○金曜時代劇『柳生十兵衛 七番勝負』(NHKオンデマンド)
久しぶりにNHKオンデマンドのサイトを見に行ったら、一部のコンテンツが無料配信されていた。新規ユーザー獲得のためだろうが、どうせ大した番組はないだろう、と思ってメニューを見たら、2005年放送の『柳生十兵衛 七番勝負』第1回と第2回があがっていた。何?!
このドラマ、私が、日本の「時代劇」なるもの(含む、大河ドラマ)を面白いと感じた最初の作品なのだ。「日本の」と冠したのは、その前段階として、2000年頃から中国の古装劇にハマっていたためである。日本の時代劇は、いまいち背景が分からない(高校では世界史選択だった)ので、受け付けないんだよなーと思っていたが、このドラマには、知識不足のハンデが吹っ飛ぶくらいの面白さがあった。本当に面白いドラマって、そういうものだと思う。
時代は、戦国のきな臭さがまだ冷めやらぬ徳川三代将軍・家光の世。寛永10年(1634)、かねて蟄居を命じられていた駿河大納言忠長(家光の同母兄)が、幕命により自害した。これに怨みを含む忠長の家臣たちは、幕府転覆計画を目論む。その中心人物は、忠長の剣術指南役、戸田勘解由。幕府総目付、柳生但馬守宗矩は、息子の十兵衛に勘解由を討つことを命じる。…という設定。(公式ホームページがまだ生きていたのか!嬉しい!!)
しかし、以前は、この設定が分からなかった。駿河大納言って誰?創作人物?だったし、最終回で謀反組に担がれかかる保科正之公も、誰?という感じだった。昨年の馬鹿馬鹿しい大河ドラマ『江』を呆れながら見ていたおかげで、この三兄弟の関係が理解できるようになっていたのには苦笑。あと、第5回に登場する宮本武蔵も、吉川英治の小説に描かれた青年・武蔵のイメージしかなかったので、とつぜん熊本で白髪の爺さん(サニー千葉さん!)が現れたときは戸惑った。
というような、あれこれはおいといて、とにかく初見当時も面白かったし、いま見なおしても面白い。無料の1、2回を視聴したあと、たまらず第3回を購入し、結局、4日間で全6回を見てしまった。
この作品の魅力は、まず、科白の日本語が、折り目正しくて気持ちいい。もちろん当時の言葉そのままだとは思わないが、「時代劇らしさ」にあふれている。それから役者さんの所作がきれい。特に十兵衛役の村上弘明さんには、ほれぼれした。ぐっと腰を落とす剣の構えは、日本独特の様式美を感じさせる。この頃から(?)欧米や中国の映画でもソードアクションが流行り始めるが、飛びかかって、上から覆いかぶさろうとするアクションが主流ではないかと思う。初見当時は、時代劇の「標準」がよく分からなかったので、あまり通ぶったことは言えなかったが、やっぱり、本作の日本語・所作・殺陣の美しさは称賛に値すると、あらためて思った。
美術もいい仕事をしている。どの回も、室内のしつらえ(床の間の書画、唐物飾り、茶道具など)が、いかにも武家屋敷らしくて素敵だ。あーなるほど水墨画の三幅対ね、とか。第4回で、多田左兵衛の家の床の間に掛けられた拓本に、後代の年号が入っているようにも見えたが、全体の雰囲気がそれらしいので許す。あと、衣装も音楽もロケ映像も題字も…褒め始めると切りがない。
第2シリーズの『柳生十兵衛 七番勝負~島原の乱』(2006年放送)も面白かったなあ。ネット掲示板では、ずいぶん盛り上がったものだ。第3シリーズ『柳生十兵衛 七番勝負~最後の闘い』(2007年放送)は、期待が大きすぎてハズレの印象が強かったが、いま配信してくれたら、もう1回見てもいい。なつかしい。
久しぶりにNHKオンデマンドのサイトを見に行ったら、一部のコンテンツが無料配信されていた。新規ユーザー獲得のためだろうが、どうせ大した番組はないだろう、と思ってメニューを見たら、2005年放送の『柳生十兵衛 七番勝負』第1回と第2回があがっていた。何?!
このドラマ、私が、日本の「時代劇」なるもの(含む、大河ドラマ)を面白いと感じた最初の作品なのだ。「日本の」と冠したのは、その前段階として、2000年頃から中国の古装劇にハマっていたためである。日本の時代劇は、いまいち背景が分からない(高校では世界史選択だった)ので、受け付けないんだよなーと思っていたが、このドラマには、知識不足のハンデが吹っ飛ぶくらいの面白さがあった。本当に面白いドラマって、そういうものだと思う。
時代は、戦国のきな臭さがまだ冷めやらぬ徳川三代将軍・家光の世。寛永10年(1634)、かねて蟄居を命じられていた駿河大納言忠長(家光の同母兄)が、幕命により自害した。これに怨みを含む忠長の家臣たちは、幕府転覆計画を目論む。その中心人物は、忠長の剣術指南役、戸田勘解由。幕府総目付、柳生但馬守宗矩は、息子の十兵衛に勘解由を討つことを命じる。…という設定。(公式ホームページがまだ生きていたのか!嬉しい!!)
しかし、以前は、この設定が分からなかった。駿河大納言って誰?創作人物?だったし、最終回で謀反組に担がれかかる保科正之公も、誰?という感じだった。昨年の馬鹿馬鹿しい大河ドラマ『江』を呆れながら見ていたおかげで、この三兄弟の関係が理解できるようになっていたのには苦笑。あと、第5回に登場する宮本武蔵も、吉川英治の小説に描かれた青年・武蔵のイメージしかなかったので、とつぜん熊本で白髪の爺さん(サニー千葉さん!)が現れたときは戸惑った。
というような、あれこれはおいといて、とにかく初見当時も面白かったし、いま見なおしても面白い。無料の1、2回を視聴したあと、たまらず第3回を購入し、結局、4日間で全6回を見てしまった。
この作品の魅力は、まず、科白の日本語が、折り目正しくて気持ちいい。もちろん当時の言葉そのままだとは思わないが、「時代劇らしさ」にあふれている。それから役者さんの所作がきれい。特に十兵衛役の村上弘明さんには、ほれぼれした。ぐっと腰を落とす剣の構えは、日本独特の様式美を感じさせる。この頃から(?)欧米や中国の映画でもソードアクションが流行り始めるが、飛びかかって、上から覆いかぶさろうとするアクションが主流ではないかと思う。初見当時は、時代劇の「標準」がよく分からなかったので、あまり通ぶったことは言えなかったが、やっぱり、本作の日本語・所作・殺陣の美しさは称賛に値すると、あらためて思った。
美術もいい仕事をしている。どの回も、室内のしつらえ(床の間の書画、唐物飾り、茶道具など)が、いかにも武家屋敷らしくて素敵だ。あーなるほど水墨画の三幅対ね、とか。第4回で、多田左兵衛の家の床の間に掛けられた拓本に、後代の年号が入っているようにも見えたが、全体の雰囲気がそれらしいので許す。あと、衣装も音楽もロケ映像も題字も…褒め始めると切りがない。
第2シリーズの『柳生十兵衛 七番勝負~島原の乱』(2006年放送)も面白かったなあ。ネット掲示板では、ずいぶん盛り上がったものだ。第3シリーズ『柳生十兵衛 七番勝負~最後の闘い』(2007年放送)は、期待が大きすぎてハズレの印象が強かったが、いま配信してくれたら、もう1回見てもいい。なつかしい。