一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

かりんの名手

2022-02-12 22:10:40 | 将棋雑記
1月23日は失敗した。最近はNHK将棋フォーカスとNHK杯をリアルタイムで見ず、専らビデオ録画して、後日に見ている。
ところが23日の将棋フォーカスはHDDの容量が少なくなり、予約はしなかった。これは木曜日に再放送があるから、そちらを予約すればいいと思ったのだ。
ところがその予約も忘れ、気がついたら1週間が経っていた。このときの内容が「葉月の将棋勉強中!~かりんに挑戦~」だったのだ。
2019年4月より番組MCを務めている、乃木坂46・向井葉月。その実力のほどを、先輩MC・伊藤かりんが対局を通して見てみよう、という企画である。
ふたりの現役アイドルがNHKの番組で将棋を指す。まさに歴史的企画だったのに、それを私はミスミス見逃してしまったわけだ。なんで今回に限って……。あまりにもタイミングが悪くて、私は自嘲するしかなかった。
ところが神様はこんな私を見捨てていなかった。この回は「前半戦」で、「後半戦」が2月6日に放送されたのだった。
今度はしっかりビデオに録り、先日視聴した。
対局はかりんの飛車落ちで、葉月が▲6三飛成(第1図)としたところまでが前半戦だった。

この将棋で感心したのがかりんの布陣で、しっかり上手の様相になっている。将棋というのは不思議なもので、駒を落とした方は、棋力に関係なく、上手の指し方をするのだ。手つき、風格、指し手、何もかもである。
さて第1図では、下手に▲4三銀△同金▲4一角の狙いがある。しかし葉月が指せるとは思えないので、上手は攻めに転じたい。具体的には△3六歩、△5五角、△2四桂あたりだろうか。
ところがかりんは△5三銀(第2図)と引いた。

これが▲4三銀の狙いを防ぎつつ、金銀の連絡を密にした好手。いや最善手はほかにあったかもしれないが、攻めたいところをぐっと堪え、遊び駒をなくした感覚が素晴らしい。
いかがであろう。アイドルが△5三銀のような手を指す。むかしなら考えられなかったことである。
実戦はその後、葉月が竜で銀を取りながら王手、という手を逸し、上手が勝勢になった。
だがそこで、かりんが銀を打てば寄っていたのに、桂を打ったのが疑問手。ところがその手に葉月が玉を引いたのが悪手だった。もうかりんは逃さず、葉月玉を即詰みに討ち取ったのだった。
戻って桂の王手には、解説の都成竜馬七段が指摘したように、玉を上に逃げれば、葉月のほうに勝機があった。
いずれにしても熱戦で、私はアイドルの棋力の高さに、改めて感銘を受けたのだった。
次回は平手で、ぜひ。
コメント
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