おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社、1,500円+税)のP.243~244のところで哲人がこんなことを語った部分があります。
「アドラー心理学をほんとうに理解して、生き方まで変わるようになるには、『それまで生きてきた年数の半分』が必要になるとさえ、いわれています」
そして、40歳から学び始めたらプラス20年が必要で60歳までかかり、20歳で学び始めた場合にはプラス10年で30歳までかかる、と語っています。
これは実は、アドラー心理学の定説でもなく、岸見さんの独断です。
ルーツを探ると、彼の師にあたる人が子育てに関して語っていたことを岸見さんは曲解しているのだと思います。
今まで生きてきた期間プラス半分がかかるならば、ライフスタイルを変える努力をする人はいなくなります。
岸見さんの別の本『叱らない子育て』(学研パブリッシング、1,300円+税)の第4章の「ライフスタイルを変えるために」のところでは、「ライフスタイルは自分で選んだものなので、いつでも変えることができます」としながらも、「今のライフスタイルを別なものに変えると、たちまち次の瞬間に何が起こるかわからないので、ライフスタイルを変えようとしないのです」と書いています。
ライフスタイルが簡単に変わることを印象づける記述もあります。
アドラーが彼のイギリス人の弟子のシドニー・M・ロスに対して語った、性格が「死ぬ1・2日前」(『アドラー心理学教科書』『アルフレッド・アドラーの思い出』参照)まで変わる、も極端です。
おそらく可能性についてジョーク気味に語ったものと思われます。
私のカウンセリングや研修での観察によれば、「ライフスタイルが変わる」レベルをどの程度に設定するかにもよりますが、3カ月~6カ月で変わっているケースを見ております。
あえて今までと違った思考・感情・行動のスタイルを自覚的な努力を払って変えようとし、思考・感情・行動の従来パターンが出てしまいそうな「その瞬間」を捕らえて、あえて違うパターンに切り替える訓練を度重ねていけば、ライフスタイルは変わります。
このことについて詳しく書いた本が『アドラー心理学が教える 新しい自分の創めかた』(学研パブリッシング、1,400円+税)です。
ただし、そのためにはカウンセリングを受けたり、研修を受けて仲間と切磋琢磨しながらチャレンジし続けたりすることが欠かせません。
ヒューマン・ギルドで行うカウンセリングや各種の講座は、そのために役立っています。
<お目休めコーナー> 9月の花(4)
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