飛がどうだったのだろう。当時は飛車を4筋に回す手が好きだったのだが、現在なら居飛車で指したいところ。
△7三桂に私は▲4五歩と仕掛けたが、今ならやはり▲2五歩と伸ばしている。当時は▲2五桂と跳ねる手を含みにしていたのだろう。
各筋の歩を突き捨てて、▲4五銀。次の宏美女流二段の手が軽手だった。

第2図以下の指し手。△4七歩▲同金△4五銀▲同桂△4四銀▲5六金△3七角▲4九飛△3八銀▲6九飛△4七銀不成(第3図)

△4七歩がプロっぽい手だと思った。ここはふつうに△4五同銀でもいいと思うが、△4七歩▲同金で金をソッポにやられて、イヤな感じがした。
△4四銀で、次に△4六歩▲同金△3七角があるから私は▲5六金と上がったが、宏美女流二段の△3七角~△3八銀が厳しい。ここは指しづらさを感じた。

第3図以下の指し手。▲7四歩△8五桂▲7三歩成△8一飛▲6三と△7七桂成▲同金△7六歩▲7八金△5六銀不成(第4図)

私は▲7四歩と打ったが、△8五桂と跳ばせてよくなかった。とはいえ代替の手も難しい。下手は▲2五歩と伸びてないのがつらいのだ。返すがえすも、第1図の▲4八飛では▲2五歩だった。
私は狙いの▲6三とだが、宏美女流二段が△同金と取ってくれるはずもなく、△7七桂成~△7六歩と厳しく攻めてくる。この手に取る手もあったのだが、泣きの涙で▲7八金と引いた。
宏美女流二段は△5六銀不成と金を取ったが、次の手がマズかった。

第4図以下の指し手。▲5二と△5八銀▲2九飛△6七銀上成▲4一金△2二玉▲4二と△4一飛▲同と△5五角成(第5図)

私は▲5二とと金を取ったが、マズかった。ここは▲5六同歩とし、5二の金取りを残すほうがよかった。
というのも次の△5八銀が痛打で、△5六銀がまだ生きているため、▲6八飛と上がれないのだ。やむない▲2九飛に△6七銀上成と活用され、クサッタ。
それでも▲4一金から▲4二とと迫り、まだ希望は持てたのだが、△5五角成に次の手が、盛大なココセだった。

第5図以下の指し手。▲7二飛△7八成銀▲同玉△4五馬(投了図)
まで、78手で宏美女流二段の勝ち。

ここで▲7二飛と打ったのが大悪手。宏美女流二段に△7八成銀から△4五馬と純粋な王手飛車を掛けられ、ここで投了した。

この▲7二飛、ひとつ隣の6二に打てば詰めろで、これは宏美女流二段も相当受けにくかったのではないか。確かこの何日か前、Kun氏が宏美女流二段に王手飛車を掛けられて負けたのだが、二の舞を演じてしまった(追記:▲6二飛でも△6七金の筋があり、下手は相当危ない)。
というわけで最後はちょっとアレだったが全体的に上手ペースで、中倉姉妹の強さを実感したのだった。
この後は駒込のジョナ研に向かった。今となっては懐かしい思い出である。

さて今年の宏美女流二段は、個人成績はパッとしなかったが、6月には渡部愛女流二段が女流王位を獲り、11月には礒谷真帆さんがLPSA所属の女流棋士としてデビューした。LPSA代表理事としては、充実した1年だったのではなかろうか。
2019年は宏美女流二段が活躍する番である。
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LPSA芝浦サロン・島井咲緒里女流二段10(後編)

