見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2014年9月@西日本大旅行:京へのいざない(京博)その4

2014-09-26 21:17:07 | 行ったもの(美術館・見仏)
京都国立博物館 平成知新館オープン記念展『京へのいざない』(2014年9月13日~11月16日)

 最後に建築に関する補足いくつか。南門から伸びるアプローチはこんな感じ。



 このアプローチを平成知新館2階から見下ろしたところ。アプローチの延長線が、蓮華王院(三十三間堂)の東側の通り(さらにその東側には法住寺)に一直線につながっていく。この設計は、史跡に対するリスペクトが感じられて嬉しい。



 平成知新館の入口。東京国立博物館の法隆寺館に似すぎている、というのは置いといて、今回の工事によって、平成知新館の南側の壁面ラインから、豊臣秀吉が創建した方広寺の回廊の礎石跡が発見されたという。



 礎石の位置は、玄関の敷石の上、及び池の中にも、こんなふうに↓示されている。



 後白河法皇と豊臣秀吉か。美と壮麗を愛した二人の天下人の地霊に守られているんだから、京都国立博物館の立地って最高だな。

 最後に、ミュージアムショップで見つけた、新しいキャラクターの竹虎くん。光琳の『竹虎図』が元ネタだが、あまりにも安易でブサかわな出来上がりに涙して、うちに連れて帰ることにした。



 ちなみに竹虎くんが座っているのは室内の灯油タンクです(北海道ならでは)。
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2014年9月@西日本大旅行:京へのいざない(京博)その3

2014-09-26 00:05:24 | 行ったもの(美術館・見仏)
京都国立博物館 平成知新館オープン記念展『京へのいざない』(2014年9月13日~11月16日)

 2階の5展示室だけで、そろそろ正午になってしまったので、南門のカフェで昼食と小休止。平成知新館の1階にもレストランができたが、混んでいたし、いかにも高級そうなので、今後、使う機会があるかどうかは微妙。食後は1階からまわることにする。

■1F-1室(彫刻)「京都の平安・鎌倉彫」

 細長い長方形の展示室。右から左へ。(8)までが露出展示。

(1)金剛力士立像 2躯 愛宕念仏寺
(2)如意輪観音半跏像 廬山寺
(3)阿弥陀如来坐像〈来迎印〉京都国立博物館  
(4)不動明王坐像 金剛寺
(5)大日如来坐像 金剛寺
(6)千手観音立像 光明寺
(7)千手観音立像 妙法院
(8)宝誌和尚立像 西往寺

 ここはかなり照明を暗く落としている。2階の廊下から(紗のようなカーテンを通して?)1階の彫刻(仏像)展示室を見下ろすと、個別にライトアップされた仏像の姿が美しい。正直、ちょっとやりすぎ感があるのだが。(2)や(8)は、以前の京博でもおなじみだった仏像。(4)(5)の巨像にはびっくりしたが、「大阪・金剛寺」の解説プレートを見て納得した。2011年の秋から奈良国立博物館で展示されている降三世明王坐像と三尊像をなす二躯らしい。不動明王坐像は、火焔の中に鳥の顔が見える光背がカッコいい。飛び出してこぼれ落ちそうな目玉が向かって右下を睨んでいる。牙は左右とも下向き。デカいが均整のとれた体躯。頭頂に蓮華の花のようなものを載せていてかわいい。作者の行快は快慶の弟子で、快慶の作風の影響を受けているという。(5)大日如来は金ピカ、ゴテゴテした光背。智拳印を結ぶ。正面よりは横顔がいい。金剛寺の金堂は治承の頃の建立で、八条院の祈願所だった。
 
(9)善導大師立像 知恩院
(10)良源(元三大師)坐像 正法寺
(11)千観坐像 愛宕念仏寺
(12)十一面観音立像 西念寺
(13)伝一鎮坐像 迎称寺
(14)源実朝坐像 大通寺

 展示室の左隅は「肖像彫刻」のミニ特集コーナーになっていて、(9)~(11)と(13)(14)が、それぞれ展示ケースに入って向きあっている。(11)千観坐像は黒ずんでいて怖い。どんづまりの(12)十一面観音立像は、普通の仏像展示。頭上面が大きくて、頭が重そうである。温顔。

(15)阿弥陀如来立像 知恩院
(16)阿弥陀如来立像 浄土宗(?)
(17)伝観音菩薩立像 清水寺
(18)観音菩薩跪坐像 地蔵院

 さらに通路側に単立の展示ケース4件があって、(15)と(16)、(17)と(18)は、それぞれ鎌倉時代と平安時代の作風を比べてみましょうという意図らしかった。出品リストとの照合がうまくいかない…。(15)は踏み割り蓮台に載って、かなり典型的な鎌倉っぽい阿弥陀如来立像だった。(※15と16は逆位置だった。10月再訪で確認)

■1F-2室(絵巻)「国宝絵巻の美」

 向かって右→正面→左の順に3件。

(1)餓鬼草紙 京都国立博物館
(2)法然上人絵伝 巻三 知恩院
(3)一遍聖絵 巻九 清浄光寺

 (1)は、ほぼ全画面を一気に広げた公開方法が珍しかった。(2)は稚児姿から出家するまで。秋景色の中に、鹿、猿、イノシシなどが描かれている。(3)も田畑や霧に霞む天王寺が美しい。聖の一行に従う病者たちの姿が好き。

■1F-3室(書跡)「古筆と手鑑」

 このへんからは気になった作品のみ紹介。展示室の右辺には、手鑑『藻塩草』をいっぱいに広げて展示。正面には「継色紙」「寸松庵色紙」「高野切第三種」などの軸物。左辺には『一品経和歌懐紙』(平安時代末期を代表する歌人や名筆たちが、法華経二十八品の一品ずつを首題として詠んだ和歌懐紙)を広げる。ただし、西行の『一品経和歌懐紙』だけは取り外して軸装されているため、正面に別展示。治承4年から寿永2年頃の作とあったから、西行晩年の手跡である。

 展示室の中央にも細長い展示ケースが設置されていて『藍紙本・万葉集』がたっぷり広げられていた。「藍紙本」は「藍で漉染めした料紙」だそうだが、実は薄い抹茶色なんだな。展示は巻九。物語歌(長歌)を集めた特異な性格の巻である。処女塚(おとめづか)や真間の手児奈の文字が目についた。

■1F-4室(染織)「小袖の美-みやこのモード」

■1F-5室(金工)「神秘の仏具」 

■1F-6室(漆工)「古神宝と仏の荘厳」

■3F-1室(陶磁)「京焼」

■3F-2室(考古)「金銀銅の考古遺宝」

 以前の京博の常設展示を思い出して、懐かしい品もあれば、おや、コレが博物館で見られるようになったのか、と驚くものもある。陶磁器は、当面「京焼」かあ。奥田頴川、青木木米、永樂保全など、比較的新しい時代のものが中心。もう少し古いものも見たい。

 まだ書くことがあるので、もう1回続く。
コメント (2)
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