おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(2月26日)は、朝に長兄から従姉妹のきみちゃんが亡くなったとの電話をもらいました。
きみちゃんは父の姉の子で、両親が早くにこの世を去っているので、父がまるで実の父親のようにしていた人です。
きみちゃんが結婚するまで数年間、我が家で同居していても、私とは確か14歳も年が違うので、あまり大きな接点がありませんでした。
しかし、きみちゃんが私の家から嫁ぐときに家具が応接間にドーンと置いてあったのを覚えています。
1月2日には、実家にご主人と挨拶に来ていて、私たち家族は居合わせることができました。
80歳を過ぎているきみちゃんに「きみちゃん、いくつになってもお肌がきれいだね」と私が言ったことに対して、「ありゃまーとっちゃん、お世辞が上手だわね」と犬山弁で返してきました。
突然の死にショックを隠せませんでした。
加えてこのところ研修がずっと続いていて、延ばし延ばしになっている仕事が追いつかなくて、心が乾いた状態になっていることを自覚していました。
それから新幹線で大阪に向かい、14:10~17:10に不登校関係者を対象とした研修をやって来ました。
私とアドラー心理学の接点は、もともと不登校関係なので、講師としての充実感がありました。
ところで、新幹線の東京ー新大阪間の往復で読んでいたのが小説『終の日までの』(森 浩美、双葉文庫、611円+税)
私は、森 浩美のいわゆる家族小説をほとんど読んでいますが、『終の日までの』は「人生の閉じ方」(小説の中では「人生の店仕舞い、畳み方」の表現)を8つの小編で描いたものです。
「つまらない人」は、妻から「つまらない人ね」と言われていた主人公が妻からひと房のミカンを渡され口に入れたシーンで終わります。
「渡された房を口の中に放り込んで噛み締めると、酸っぱくそして少し苦い味がした。でも、その後から甘みがゆっくりと口の中に広がった」
何だか人生の味わいそのもののようです。
「メンテナンス」は、『増田昭夫。享年53』とナプキンに書いて、背広に内ポケットに入れて、ビルから飛び降り自殺を図ろうとする、上司のパワハラに責め続けられる課長が開き直る物語です。
涙することはありませんでしたが、帰りの新幹線の中で研修の余韻とビールとこの本で心の潤いを感じた夕べになりました。
◆今まで森 浩美の本は、私のブログで7回紹介しています。
こちらの4つは涙を流してしまう森 浩美の短編小説集です。
●2009年1月19日付けブログ 「『家族の言い訳』を読む」
●2011年1月21日付けブログ 本の紹介:小説『小さな理由』(森 浩美)
●2011年11月6日付けブログ 本の紹介:『ほのかなひかり』(森浩美著)
●2014年3月26日付けブログ 本の紹介:短編小説集『こころのつづき』(森浩美)
こちらは、ほのぼの系の文庫本です。
●2012年07月2日付けブログ 本の紹介:小説『家族の分け前』(森 浩美)
●2013年4月24日 泣かなかった森浩美の『家族ずっと』
● 2014年1月3日 本の紹介:『家族往来』(森 浩美短編集)
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