見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

茶碗、茶入、茶掛け/茶道具の精華(五島美術館)

2010-09-16 23:20:10 | 行ったもの(美術館・見仏)
五島美術館 開館50周年記念名品展IV『茶道具の精華』(2010年8月28日~10月24日)

 名品展シリーズの第4弾。茶道具コレクションは五島美術館の「精髄」と言っていいと思うが、当然というか、第3弾の『陶芸の美』(2010年6月26日~8月8日)とかぶるものが多いのが、ちょっと興ざめする。会場に入ってすぐ、鼠志野茶碗「銘・峯紅葉」と古伊賀水指「銘・破袋(やれぶくろ)」が、それぞれ個別ケースに収められているのは、6月に来たときのまま。信楽一重口水指「銘・若緑」は、前回は壁際の展示ケースだったが、今回は平型ケースで、真上から覗き込む体勢にならざるを得ないのが、何か妙だった。

 眼福は、やはり赤黒楽茶碗。光悦の赤楽茶碗「十王」かわいいなー。赤くて丸くて(茶碗としてはかなり深い)つるっとしている。長次郎の赤楽茶碗のうち、「夕暮」は何度も見ているが「湖月」はめずらしかった。しかし、カタログに☆(注目)印だけ付けてきたのに、思い出そうとすると、その姿が浮かばない。五島美術館のサイトに「十王」「夕暮」は写真が載っているのに…。ま、いいか。茶椀に比べて、茶入の美しさは、いまひとつ分からないのだが、唐物茄子茶入「銘・宗伍茄子」はいいと思った。大ぶりで掌になじみそうな感じが楽茶碗っぽい。撫でまわしてみたい。

 書(茶掛け)では、千利休消息「横雲の文」。秘蔵の茶壺「橋立」を秀吉が取りに来るという噂を聞いて、大徳寺珠光院の住持あてに書いた手紙だという。緊迫した状況なのに、行間が広く、どこかゆったりして、几帳面な筆跡に感じられる。和歌は「よこ雲のかすみわたれるむらさきの ふみととろかすあまのはしたて」。「踏み轟かす」に、無粋な田舎者の秀吉の姿が浮かぶように思う。無準師範の墨跡「茶入」には笑ってしまった。禅寺内で茶の接待をする役目、または場所を示すそうだが、何かの折、実用的な用途で書かれた書を、気に入った誰かが取っておいたのだろうか。今日まで伝わった経緯を想像すると、可笑しい。

 9/28より後期展示替え。
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