一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

1月16日のLPSA芝浦サロン(前編)・松尾香織女流初段復帰

2013-01-18 00:04:31 | LPSA芝浦サロン
一昨年12月2日のLPSA芝浦サロンは、松尾香織女流初段の担当だった。私もお邪魔して指導対局を受けたが、松尾女流初段は調子が悪そうで、そのとき行っていた「芋焼酎勝負」も、「もう私の負け」と投げやりになっていた。
松尾女流初段が休場を表明したのはその直後。びっくりした半面、あの体調ならやむなしと、妙に納得したところもあった。
その松尾女流初段が昨年末に休場を解いた。私は松尾女流初段がこのまま休場を続けるか、最悪引退も覚悟していたので、これはうれしい誤算だった。
そして松尾女流初段は今月の16日に、芝浦サロンの指導対局にも名を連ねたのである。
松尾女流初段は、「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の5位である。「松尾香織復帰記念」として、これは芝浦サロンに行かねばと思っていた。
さて当日になったが、外は2日前の雪が残りすこぶる寒い。仕事を終えてからこの寒空を田町まで向かうのが億劫に感じ、予約の電話を入れるのに躊躇した。サロンに入れば現実的に出費もあるし、いっそのこと自宅でテレビでも観る方が賢明では…の思いもよぎった。
しかし、私は昨年の12月2日から駒を触っていない。どうせ指し初めをするなら、「大野教室」の大野八一雄七段より、女流棋士のほうが縁起がいい。
後悔するなら行ってからでよい。私はLPSAに電話を入れた。6時ごろ入る予定ですと言うと、聞き覚えのない声の女性から、では7時半の回にお越しください、と返された。ちょっと杓子定規な応対だな、と思った。
午後5時に仕事を終え、芝浦に向かう。芝浦サロンは昨年の3月以来、実に9か月ぶりである。田町駅で下車したがサロンには直行せず、「小諸そば」に入った。芝浦の小諸そばも久しぶりである。二枚もり・290円はもちろん健在で、これをチョイスする。
ゆでたてを冷水でしめた、つやのある蕎麦が出された。立ち食い蕎麦とは思えぬ完成度だ。蕎麦にワサビをつけ、そばつゆに付けてズルズルッ。うまい!! この蕎麦が毎日食べられる芝浦の人は幸せである。
いよいよサロンに入るが、緊張の極みだ。ドアを開けると、セミロングの髪をストレートに伸ばした女性が、初老の男性に指導対局中だった。貞子にも見えるが、あれが松尾女流初段だろうか?
時刻は6時5分。きょうの手合い係は藤森奈津子女流四段。3,500円の席料を払うと、あの彼女がこちらを見た。やはり松尾女流初段だった。懐かしい! 彼女はもともと快活なふうではなかったからアレだが、一応は元気そうで安心した。
予約は7時半の回だが、ほかに客もいないので、前倒しして対局をお願いする。
「髪、ストレートにされました?」
「私クセっ毛だから…」
松尾女流初段はそう答えつつも、うれしそうだ。髪型の変化を褒めると女性はよろこぶらしいが、確かにそうだ。
と、しばらくして松尾女流初段が
「少しふくよかになられました?」
と付け加えた。
ギクッ!! 再会早々ご挨拶ではないか。しかしこれが厳しい現実なのだ。
「アイスクリームを食べすぎまして…」
私は妙な言い訳をする。でも、頭の毛に言及されないだけマシだった。肥満は痩せる可能性があるが、抜け毛はよほどのことがない限り再生しない。
対局開始。松尾女流初段はブルーのアイシャドーを引いている。落ち着いた雰囲気だが、精気が抜けたようにも見えてしまう。
藤森女流四段がクジ箱を持ってきた。今月はキャンペーンとして、お年玉くじがあるのだ。1等は榧卓上盤である。1枚引いたら6等だった。いわゆる末等で、私はグッズ箱の中からAKB48の「永遠プレッシャー」のCDをいただいた。
「マッカラン勝負はどうなったっけ?」
と松尾女流初段。
「もちろんやってますよ。この将棋もそうですから」
松尾女流初段とは芋焼酎を懸けて一昨年から12番勝負を始めた。だがおととしは松尾女流初段に金曜日の登板があまりなく、昨年はお互い「休場状態」だった。だが私の中では、まだ芋焼酎勝負(その後、ワインに変更)は続いているのであった。私は改めて、松尾女流初段に継続の宣言をした。
その後も当たり障りのない会話をしながら指し手を進める。松尾女流初段は休場中、何をしていたのか。東京にいたのか。故郷の下蒲刈島に帰っていたのか。それとも各地を放浪していたのか。
ここでそれを聞く絶好のチャンスではあるのだが、それはヤボというものである。
将棋は私の大作戦負け。投了も考えていたのだが、それはあんまりなので指し継いでいたら、一瞬だけ逆転のチャンスが訪れた。しかしそれを見逃して、最後は無残な負け。松尾女流初段は、「大沢さんにお年玉をいただいちゃいましたー」とか無邪気によろこんでいるが、こっちはおもしろくない。
感想戦をやっていると、Tod氏が現れた。Tod氏は私を見るなり「帰らないでよー」と言う。もとより私も、1局だけで帰るつもりはない。おかわりの1,000円を出して、2局目をお願いした。ちなみにこの時点で、「大野教室」の席料を上回った。
Tod氏もお年玉くじを引く。やはり6等で、彼は歯ブラシを選んだ。しかしこれは未使用である。渡部愛女流3級か島井咲緒里女流二段が一度でも使用してくれたら、特等になるのだが…。そんな意味のことを言うと、藤森女流四段が「まだそういう話題をする時間じゃありません」とばかり、「シーッ」のポーズを取った。
私の将棋は、序盤の作戦が当たって優勢。しかし▲2四歩の突き捨てを怠ったため、意外に難しい戦いになった。最後は粘りを欠き50手までで投了。
スタッフのS氏も交えた感想戦が終わると、7時50分である。いま帰れば「相棒」が観られるのだが、Tod氏を置いて帰るわけにもいかない。
そのTod氏の局面は、下のようになっていた。

上手(飛車落ち)・松尾女流初段:1二香、2四歩、3二金、3四歩、4四銀、4五歩、5三角、5四銀、6二金、6三歩、7二玉、7三歩、8一桂、8三歩、9一香、9四歩 持駒:銀
下手・Tod:1六歩、1七香、2六歩、3六歩、3七銀、3八玉、4七金、4八金、5六歩、7九飛、8七歩、8八角、8九桂、9六歩、9九香 持駒:桂2、歩5

△4四銀まで。ここで下手の次の一手は。
(つづく)
コメント (9)
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