○柏井壽『おひとり京都の秋』(光文社新書) 光文社 2010.9
夏→秋→冬→春と続く京都案内シリーズの第2作目。私にとっては、3冊目になる。冬→春と読んできて、面白かったので、残りも読もうと思っていたのだが、最近、東京の書店では在庫を見かけなかった。先日、関西に出かけて、京都駅構内の書店に入ったら、さすが地元には揃えてあったので、折りもよし「秋」を読むことにした。
観光客・修学旅行客であふれかえる「秋」は、「おひとり」がいちばん似つかわしくない季節のような気がする。そのせいか、ほかの季節に比べると、なるほどと膝を打つような穴場の紹介は少ない。月を思うなら桂離宮に銀閣寺、萩の名所は梨木神社。季節を代表する行事は時代祭と鞍馬の火祭。…しごく順当なラインナップだと思う。
「穴場で紅葉狩り」に挙げられていた「八神社」(銀閣寺町)、洛北の「鷺森神社」(修学院宮ノ脇町)「八大神社」(一乗寺松原町)は知らなかった。ひとくちに神社仏閣というけれど、私は仏像拝観を楽しめるお寺のほうが好きで、神社の参詣を楽しめるようになったのは、つい最近なのだ。「達磨寺(法輪寺)」(上京区)は、名前だけ聞いたことはあったが、あまり訪ねることの少ないエリアなので、行ったことがなかった。
記憶にとどめておこうと思った情報のひとつは、路線バスに乗って楽しむ紅葉。著者のおすすめは京都市バスの37号系統だという。三条京阪から西賀茂に至る路線だ。紅葉だけでなく銀杏(紫明通)も楽しめるというのに惹かれる。晴れた日の夕暮れが絶好というが、いつかそんなシチュエーションにめぐりあえるだろうか。賀茂街道を北に進むとき、賀茂川は右手に見えるので、右側の座席に座ること、というのも忘れずに。あと、下鴨神社の流鏑馬が行われる馬場の紅葉がすばらしい、というのも納得。緑の季節にしか行ったことがないが、想像はできる。
美味いもの紹介は充実していると思ったが、価格的に私の感覚と合わないので、さらりと読み流した。大人のひとりランチは2千円くらいを「リーズナブル」ととらえるものか…。
例によって、近江(滋賀県)の観光スポット紹介にもページが割かれている。そりゃあ、やっぱり秋は、永源寺~湖東三山~多賀大社だろう。永源寺のそばにあるという日登美美術館は知らなかった。バスで行けることになっているが、どのくらい便があるのかなあ…。
実は、先週末の三連休旅行は、京都にも大津にも宿がとれず、少し離れた「草津」に初めて泊まったのだが、思いのほか、駅前が繁華で、暮らしやすそうだった。本書の著者は、週末を草津で生活するようになって半年あまりという。以前読んだ2冊にも、そのことは触れられていたのだが、すっかり忘れていた。本書には、草津駅前の美食の店がいくつか紹介されていて、ああ、この店あったあった、とすぐに思い浮かんだ。滋味康月、坐空、金燕の家。次の機会のためにここにメモしおく。
夏→秋→冬→春と続く京都案内シリーズの第2作目。私にとっては、3冊目になる。冬→春と読んできて、面白かったので、残りも読もうと思っていたのだが、最近、東京の書店では在庫を見かけなかった。先日、関西に出かけて、京都駅構内の書店に入ったら、さすが地元には揃えてあったので、折りもよし「秋」を読むことにした。
観光客・修学旅行客であふれかえる「秋」は、「おひとり」がいちばん似つかわしくない季節のような気がする。そのせいか、ほかの季節に比べると、なるほどと膝を打つような穴場の紹介は少ない。月を思うなら桂離宮に銀閣寺、萩の名所は梨木神社。季節を代表する行事は時代祭と鞍馬の火祭。…しごく順当なラインナップだと思う。
「穴場で紅葉狩り」に挙げられていた「八神社」(銀閣寺町)、洛北の「鷺森神社」(修学院宮ノ脇町)「八大神社」(一乗寺松原町)は知らなかった。ひとくちに神社仏閣というけれど、私は仏像拝観を楽しめるお寺のほうが好きで、神社の参詣を楽しめるようになったのは、つい最近なのだ。「達磨寺(法輪寺)」(上京区)は、名前だけ聞いたことはあったが、あまり訪ねることの少ないエリアなので、行ったことがなかった。
記憶にとどめておこうと思った情報のひとつは、路線バスに乗って楽しむ紅葉。著者のおすすめは京都市バスの37号系統だという。三条京阪から西賀茂に至る路線だ。紅葉だけでなく銀杏(紫明通)も楽しめるというのに惹かれる。晴れた日の夕暮れが絶好というが、いつかそんなシチュエーションにめぐりあえるだろうか。賀茂街道を北に進むとき、賀茂川は右手に見えるので、右側の座席に座ること、というのも忘れずに。あと、下鴨神社の流鏑馬が行われる馬場の紅葉がすばらしい、というのも納得。緑の季節にしか行ったことがないが、想像はできる。
美味いもの紹介は充実していると思ったが、価格的に私の感覚と合わないので、さらりと読み流した。大人のひとりランチは2千円くらいを「リーズナブル」ととらえるものか…。
例によって、近江(滋賀県)の観光スポット紹介にもページが割かれている。そりゃあ、やっぱり秋は、永源寺~湖東三山~多賀大社だろう。永源寺のそばにあるという日登美美術館は知らなかった。バスで行けることになっているが、どのくらい便があるのかなあ…。
実は、先週末の三連休旅行は、京都にも大津にも宿がとれず、少し離れた「草津」に初めて泊まったのだが、思いのほか、駅前が繁華で、暮らしやすそうだった。本書の著者は、週末を草津で生活するようになって半年あまりという。以前読んだ2冊にも、そのことは触れられていたのだが、すっかり忘れていた。本書には、草津駅前の美食の店がいくつか紹介されていて、ああ、この店あったあった、とすぐに思い浮かんだ。滋味康月、坐空、金燕の家。次の機会のためにここにメモしおく。