○NHKスペシャル シリーズ「深海の巨大生物」(NHKオンデマンド)
四月から札幌に移住して、いろいろ生活が変わった。宿舎でBSが見られることが分かって、テレビ視聴の機会が増えた。世間で話題の朝ドラ『あまちゃん』とかTBS『半沢直樹』を私も見ている。その波及で、NHKオンデマンドも「見逃し見放題パック」(月額945円)を契約してしまった。表題のシリーズは、
第1回「伝説のイカ 宿命の闘い」7月27日(土)19:30~
第2回「謎の海底サメ王国」7月28日(日)21:00~
と題して放送されたもの。この週末は東京に所用があって見られなかったが、オンデマンド配信で見ることができた。そうすると欲が出て、今年のはじめに見逃していた、
「世界初撮影!深海の超巨大イカ」1月13日(日)21:00~
もオンデマンドで視聴してしまった。もうね、これだけ視聴習慣が変わってくると、放送をリアルタイムに見ている視聴者だけを数える「視聴率」って、意味をなさないのではないかと思う。そして、テレビを見る人は減ったというけれど、ドラマでもドキュメンタリーでも、やっぱり私たちは、面白い番組を待っているのだ。
このシリーズは、文句なく面白かった。世界で初めて撮影されたというダイオウイカの映像のインパクト。またその映像が、どんなSF作家にも演出家にも作り出せないくらい、美しいし神秘的だし(あのメタリック・ゴールド、大きな目)。あ、でも久石譲の音楽は、映像の魅力を三割増しくらいにしているかもしれない。
このプロジェクトに参加した科学者たちの、生き生きした表情も印象的だった。深海生物の出現や撮影に立ち会ったときの、子どものように無邪気な喜びかた。好きなことを仕事にするって、こういう表情をつくるんだな、と思った。とりわけ、40年にわたってダイオウイカを追ってきた窪寺恒己博士が潜水艇に乗り込み、ついに23分間、生きたダイオウイカとの邂逅を果たしたあと、チームメイトが拍手で迎えるシーンは感動的だった。窪寺博士と同様に、未知の何かのために人生を捧げている研究者が、世界中にいるんだろうな。そういう時間のかかる基礎研究を「税金の無駄遣い」で切り捨てないでほしいな…。
私は子どもの頃、ジュール・ベルヌの『海底二万里』が大好きで、繰り返し貪り読んだ。ベルヌの作品の中では一番好きだったと思う。科学と虚構がほどよくブレンドされた「現実味のある空想科学小説」だったし。一方で登場人物には、子供心に謎を残す複雑な陰影があった。ノーチラス号が遭遇する巨大生物は、原文では「タコ」と「イカ」が混用されているという。私が読んだ本も、あるものは「イカ」、あるものは「タコ」になっていたと思う。
それにしても、ダイオウイカの出現ポイントが小笠原諸島沖にあるとか、深海ザメの王国が駿河湾・相模湾にあるとか聞くと嬉しくなる。石油や鉱物資源があると聞くより嬉しい。どうか日本人が、この貴重な隣人と末永く付き合っていけますように。
四月から札幌に移住して、いろいろ生活が変わった。宿舎でBSが見られることが分かって、テレビ視聴の機会が増えた。世間で話題の朝ドラ『あまちゃん』とかTBS『半沢直樹』を私も見ている。その波及で、NHKオンデマンドも「見逃し見放題パック」(月額945円)を契約してしまった。表題のシリーズは、
第1回「伝説のイカ 宿命の闘い」7月27日(土)19:30~
第2回「謎の海底サメ王国」7月28日(日)21:00~
と題して放送されたもの。この週末は東京に所用があって見られなかったが、オンデマンド配信で見ることができた。そうすると欲が出て、今年のはじめに見逃していた、
「世界初撮影!深海の超巨大イカ」1月13日(日)21:00~
もオンデマンドで視聴してしまった。もうね、これだけ視聴習慣が変わってくると、放送をリアルタイムに見ている視聴者だけを数える「視聴率」って、意味をなさないのではないかと思う。そして、テレビを見る人は減ったというけれど、ドラマでもドキュメンタリーでも、やっぱり私たちは、面白い番組を待っているのだ。
このシリーズは、文句なく面白かった。世界で初めて撮影されたというダイオウイカの映像のインパクト。またその映像が、どんなSF作家にも演出家にも作り出せないくらい、美しいし神秘的だし(あのメタリック・ゴールド、大きな目)。あ、でも久石譲の音楽は、映像の魅力を三割増しくらいにしているかもしれない。
このプロジェクトに参加した科学者たちの、生き生きした表情も印象的だった。深海生物の出現や撮影に立ち会ったときの、子どものように無邪気な喜びかた。好きなことを仕事にするって、こういう表情をつくるんだな、と思った。とりわけ、40年にわたってダイオウイカを追ってきた窪寺恒己博士が潜水艇に乗り込み、ついに23分間、生きたダイオウイカとの邂逅を果たしたあと、チームメイトが拍手で迎えるシーンは感動的だった。窪寺博士と同様に、未知の何かのために人生を捧げている研究者が、世界中にいるんだろうな。そういう時間のかかる基礎研究を「税金の無駄遣い」で切り捨てないでほしいな…。
私は子どもの頃、ジュール・ベルヌの『海底二万里』が大好きで、繰り返し貪り読んだ。ベルヌの作品の中では一番好きだったと思う。科学と虚構がほどよくブレンドされた「現実味のある空想科学小説」だったし。一方で登場人物には、子供心に謎を残す複雑な陰影があった。ノーチラス号が遭遇する巨大生物は、原文では「タコ」と「イカ」が混用されているという。私が読んだ本も、あるものは「イカ」、あるものは「タコ」になっていたと思う。
それにしても、ダイオウイカの出現ポイントが小笠原諸島沖にあるとか、深海ザメの王国が駿河湾・相模湾にあるとか聞くと嬉しくなる。石油や鉱物資源があると聞くより嬉しい。どうか日本人が、この貴重な隣人と末永く付き合っていけますように。