2017-10-15 00:59:15 | LPSA芝浦サロン
島井咲緒里女流二段が攻め切るか、私が受け切るかという局面。
それより前、石橋幸緒女流四段が来て、ホワイトボードに何かを貼った。渡部愛ツアー女子プロが日本将棋連盟から正式に女流3級として認められた旨が書かれており、私たちは拍手した。
なお石橋女流四段は翌2014年1月に引退、2月に代表理事を退き、LPSAも退会した。
またこの日は第3期女流王座戦本戦・中倉宏美女流二段対古川(真田)彩子女流二段戦が行われており、大盤にはその局面が並べられていた。
宏美女流二段はこの年度好調で、それまで8勝1敗。本局も勝ちを期待したが、惜しくも敗れてしまった。

第6図以下の指し手。▲2六飛△4六歩▲同歩△6六歩▲同歩△同銀直▲6七歩△同銀成(途中図)

▲6七同金右△同金▲同金(第7図)

島井女流二段は最大6面指しになっていたが、わりとこの将棋に専念しているように見えた。アツくなる将棋ではある。
第6図で私は▲2六飛と浮いた。▲3六飛から飛車成を狙ったものだが、これは一手の価値がなかった。
島井女流二段は△4六歩。私は大人しく▲同歩と取ったが、よくなかった。まだしも▲同銀だったか。
だがさっきまで3三にいた銀と交換したくなかったし、相手にカナ駒を渡すのも恐かった。
島井女流二段は△6六歩と合わせてくる。私は飛車成という当初の目的を忘れ、つまらぬ手(▲2六飛)を指したとの後悔が湧いてきた。
もう▲3六飛は間に合わない。3手後▲6七歩に退却する島井女流二段ではなく、当然△同銀成(途中図)と斬り込んできた。再びシマイ攻めの爆発である。

第7図以下の指し手。△7八金▲9八玉△6六歩▲7六香△6七歩成▲7二香成△同金▲1二飛△6二歩▲2一馬△8九金▲同玉△8五桂(第8図)

△7八金も、こう打ってくるだろう。対して▲同歩はよほど指したかったのだが、飛車が通ってくるのがイヤだった。▲9八玉と寄るところでは、寄せられてもしょうがないと思った。
△6六歩に▲7六香。島井女流二段は△6七歩成と金を取ったが、△7三桂と跳び、次の△6七歩成を楽しみにする手も有力だったと思う。
私が飛車を取り▲1二飛と下ろしたところでは、島井女流二段の攻め駒がやや乏しくなった。
△8五桂にはどう指すべきか。

第8図以下の指し手。▲8六馬△7三香▲8五馬△7八歩成▲同歩△同と▲9八玉△7七香成▲7九桂△同と▲5四馬△7三桂打▲8六馬(第9図)

私はだいぶ迷ったが、▲8六馬と上がった。ここ▲8八馬は、当たりが強くなって得策でないと判断した。
△7三香には▲8五馬と取り、もう少しで島井女流二段の攻めが切れる。
私の▲7九桂に島井女流二段は△同とと取ったが、△7六金としがみつく手もあったと思う。
ここで▲9七玉もあったが、△7三桂跳ねがピッタリで、指しづらい。強く▲5四馬と反撃した。

第9図以下の指し手。△7六歩▲9五歩△7一金▲7二歩△7八と▲7一歩成△同銀(第10図)

島井女流二段は△7六歩と打ったが、直後に後悔するそぶりを見せた。
△7六歩も悪い手には見えなかったが、△7八とはあったろうか。以下▲7二馬なら△8八と▲9七玉△8五桂▲同馬△8七成香で詰み。
ここで▲7二馬は、やはり△8八金▲9七玉△8五桂▲同馬△8七成香で詰み。△7六歩はこの時の馬の利きを消している。
よって私は▲9五歩と空気穴を開けたが、現在の私には浮かばなかった。好手だと思う。
本譜△7一同銀には、上手玉に詰みがある。

