神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

ともだち****失恋

2018年03月12日 08時46分44秒 | 知人・友人

高校2年生の時失恋した

失恋する理由が無いのに失恋したのだ

それは友達のM1のせいだった

M1は学校では先生がマークする札付きの学生だった

私は、その逆でシャイでナイーブで、かといってガリ勉でも無く目立たない子だった

だが、この二人なぜか友達になった、私は悩みを打ち明け、彼は自分の生き様を語った

彼は再婚した母の連れ子だった、母の再婚相手の義父が気に入らなくて、中卒と同時に家を出て

名古屋で就職した

だから、わたしの父と同じような少年時代を過ごしたのだった

それを知ったのはつきあい始めてからだから、それ以前に父と同じニオイを

私は彼からかぎ取っていたのかも知れない

就職一年で義父に懇願されて戻り、地元の高校に入学、そこで私と知り合った

出会いは一枚のレコード、スィンギング.ブルージーンズの「ヒッピーヒッピーシェイク」だった

彼はなぜか学校に、このレコード(CDじゃないよ)を持ってきて、みんなに見せていたが

誰もこのレコードを知らず、反応しなかった、だから彼は話し相手がなくがっかりしていたのだ

私はと言えば、この不良少年には極力近づかないようにしていたのだが、向こうから寄ってきた

そしてレコードを見せた(どうせ見せても、くそまじめなやつだからわかるまい)と思いながら

見せたのだと思う。

ところがどっこい、当時の私は隠れポップスファンであった、イントロクイズが当時あれば洋盤なら

数百曲は当てることがで来たと思う。 勉強もしないで毎晩ラジオにかじりついてポップス、ロック

カンツォーネを聴きまくり、自分なりの今月のベスト200ランキングを作って、上位50位までを

テープレコーダー(リール式)に自らナレーターになって吹き込んで遊んでいたのだから。

それは高校入試の前の晩にもやっていたのだからマニアックだった

 

だから、このレコードを見た途端、ブリティッシュロック、マージービート、リバプールサウンズの

講釈を始めたものだからM1はびっくりした、その日から二人のつきあいが始まった

そしてバンドを結成した。 ドラマーは不良では無いが元気の良い、けんかっ早いM2だった

このM1,M2が高校時代の数少ない友達の中の2人だった

 

修学旅行が近づいてきてM1が教室で私に言った。 

「旅行は彼女がいないと面白くない、おまえは彼女いるのか?」って

「いないよ」と私はケロッと言ったら

「じゃあ作れ、好きな女はいるのか?」

「いないよ」

「そんなことは無いだろ、だれかいるだろ?」

「いない」

すると教師の教壇から、生徒の配置表を持ってきて端から順に女子の名前を指さして

「これはどうだ」「べつに」「これは?」「べつに」のくり返し

ところがN子を指した途端に、私の心が動揺した、かすかにぴくっとして答えが遅れたのを

M1は感じたらしく「これだな、おまえN子が好きなんだろ」

好きというわけでは無かったが、スポーツマンの彼女に多少の憧れはあったと思う

 

その日からM1は私の見えるところでN子の傍へ言っては何かひそひそ話をする

私がN子を好きだと言っているんだろうかと、心は穏やかで無い

そうして私は追いつめられていった、夜が苦しくて眠れなくなった、もう告るしかなくなった

 

土曜日の放課後の教室は陽の光が斜に差し込んで、けだるい雰囲気を醸し出していた

みんな下校して誰もいない教室でN子を待った

だがN子はなかなかこない、でも彼女の机には彼女のカバンが置いてある

30分待った、そしてようやく来た。 奥手の私は緊張していて

「おれとつきあってくれ」としか言えなかった

「好き」だとも、つきあいたい理由も何も言えなかった

そして15分くらいの沈黙  あの日の、差し込む光と曇り硝子の窓の印象を50年たった今も

くっきりと覚えている

「すみません、わたしつきあっている人が他の高校に居るんです、だからつきあえません」

彼女は、ようやくそう言った

「わかった」としか言えなかった

 

「なんだ!ダメだったのか」、翌日M1は自分のことのようにがっかりした

「よし、土曜日の夜、おまえんちで残念会やろう」、と言った

土曜日の夜、M1はM2と二人でわが家にやってきた。 父は高校生離れした、大人びた

この二人をたいそう気に入っていたから「ゆっくりして居きない」と歓迎した

「おい酒あるか」「あるよな、おまえんち料理屋だもんな」

当時、わが家は自宅の二階を20畳の宴会場にして客を入れていたのだった

当然酒はある

私は酒など飲んだことも無かったし、飲みたいと思わなかったが、二人はさすがのワルだ

飲み始めた、私も茶碗で一杯くらい飲んだ、

「おいyottin、おまえはまだ旅行に行かれるだけいいぞ。 わしゃ停学になって旅行も

行っちゃならんということになった」とM2は言った

M1も「そうだな、行かれるだけ良いってもんだ」

それから「風呂へ入ろう」となって、風呂を沸かした

狭い風呂に3人で入った、二人が湯船に入って洗面器で私の頭から湯をかけては

「もう忘れろ!」と何度も言った

私も「もう忘れた」とくりかえした

何度も何度も、私は頭から湯をかけられて、目のあたりに流れているのが何かわからなくなった