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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第72期王座戦第2局

2024-09-19 19:16:49 | 男性棋戦
第72期王座戦第2局(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)が、名古屋市で18日に行われた。第1局は藤井聡太王座の勝ち。第2局、永瀬拓矢九段が勝てばイーブンで勢いもつくが、負けるともうカド番となる。永瀬九段は絶対に負けられない一戦だった。
第2局は藤井王座の先手で、角換わり。お互い通いなれた道なので、猛スピードで行く。特に永瀬九段のそれは顕著だ。両者、右金をまっすぐ立ち、飛車を引く例の形になった。しかし両者には指定局面があるようで、まだ指し手は止まらない。開始1時間40分近くで中盤の難所になってしまった。昨今の棋士は持ち時間の使い方がドライで、結論の出ている局面までは、何も考えないで進む。
しかしこれ、個人的には、一局の将棋が軽んじられている気がして、あまり好きになれない。
やっと局面が落ち着いたのは永瀬九段が端の歩を突いたところで、ここは勢いで▲同歩と取ってしまいそうだが、藤井王座が長考に沈んだ。ここがヘボとアマの違いで、ヘボは重要な局面で簡単に指し、簡単な局面で無駄な長考をするのだ。
けっきょく藤井王座は56分の長考で、4筋の歩を突きだした。その3手後、永瀬九段が銀取りに桂を打つ。ここ、ヘボなら何も考えず銀を逃げる。それで悪くはないはずだが、藤井王座は51分の長考で香を打った。この手は本当に驚いた。何しろ、無条件で、王手で銀を取られるからだ。
だが、藤井王座はよくこの類の判断をするのだ。ただ逃げるだけの手――いわゆる利かされを、藤井王座はとても嫌う。駒を取らせる間に一仕事、という手が実に多い。
だがこれは藤井王座だからできる芸当であって、ヘボがマネをすると不利に拍車がかかって負けになる。
永瀬九段は当然銀を取る。しかし藤井玉が桂の上に逃げた形が「桂頭の玉、寄せにくし」を地で行く手だ。しかも永瀬九段はここで受けに回らねばならず、ここで藤井王座が貴重な手番を得た。
永瀬九段は受けるが、藤井王座は快調に攻める。このあたりは、藤井王座は読んでいて楽しかったろうと思う。
永瀬九段も懸命に反撃するが、藤井玉はふらふらと逃げて、容易に捕まらない。藤井王座の玉は相変わらず耐久性がある。
お互い金を取り合ったが、これは藤井王座に利がある。永瀬九段、角頭に歩を打つ。そこで、藤井王座が「つなぎ角」の王手。これが強烈な決め手で、藤井王座の快勝となった。
いやはやしかし、いつもながら芸術的な藤井王座の指し回しである。すべての駒が働き、最後も、取られる寸前の角に最後の働きを与えた。もうホントに、藤井王座が強すぎる。
しかし、永瀬九段は厳しくなった。ちょっと、永瀬九段は研究が勝ちすぎているのではないか。たとえば角換わりで、あらゆる変化を記憶するのもよいのだろう。しかしそれでいいなら、桐谷広人七段は、もう少しいい成績を取っていた。何か研究を離れた、独自の構想を考えたほうがいいのではなかろうか。
といっても、私にはその中身がまったく分からないけれど。
第3局は30日。この好カードが3局で終わらないことを祈る。
コメント (4)
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