第10図以下の指し手。▲8一馬△同玉▲8二金△同銀▲7二銀△同玉▲6二飛成△同玉▲7四桂△6三玉▲5三金△7二玉▲6二金(投了図)
まで、149手で一公の勝ち。

▲8一馬以下は平易な詰み。下手はどこかで▲7四桂を打てるのが大きい。▲8六馬がよく利いているが、この馬は43手目の▲4三角から、実に10回も動いた。
なお手順中、△8二同銀には▲7二金△同玉▲6一銀でも詰む。
ともあれ詰みがあるなら、島井女流二段の△7一同銀では△8八と以下下手の馬を消しておけば、もう一山あった。

駒を投じた島井女流二段は、さすがに悔しそうだった。私としては、優勢な将棋をフイにし、途中では負けを覚悟した瞬間もあったから、僥倖の勝利だった。
ともあれこれにて5勝目。島井女流二段にも賞品をプレゼントしなくて済んだ。でも宏美女流二段の時と同様、お世話になった御礼として、チョコレートはプレゼントするつもりだった。
島井女流二段は意外に感想戦が好きで、今回もけっこう長く行った。しかしおかわり対局はせず、やはり今回も駒込に向かわねばならない。
「いや~、そうかー! あーちょっ…大沢さん、次も絶対、来てください!!」
美人女流棋士にこう言われたら、次も行かないわけにはいくまい。
だが私も非情で、次に島井女流二段に教わったのは、この2年後となった。

その島井女流二段とは今年に入って、あっちこっちで顔を合わせた。島井女流二段は相変わらずのかわいらしさで、とても人妻には見えない。将棋の成績はパッとしないが、ご主人は好調で、島井女流二段があげまんぶりを見せた形だ。
今月12日(木)のLPSA麹町サロンin DISでは島井女流二段の回が1席空いており、よほど教わりに行こうかと思ったのだが、とてもそんな心境でないので、やめた。
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LPSA芝浦サロン・島井咲緒里女流二段10(前編)

2017-10-14 01:01:46 | LPSA芝浦サロン
2013年7月12日(金)、LPSA芝浦サロンにて、島井咲緒里女流二段に教えていただいた将棋を振り返る。
この日も午後3時半の回に予約を取った。夜はジョナ研があったので、また適当なところで駒込に向かうつもりである。
教室に入室すると、R氏やTod氏、Ya氏らの顔があった。
島井女流二段は相変わらずのかわいらしさ。ノースリーブのブラウスから伸びる腕が真っ白で、妙に興奮したのを憶えている。
島井女流二段とは「チョコレート勝負」を行っていた。12局戦って、私が5勝すればセーフ。島井女流二段が8勝すれば、島井女流二段が欲する高級チョコレートを進呈する、というものである。ここまで私の4勝3敗で、前回の中倉宏美女流二段に続き、勝利までマジック「1」であった。
島井女流二段は2011年8月に結婚を発表した。それから私も足が遠のき、島井女流二段に教えていただくのは同年10月以来、1年9ヶ月ぶりだった。
「お久しぶりですね」
「今日は島井先生だから来ました」
「ええ? でも今まで来てくれなかったじゃないですかァ」
「それは…島井先生が幸せそうだからさァ」
というバカな会話を経て、対局開始。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△3二銀▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5八金右△8二玉▲9六歩△9二香▲2五歩△3三角▲3六歩△9一玉(第1図)

▲7六歩△3四歩▲2六歩。次に角交換辞せずの△4二飛なら、私は▲6六歩と止めるつもりだった。
本譜は△4四歩だったので、ふつうに進んでいく。▲9六歩に△9二香(穴熊)もお決まりの手で、島井女流二段はこう指さなくちゃおもしろくない。
△9一玉と穴に潜って、次は私のお決まりの手である。

第1図以下の指し手。▲3七銀△8二銀▲6八銀△7一金▲5七銀△7四歩▲2六銀△4五歩▲3三角成△同銀▲3五歩△4四角▲3四歩△同銀▲6六角△4三銀▲3七銀(第2図)

