おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
子どものいじめだけでなく大人も含めたいじめについて脳科学を中心に迫った本の紹介です。
『ヒトは「いじめ」をやめられない』(中野信子、小学館新書、780円+税)
いじめと共同体との関係を考えるヒントになる本なので、数回にわたって紹介することにします。
まず、著者の認識は、
・いじめは学校だけでなく、企業やママ友グループ、スポーツチーム、地域コミュニティなど、集団の中で必ず起こりうる現象であること
・いじめのような社会的排除は、人間という生物種が生存率を高めるために進化の過程で身につけた「機能」なのではないか
・人間社会においては、どんな集団においても排除行動や制裁行動がなくならないのは、そこに何かしらの必要性や快感があるから
といういことです。
そして、この本では、著者の他の本との重複がありますが、心理学上のいくつかの実験も紹介され、いじめが起こるメカニズムについて人間の生物的な本質を見つめながら脳科学的観点から解説します。
さらに第2章では、著者の得意分野の脳科学の立場からいじめに関わる脳内物質として「オキシトシトン」(第1節)、「セロトニン」(第2節)、「ドーパミン」(第3節)によって制裁行動=サンクションが発生することを説きます。
次回は、そもそもいじめが起きやすい構造があるのかどうか、この本から少し離れて言及することにします。
<お目休めコーナー>5月の花(30)
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