おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
連休の谷間の昨日(5月1日)は、半日だけ勤務し、緩やかに過ごしました。
さて、このごろ私が関心を抱いているのは「嫉妬」と「妬み」の違いです。
英語にするとどちらも”jealousy”か”envy”でしょうが、ニュアンスからすると、”jealousy”の方が三者関係である嫉妬に近いのに対して、”envy”は二者関係の妬みのもたらす感情です。
脳科学者の中野信子氏の『シャーデンフロイデ』(幻冬舎新書、760円+税)では、「嫉妬」と「妬み」は、異なった感情であるとし次のように表現されています。
嫉妬・・・・自分が持っている何かを奪いにくるかもしれない可能性を持つ人を排除したい、というネガティブ感情
妬み・・・・自分よりも上位の何かを持っている人に対して、その差異を解消したいというネガティブ感情
さらに著者は、「妬み」を2つに分けています。
良性妬み・・・・自分が成長する原動力になる、自分にとってプラスに働く感情
悪性妬み・・・・相手を引きずり下ろして自分と同じか、自分以下にしたいという、ネガティブ感情
さて、いきなりこの本のエッセンス部分に入りましたが、タイトルの「シャーデンフロイデ」というのは、元々の「誰かが失敗した時に、思わず湧き起ってしまう喜びの感情」で、ドイツ語で「損害、毒」の意味する「シャーデン」と、「喜び」を表す「フロイデ」を合わせた言葉です。
著者は、この感情が「オキシトシン」という「愛情ホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれる物質と深い関わりを持ち、基本的には、(1)「安らぎと癒し」、(2)「愛と絆」の働きを持つ「人間に良い影響を与える物質」として考えられている一方、妬みの感情と不可分であることを説いています。
中半以降は、心理学上のさまざまな実験結果も紹介され、「倫理的」であろうとして共同体を破壊してしまったり、「愛と正義」のために殺し合ったりする現代社会の抱える病理に深く迫っています。
私には、「妬み」の心理をもとに「共同体」の維持にとって危険な要素を考える手がかりがつかめた本でした。
この本も、うちのカミさんが先に読んで強く勧めてくれた本です。
<お目休めコーナー>5月の花(2)

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