私は▲3七銀と棒銀の明示。私の好きな手である。ここで△4五歩なら、▲3三角成△同銀(△同桂は▲2二角)▲6五角で下手有利。島井女流二段は△8二銀とハッチを閉め、▲6八銀に△7一金。これで穴熊側は強い戦いができる。
▲2六銀には△4五歩。狙われそうな角を捌きにきた。私は角を換わり、「(外は)暑いのに、穴熊なんかして…」と軽口を飛ばした。
△3三同銀に▲3五歩。今の私なら▲6八金直と締まっているかもしれない。
以下お互い角を打ち合って、長くなりそうな予感がした。

第2図以下の指し手。△7五歩▲同歩△7二飛▲4四角△同銀▲4三角△5四角▲3四角成△7七歩▲同玉△7五飛▲8八玉△3三銀▲3五馬△5二金▲6六銀△7四飛▲5七馬△6四歩(第3図)

△7五歩から△7二飛も島井女流二段の常套手段。島井女流二段は動く穴熊で、私はこういう軽快な手が指せない。
私は▲4三角から▲3四角成。今の私なら、▲4三角では▲6六銀と歩を守っていたかもしれない。
私は上手の手に乗って、馬を5七まで引き揚げる。これで穴熊に負けない手厚さになった。

第3図以下の指し手。▲7八金△6五歩▲7七銀△7六歩▲8六銀△6三金▲8五銀△7二飛▲7五歩△6四金▲7六銀△6六歩▲同馬△7六角▲同馬(第4図)

ここで▲7八金がどうだったか。飛車の直通が恐いので、弱いようでも▲7七歩と謝っておくべきだったか。
△6五歩に▲7七銀もどうかという手で、△7六歩を打たせる手はなかった。▲7五銀と出る手も考えるべきだった。
上手は左銀が働いていないので、島井女流二段は△6三金から△6四金と、この金で攻めてくる。ただこの攻めなら、何とかなると思った。
島井女流二段は△7六角と切り飛ばし、シマイ攻めだ。

第4図以下の指し手。△6五銀▲8六馬△7五金▲9七馬△6六歩▲同歩△同金▲6七歩△7七歩▲6八金左△7六金(第5図)

島井女流二段は△6五銀と打った。もう島井女流二段は攻め切るよりないのだ。私は▲8六馬、△7五金にも▲9七馬と引いて、ケンカをしない。
△7七歩にも▲6八金左。ここを耐えれば、やがて展望が開ける。

第5図以下の指し手。▲4三角△5六銀▲7九歩△5四歩▲5七歩△6五銀▲2一角成△4四銀▲1一馬△5五銀(第6図)

私は▲4三角と、自陣に利かす。△5六銀にも▲7九歩と受ける。先日のShin戦ではないが、とにかく謝りまくるのである。
▲5七歩△6五銀に▲2一角成とし、2枚目の馬ができた。かつて大山康晴十五世名人は村山聖九段に、将棋は馬を作るのがいい、と言ったらしい。
△4四銀にも▲1一馬と駒得し、下手ますます好調のようだが、島井女流二段も手に乗って、左銀を5五まで進出する。さすがにプロ、うまく遊び駒を活用してくるものだ。
それでも私は半分温泉に入っていたのだが、ここで私が精神的悪手を指す。

(つづく)
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LPSA芝浦サロン・中倉宏美女流二段12(後編)

2017-10-12 12:59:43 | LPSA芝浦サロン

第4図以下の指し手。▲3六金(途中図)

△3六同銀▲5三桂成△4七歩▲3八飛△3三金上▲3六飛△3四歩▲4六飛△4四金打▲3一銀△1二玉(第5図)

