見もの・読みもの日記

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2014年9月@西日本大旅行:京へのいざない(京博)その1

2014-09-24 00:46:31 | 行ったもの(美術館・見仏)
京都国立博物館 平成知新館オープン記念展『京へのいざない』(2014年9月13日~11月16日)

 この飛び石連休は東京で遊んできたのだが、その報告は後にして、時計の針を先週に巻き戻す。三連休3日目(9/15)は朝から京博へ。開館10分後くらいというのに、どんどんお客さんが入っていくので、自然と私の足も速まる。南門を入ると、広いアプローチがまっすぐ伸びており、その先には左右に大きく広がる新しい常設展示館(平成知新館)の姿。「横に広がる威容」って古くから日本人の好む建築のひとつのパターンだと思う。三十三間堂とか宇治の平等院とか。

 オープン記念展の内容のすごさは雑誌などでチェック済みで、武者震いが抑えられないが、あくまで平常展なので料金は大人520円。私は年間パスポートの提示だけで入った。フロアマップをチェックし、1階から上るか最上階の3階から下るか迷った末、いちばん気になる2階の特別展示室に突入することにした。

 なお、会場には展示作品リストがない。2階の係員の方に聞いたら「1階のインフォメーションにあります」と言われたので、あとで貰いに行ったら「申し訳ありません。ご用意できませんでした」と言われて、京博のホームページにPDFファイルが掲載されていることを教えてくれた。残念ながら、展覧会図録もない。京博の名品図録(新版)は売っているが「寄託品等は載っておりません」とのこと。そうかー今回の特別出陳品は仕方ないとして、こういう場合、寄託品も掲載できないのかあ。

 ということで、のちのちの個人的楽しみのため、なるべく詳しい記録を残しておきたいと思う。

■特別展示室(肖像画)


(1)聖一国師像(圓爾弁円)万寿寺 13世紀
(2)道宣律師像 泉涌寺 13世紀
(3)元照律師像 泉涌寺 13世紀
(4)伝平重盛像 神護寺 13世紀
(5)鳥羽天皇像 満願寺 14世紀
(6)伝源頼朝像 神護寺 13世紀
(7)花園法皇像 妙心寺 14世紀
(8)〔後宇多天皇像 13世紀〕
(9)足利満詮像 養徳院 15世紀
(10)足利義持像 神護寺 15世紀

 展示室に入ってすぐ目につくのは、向かいの壁の左右に掛けられた神護寺三像の頼朝と重盛。ん?中央の白い衣の貴人は誰?と思って近づいてみたら鳥羽院だったのは驚いた。何しろ私は前日、讃岐の白峯寺に詣でて、気持ち的には崇徳院さんの御霊を背負って京都入りしていたので。京博・平成知新館に入って最初の対面が鳥羽の上皇さまだったというのは、長く忘れられない記憶になると思う。

 鳥羽天皇像は、熊野詣の途中に立ち寄ったとされる和歌山・満願寺に伝わるもので、堂々とした貫録の体躯に白い衣をまとい、袖に隠した右手には白い扇を垂らして持っている。いま調べてみたら、2012年12月に満願寺本堂が全焼したが「鎌倉時代の文化財『絹本著色鳥羽天皇像』を所蔵しているが、京都国立博物館に寄託しており、被害はなかった」という記事が出て来た。危ないところだったのね。ほッ。

 神護寺三像の説明をあらためて読む。文治4年(1188)後白河天皇の臨幸に向けて寺内に仙洞院が造立された際、近臣たちの肖像が備えられたという記録があり、その残りと見られているという。ぜんぜん関係ないのだが、乾隆帝の紫光閣の功臣百名の肖像を思い出してしまった。文治4年(1188)といえば、重盛はとうに故人なんだな。(とりあえず重盛、頼朝と思って眺めると)どこかぼんやりしたとっちゃん坊やの重盛に比べて、やっぱり頼朝のほうが切れ者顔をしている。

 右側の僧侶の肖像(1)~(3)は、いずれも見覚えがあった。聖一国師(圓爾弁円)像は、鋭い片目が印象的な図で、私はずっと、肖像画の経年劣化で、一方の目が描かれた箇所が擦り切れてしまったのだろうと思っていた。実は、国師が入宋の折、片目を失明されていたことを初めて知った。道宣律師像、元照律師像はペアで、穏やかな肖像である。

 左側は俗人(天皇・将軍)の肖像が、確か4件。「インターネットミュージアム」の取材レポートにも、この展示室をぐるりとカメラでなめまわす動画が上がっており、4件が確認できる。ところが、京博公式サイトに掲載されている出品一覧(PDFファイル)及び特別展示室の展示品リスト(※本日現在)を参照すると、作品数が足りないのだ。何故? (8)の位置の肖像、私の走り書きメモ(あとで作品リストと照合できればいいと思っていた)には「後うた・13C」とだけある。ええと「大覚寺殿」と墨書のあるこの肖像だったような気がするが…自信がない。

 前途に不安を覚えつつ、以下、後日。
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