私の▲3六金が自慢の一手。△3六同銀に▲5三桂成と捨て、飛車筋を通す意味である。
以下△5三同金上▲同角成△同金▲4一飛成は、角桂損でも飛車が成ってよし、が読み筋だった。
よって中倉宏美女流二段は△4七歩から△3三金上と我慢したが、私は▲3六飛と銀を取り、駒損を回復した。
ところでこの将棋は後日、大野教室で大野八一雄七段に見てもらったのだが、▲3六金を「そこまでムリする必要はないでしょ」と一蹴されてしまった。私も含め、周りで爆笑したものである。
むかしジョナ研ではR氏の将棋をみんなで突っつくのが恒例になっていた。記譜の中にはR氏自慢の手もあり、それを褒めてもらうのをR氏は期待していたのだが、辛口の私たちはそこにはさわらず、そこまでの指し手をけなしまくって、R氏をクサらせたものだった。
図らずも今回私がその立場になったわけだが、ヒトにホメられるのは難しいと実感したものだった。

第5図以下の指し手。▲9一角成△3二飛▲4三成桂△同銀▲4二金△3五角▲1四歩△同歩(第6図)

私の▲9一角成は、△同飛なら▲4三成桂が▲2二金の詰みを見て下手勝ち、というもの。今見ても▲9一角成は指すと思うが、もっと本筋の勝ち方があるような気がする。
それより、明らかに違和を感じるのは▲1四歩で、せっかく詰めている端をこじあける手はなかった。
もっとも、私にも狙いがあったのだが…。

第6図以下の指し手。▲3六歩△4六角▲同馬△3五歩▲4五歩△3四金寄▲3五歩△2五金▲3四歩△2四歩▲3三歩成△同飛▲2二角△3九飛成▲1一角成(投了図)
まで、91手で一公の勝ち。

私は▲3六歩と打った。△4六角には▲同馬と取り返し、次に▲1三歩△同桂▲1四香の寄せがある。
宏美女流二段は△3五歩と防いだが、私は▲4五歩以下慎重に寄せた。ただこの進行もややダサく、もっとスマートな寄せがあった気もする。
ともあれ▲1一角成まで、宏美女流二段の投了。私は角換わりの将棋は不慣れだが、まずまずうまく指せたのではないかと思う。

かくして、宏美女流二段、船戸陽子女流二段、上川香織女流二段、島井咲緒里女流二段と、合計4人と行っている勝負は、船戸女流二段に続いてまた一人結着がついた。すなわち今回私が5勝目を挙げたので、宏美女流二段へのプレゼントはなし、となった。
1勝5敗からの追い上げは望外で、7局目、必敗の将棋を粘り倒して逆転した将棋が印象深い。
といっても宏美女流二段にはお世話になったので、後日、ワインをプレゼントした。また、「マッカラン勝負」の賞品は、宏美女流二段のリクエストで対局時計に変わり、それも後日進呈させていただいた。

この日はまだ陽も高かったので、おかわり対局も視野に入れていたのだが、この日は夜に駒込でジョナ研があり、私とR氏は、そちらに向かった。
美人女流棋士との指導対局を蹴って、駒込に行く。まことに贅沢な話だが、そのくらいジョナ研は楽しかった。
こんな楽しい生活をしていたら、恐らくバチが当たる。数年後には苦労することになる、と本能が教えていたが、私はそれに抗う努力をしなかった。
私は己をアリ派だと信じていたが、実は怠惰なキリギリス派なのだった。
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LPSA芝浦サロン・中倉宏美女流二段12(前編)

2017-10-11 00:05:46 | LPSA芝浦サロン
「なんでも鑑定団」は、何で録画で見ると我が予想の金額がピタリと当たるんだろう。また金の招き猫を獲り損ねた。
まったく巡り合わせがわるい。ブツブツ…。

   ◇

2013年6月7日(金)、LPSA芝浦サロンにて中倉宏美女流二段に教えていただいた将棋を振り返る。
当時我が社は得意先からの注文が少なくなって就業時間も短くなり、私は宏美女流二段の3時半の回にお邪魔できた。しかし当時のブログにも書いているが、その時間があったら、私は機械仕事のひとつでも覚えるべきだった。
ここで自主的に努力をしておけば、オヤジのオレを見る目も変わり、私の代まで会社を存続することも視野に入れたかもしれないのだ。
当時すでに代替わりの危機を抱いていたのに、私は何もしなかった。まったく、究極のアホとしか言いようがない。

サロンに入ると宏美女流二段は6面指しになっていた。2時の回が長引いているせいもあったが、定員4人でこの数字は、宏美女流二段の人気を物語っていた(当時は定員オーバーでも、予約を受けていた)。
対局者にはR氏やSug旦那などがおり、今では懐かしい顔だ。ことにR氏とは最近会っていないが、元気だろうか。もっとももし再会しても、「大沢さんハゲたね」とか驚かれそうでこわいのだが。
対局のひとりが終わり、私が入る。本局は「ワイン勝負」の一環で、全12局指して私が5勝すればセーフ。宏美女流二段が8勝すれば、私がワインをプレゼントする、というものだった。
この将棋の前まで9局消化して、私の4勝5敗。つまり本局で私が勝てば条件クリアで、プレゼントを回避できる状況になっていた。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△8八角成▲同銀△2二銀▲4八銀△6二銀▲7七銀△6四歩▲7八金△6三銀▲6八玉△3二金▲4六歩△5二金▲4七銀△4二玉▲5六銀△5四銀(第1図)

宏美女流二段との将棋は1年9か月ぶり。この日の宏美女流二段はリア・ディゾンのように美しく、私は初手を指す時に震えて、▲6六と▲5六の歩をはじいてしまった。
宏美女流二段は△8八角成と一手損角換わり。当時宏美女流二段はこの戦型を得意にしていた。

第1図以下の指し手。▲5八金△7四歩▲6六歩△3三銀▲3六歩△4四歩▲7九玉△4四歩▲4八飛△4三金右▲2五歩△9五歩(第2図)

当時宏美女流二段はこの日まで2013年度6勝0敗。倉敷藤花戦で清水市代女流六段にも勝ち、絶好調だった。その倉敷藤花戦で私は「勝手にマッカラン勝負」も行っていたが、宏美女流二段は「2連勝」の条件をクリアし、私はこちらのほうですでに、賞品のワインを進呈することになっていた。
私の▲5八金は、今なら▲4八金(~▲2九飛)かもしれない。まさか角換わり腰掛銀の新型が現れるとは、この時は夢にも思わなかった。
本譜▲4八飛は私の好きな手のひとつで、4筋から攻めこむつもり。第2図から次の手は、その一環に沿ったもの。

第2図以下の指し手。▲2六角△4二金寄▲1六歩△3二玉▲1五歩△8四歩▲4五歩△同歩▲同桂△4四銀▲8八玉△8五歩(第3図)

私は▲2六角と打った。次に▲4五歩を見て、これでこちらが一方的に負けることはなくなった。
宏美女流二段は△4二金寄から△3二玉と、専守防衛の構え。私は▲4五歩と攻め、△同歩▲同桂△4四銀に▲8八玉。将来飛車を捨てた時、王手で下ろされるのを嫌ったものだ。この感覚、先日の王座戦で羽生善治王座が指した△2二玉に近いものがあると思うのだが、どうだろう。

第3図以下の指し手。▲3七角△3五歩▲6四角△9二飛▲3五歩△3六歩▲4七金△3五銀▲3三歩△2二玉(第4図)

第3図からヒョイと▲3七角が、局後宏美女流二段にホメられた手。私は△6二飛に▲6五歩を考えていたのだろう。今見ればその局面もむずかしいが、宏美女流二段は利かされを嫌ったのかもしれない。本譜は△3五歩に▲6四角の飛び出しが気持ちいい。
▲3三歩には△同桂がイヤだったが、宏美女流二段は△2二玉。
ここで私に大技が出る。

(つづく)
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